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2017年3月21日火曜日

竹富島に残る沖縄の原風景 - 白砂の道 -




 外周わずか約9㎞。人口300人強。それにもかかわらず、年間50万人超の観光客が押し寄せる竹富島。

 竹富島の集落内の道路は、すべて、アスファルトではなく砂の道。海岸から運ばれた、珊瑚礁由来の白砂の道なのです。


 かつて沖縄の何処にでもあったとされる白砂の道。

 わざわざ砂を撒く理由については、諸説あるようですが、神事に関するもののほか、夜、真っ暗な中でも徘徊するハブを見つけやすいからだといういう説があります。

 竹富島に残されている、沖縄の原風景を求めて、一年を通して大勢の観光客がやって来ます。



 竹富島憲章というものがあります。昭和62年、「竹富島住民の総意に基づきこの憲章を制定する。」とあります。
 「美しい島、誇るべきふるさとを活力あるものとして後世へと引き継いでいくため」に島民は、自らに様々な制約を課しています。

 その竹富島の憲章の「美しい島を守る」の項目の中に、建物は伝統的な様式を踏襲し屋根は赤瓦を使用する、屋敷囲いはサンゴ石灰岩による野面積みとする、などと共に、道路、各家庭には、年二回海砂を散布する、ということが定められています。
 白砂の道は、竹富島憲章によって保全されている伝統文化であって、単なる観光資源ではありません。



 早朝、道を箒で掃きます。ゴミ一つ落ちていないように。


 ただ、掃くだけではなく、綺麗に掃け目を付けて行きます。
 この掃け目こそが竹富島憲章の精神だ、と言う人もいます。


 「街灯なんかなかった頃、満月の夜に月明かりに照らされて青白く光る道が、竹富島の原風景のような気がする。そういう写真が撮れないか。」

 7~8年前、初めて竹富島に泊まったときに、宿のオーナーから言われた言葉です。
 今、竹富島の集落内の道には、ほとんど街灯があって、白砂の道も人口灯に照らされます。
 月夜の晩、オリオンビールの酔い心地と共に、街灯のない場所を探し歩いて三脚を構えますが、これがなかなか難しい。



 砂の色は、正確には白でなくベージュに近い色。しかし、沖縄の強い日差しの下では、まさに白そのもの。目に眩しく映ります。


 道路の営繕は、普通、役所の委託を受けた業者が行いますが、ここでは、自分たちで海岸に行き、軽トラで砂を運び、小型のユンボでならし、最後は箒で掃くのです。

 そうして出来た道を、観光客の自転車も、水牛車も、島人の生活車両も、毎日普通に通過して行きます。


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