2018年5月27日日曜日

記事500本記念 【提案】宮古・八重山の将来に向けて


 いきなりエラそうなタイトルですみません。

 ブログを始めてから、これで500本目の記事となりました。
 その記念に、というわけではないのですが、思いの丈をぶつけます。



 宮古諸島、八重山諸島、その他沖縄離島は、とてもとても魅力的な所です。ですが、どんどん変わっています。
 便利になったことも多いです。
 しかし、ほとんど人が居なかった場所に観光客が殺到していたり、何もなかった場所で商売をやっていたり、小さな駐車場が大型バスで埋まっていたりと、不安要素を挙げていくと枚挙に暇がありません。

 このままのペースで進めば、10年後、15年後どうなってしまうのでしょうか。

 昔はよかったと嘆くだけではなく、何とかいい方向にならないか考えた結果、微力ながらある提案をさせてもらいます。


過去に学ばない開発業者

 宮古島で、石垣島で、周辺離島でホテルの建設ラッシュが続いています。

 かつて、リゾート法(総合保養地域整備法)という法律に基づいて、全国各地でリゾート開発が進められましたが、多くの所では見るも無惨な結果に終わりました。リゾート法は破綻したという見解を、日本弁護士連合会が発表したほどです。

 失敗の理由は、環境を破壊する、地域振興に繋がらない、ニーズに合っていない、画一的あるなどとされています。

 今、各島で建設中のホテルはこれに学んでいるのでしょうか。地域との対話はできているでしょうか。どの場所に、どのクラスのホテルが何室必要か、ニーズは的確に把握されているのでしょうか。他のホテルとの差別化は図られているのでしょうか。


 ホテル経営は、ハードだけではなくソフト面も重要です。一流ホテルには、料理人も含めて一流のスタッフが必要です。
 日本中が人手不足の中、どうやってスタッフを確保し育成していくのか、ビジョンはできているのでしょうか。

 沖縄は、観光地としては季節波動が大きく、沖縄のホテルは、年の半分しかフル稼働できません。オンシーズンの台風のリスクも小さいものではありません。
 そんな中でも優秀な人材を貼り付けておくには、経営体力も必要です。

 立派な箱を作っても、中味がなければ、ただの宿舎です。


 既に、石垣島の某リゾートホテルでは、フロントに、時給いくらのアルバイトを置いています。宮古島の某リゾートホテルでは、フロントに「21時以降不在」と堂々と書いてありました。これって、旅館業法的に大丈夫?
 どちらも、某旅行会社の「当社基準Aクラスホテル」ですよ。

 八重山の某離島に、場違いな立派なホテルが建ちました。ただ、ここは、議員の口利きで必要な法定手続を怠っているとの噂が絶えず、開業後すぐに閉鎖されました。
 後に再開するのですが、部屋はとてもゴージャスで、一流のリゾートホテルと遜色ない造りでありながら、一歩部屋を出ると研修施設並みに何もなく、一旦ホテルを出て、近くの共同売店まで行かなければ、ビール1本買えないという有様です。


 業者は自己の利益のみを考えます。それは当然のことですが、その結果、場当たり的な開発が繰り返されます。そこに行政の出番があるのではないでしょうか。 



よそ者の無責任な批判

 よほどのことがない限り、ビーチサイドに新しいホテルなど造ってほしくはありませんよね。それは自分も同じです。
 しかし、それが違法ではなく、また、自分の権利を侵害しないものならば、それを阻止することは、残念ながらできません。

 にも拘わらず、ホテルなどの建設計画が発表されると、反対の声がネットに溢れます。中には、感情的な非難、無責任な誹謗中傷、無関係な事実の指摘などが含まれていることも多く、これらは大抵匿名で行われます。

 反対は、意見表明です。意見表明は誰でも自由にやって構いません。しかし、非難をするのであれば、根拠に基づいた正当なものでなければなりません。

 まして、許可を行った行政を非難するのは筋違いです。「法律による行政の原理」という大原則があります。行政にはできることとできないことがあります。


 例えば、開発行為(一定規模以上の土地の区画形質の変更)は、都市計画法の許可が必要ですが、この法律には、許可の条件が様々規定されていますが、それらを全部満たせば許可しなければならないという規定があるのです。

 この場合、行政にできることは、法適合性のチェックだけで、ホテル建設の是非を審査する権限はありません。


 何かを造る以上は、少なからず自然に賦課をかけます。まして、珊瑚の海に囲まれた小さな島ならなおさらです。しかし、それが法律の認める範囲内であれば、ストップはかけられません。

 それに耐えられないならば、選挙権の行使を通じて、法律を改正するしかないのです。

 景観が台無しになるなどという指摘もよく耳にします。しかし、それを主張できるのは、法律上の眺望権を有する地元の一部の人だけです。我々ができることは、お願いだけなのです。

 市町村が条例を作って規制をかけることも、法律の範囲内に限られます。

 民間事業者が行う開発行為は、行政が税金を使って施策を進めることとは訳が違います。

 批判をするならば、お互いにもっと勉強しましょう。やみくもに反対するだけでは、何の歯止めにもならず、誰のためにもなりません。



行政は何をすべきなのか

 しかし、行政ができることをすべてやり尽くしたとは、到底思えません。

 宮古・八重山の主産業といえば、誰もが真っ先に観光を挙げるでしょう。その柱は、言うまでもなくコーラルブルーの美しい海などの自然です。

 今までは、何もしなくても、あるいは、多少何かしちゃっても、懐深い自然はそれを受け入れてくれたかも知れません。
 しかし、この貴重な観光資源を未来永劫守り抜くには、いい加減アクションを起こさなければ手遅れになります。


 何もしていないとは言いません。しかし、今の行政の対応では、とても間に合わないと感じます。
 
 石垣島・宮古島では外国人を中心に、観光客が激増しています。それに伴い、車やバス、飲食店、土産物店が無秩序に増加しています。そして、ホテルの建設ラッシュと続くのです。

 新幹線が走った後を自転車で見回るような対応では、とでも間に合いません。
 今潤っても、気が付かないうちに大事な何かを取り崩していたら、いずれ崩落現象が起こります。


 自然環境の保全だけではありません。訪島観光客が安心して遊べる環境も必要です。

 宮古島では、ずっと以前から、海浜地を占有して商売をするという問題が生じています。何処かで問題になって、それが治まると、また別の場所で始まるといったことが繰り返されてきました。今でも、シーズン中は、前浜や砂山にパラソルやデッキチェアが「常設」されています。

 こうしたことは、他の離島と比べ、残念ながら宮古島が突出しています。
 海岸は国有地です。自由使用が原則です。占有には許可、一時使用には届出が必要です。

 その宮古島ですが、海岸管理が県から宮古島市に移管されます。市条例の制定も検討中とのことなので、是非共この機会に、違法営業を根絶し、誰もが安心して遊べる海を取り戻してください。


 
竹富島方式が手本になるのでは

 竹富島では、竹富島憲章を作って、伝統集落を守って来ました。
 不便であっても道路を舗装せず、海から砂を運んで毎朝掃いています。敷地が狭くても平屋です。屋根には昔ながらの赤瓦を葺いています。ぶつかると簡単に崩れてしまう石積みの塀です。花を沢山植えています。

 大勢の見ず知らずの他人=観光客が、細い路地まで押し寄せ、塀越しに写真を撮ります。プライバシーも厳しいところですが、島人はそれを受け入れています。

 このような、将来を見据えた計画と、日々の努力と苦労の結果、外周8㎞の小さな島に年間50万人もの観光客がやってくるのです。

 もし、竹富島が、舗装道路とよくあるコンクリート製の家ばかりだったら、誰が水牛車に乗って集落を巡りたいと思うでしょうか。

 これは、とても参考になると思います。
 守るべきもの、するべきことが明確で、確実に成果も現れているからです。
 他の島、市、町でもやってみてはどうでしょうか。



提案します

 美しい海を守り、観光産業を未来永劫支えて行くために、規制手段がなくても、行政サイドとしてできることがあると思います。
 それは、きちんとした方針を立てて、それに向けて様々な手段を講じて誘導していくことです。

 そのためにはまず、各島単位で、あるいは、市、町として、竹富島憲章に習い、基本構想を策定する必要があります。
 その際は、リゾート法の失敗に学ぶべきです。

 自然を保護すること
 特に、沖縄離島ではこれは必須条件です。

 地域経済に資すること
 地域振興に繋がらなければ、島人の協力は得られません。また、外部資本だけに頼ると、あちらさんの都合で撤退されたときに対応が難しくなります。

 ニーズを把握すること
 観光客は何を求めているのか、地域として受け入られるキャパはどれくらいなのか、全体を見据えたプラン作成は、まさに行政にしかできない役割です。
 
 他地域との差別化を図ること
 沖縄離島では、温泉・グルメといった王道の観光要素がありません。それを求める人はよそに行ってもらう位の覚悟で、南国パラダイス沖縄の、独自の魅力を発信すべきです。
  

 よくありそうな、「観光と農・漁業振興の調和のとれた持続的で発展的な島づくり」なんていう総花的なスローガンではダメです。これではクソの役にも立ちません。
 
 観光が主産業であることをきちんと認識し、その資源である海を徹底的に守り、成熟した現代の日本の社会に相応しい、上品で上質なおもてなしで訪島客を受け入れる。これは、高級な、という意味ではありません。また来たくなるような満足を提供するという意味です。

 島人であってもえげつない商売は排除し、観光業に従事しない人にも、環境保全に最低限の協力をしてもらわなければなりません。


 行政は、それに協力する事業者、団体、個人を積極的に支援するべきです。
 支援の具体的方法は、公表、広報、認定、表彰、便宜の供与などが考えられます。補助金の交付までできるともっといいでしょう。


 反対に、基本方針に反する個人や事業者には、法的規制をかけることが難しくても、広く啓発活動を行い、個別には、方針に沿うよう粘り強く行政指導を続けるのです。
 その根拠となる条例や指導要綱といったものを、議会で議決しておくべきです。

 ビーチに出るために私有地を通らなければならない場合、そこを有料とするのは自由ですが、適正価格というものがあります。わずか数十メートルを人が歩いて通過するだけで何百円は暴利です。
 あたかも、ビーチ全体の使用料のように見せかけて、しかも、それを「協力金」などと銘打って任意の寄付であるかのように誤解させるのは、えげつない商売であり、観光地の質を落としめます。

 ここは、行政が飛んで行って、粘り強く指導すべき場面です。
 なお、くどいようですが、海岸は国有地です。

 海にゴミを捨てることが恥ずかしくなるような、これはもちろん観光客も含めてですが、マナーの醸成も重要です。


 これらは、地味で、手間も時間もかかる方法ですが、長い目で見れば、島人にも観光客にも支持され得ると考えます。
 是非、市長に、町長に、公民館長に、その旗振り役を務めていただきたいと思います。


 沖縄は、かつては歴史に翻弄され、今も基地問題に揺さぶられています。
 しかし、恵まれている点もあります。
 基地対策のため、国から交付される補助金・交付金は他地域より潤沢です。少子高齢化が進む我が国で、合計特殊出生率全国一は沖縄県です。しかも、移住希望者も多い。

 今なら、ある程度の人的・物的資源の投入も可能だと思われます。国の財政が破綻する前に、超高齢化が進行する前に、将来のために必要な手を打っておくべきではないでしょうか。



お調子者のブロガーのひとりごと

 普段は、筆致の軽いテキトーな文章を書いておきながら、時々真面目ぶって正論を吐いても説得力はないかも知れません。

 でも今回は、分をわきまえず、一方的に言いたいことを書かせてもらいました。

 ブログを始めて、これが500本目の記事です。手前味噌ですが、これだけ続いた記念に、読んでくれた人に役に立つ情報でないのですが、敢えて言いたいことを書きました。

 失礼の段、お許しください。

 次回から、また普通の記事に戻ります。



 もし、
 かつてシュノーケリングをした珊瑚の海が、ただの岩だらけの海になっていたら、
 かつて美しかったビーチに行こうとしたら、リゾートホテルの脇の道を遠慮がちに歩かないと行けない場所になっていたら、
 かつて誰も居なかった海岸に駐車場ができていて、そこで客引きに合ったら、

 それでも。宮古・八重山に通い続けますか?
 沖縄はもういいかな、と思いますか?
 それとも、さらに奥地の荒らされていない島を目指しますか?

 


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