先日石垣島に行きました。
そして、前回記事でも紹介した、石垣牛ランチの5千円、1万円などという看板を見るにつけ、沖縄離島でも「ニセコ化」が進行しているのではないかと心配になったのです。
そもそも、オーバーツーリズムは何故発生するのでしょうか。
まず、インバウンドを主力とする観光客の急増です。観光地の受け入れ能力の限界を超えた観光客が押し寄せるのです。
そうすると、インフラや規制の不備も顕在化します。
急激な観光客増加に対応できる交通網が整っていなかったり、それまでは規制をかけずとも保たれていた秩序が崩壊します。
さらに、経済依存がこれに拍車をかけます。観光収入を重視するあまり、弊害を顧みず観光客を次から次に受け入れようとするのです。
結果として、自然、文化、生活環境が破壊される、これがオーバーツーリズムです。
それが分かっているのに、何故阻止できないのでしょうか。それは、インバウンドの増加で潤う人達がいるからです。
それどころか、国もほとんどの自治体も、インバウンドは大歓迎。オーバーツーリズムになっちゃ困るけど、対症療法くらいしかできませんという立場です。
端的に言えば、外国人には日本で沢山金を使って欲しい、自然や文化や生活環境が破壊されないよう、一応ピンポイントでの対策は考えましょう、ということなのです。
しかし、思うとおりに事が運ばないのは、他の観光地の例を見ても明らかです。
観光客にたっぷり金を落としてもらいつつ、自然も文化も生活も守る。それはガラス細工を造るが如く、高度な技術を要する精緻な作業です。
バブルと言われる宮古島市。コロナ直前の2019年、RBCニュースが次のように報じていました。
「一見、経済は潤っているように見えますが、市民に実感はありません」「家賃や物価の高騰でも給与は上がっておらず」「住民が置いてきぼりの現状に頭を抱えています」
それに対しては、
「観光業はトータル産業。自分に直に関係あるないよりも、回り回って自分のところにくる」と宮古島市副市長。
あれから6年。回り回って宮古島市民は皆豊かになったでしょうか。沖縄で一番土地が値上がりし、家賃も上がったのではなかったですか。
オーバーツーリズムに賛成という人はいないと思いますが、インバウンド需要で儲かるならば、先のことは気にしない、構わないという発想の人はいるでしょう。
果たしてそれでいいのか。島に住んでいる人は、選挙権を行使することで、意思表示をすることが可能です。
特に若い人は、ニセコや京都が今どのような状況になっているのかをよく見て、自分達の島の将来を真剣に考えていただきたいと思います。
では、選挙権のない我々島外の人間は、声を上げることはできないでしょうか。必ずしもそうではないと思います。
これには、内閣府の離島活性化推進事業として、事業費7600万円のうちの8割に国費が投入されています(八重山日報)。
約6千万円もの金を使ったおかげで石垣島が活性化したか否か、一納税者として監視し声を上げる権利はあると思います。
国費を使ったほかの事業が、宮古・八重山のオーバーツーリズムに繋がらないかについても、同様です。
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