2023年10月7日土曜日

沖縄だけじゃないけれど 人手不足がヤバすぎる

  


 居酒屋が夜には閉まったり、満席でもないのに入店を断られたり。
 バスが減便されたり、船が減便されたり、ホテルで朝食の提供がお休みだったり。

 理由は、全て人手不足です。

 宮古島に今年オープンした巨大リゾートホテルのヒルトンも、開業の遅れは工事の遅れではなく、従業員が集まらなかったからだと、噂されているほどです。


 沖縄に限らず、今、全国的に人手不足が問題となっていますが、何故突然こんなことになっちゃったのでしょうか。




 人手不足については、「元々その傾向があったところ、コロナの5類移行で一気に表面化した。」と説明されます。

 分かるようでよく分からない説明ですが、要するに、日本は少子高齢化が進んで、労働力人口が減っているのです。


 2022年10月1日時点の総務省の人口推計によると、22歳の人口が1,264,000人、60歳の人口が1,512,000人となっています。

 もの凄く単純化して、22歳で就職し60歳で退職すると仮定すると、毎年25万人ずつ労働者が減っていく計算になります。


 そんな中、コロナで、飲食業や運輸・サービス業などが大打撃を受け、その際多くの企業が労働者を解雇したり、契約を打ち切ったことはご存じのとおりですが、今になって「人出が戻ったからまた雇うよ」と言っても、そう都合良くは行かない、ということです。


 さらに、沖縄には特有の事情もあるようです。





 沖縄の観光業は、夏は多忙ですが、冬はヒマです。
 そんな波動需要を乗り切るため、沖縄の事業者は、夏季限定の短期労働者を大量に雇用してきました。


 沖縄は賃金は安いのですが、島自体の魅力から、自由時間に遊べるならば、泳げるならばと、都会から多くの人がリゾートバイトにやって来ました。

 1か月働いたら1か月沖縄で遊ぶ、といった働き方をする人もいました。

 彼ら彼女らは、労働者ですが、観光客でもあります。


 しかし、コロナ期間中の、少なくとも2020年と2021年夏は、沖縄県も石垣市・宮古島市なども、観光客来るなというスタンスを貫きました。

 夏にだけリゾートバイトに来られるのは、定職に就いていない若いフリーターや学生が主です。若い人は、3年も経てば、卒業、就職、結婚などで生活環境が大きく変わります。

 内地でも人手不足は同じですから、好待遇で定職に就いた人も多いでしょう。

 3年振り・4年振りに「また来て」と言われても、「今更無理」という人も少なくないでしょう。先輩から後輩にバトンタッチといっても、ブランクがあるとそれもなかなか上手くいきません。

 ひとたびシステムを切断すると、回復は容易ではないのです。


 加えて、コロナ期間中も、沖縄ではホテルや飲食店などがビシバシ開業し、従業員を募集しました。
 つまり、需要が増えて供給が減ったのですから、人手不足は当たり前ということになります。


 でもそれは、アルバイトを使っている飲食店やマリンショップの話だろ、と思われるかも知れませんが、そうでもないのです。

 アルバイトが見つからない店主は、パートや非正規で働いている島の知り合いに、「ちょっとこっちを手伝って」と泣きつきます。

 そうなると、スーパーのレジ打ちとか、介護施設の送迎とか、観光とは全く関係ないところにも影響が広がるのです。




 先日、沖縄県は、バス運転手の不足のため、修学旅行生を一部受け入れられないおそれがあるとして、他県から運転手を確保できるよう、バス会社に4千万円の補助をするというニュースが報じられました。

 修学旅行生は、ハイシーズンを外したニッチな期間に、団体で来てくれる上得意さんです。もし、修学旅行がなくなれば、ホテルや観光施設への影響は大きいはず。

 だからといって、運転手不足が全国で問題となっている中、税金をつぎ込んで他県から引っこ抜くという沖縄県のやり方は、アンフェアに感じますが、見方を変えれば、そこまでしなければならないほど追い詰められているとも言えるでしょう。


 
 やりがい搾取という言葉があります。

 やりがい搾取とは、労働者が仕事に充実感や手応えを感じていることをいいことに、雇用主が、不当な長時間労働や低賃金での業務を強いて、利益を搾取する行為です。



 沖縄の事業者がやりがい搾取をしていたとは言いませんが、実態として、それと同じことになっていたのではないでしょうか。

 一年のうちの一時期しか仕事がないという、冷静に考えればとても厳しい就業環境でも人が集まって来た。

 その状況にあぐらをかいて、労働条件の改善がおろそかになり、少子高齢化による人手不足にも備えなかったから、今になって、あたふたしているとは言えませんか。
 



 以前から、当ブログに散々書いてきましたが、沖縄の観光関係者には、行政も、観光協会も、観光客は黙っていてもやって来るという意識があるのだと思います。

 コロナの最中、観光客には来島するなと声高に叫びながらも、在島の建設労働者には一旦引き上げてくれとは言いませんでした。
 
 その建設労働者が、行政指導に従わず営業している夜の店でドンチャンやって、コロナの感染を拡大させていたことも、報道によれば、少なくとも宮古島市は把握していたにも拘わらずです。

 Z世代の若者が、車の運転免許を持っていない、観光地で車を運転したくないということは、超車社会の沖縄にとっては大きな不安材料のはずなのに、ピントのずれたコメントや、ゆるい対応しか見られません。


 そういう認識の下に、受け皿を増やせば、観光客はいくらでもやって来るとばかりに、空港を拡張し、港湾施設を拡張し、ホテルも増やし・・・

 イケイケドンドンで突っ走っていたら、コロナをきっかけに思わぬ所で足をすくわれた、それが、観光地沖縄の今の姿だと思うのですが、これをお読みいただいた皆さんはどうお考えでしょうか。




 時代は変わります。運転手不足といっても、自動運転が普及すれば一気に解消します。それは、早ければ2030年代初頭だと言われています。


 しかし、取り敢えず、今の人手不足を何とかしなければなりません。冒頭の写真は、今年那覇空港の出発ロビー内にあったものです。

 これは、コロナ前にやっておくべきことで、今となっては、もっと熱く訴えなければ人は集まりません。


 人手不足は日本中の問題です。何処も困っています。生半可な対応では競争に勝つことはできません。
 労働条件を引き上げることはもちろんですが、競争に勝つためには、沖縄にしかない魅力にスポットを当てて、もっともっと強力にアピールしなければなりません。



 「夏の沖縄でリゾートバイト。4日働くと5日目には、コーラルブルーの海と咲き乱れるブーゲンビリアがあなたへのスペシャルボーナス。」

 「給料と、住まいと、三食と、木陰で風に吹かれながらの昼寝付き。」

 「青空に映える白い雲と原色の花々、日本中何処を探しても見られないここだけの輝く海、赤瓦の屋根の上から見下すシーサーとゆったりと流れる時間、こんな楽園のような島で、わたし達と一緒に働いてみませんか。」
 
 



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2023年10月2日月曜日

アクセスし易い秘境 西表島星立海岸2023

 


 秘境は、山奥とは限りません。

 秘境とは、「様子が世に知れていないため神秘的な感じのする所」という意味だそうですが、そういう意味では、秘境の資格?があると思われる、西表島星立(干立)海岸です。

 星立海岸は、今年の夏も、相変わらず秘境のままでした。




 星立の集落は、お隣の祖内集落と共に、西表島でも歴史のある地区で、毎年旧暦10月前後の「己亥」の日に行われる 節(しち)祭は、国の重要無形文化財です。




 歴史とは関係なく、ヤギが不思議な姿勢で昼寝していました。




 さて、星立のビーチに戻ります。

 湾状になっているためか、とても穏やかな海です。沖に向かって泳いでいってもなんの問題もなさそうですが、何しろ人がいないので、ちょっと不安になります。

 泳いでいる人がいないだけでなく、浜辺を歩いている人、砂浜で海を眺めている人にも出会いません。
 



 西表島の海特有の事象ですが、マングローブの葉っぱや、花芯?花弁?といったものが波打ち際に打ち上げられています。

 砂の色も、他の沖縄のビーチに比べると、若干茶色がかっています。これは、浦内川から運ばれた陸砂が堆積しているためです。


 島の大部分がジャングルである西表島は、色々な意味で異彩を放っています。




 西表島に渡る観光客の大半は、ダイビングだの、カヌーだの、トレッキングだの、何らかのアクティビティーをすることが主目的です。

 「写真を撮りにきた」と言うだけで「珍しいですね」と言われるこの島では、無名のビーチでのんびり泳いだり遊んだり、という人は皆無なのかも知れません。

 よく考えたら、もの凄く贅沢なことですよね。




 アクセスは、本当に簡単です。

 メインの県道から、100メートルほど集落の中を通って行くだけ。平坦な道なので自転車でもOKです。

 集落内には、ホテル1軒と、あと、分類困難な宿泊施設が2棟ありますが、それでも、ビーチに人は誰もいません。




 西表島で入島制限を計画していることは、2回前の記事でお伝えしましたが、ここにいると、入島制限がなんで必要なのか分からなくなります。



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2023年9月27日水曜日

美し過ぎる漁港 宮古島保良漁港とアジサシ軍団

 


 宮古島の東平安名崎(ひがしへんなざき)。宮古島を代表するする景観地の一つで、個人、団体を問わず大勢の観光客がやって来ます。

 その足下にある、保良(ぼら)漁港。ここまで足を伸ばす人は少数派ですが、港にしておくのがもったいないほど、海が綺麗です。 




 防波堤に囲まれ、波も穏やか。でも、漁港内ですから泳ぐわけにはいきません。




 その保良漁港の堤防から眺めた、お隣のビーチ。そもそも、こんな感じの海岸に漁港を造ったから、港の海も美しいのだと思います。

 最近は、この保良横ビーチ?にも、チラホラ人が遊びに来るようになりました。





 ・・・と、ここまでは以前にも当ブログで紹介したことがあります。しかし、いくら海が綺麗でも、天気が悪くてはどうしようもありません。


 分厚い雲に覆われた日、それでもめげずに行ってみると、観光客は誰もいませんでしたが、代わりに鳥の集団が水遊びをしていました。



 アジサシの群れです。望遠レンズを構えながら、そぉっと少しづつ、少しづつ近寄って行きます。

 ここまで接近できました おお凄い。しかも、こうして見ると結構カワイイですね。



 沖縄のアジサシにも種類があるようですが、これはクロハラアジサシだと思います。

 卵を産む営巣地は、周辺の岩のようですが、人がいないと、浜辺に水浴びにやって来るのかも知れません。



 この保良漁港周辺は、アジサシの繁殖地として有名です。むやみに営巣地に近寄らないようにと、呼びかける看板もありました。

 これは、8年ほど前に同じ場所で撮った写真。でも、頭が黒くないから別の種類でしょうか。




 こんな綺麗な海でありながら、名勝東平安名崎のすぐそばにありながら、何故か人があまり行かない保良漁港。
 
 「漁港」だからわざわざ行かないのでしょうね。

 しかし、美しい海がてんこ盛りに宮古島にあって、決して引けを取らない美しさです。



 車でそのまま行くこともできるし、駐車場もある、アクセスのよい穴場です。しかも、アジサシのお出迎えがあるかも知れません。 

 東平安名崎まで行ったなら、是非共見てもらいたい光景です。
 




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