2025年4月5日土曜日

ホテルだけ増えて2食付きの個人宿は絶滅の危機

 

 ちょっと残念な話を聞きました。

 竹富島でかなり以前からやっていた老舗の民宿が、今後は夕食の提供をしないことになったそうです。


 以前は、和風旅館はもちろん、ペンション、民宿といった個人宿・小規模宿でも朝・夕2食付きというスタイルがほとんどでした。

 それが、今では食事を出す小規模宿がどんどん減っているのです。




 沖縄の多くの民宿では、お客さんが一堂に会して夕食をとりつつ、やがて酒が入って、オーナーも参戦してそのまま宴席に突入するといった、いわゆる「ゆんたく」が当たり前のように行われていました

 それを楽しみにしている客も少なくなく、もちろん、自分もその一人です。

 ゆんたくとは、島言葉でおしゃべりといった意味ですが、沖縄旅行者の言うゆんたくとは、民宿の夕食時の宴会です。


 ゆんたくの楽しさを知ったのは、石垣島にあったペンションぱいらんどでした。
 初めて泊まったのは、もう四半世紀も前になりますが、そこで多くの沖縄好きと出会い、知り合いになりました。

  
 こういう雰囲気が嫌いな人も当然いたと思います。もちろん強制参加ではありませんが、知る限りは、酒を飲まない人も含めてほとんどのお客さんがゆんたくに参加していました。

 皆が集まって楽しそうに盛り上がっていれば、何となく自分も加わりたくなります。沖縄が好きという共通の趣味もありますから。

 ペンションですから宿代は安いですが、そこにはプライスレスお楽しみがありました。




 しかし、10年くらい前から、民宿、ペンションなどでも夕食を出さない所が徐々に増えてきたのです。
 

 その理由の一つは、外国人旅行者の増加です。文化の違いだろうと思いますが、彼らは、夜は外食を好みます。

 慶良間諸島の座間味島では、古座間味ビーチがミシュランに載ったことで、ある時期から外国人がドッと押し寄せるようになりました。

 元々大きなホテルなどなかった座間味島ですが、そのことがきっかけで、夕食付きの宿が一気に減少してしまいました。


 もう一つの理由は、最近良く耳にする聞く高齢化と人手不足です。

 民宿でも、部屋数が5~6室を超えてくると家族だけで経営するのは困難で、少なくとも繁忙期にはヘルパーさんが必要ですが、それがなかなか集まらない。

 そのうち、おじぃ、おばぁが病気になったなどという理由で、宿としてはコスパの悪い食事提供をカットせざるを得なくなってゆくのです。


 夕食を各自が別々に食べに行くことになると、ゆんたくはなかなか成立しません。


 ゆんたくの問題だけではありません。

 外食だと、好きな時間に好きなものが食べられるというメリットもあります。

 しかし、日中遊んだ後で、わざわざ外出して夕食を食べに行かなければならないのは億劫な時もあります。

 最近は、食堂や居酒屋も混んでいることが多く、すんなり入れるとは限りません。

 宿の近くにいい店があるとは限らず、総じてコスパも悪くなります。場所によっては駐車場の心配もしなければないません。





 宮古島にも石垣島にも、リゾートホテルが次々とオープンしていますが、それに反比例するかのように、朝・夕2食付きの個人宿が減っています。
 

 金さえ出せばゴージャスなホテルに泊まって、これまたゴージャスなホテルのレストランで、一流のシェフの腕によるディナーに舌鼓を打つことができます。

 でも金がない、いや金があったとしても、それで満足な人だけではないと思うのです。


 実は、そのことに凄い危機感のようなものを感じています。大袈裟な言い方をすると、海の環境悪化で珊瑚が減って行くのと同じくらいの衝撃なのです。

 何か対策は打てないものでしょうか。





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2025年3月31日月曜日

宮古・八重山の最近のニュース・話題など




宮古島アンバサダー!?

 宮古島観光協会では、今年の宮古島観光アンバサダーを募集してます。何じゃそりゃ?

 実は、「ミス宮古島」を今年から改称したんだそうです。

 ミス宮古島は、復帰直後から毎年選ばれていて、それなりに伝統があります。

 近年は社会の空気におもねって、応募資格から「独身」を外していましたが、名称の「ミス」はそのままでした。

 しかし、遂に今年から「ミス」も止めて「アンバサダー」とし、男性の応募も可としたものです。

 これまでは、3名のミス宮古島がそれぞれ、ミスサンゴ・ミスティダ・ミスブーゲンビレアを名乗ったのですが、アンバサダー化に伴い、ミスが取れてただのサンゴ・ティダ・ブーゲンビレアになるそうです。

 「サンゴの比嘉さん、ティダの下地さん」とか紹介されても、多分何のことだか分かりませんよね。笑

 ちなみに、アンバサダー(Ambassador)とは、大使、使節、代表といった意味です。



本当にあっちゅう間!

 下地島空港が民間空港として開業してから、3月30日でもう6年だって。ホンと早いよなぁ~




もう海開き

 石垣市、竹富町、与那国町では、近年持ち回りで海開きを開催していますが、今年は竹富町の当番で、西表島の月ヶ浜で3月15日に八重山の海開きが行われました。

 しかし、当日は生憎の荒天で、神職のお祓いを除き公民館で行われたそうですが、これで、本当に海は開けちゃったのでしょうか。


 海開きとは一般には、海水浴場営業開始日のイベントですが、月ヶ浜は海水浴場として届けられてはおらず、泳いでいる人は夏でも滅多にいません。


 以前は、石垣島の底地浜で毎年春分の日頃に、日本一早い海開きと銘打って行っていましたが、本島の某ビーチが裏切ってそれより早い日に海開きをして以来、仁義なき海開き競争が行われています。

 宮古島では、3月21日にシギラで海開きが行われました。




竹富町の訪問税に黄信号か

 竹富島や西表島など、竹富町の各島に行く人から1回千円を徴収しようとする、竹富町の訪問税条例案ですが、安栄観光、八重山観光フェリーが、徴収事務を拒否すると表明したため、暗礁に乗り上げそうです。

 千円の税金は、乗船券を売る際に一緒に徴収してもらおうという案でした。

 チケット購入と同時に税金も上乗せされ、あとで船会社側がまとめて町に支払う仕組みで、町は楽勝で徴税ができるはずだったのですが、そうは問屋が卸さなかったという訳です。


 町は新たな徴収方法を検討するそうで、常識的に考えれば、各島の桟橋に関所を設けて一人一人税金を集めるしかなさそうです。
 報道によれば町は、税金を払うアプリを開発するそうですが、まあお手並み拝見。

 いずれにせよ、当初は早ければ2024年度中の実施を見込んでいた訪問税ですが、仮に実施されるとしても相当遅れることになります。


 訪問税について、一般の観光客にアンケートをとったところ、「島の自然や文化を守るためなら訪問税もやむを得ない」という肯定的な意見が少なからずあったそうです。

 しかしながら、訪問税は、島の自然や文化の保全に特化した使い道に限らず、町が自由に使える財源となる普通税とされています。

 観光客の善意に対して、町は胸を張って訪問税を徴収することができるのでしょうか。



与那国町でアパートが足りない

 アパートを探そうとするとき、普通は不動産屋に行くか、サイトを見て調べるわけですが、八重山ではそれが通用するのは石垣島まで。

 その他の島では、島の人の伝を頼って物件を探すのだとか。


 与那国島も例外ではありません。近年、僅かながらも移住希望者がありながら、民間の賃貸物件がほとんどなく、頼みの綱は町営住宅しかありません。

 しかし、その町営住宅も92戸のうち81戸は入居済み、残る11戸のうち2戸は既に入居手続き中、7戸がで修繕予定、2戸が老朽化のため解体予定なんだそうです。

 
 人口1700人弱の絶海の孤島では、住宅建設は簡単ではありません。でも、長らく営業中止しているあのホテルは活用できないのでしょうか。




宮古島市庁舎の後には

 旧平良市時代から使われていた役所の庁舎は、4年前に新庁舎に移転してから空家になっていましたが、利活用の方針が決まったそうです。
 
 埼玉県に本社がある不動産屋のプランが採用されたらしく、それによると、

1階 マーケット、店舗、ステージ
2階 飲食店、屋台飲食店、シェアキッチン
3~5階 オフィス、シェアオフィス
6~7階 浴場、ルーフトップバー

となるそうです。

 この中で気になるのは浴場ですが、築30年以上の建物の上層階に、大規模な水回り施設を今さら造って大丈夫なのでしょうか。
 


(1999年:マップルマガジン)



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2025年3月26日水曜日

宮古島トゥリバーの運河を眺めながら思うこと

 


 これは宮古島の海です。

 といっても、全然それらしくないのですが、宮古島の西側に広がる埋立地トゥリバーと宮古島の間にある水路?運河?なのです。




 石垣島の南ぬ浜も同じですが、埋立は何故か陸続きには行われず、陸から少しだけ離れた場所で行われます。
 何か技術的な理由があるのかも知れません。

 トゥリバーの場合、このような幅10mくらいの水路が囲うような形になっています。

 


 ここは間違いなく海ですが、入り組んだ形のため波立つこともなく、風すらもない日は、水面に雲を映す池のようです。




 ノッチが残っています。ノッチとは、珊瑚由来の柔らかな琉球石灰岩岩が侵食によってあたかもキノコのように削られたもの。

 ノッチがあるということは、海である証拠です。




 どこぞの清流かと思うほど穏やかで清らかですが、水の色は、コーラルブルーに近い色をしています。
 ここも宮古の海だと自己主張しているような。




 人工的な埋立地ですが、自然に溢れているかのようにも見えます。周りは何といっても宮古の海だし、広大な平坦地だし。

 埋立自体どうだったのかという問題は措くとして、現実に高いポテンシャルを秘めた広い土地があったのです。

 トゥリバーとは、のんびりしたといった意味の島言葉です。




 そして、トゥリバーの現在地と言える光景がこちら。ヒルトン宮古島リゾートです。300室を超える大規模ホテルですが、さらに続けて、同規模のホテルも建設中です。




 埋立地トゥリバーについて市は、「宮古島コースタルリゾートヒララ」と呼んでいます。ここをよく知っている人は、思わず吹き出しそうになるかも。

 市による「宮古島コースタルリゾートヒララ」の開発コンセプトは次のとおりです。


 生活環境
 ストレス社会からの脱却・高齢化社会の到来による自由時間の増大・人々の健康・美容・自然志向・心の豊かさやゆとりの追求

 立地特性
 一年を通じて温暖な気候・美しい海、珊瑚礁など魅力的な自然景観・マリンスポーツのメッカ・日本一の長寿社会


 これだけ見ても、ツッコミどころ満載なコンセプトです。
 温暖とは暖かいという意味ですが、夏の宮古島は「暖かい」で済みますか。
 沖縄が日本一の長寿県だったのは50年くらい前の話。今沖縄県民の平均寿命は、女性が全国16位、男性に至っては下から5番目の43位ですよ。
 


 コンセプトに沿って開発したというより、開発がしたくて無理矢理それっぽい言葉を並べたとしか思えないのですが、それは、捻くれた見方でしょうか。


(宮古島市HP)



 なんかもったいないと思いませんか。

 美しい海に囲まれた、高いポテンシャルを持つ土地なのに、ホテルとマリーナ建設という何処にでもあるような開発をしちゃって。

 埋立自体は、旧平良市が本家バブルの頃に始めたものです。莫大な資金が投入されたにも拘わらず企画倒れに終わり、その後、宮古島バブルのおかげで、何とか後始末の目処がついたとも評価できそうです。

 でも、あれから40年。当初の予定どおりホテルを誘致し、マリーナを建設する以外にもう少し考えはなかったのでしょうか。


 トゥリバーについて思うことはまだまだあるのですが、いずれまた。





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