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2025年5月15日木曜日

沖縄で出会ったファンタスティックな人達 Ⅲ

 


 場所は・・・伏せておきます。

 宮古島か周辺離島の何処かとだけ書いておきます。理由は後ほどお話します。

 今回のファンタスティックな人は、民宿のオーナー。「おとうさん」です。




 「おとうさん」は、地元の名士。元は偉い人でした。そこをご理解いただかないと、ファンタスティックさが伝わらないのです。


 「おとうさん」は、元沖縄県庁の職員でした。総務課長を経て、最後は民営化前の下地島空港管理事務所の所長を勤めたそうです。


 一般に、都会と違い地方では、社会・経済において行政の占める割合が大きいのですが、特に沖縄県では、離島を含む広大なエリアを抱えている上、基地問題やそれに起因する国との特殊な関係などから、県庁の存在は一際大きいものがあります。


 総務課というと、縁の下の力持ち、雑用係りのイメージをもたれがちですが、役所の総務課とは、国や他自治体、議会などとの総合調整を担う重要なポジションであって、言ってみれば、行政の屋台骨。

 沖縄県の総務課長ともなれば、広範な調整業務を担い、重責を負う重要ポストです。

 下地島空港管理事務所長のポストは、「最後は地元で」と希望したそうですが、そうした希望を聞いてもらえるのは、トップクラスの管理職だけです。


 そういう役職を経験した人ですから、それも当時だったら、定年退職後も好条件での再就職、有り体に言えば天下り先が用意されていたはずですが、なんと、それを辞退して、民宿を始めたというのです。

 「おとうさん」曰く。「天下りをして、退職金の二重取りをするような生き方は、オレの性に合わないんだ」と。

 かっけー!




 もっとも宿の常連さんの解説によれば、民宿を始めたのは、退職後も若い人と毎日一緒に飲めるからだとか。

 思わず納得しそうになりましたが、それであってもファンタスティックだと思うのです。


 天下り先は、まあ、全てではないでしょうが、役所の補助金で運営されている団体や、役所との人脈を切らさないために退職者を受け入れる民間企業が多いのです。

 なので、報酬の割に責任の軽い名誉職的なポストが用意され、しかもこの頃は、天下り先を退職する際に、再び退職金がもらえるのが当たり前でした。


 それを断ったのです。

 民宿の「おとうさん」になって、毎日お客さんと一緒に食事をして一緒に飲むという生活を選択したのですから、これはとてもイケてるじゃないですか。


 だからという訳ではないでしょうが、宿の常連さんも、いつも夕食前から食堂に集まって楽しそうに飲んでいました。

 
 建物はなかなかユニークで、客室部分と食堂の間に謎の土間があったり、2階の部屋には謎のベッドルームがあって、窓を開けると屋根の上だったり。

 居心地はいいのですが、ただ、あのちょっと、建築基準法的に・・・でして。

 ま、そんな訳で場所は書きにくいですねぇ。


 民宿なのに、生ビールサーバーがあるのです。

 10リットルの樽を1万円で仕入れ、それを500ミリリットルのグラス1杯500円で売るから、もうけは泡の分しかない、なんてドヤ顔で語っていました。




 自分が最後に泊まったのは、もう10年くらい前になってしまいました。

 その時は10月の連休だったのに、何故か客は自分一人。

 「おとうさん」に連れられて、島の寄り合いに参加し、ビールでの「おとーり」という恐るべきイベントに付き合わされたりしました。


 その後理由は分かりませんが、休業で電話も繋がらない時期があり、復活したという話を聞いたので、また泊まりに行こうかと思っていた矢先、コロナ時代に突入。結局そのままになってしまいました。


 今、ネットでググってみても、口コミを含め情報はコロナ前のものばかり。Googleマップによれば、建物はまだあるようなのですが。



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