2023年3月30日木曜日

いろいろあったけど 下地島空港民営化4周年

  


 早いもので、下地島空港が民営化されてから、3月30日で4周年を迎えます。

 
 当ブログを始めてから既に10年。何だかあっという間だったような気がするのですが、こと、下地島空港に関しては、長くブログを続けて来たんだなぁ~と感じるのです。


 この10年は、下地島空港にとっても激動の期間であり、当ブログでもそれで一喜一憂していました。
 今、当然のように定期便が飛んでいる空港を眺めていると、何だか不思議な感じがします。

 


 上の写真は、冒頭の写真と共に、2012年夏に撮ったものです。ちょうどブログを始めた頃です。

 今ではあまり見かけない全日空機ですが、当時は、ここで訓練飛行を行っていました。まだ、伊良部大橋は開通していない時代です。



 下地島空港は、1979年(昭和54年)に訓練飛行場として開港し、以来、沖縄県が管理していました。

 パイロットの訓練のため、一旦滑走路に着陸しそのまま再び加速して離陸する、迫力のタッチ&ゴーを間近で見ることができ、しかも、背景には美しい海が控えるというベストビュー。

 伊良部大橋がなかったので、熱心なファンは、フェリーにレンタカーを積んでやって来たものです。


 しかし、日本航空が経営難に陥ったことから、下地島空港も風向きが変わります。

 当時、空港の維持費用は、訓練飛行で利用する日航と全日空が折半する形で負担していましたが、日航が撤退し、単独では維持費を負担するのは困難だとして、2014年には全日空も撤退します。

 その後は、時たまRACと海上保安庁の小型プロペラ機が、細々と訓練飛行を行うだけという寂しい状況に陥り、下地島空港はまさに宝の持ち腐れに。


 もうこのまま廃港になるのではないかという噂も流れ始め、一方、普天間基地の代替施設として米軍に提供すべしという政治的主張もあり、どうにも落ち着かない時期でした。




 空港管理者である沖縄県は、全日空撤退後、庁内に作業班を設置し、新たな利活用策の公募を始めました。

 その後、2016年になって、民間空港としての再生、パイロット養成事業、ドローン操縦者の養成など4事業を選定したと発表したのです。


 さらに、2017年、ターミナル施設の新設等による旅客化と訓練飛行の本採用が決定。採択された事業者により工事が始まりました。

 当初は、2018年秋の開港予定でしたが、半年ほど遅れて、翌2019年3月30日午前10時過ぎに、ジェットスターの一番機が機が着陸したのです。




 その後、スカイマークが本格的に進出し、特に羽田からの直行便が飛ぶことになってから、下地島空港の名は、沖縄好きや航空機マニアだけではなく、一般の観光客にも浸透していきました。

 また、国際線として、LCCの香港エクスプレスも定期便が設定されました。


 宮古空港にはなかった、航空便と連動したリムジンバス・路線バスも運行されるなど、宮古島のサブ空港として本格稼働を始めます。


 実質初年度の2019年度は126,159人の利用がありましたが、2020年度はコロナで転けて、その後、2021年度は221,504人まで伸ばし、昨年5月27日には、利用者数累計50万人を達成したのです。




 現在は、ジェットスターが2往復、スカイマークが5往復の運航されていますが、国際線は、香港エクスプレスがコロナで運休のまま、現時点で復活しておらず、スカイマーク頼みから脱却できていません。

 2025年度の年間利用者を、57万人とすることが目標でしたが、そのためには、今の倍くらいの便数が必要でしょう。


 この間、宮古空港はどんどん運航本数を増やしました。
 300人くらい乗れる中型機も含め、1日25~30便が飛んでいて、水をあけられるばかり。
 
 全日空の羽田・宮古の直行便は、10年前は1便もなかったのですが、今年の夏は3便にまで増便され、JAL系と併せて、首都圏からの利便性が格段と向上しています。

 また、島人は近くて便利な宮古空港を利用するため、観光客の利用が多い下地島空港は、オフシーズンには苦戦することになってしまいます。





 今年の夏、コロナが明けて大量の観光客が宮古島に押し寄せた場合、不足するのは、ホテルの客室数でも、航空機の座席数でもなく、レンタカーとタクシーだと言われています。

 せっかく活気の戻った下地島空港ですが、宮古空港との競争も厳しく、この先どうなるのか、必ずしも明るい未来が約束されているわけではなさそうです。

 
 立地は最高なのですから、単なる飛行機の乗り場ではない、付加価値のある魅力的な空港施設にはできないものでしょうか。

 例えば、空港ロビー内に展望台があって、17ENDの海を背景に飛び立つ飛行機が見学できたら、そこにカフェでもあってゆったり過ごせたら、そのためだけにでも下地島空港を利用するような気がします。



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2023年3月25日土曜日

宮古島にある犬猫保護団体の光と影


 ♪ お魚くわえたドラ猫 追っかけて~

  ご存じサザエさんのオープニング主題歌です。ドラ猫とは、野良猫の中でも、人の家に上がり込んで食べ物を失敬するような、悪い猫という意味だそうです。


 最近ではめっきり少なくなった野良猫、野良犬ですが、その背景には、保健所の奮闘と、ボランティア団体の活躍があります。

 今回は、宮古島で犬・猫の保護活動を行うある団体にまつわる、もの凄く難しくて厄介な問題について取り上げます。

 


 動物愛護法(動物の愛護及び管理に関する法律)という法律があります。飼い主不在の犬・猫は、原則として保健所が引き取ります。

 保健所は、引き取った犬・猫を一時保護し、別の引き取り手を探します。保健所で引き取り手が見つからなかった犬・猫は、最期は殺処分されます。

 令和3年度(2021年度)は、全国で、犬2,739頭、猫11,718頭が殺処分されました。
 これでも、かなり減った方で、平成28年度(2016年度)以前は、その数が、合わせて5万頭を、平成21年度(2009年度)は、20万頭を超えていました。


 コロナで保健所が忙殺されたことは周知のとおりですが、保健所は他にも重要な業務を担っており、犬・猫に割ける予算もマンパワーも限られています。


 保健所で引き取り手の見つからなかった犬・猫が殺処分されてしまわないよう、引き取って一時飼育し、新たな飼い主を見ける活動をしている人達がいます。

 こういった活動は日本全国で行われており、統計数字はハッキリしませんが、おかげで命を繋ぐことができたワンコやにゃんこの数は、相当な数に上ります。


 宮古島にある「宮古島 SAVE THE ANIMALS」もそんな活動を行う団体です。




 この団体は、2019年の設立ですが、輝かしいキャリアがあります。

 テレビ番組に何度も登場しているのです。何とか動物園とか、何十時間テレビとか。

 創業者が昔何かやらかしたと問題になっている、某事務所のスーパーアイドルが、団体の施設を訪問して保護犬の世話をし、その後の番組では、保護犬を引き取ったお宅を訪問して再会するという、感動ドラマの舞台にもなりました。

 そのおかげで、知名度は格段にアップし、寄附も増加したそうです。エンタメ会社の会長から、1千万円という高額の寄附があったことも報じられています。



 その一方で影もあるようです。

 なんと、あの文春砲が、団体と近隣のトラブルを報じたのです(2022年8月31日文春オンライン)。

 それによれば、

 近隣の住民に説明がなく突然開設された
 犬・猫の鳴き声がうるさい
 犬の糞が地域のゴミ捨て場に大量に捨てられた
 放置された大量のペットフードをカラスやネズミがあさりに来る
 犬の散歩のために畑などに無断で入り込む
 市に間に入ってもらい施設の閉鎖を約束したがそれを果たしていない

 ということが問題になっているのだとか。




 自分もその場所に行ってみました。周辺は、サトウキビ畑と家屋が点在する集落です。確かに、犬が吠えていました。

 広い敷地なので、騒音というほどでもないように思いましたが、キャインキャインと甲高く鳴く犬もいて、四六時中これを聞かされていたら、ちょっと辛いかも知れません。

 
 また、この施設は、一般の見学を受け付けていません。

 多くの施設では、見学者を積極的に受け入れることによって、新たな飼い主を開拓すると共に、ボランティアや寄附を募るものなのですが。


 一方、ホームページはきちんと作成されており、譲渡会(飼い主を探すためのイベント)も行われていて、月毎の会計報告もされています。



 文春砲が炸裂した直後の9月6日、NEWSポストセブンもこの問題を報じました。施設を訪問し、代表から話を聞いていますが、その言い分としては、

 保護施設が使えなくなった別の団体から、保護犬約60頭を引き取って始めた。

 元々は、ブリーダーが犬を飼育していた土地の提供を受けたもので、自分が開拓したわけではない。

 メーカーからペットフードの提供の申し入れがあり、数量をよく確認しないで受けてしまったところあまりに膨大な量で、処理するまでに時間がかかった。

 事前にあいさつをしなかったことは詫びた。規模は縮小しているが、すぐに出て行けと言われても、今いる犬・猫を見捨てるわけにはいかない。

 高さ7メートルの壁の設置を約束したが、建築基準法違反だったため、適法な範囲で設置した。二重窓の設置などは対応した。衛生面の対処もした。

 ということのようです。 




 以前自分は、神奈川県内のとある犬猫保護団体で、ホンのちょっとだけお手伝いをした経験があります。

 ここの主宰者は、経営者であれば若手の部類ですが、その手腕は確かなもので、様々な方法で資金を集め、次々に事業を拡大し、保護犬・保護猫の数を増やしていきました。

 もし、この人が営利事業でこの才覚を発揮していたら、青年実業家として名をなし、都心のタワーマンションに住み、高級外車を乗り回していたかも知れません。

 しかしこの人は、その経営手腕を薄幸なワンコやにゃんこのために振るいました。

 とても真似できないことだと思いましたが、それでも、内部には慎重意見もありました。
 これ以上手を広げず、今できることを手堅くやるべきだと。万一破綻したら、路頭に迷った犬・猫は最期は殺処分されることになるからと。

 

 これは、特殊なケースでしょう。

 保護団体の主宰者には、犬・猫に対する情熱はあっても、施設経営や、ボランティアの人事労務管理の経験があるとは限りません。

 活動するに当たって、想定外の難題に直面したとき、それをスマートに解決出来なくても、ある程度やむを得ない面があると思います。



 文春砲の「事前に説明がなかった」という部分がちょっと引っかかりました。

 代表は移住者とのことですが、元々ブリーダーが犬を飼っていた土地だし、県の許可を受けているし、お隣さんといっても何十メートル、百何十メートル先という敷地だから、一々説明は不要と考えたのかも知れません。 
 いや、普通はそう考えるでしょう。

 ただ、ここは島です。人間関係が都会とは比べものにならないほど濃厚です。郷に入れば郷に従えと思う人も当然いるでしょう。


 別の事情もありそうです。

 冒頭の写真をご覧になってお気づきでしょうか。この犬にはあるべきものがありません。鑑札(首輪)です。
 この写真は、宮古島で2020年7月に撮ったものです。


 都会では、野生の犬に遭遇することは滅多にありませんが、島では時々見かけます。人に刃向かわないので、もしかしたら、飼い主がいるのかも知れません。

 鑑札があっても、放し飼いにしたり、散歩の時にリードを離して自由に遊ばせる飼い主もいます。
 島は人が少なく、ペットを遊ばせる場所がいくらでもあります。

 地域猫とすらいえない、半野良猫も沢山います。ホンの十数年前までは、生まれた子猫を海岸に捨ててくることも珍しくなかったと聞きます。
 今なら動物愛護法違反ですが。


 そんな環境下では、保護活動の意義は伝わり難かったかも知れません。説明の件と併せて、スタート時点で、ボタンの掛け違いがあった可能性があります。

 さらに、テレビに出たことで、掛け違えに拍車がかかった気がします。


 日本中に同じような施設がある中、何故ここがテレビ番組に登場したのか。それは、宮古島だからでしょう。

 リゾートの島、海が綺麗な島は、絵になるし、話題にもし易い。
 そこで感動ドラマを仕立て上げれば、視聴者に強いインパクトを与えることができると考えられたのではないでしょうか。


 その影で、日頃から多少なりとも我慢を強いられている人達は、このような感動ドラマを素直に受け入れられるでしょうか。
 もし自分ならば、無理だと思います。

 文春砲がこのような地域の問題に炸裂したのも、感動ドラマの舞台裏だからです。光に照らされたからこそ、その影をあぶり出したはずです。




 この話には、オチがありません。

 目的は真っ当であり、是非頑張っていただきたいと思います。しかしその一方で、我慢を強いられている人達を放置することはできません。

 何処か人が住まない場所に移転できれば良いのでしょうが、それには金がかかるし、その金で、もっと保護犬・保護猫の数を増やせという意見もありそうです。

 閉鎖ということになれば、宮古島で、犬・猫の殺処分が増えるかも知れません。
 子猫を保護して、SNSなどで飼い主を探すといった個人間のネットワークもあるようですが、いかんせん、保健所に持ち込まれる犬・猫がなくならないのです。



 もっとも、この記事をきれい事で締めくくるのは簡単です。

 「当事者間でよく話し合ってほしい」とでも書いておけば、取り敢えずまとめにはなります。

 テレビのニュース番組だと ” 専門家 ” なる人物が登場し、「行政がきめ細かな対応をすべきだ」と言い出しそうな場面です。

 「どちらも、テレビの視聴率至上主義の犠牲者だ」なんて書いてみれば、かっこいい結びで終えることができそうです。

 でもそれでは、当事者にとってはクソの役にも立たない戯れ言でしかありません。



 この記事を書くに当たって、島の知り合いにも話を聞いてみました。

 団体に関して、良くない評判が少なくなかった一方、きちんとしているという好意的な評価も少しありました。
 譲渡の際の審査が厳しいという声も聞きましたが、これはしっかりした飼い主に譲渡するという趣旨ならば、むしろ賞賛すべきことだろうと思います。



 一時興味は持ったものの、なかなかに難しい話なので、そのままお蔵入りにするつもりでしたが、人の勧めもあって記事にしました。

 問題があります、でも解決策は思い浮かびません、というだけの薄っぺらい内容の記事ですが、高級ホテルが次々と建つバブリィな宮古島には、一方で、影の部分もあるのだということを知ってもらうだけでも、全く無意味ではないと思い直したからです



 宮古島には、幸せそうなにゃんこもいます。




 文春砲はこちら

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2023年3月20日月曜日

沖縄で見つけたちょっと気になるシーン10選

   
 ビーチサンダルの移動販売車



 カメラを持って歩いていると、絶景でも、特別なシャッターチャンスでもないけれど、ちょっと気になるシーンに巡り会うことがあります。

 思わずカメラを向けたものの、何かのテーマに沿ってご紹介するのは難しい、でもちょっと捨てがたいという、ニッチな存在の一点モノの写真を掻き集めました。

 テーマにならない、というのが今回のテーマです。



 ピンクのブロック塀にはめ込まれた不思議な石敢當(いしがんとう)


 誇らしげなマンホールの蓋


 ネックレスのようなアサヒカズラ


 チョークで黒板に書かれたマンゴーかき氷


 白壁に映るバナナ(芭蕉)葉の影


 多分誰かが拾ってここに集めたのだろう


 影を計算して作られたおしゃれな看板


 無理矢理に紅型風にしたようなステンドグラス


 ビーチはまだ遠い感じ



 まったく統一性のないものばかりですが、見てもらって、少しでも目に留まる、印象に残る写真があったら嬉しいのですが。



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2023年3月16日木曜日

本気で考えた 運転免許なしで遊ぶ宮古・八重山 Ⅴ


 超車社会の宮古・八重山で、観光客が車の運転無しで遊ぶ方法。最終回は、車無しでは難易度の高い宮古島と周辺離島です。

 宮古島と池間島・来間島・伊良部島・下地島は橋で結ばれているので、感覚的には宮古島の一部です。全部まとめて宮古島としてご紹介します。


 実際に利用される際は、その時点の最新情報を確認していただくようお願いします。




 八重山諸島や石垣島と異なり、宮古島は、レンタカーがないとちょっと厄介です。

 路線バスはありますが、ごく一部を除き、観光スポットには直結しない生活路線です。

 観光バスもありますが、東平安名崎と伊良部大橋、来間大橋、池間大橋の3橋を渡るのがメインようで、海遊びには適しません。
 17END(下地島北西端)にも、砂山ビーチにも、来間漁港にも、インギャーマリンガーデンにも行ってくれません。

 宮古島で、行きたい場所に効率よく行くには、どうしても車が必要であり、運転免許がなければタクシーを使うしかありません。


 しかし、宮古島というところは、極論すれば、海は日本のトップクラスと言ってもいいほど綺麗だけれど、海しか見るべき場所がない、という一点豪華主義みたいな島です。

 ですから、ビーチやら展望台やらをくまなく巡り、全てのビューポイントを制覇するよりも、何処かのビーチに絞って、時間をかけてゆっくり眺めたり、歩いたり、写真を撮ったり、泳いだりする方が、宮古島の楽しみ方としては相応しいように思うのです。

 それは、車があろうと無かろうと一緒です。


 なので今回は、宮古島には車無しでは行けない場所があるという前提で、もし自分が運転免許をもっていなかったら、レンタカーが借りられなかったら、宮古島でどう楽しむかという視点で考えてみました。

  


とにかく17ENDに行ってみる

 17ENDの海は、もしかして日本一かも、と思うほど美しく、その上、目の前で飛行機が轟音を響かせて離発着するという、沖縄でも唯一無二の場所です。

 宮古島に初めて行く人には、是非行ってもらいたい場所です。

 でも、17ENDには、路線バスは通ってないし、観光バスも行きません。そこで、下地島空港ターミナルから歩いてみましょう。


 Googleマップによれば、片道3.3㎞だそうです。

 確かに、炎天下の沖縄でこの距離を歩くのはきつい。島人は、死んでも歩かないと言うでしょう。笑 
 でも、その価値は絶対にあります。

 ルートは平坦な道で、半分以上は海を眺めながら歩く道です。車で行ったとしても、駐車場から800メートルほどは歩くことになります。

 
 下地島空港を利用しなくても、空港までは路線バスで行くことができます。



 
 ところで、空港のサイトを見ていたら、レンタサイクルがあるそうです。これは使えそうです。朗報。詳しくは後で触れます。



下地島空港発着のバスに乗る

 下地島空港が開港してから、飛行機の時間に合わせたバスの運行が始まりました。宮古空港には、こうしたサービスはありません。


 バスは、中央バスと共栄バスの2社が運行しています。

 どちらもほぼ同じルートなのですが、2社競合している訳ではなく、中央バスは、空港リムジンバスであり、空港発便の途中乗車、空港行き便の途中下車は出来ません。

 ハイデッカータイプのゆったりした車内で、伊良部大橋を経由し、空港とアトール、東急、シギラエリアホテルなどを結びます。


 一方の共栄バスは、こちらも飛行機に合わせた運行ですが、途中で乗り降り可能な一般路線バスです。

 嬉しいことにこのバスは、渡口の浜や、伊良部大橋の袂にも停まってくれます。中心市街地にもこまめに停車するし、伊良部大橋も渡るので、空港利用者以外が遊びに行くにも使えます。

 本数が少ないのが欠点ですが、例えば、渡口の浜まで行ってとんぼ返りすることはあまりないでしょうから、時間が合えばこの路線は便利です。



自転車でも楽しめるエリアがある

 宮古島は、隆起珊瑚の島で山がないということになっていますが、山は無くても坂はあるし、結構広いので、自転車でこの島を周るなんて、自分には絶対に無理っす!!

 、 エリアを区切れば、自転車もなかなか侮れないのです。


与那覇エリア

 三角形の宮古島の左下、南西方向にある、旧下地町の与那覇地区は、戦時中に陸軍の飛行場が造られたほど平坦な地で、自転車移動に向いています。

 国道を避け、サトウキビ畑に囲まれた農道を行けば、交通量も少なく、爽快なサイクリングが楽しめるでしょう。


 ここには、何といっても前浜があるし、西浜崎、与那覇湾(サニツ浜)辺りは圏内です。もう少し足を延ばして、北は川満辺り、東は入江湾辺りまでほぼ平坦です。

 来間大橋は途中上り坂がありますが、袂にある農村公園に自転車を止めて、歩道を歩いてみるのもいいでしょう。


 話が逸れますが、池間大橋、来間大橋を歩いてみると、車で通過するより圧倒的に素晴らしい眺めを満喫できます。
(伊良部大橋に関してはちょっと長すぎるので・・・)



下地島周辺エリア

 下地島で自転車が借りられたら、17ENDに歩いて行く替わりに、途中まで自転車で行けるほか、伊良部島の佐和田の浜や渡口の浜辺りは楽勝です。

 少し上り坂もありますが、下地島の空港を挟んだ反対側にある中の島や通り池、さらには、伊良部大橋の袂辺りまでは頑張れば行けます。


 ただ空港で借りると、レンタル料が2時間1500円、1日2500円とちょっと高いみたいです。また、一部交通量が多い道があるので注意してください。。




何処に泊まる?

 ビーチサイドのリゾートホテルというのは、憧れの存在です。そんな所に泊まれば、あくせく移動しなくても、ホテルステイだけで宮古の海を満喫できるし。

 ところが、宮古島ではこれだけ綺麗なビーチがてんこ盛りにありながら、最高のビーチの前に建つホテルはあまりありません。

 17ENDにも、渡口の浜にも、猫の舌にも、砂山ビーチにもビーチサイドホテルはないのです。


 この点、唯一お勧め出来るのが、前浜にある東急ホテルです。
 最近何かと問題の多い前浜ですが、東洋一とも言われる美しい海であり、東急ホテルの前の海はきちんと管理されているので、安心して遊べると思います。

 また、ここは宮古島の老舗ホテルであり、サービス水準も安定しています。

 ただ、何といってもイイお値段です。しかも、夏期間は予約も取りづらい。でも、お隣にもホテルがあるし、徒歩圏内には民宿やらゲストハウスもあります。

 しかし、前浜のある与那覇地区は、飲食店が少なく、食事の付かない宿に泊まった場合、食事をどうするのかという問題があります。



 宮古島の南側にあるシギラのエリアは、広い敷地を同一業者が開発したので、ホテル、ビーチ、飲食店、温泉、ゴルフ場まで、すべてエリア内で完結します。
 宮古空港・ホテル間やエリア内のシャトルバスも運行されています。

 一方、場所的にエリア外の移動は、車無しだとかなり厳しいので、滞在中ここのみで遊ぶのであればいいと思いますが、17ENDも前浜も砂山ビーチも見ない宮古島滞在は、ちょっと物足りないかも知れません。

 

 ホテルが多いのは、中心市街地エリアです。

 コロナで話題となった夜の店も含めて、飲食店が建ち並ぶのは、西里通り、下里通り周辺です。
 エコノミーなホテルも多く、駐車場に苦労するホテルもありますが、その点車がなければ選択肢も増えます。

 ただ、海で遊ぶには何処行くにしても遠く、作戦を考える必要があります。



海遊びはショップのツアーを

 宮古島に来たからには、シュノーケリングをしたいという人も多いと思います。

 宮古島周辺の、ビーチエントリー可能なシュノーケリングポイントは、吉野海岸、新城海岸、シギラビーチ、中の島(下地島)、フナクス(池間島)などが知られていますが、シギラ周辺のホテルに泊まっていれば別ですが、車無しでこれらの場所に行くのは大変です。

 なので、ここは送迎付きのショップを利用して連れて行ってもらいましょう。上記のビーチ以外にも、隠れスポットが沢山あります。
 もちろん、ダイビングやSUPなども同じです。


 宮古島では、これまでレンタカー利用の客が圧倒的に多かったので、現地集合としている業者もありますが、送迎をしてくれる業者も少なくありません。

 ただ、ややこしい話ですが、有料で送迎を行うと白タク扱いとなって、道路運送法違反になります。
 だからでしょうが、送迎不要な場合は500円引き、なんていう微妙な広告を打っている業者もあります。

 それで問題がないならばやむを得ませんが、運転免許を持たない人の身になって、送迎してくれる業者がみつかるといいですよね。

 


宮古島ループバスに期待
 
 宮古島の路線バスは、観光スポットには直結しない生活路線だと書きましたが、実は、2月までは観光客向けの路線バスが走っていました。

 宮古島ループバスです。

 中心市街地方面から、これまで路線バスでは行きにくかった、吉野海岸、東平安名崎、保良泉、インギャーマリンガーデンへのアクセスを改善し、島の駅にも立ち寄るなど、使えそうなルートで、しかも、1日1000円のフリーパスもあったのです。


 これは、市が音頭をとった実証実験で、島内のバス会社3社が2020年から共同運行していました。

 しかし、途中でコロナの中断もあって、やっているのだか、やっていないのだかみたいな状態が続き、昨年8月に再開したものの、PR不足は否めず、観光客にほとんど知られないまま、実験期間満了となりました。

 2023年4月以降に再開するか否かは、現時点で発表されていません。

 基はといえば、車の運転をしない外国人観光客の需要に対応する目的だったとかで、そうであるならば、この記事のテーマにピッタリ沿うものでした。

 
 折しもレンタカー不足、タクシー不足が懸念される中、是非、今後も続けていただきたいし、それと同時に、しっかりとPRをしてください。
 宮古島に着いてからループバスの存在を知っても、遅すぎます。

 逆に観光客の、喩え1%でもループバスを利用する前提で島に来てくれれば、バスは大盛況なのではないでしょうか。

 

終わりに

 車なしで周るとなると、歩いたり自転車に乗ったりする時間が多くなります。
 それは嫌だ、かったるい、という人も多いでしょうが、この際ですから、日頃の運動不足を解消し、疲れた夜にはオリオンビールでも痛飲してください。

 そもそも、運転免許を持っていないのは、若い人が多いということなので、あまり問題にならないかも知れませんね。

 
 島では、急なスコールがあるので、その点気を付けてください。自分は、リュックサックに、カメラと共に必ず折り畳み傘を入れて持ち歩いています。


 ビーチに泳ぎに行くのに、バスに乗ったり自転車を漕いで行くのは何となくダサいと思われるかも知れませんが、島に着けばあまり気にならないと思います。

 高級ホテルもありますが、島の雰囲気自体は、おしゃれなリゾート地というよりも、豊かな自然とのんびりした時間が感じられる田舎です。


 気合いの入った、マキシスカート、つばの大きな帽子、肩出しお腹見せファッション、高級サンダルでなくても、全然大丈夫です。

 10年以上前の話ですが、羽田から那覇に行く飛行機では、おしゃれな乗客が多かったのに、那覇から先の離島便では、ジーパンにTシャツみたいなラフな格好の客が急に増えたのが印象的でした。

 観光客の急増でバブルといわれる宮古・八重山の島々ですが、本質的な部分はそう簡単に変わりません。 



 何処に旅行に行くにせよ、誰が旅行に行くにせよ、何らかの制約はあります。

 時間の制約、予算の制約、季節や天候による制約、予約が取れないことでの制約などなど様々な制約の中で、色々工夫して計画を立てるが、旅行の醍醐味でもあったりします。

 運転免許がないという理由だけで、宮古・八重山をスルーするのはもったいないと思います。行ってみれば、きっと何とかなりますよ。



(終わり)






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2023年3月11日土曜日

本気で考えた 運転免許なしで遊ぶ宮古・八重山 Ⅳ




 超車社会の宮古・八重山で、観光客が車の運転無しで遊ぶ方法。4回目は、八重山の離島の遊び方です。

 石垣島から船で行ける、竹富島、小浜島、黒島、西表島、鳩間島、波照間島プラス与那国島の遊び方をご紹介します。

 実際に利用される際は、その時点の最新情報を確認していただくようお願いします。



 実は、運転免許を持たない人が石垣島まで来たときに、「島に行ったら」ということで一件落着するのです。

 西表島と与那国島を除く各島は、運転免許があろうがなかろうが、遊び方はあまり変わりません。




竹富島

 竹富島は、小さく、かつ平坦なので、自転車で廻る人がほとんどです。

 港に着くと、看板を持った業者が出迎えています。水牛車に乗りたい場合も、港まで送迎があります。

 いずれも、予約無しで利用できますが、船会社のツアー(乗船券とセットになったチケット)を利用すると、石垣島での港・ホテル間の送迎が付いてくるので、ケースによってはその方がお得なこともあります。

 集落経由でコンドイ浜・カイジ浜に行くバスもあります。


 この島は、ゆっくり歩いてみるものお勧めです。

 ただ歩くのはかったるいというのであれば、バスでコンドイ浜まで行って、帰りは集落を通って歩いて帰るとか、水牛車に乗った後港まで送ってもらえますが、その時間を少し遅らせて周辺を歩いてみるのはどうでしょうか。

 この島には、タクシー、観光バス(的なもの)もありますが、狭い集落の道をのんびり行く方が楽しいので、徒歩、自転車、水牛車をお勧めします。

 路地のひとつひとつに違った花が咲き、違ったシーサーが迎えてくれます。


黒島

 綺麗な海はあるけれど、観光的要素は少なく、近年秘境化が進んでいるのが黒島です。

 観光客の選びうる移動手段は、運転免許の有無に拘わらず、自転車一択と言ってもほぼ間違いありません。
 しかし、竹富島以上に平坦で、交通量も少ないので、安心して漕ぎ出すことができます。

 港付近にレンタルのショップがあります。予約不要です。島に泊まる人は、宿で自転車が借りられるところが多いようです。


 仲本海岸は、シュノーケリングで有名なビーチですが、干潮時間帯に限られるので、潮の確認をしてから行ってください。


 近年船が減便され、今年も2022年のまま変わらないとすれば、事実上、朝昼夕各1便しか運航されず、非常に不便ですが、それがいいのだという人もいます。

 
小浜島

 外周17㎞程度の、竹富島よりはやや大きい程度の島です。

 面積的には自転車でちょうどいいのですが、山坂が多く、かといってレンタカーやレンタバイクだとあっという間に終わってしまう、中途半端な島です。

 数は少ないようですが、電動自転車を借りて廻ればちょうどいいのかなという気がします。港周辺にいくつか店があり、レンタカーからレンタサイクルまであります。


 ここが必見、というような観光スポットはないのですが、じっくり周ると味のある、何というか玄人好みみたいな島です。

 リゾートホテルが二つもある一方、路線バスやタクシーはなく、観光バスもなくなってしまって、その意味でも中途半端さが際立ちます。


波照間島

 小浜島よりやや小さく、小浜島ほどは山坂ないので、自転車で島を廻っている人がほとんどです。

 また、人気のニシ浜は、波照間港から歩いて10分程度の距離なので、港に着いてから歩いてビーチに向かい、そのまま帰る人も多いようです。


鳩間島

 八重山リピーターがいつかは行ってみたいと思うのが、この鳩間島と、波照間島だそうです。

 外周4㎞ほどの小さな島で、中央部が多少高くなっている程度の平坦な島です。レンタサイクルもありますが、歩いている人がほとんどです。


西表島

 石垣島より大きい島ですが、全島のほとんどがジャングルで、人が立ち入れるのは、南端から東回りで北西端までの海沿いだけですが、それでも50㎞以上もあります。

 この区間、つまり人が普通に行ける場所は、路線バスが1日4往復しており、フリーパス(1日券1050円・3日券1570円)も発売されているので、重宝します。

 また、上原港から白浜までは、前にもご紹介した、安栄観光、八重山観光フェリーの無料連絡バスが、船の発着に合わせて運行されています。


 これらのバスは、観光ポイントを順次巡るには非効率ですが、特定の場所で遊ぶ、例えば、星砂の浜で泳ぐ、裏内川で遊覧船に乗る、白浜経由で舟浮に渡りイダの浜でシュノーケリングをする、といった場合には便利です。


 観光ポイントを巡るには、観光バス、タクシー、観光タクシーが利用できます。個人で予約することも出来ます。
 石垣島から船とセットになったツアーも色々あります。

 積極的にはお勧めしませんが、仲間川を船で遊覧して、由布島の水牛車に乗るコースは、超超超定番の観光コースです。個人でも申し込むことが出来ます。


 また、西表島は、ダイビング、シュノーケリング、カヤック、トレッキングなど、沖縄的なアクティビティーが何でもできます。

 一般的な観光よりも、これらのアクティビティーを楽しむためにやって来る人の方が多く、そんなこともあって、レンタカーを借りて島を巡る人はそう多くありません。


与那国島

 石垣島か那覇から飛行機で行くことになる、やや難易度の高い島です。

 海岸延長が約27㎞の小さな島ですが、東崎(あがりざき)、西崎(いりざき)、立神岩など見るべきスポットが、坂の上、または坂の途中という厄介な島です。

 ハイキングと割り切れる人は、バス、自転車で行けるところまで行って、後は歩いてみるのも楽しいと思います。




どの島に行きますか

 初めての人は、竹富島を中心にスケジュールを組んでみるのがいいと思います。

 この島は、泳ぐことも出来るし、花咲乱れる伝統集落を巡るのも魅力的です。
 船の本数も多く乗船時間も短いので、丸1日でも短時間でも、泳いでも泳がなくても、色々に楽しめる島です。
 食堂や、カフェも何軒かあります。


 アクティブに沖縄の大自然を満喫したいならば、西表島を中心にスケジュールを組んでみてはいかがでしょうか。

 石垣島から日帰りで参加できるツアーも沢山あるし、もちろん島に泊まってもいいと思います。
 いずれも港まで送迎してくれる業者がほとんどです。


 泳ぎたい人は、遠浅の海が何処までも広がる竹富島コンドイ浜のほか、いつかは行ってみたいと思う人の多い波照間島ニシ浜、シュノーケリングなら黒島の仲本海岸などいかがでしょうか。
 
 ニシ浜は、石垣島からは1日コース、仲本海岸は、潮の加減次第ですが、午前又は午後に泳ぎ、ついでに島をサイクリングする1日コースもいいと思います。

 
 やっぱり主だったところは一通り廻ってみたい人は、観光ツアーに申し込むか、船+自転車で頑張ってみてください。

 ツアーでなければ、船のフリーパス利用がお得です。 石垣島の離島ターミナルで扱ってています。

 記載日現在、安栄観光のアイランドホッピングパスが、3日券(波照間なし)6,800円から5日券(波照間含む)14,000円まで色々あります。
 八重山観光フェリーも同様のフリーパスを売っています。

 


無計画で行っちゃっても大丈夫

 既に廃業してしまいましたが、石垣島の730交差点の近くにペンションぱいらんどという宿がありました。

 そこの常連さんの中には、運転免許を持っていないから石垣島はほとんど周ったことがないけれど、八重山離島にはしょっちゅう行っているという人が少なからずいました。

 冒頭にも書きましたが、八重山離島では、運転免許を持っていることがあまりアドバンテージになりません。
 だから、運転免許がなくても「島に行ったら」というひと言で一件落着するのです。


 取り敢えず、離島桟橋に歩いて行ける距離のホテルに泊まれば、あらかじめ計画を立てずに石垣島まで行っちゃっても大丈夫です。

 予約無しで楽しめる、もっと言えば、当日朝の気分で決めちゃっても大丈夫な遊びのメニューがたくさんあるので、是非、日本の果ての南国の島で、のんびりとリゾート気分を満喫してください。


 次回は、運転免許無しではやや難易度の高い、宮古島と周辺離島について考えましょう。






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2023年3月7日火曜日

早くも10周年! 新石垣空港になって変わったこと

 


 「新」石垣空港というと、「旧石垣空港があったの?」なんていう人も最近は増ましたが、今の石垣空港が開港する前には、もっと便利な場所にこぢんまりした空港がありました。

 しかし、あっという間に月日が流れ、今日、3月7日で新石垣空港開港10周年です。

 有志による郷土芸能の披露や、土産物の割引販売が行われたようです。




 旧空港は、戦時中に造られた、陸軍石垣飛行場を旅客化したもので、滑走路が1500メートルしかありませんでした。

 ジェット機を飛ばすには、滑走路が短すぎるため、石垣空港は、1979年に暫定ジェット化という扱いで運用を始めたのですが、それが40年近くも続いてしまいました。


 そのため、使用機材も、B737-400、-500といった、百数十人乗りの小型機に限られていました。

 それでもJTA羽田行きの直行便は、燃料を満タンにすると風の影響などで飛べない恐れがあるとして、満タンにしないでも行ける宮古空港や那覇空港に立ち寄ってから羽田に向かう変則運航でした。

 貨物便も貨物を満載に出来ないとか、緊急時に備えて副操縦士は機長の資格を持った乗員が乗らなければならないなど、様々な制約がありました。


 一方、立地は市街地に近い便利な場所にあり、離島ターミナルまでタクシー料金が910円という近さ。
 真栄里辺りのホテルなら歩いても行けなくはない、みたいな一等地でした。



 
 旧空港は、平屋で全て平面移動でした。
 ボーディングブリッジなんて必要なく。タラップを降りて歩いてターミナルに向かいます。

 複数機が到着した際は、両機の客が混在しないよう、目と鼻の先の距離でもバスに乗せられたこともありました。

 
 すぐに市街地に行けることもあって、日本の最果てに来たんだなあと実感する、沖縄離島の雰囲気とマッチした、本当に味わいのあるローカル空港でした。




 空港を移設し大型化しようという動きはかなり前からあったのですが、候補地がなかなか決まらず、紆余曲折を経て今の場所に決定し、10年前の今日開港にこぎ着けました。
 
 その後は、順風満帆に発展を続け、コロナ前の2019年には、年間の乗降客数が2,684,122人を記録しました。
 これは全国の県庁所在地に近い拠点空港の大部分を上回る、17位という健闘振りです。

 旧空港時代の2012年の乗降客数が約77万人でしたから、軽く3倍を超えています。


 那覇行きなどの県内路線は基より、羽田、成田、中部、関西、福岡へ直行便が飛び、機材も、B-787-8、B-777-200といった3~4百人乗りの中・大型機が導入されました。
 

 そうなると今度は、現状の地上施設では旅客を捌ききれず、コロナ前は、手荷物預けに1時間を要する事態も発生していました。

 空港ロビーは、夏の午後を中心に大混雑し、出発便の遅れがあったりするとさらに大変なことになっていました。


 施設拡張の話もありますが、具体案はなく、当面は現状のまま工夫して使っていくことになるでしょう。

 なお、空港名は一般に「南ぬ島(ぱいぬしま)石垣空港」と表示されていますが、正式には、「新石垣空港」です。




 コロナで3年ほど静かでしたが、今年はインバウンド需要の復活もあり、また元に戻ってしまうのではないしょうか。


 宮古島の伊良部大橋と共に、バブルを牽引することになった新石垣空港。

 以前からの沖縄好きにとっては有り難い話ではありませんが、それで潤った島の人も多いと思います。

 しかし、それ以上に潤ったのは内地の企業であるといわれています。今から50年前の沖縄復帰の頃にも同じことがいわれていました。





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2023年3月3日金曜日

本気で考えた 運転免許なしで遊ぶ宮古・八重山 Ⅲ

 
(石垣島のバス会社東運輸のチケット)


 超車社会の宮古・八重山で、観光客が車の運転無しで遊ぶ方法。3回目は、石垣島の遊び方です。

 実際に利用される際は、その時点の最新情報を確認していただくようお願いします。



石垣空港に着いたら

 空港からは、ホテル送迎バス、路線バス、タクシーに乗って宿に向かうことになります。中心市街地まで、バスは片道500~540円、タクシーは3千円ほどです。

 路線バスは、港に直行するカリー観光バスと島内に広く路線網を持つ東運輸があります。

 空港と離島ターミナル周辺の単純往復であれば、カリー観光バスの方が早くて安いのですが、空港往復以外にも路線バスを利用する人は、東運輸のフリーパス(1日券千円、5日券2千円)を買った方が得なので、東運輸のバスに乗ってください。

 バスの路線網と時刻表は、東運輸のサイトを見てください。




観光地に行くには

 石垣島といえば、真っ先に思い浮かぶのは川平湾でしょう。

 川平湾は、富士山や日光などと並び、「ミュシュラン・グリーンガイド・ジャポン」の3つ星観光地であり、石垣市公共交通計画のデータによれば、観光客の約6割が立ち寄るそうなので、是非行ってみてください。

 ここには、路線バスで行くことが可能です。

 石垣島の中心市街にあるバスターミナルから、9系統(川平リゾート線)が1日6往復運行されているほか、空港から川平公園前を経由してバスターミナルに向かう11系統(米原キャンプ場線)2往復などもあります。
 帰りのバスの時間を確認し、ここならではの美しい海の眺めを堪能してください。
 
 また、観光バスに乗れば川平湾は必ず行く場所です。


 交通計画では、次に立ち寄り先として多いのは、玉取崎の33.1%、平久保崎の23.7%でした。

 どちらも、高台から海を見下ろす絶景スポットですが、これらに行く路線バスである5・6系統(平野線)は、日中時間帯には2往復しかなく、バス停からやや歩くことも考えると、路線バスで行くのはちょっと非効率です。


 その次に人気の立ち寄り先は、石垣島鍾乳洞20.9%、バンナ公園20.7%でした。

 バスでも行けなくはないですが、本数が少ないので、市街地から近いこともありここはタクシーの方がいいでしょう。

 Googleマップによれば、離島ターミナルからバンナ公園の展望台まで6.9㎞、石垣島鍾乳洞までは3.3㎞でした。


 このほか、路線バスで行き易い主な観光地は、観音崎・唐人墓(最寄りのバス停は「唐人の墓」)、フルスト原遺跡(「大浜」)、宮良川のヒルギ林(「宮良橋」)、白保集落・海岸(「白保」・「白保小学校」)などがあります。

 観音崎は、夕日スポットです。
 時期により日没時間が違うので一概には言えませんが、川平リゾート線の最終バスに乗って夕日を見て、最終バスで帰って来ることが概ね可能です。

 


海遊びがしたい場合

 真栄里ビーチは、最寄りの「ANAインターコンチネンタル」を経由する10系統空港線が12往復あるほか、300mほど歩きますが、「八重山合同庁舎前」を通る4系統空港線が30分置きに出ています。

 ANAホテルのほか、真栄里にはホテルが多数あるので、これらに泊まっていれば、ビーチは徒歩圏内です。

 ビーチはホテルの正面にありますが、誰でも入ることができます。管理されたリゾートビーチです。


 フサキビーチも、似たようなリゾートビーチで、ホテルの前にあります。「フサキビーチ」バス停は川平リゾート線の途中にあるので、川平湾に行ってからビーチに行くのもありでしょう。


 南ぬ浜は、人工ビーチですが市街地から最も近いビーチです。

 自然の海と比べると見劣りしますが、プールだと考えると、これ以上大きなリゾートプールはありません。
 シャワーや更衣室などの設備があり監視員もいる一方、泳いでいる人はほとんどいない穴場です。

 1日いると飽きるでしょうが、ちょっと泳ぎたい、水着になりたいというニッチな時間帯、例えば、到着した日にホテルに荷物を預けてまだ時間がある、みたいな場合に重宝しそうです。

 Googleマップでは、サザンゲートブリッジ入り口交差点から950m、離島ターミナルからでも1.7㎞でした。

 橋を渡るので一部上り坂ですが、徒歩ないし自転車圏内でしょう。


 一番お勧めしたいのは、竹富島のコンドイ浜まで行くことです。

 離島ターミナルから、船で15分、竹富島に着いたら自転車かバスですぐに着くので、石垣島の延長みたいな感覚で行けます。船も概ね1時間毎に出航します。

 何もない、沖縄離島らしい広くて美しい海が広がっています。交通計画でも、川平湾に次いで33.7の%人がコンドイ浜に足を運んでいます。


 米原海岸は、本格的にシュノーケリングをしたい人にとって、石垣島でほとんど唯一のビーチです。

 11系統(米原キャンプト線)は本数は少ないのですが、去年のダイヤでは、離島ターミナルを8:30発(所要時間約60分)、14:21帰着、あるいは、11:30発、17:21帰着がという遊び方ができます。

 バスに乗って泳ぎに行くなんて、リゾートっぽくない、何となく抵抗があるという人もいると思いますが、そこは考え方次第でしょうね。


自転車は

 石垣島は、結構山坂があるので、サイクリスト以外は自転車は厳しいですが、海沿いの道を走れば、市街地から西はフサキ~名蔵湾辺りまで、東は白保辺りまでは、比較的平坦です。

 それでも、国道や県道は交通量も多く、しかもこのルートは路線バスもあることから、石垣島内で自転車は、移動手段としては近所にチョイ乗り以外はあまりお勧めしません。




 では実際、車の運転無しで石垣島で遊ぶとしたらどういう風にスケジュールを組むか、3泊4日くらいの日程だとして考えてみました。


石垣島が初めてならば

 海遊び主体なら

 1日は竹富島に渡り、コンドイ浜で泳いで併せて島内観光をする。もう1日(あるいは半日)は、シュノーケリング・SUP・カヤックなどのマリンスポーツのツアー(送迎のあるやつ)に参加する。
 真栄里周辺や、八島(サザンゲートブリッジの近く)周辺に泊まって、ちょっと時間があったときに真栄里ビーチや南ぬ浜で泳ぐ、というのはいかがでしょうか。
 

 観光メインなら

 1日は、観光バスか観光タクシーで島を一回りする(料金の目安は、観光バスで1人5千円程度、観光タクシーは1台2万円~程度です)。
 それ以外は、観光バス等で行って気に入った場所、若しくは素通りした場所に路線バスで再び行ってじっくり散策するとか、竹富島に渡って水牛車に乗ってみるとか、あとは、タクシー利用になりますが、バンナ公園の展望台も行っておくといいと思います。

 バンナ公園の展望台は、晴れて月のない夜であれば星空も綺麗です。


 マイペースでのんびりしたいなら

 バスのフリーパス5日券を買って、川平湾、白保集落などを時間をかけて散策してみるとか、泳ぐなら、リゾートビーチより、南ぬ浜か、思い切って米原海岸に行くのがのんびり派には適しているような気がします。
 もちろん、竹富島に渡って、時間をかけてのんびり散策するのもいいと思います。

 市街地周辺をのんびりダラダラ歩いてみるのも意外とお勧めです。


石垣島リピーターならば

 既に石垣島は一通り周ったというリピーターであれば、マリンスポーツのツアーに参加する、フリーパス5日券で気に入った場所を再び行ってみるほか、竹富島を含めた八重山の離島行くことをお勧めします。


 八重山の離島については、次回に触れることにしますが、このシリーズは1回お休みし、次回の記事は別のテーマとなる予定です。






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