もしソーキそばが1杯2500円だったら。もしパイナップルが1個1500円だったら。石垣牛の焼き肉コースが1万5千円だったら・・・
北海道のニセコ。
かつては、パウダースノーのスキーリゾートとして憧れの地でしたが、いち早くインバウンドの波が押し寄せ、それが加熱し、もはや日本ではないとすら言われています。
英語と中国語の看板ばかりが目立ち、日本人の観光客は僅かだそうです。
ニセコ駅・倶知安駅を通るJR函館本線(通称山線)は、1両編成の列車が1日僅か5往復するだけの廃止確定路線ですが、現在の乗客の大半は外国人です。
駅でボードを持って客を出迎えるのも外国人ばかり。
共通1日リフト券は1万円を超え、カツ丼が3000円とか味噌ラーメンが2000円などは当たりまえ。
北海道の地元系コンビニのセイコーマートには、1パック2000円のイチゴや、1万円の値札が付いた「山崎」「白州」といった国産ウイスキーが並んでいます。
これまた英語表記の売り別荘の看板を見ると、東京23区かと見まがうような売値が。
オーバーツーリズムは、観光公害と訳されたりしますが、自然破壊や文化破壊に止まらず、地元民の日常生活をも脅かします。
バスに観光客が溢れ、生活のため利用する地元民が乗れないというのは京都市などで有名な話です。
外国人がアプリでタクシーを次々と予約していくので、高齢者がタクシーで病院に行きたくても、電話すら取ってもらえないということも。
人手不足にも拍車がかかります。
外国人相手の事業者が、高時給で従業員を募集するので、介護・福祉施設は言うに及ばず、地元民が利用する普通の店が人出が足りずに潰れていきます。
観光地に隣接した土地の値段が上がります。売り抜けた人は金を手にできますが、普通に住んでいる人はただ固定資産税が上がるだけ。
所有者が亡くなり相続が発生すると、相続税が高いため、遺族は納税のためにその土地を手放さざるを得ないことも。
そもそも、何故外国人観光客が増えたのでしょうか。
理由の一つは、日本の魅力が海外に知れ渡ったことです。これに貢献したのは、なんといってもネット情報です。
加えて歴史的な円安もあります。
東日本大震災のあった日の週明け、日本が当面海外から大量の物資を輸入するだろうという思惑から円が買われ、1ドル80円を大きく割り込む場面がありました。
あの頃から比べれば、ドル保有者は最大50%オフで日本旅行ができるのです。
さらに拍車をかけたのが、国を挙げてのインバウンド政策です。
電車やバスで外国語の放送や案内があるのはもはや日常ですが、元々は国土交通省の施策で、事業者に強い行政指導と補助金の交付が行われました。
観光ビザの免除や要件緩和にも積極的です。
何故、国は予算を投じてまでインバウンドを呼び込もうとするのか。その理由は、あけすけに言えば、外国人に日本で金を使って欲しいからです。
インバウンドにはメリットも多くありますが、一方で強い副作用をもたらします。処方箋に従って適切に服用するべきところですが、今の日本はインバウンドのオーバードーズ(過剰服用)ではないでしょうか。
建設ラッシュが続き、バブルと言われる宮古島では、土地が高騰しています。
3月27日配信の宮古毎日新聞によれば、2024年の地価公示価格(1月1日時点)は、宮古島市では前年に比べた伸び率が、商業地12.4%、住宅地は12.3%で、いずれも県内トップだったそうです。
たった1年で土地の価格が12%も上がるなんて、これはもう正真正銘のバブルです。
同記事によれば、「平良地区の中心市街地の地価は大幅な上昇傾向」、「商業地の中心市街地では、賃料が急激に上昇しており、資金力がある県外の業者が高値の取り引きが出ている」、「宮古島全体で、県外・外国資本によるホテル開発が目白押しだ」とのこと。
ニセコにしろ、白馬にしろ、陸続きであればまだ、多少不便でも隣町に買い物に行くなど逃げ道も考えられます。
しかし、離島である石垣島や宮古島がオーバーツーリズムに陥ったら、逃げ道がありません。
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