2019年8月28日水曜日

宮古島バブル 宮古島はどうなっちゃうの?


 宮古島がバブルです。

 不動産価格が高騰し、アパート・マンションが不足し、建設工事が至る所で行われ、タクシーが捕まらず、人手不足。
 今、マスコミで、「宮古バブル」が盛んに報じられています。

 2~3年前から、宮古・八重山の将来が心配でした。そんな趣旨の記事も書きました。

 ついに、宮古島にその日が来ちゃったのでしょうか。




 原因は、観光客の激増です。

 宮古島市の入域観光客数は、平成27年度が513,601人  平成28年度が703,055人 平成29年度が988,343人 平成30年度が1,140,031人と、僅か3年で倍増しました。

 なかでも顕著なのは、大型のクルーズ船でやって来る外国人観光客です。

 宮古島におけるクルーズ船での入島は、平成29年だけで約36万人。昨年の5月は約6万3000人で、前年度比約170パーセントを記録した(東洋経済ON-LINE


 県による2017年末現在の宿泊施設実態調査で、宮古島市内のホテル・旅館は、46軒2432室にとどまり、収容人数は、5868人しかない(琉球新報)
 旅館業法上のホテル・旅館を指し、民宿等は含まれていないようです。

 それを見越した、ホテルの建設ラッシュに、陸上自衛隊の駐屯地や学校・市役所などの大型公共工事が重なり、工事関係者用の宿泊施設が優先され、宮古島市でアパートやマンション不足が深刻化しています。

 家賃3万円前後のワンルームマンションが、高いものだと5万円を超えるほどになっている(東洋経済ON-LINE 18.6.19
 ワンルーム(25~30平方メートル)の賃料は、8万~10万円にまで高騰している物件もあるという(沖縄タイムス 19.4.4

 物件の状態や市街地からの距離に関係なく、空室が出るとすぐ埋まる。新築で室数を増やしたいが、建設業者からは「今は手いっぱいなので1~2年待ってほしい」とお願いされる状況だ(東洋経済ON-LINE


 条件が違うかも知れないので、単純比較はできませんが、去年は家賃5万円で驚いていたのに、今年はもう10万円!?。これはもう、ハイパーインフレです。




 しかし、

 「一見、経済は潤っているように見えますが、市民に実感はありません」「家賃や物価の高騰でも給与は上がっておらず」「住民が置いてきぼりの現状に頭を抱えています」
RBCニュース)

 それに対しては、

 「観光業はトータル産業。自分に直に関係あるないよりも、回り回って自分のところにくる」と宮古島市副市長RBCニュース)


 果たして、そう上手くいくものなのか、それ自体疑問なのですが、少なくともこの話は、恩恵が市民に回って来るまでは、バブルが続いていることが大前提です。

 本当に宮古バブルは続くでしょうか。




そもそもバブルは弾けます
 急激な変化は、必ず歪みが生じます。

バブル時代の土地神話
 バブルの牽引役は不動産で、土地の価格があっという間に高騰しました。やがて土地も値下がりするとは、あの時誰も口に出しませんでした。
 観光客が増加し続けるというのも、「いつか来た道」ではないでしょうか。

スキーブームの末路
  80年代から90年代のスキーブームの頃には、各地で山が削られ、新しいゲレンデとゲレンデサイドのホテルが、毎年のようにオープンしました。
 宮古島のホテル建設ラッシュは、あの頃と重なります。
 スノボを含むスキー人口は、最盛期だった長野オリンピックの頃と比べて3分の1ほどになり、閉鎖されたゲレンデも数知れず。越後湯沢のリゾートマンションなどは、今や「負動産」と揶揄される程です。

リゾート法破綻の傷跡
 1987年に制定された総合保養地域整備法、通称リゾート法により、国の指定を受けたリゾート計画は、好条件の融資と税制面の特典を受けることができました。
 当時、日本中がこぞって手を挙げましたが、指定第1号だった宮崎県のシーガイアが、皮肉なことに、リゾート法破綻の象徴となりました。夕張市もこれに手を出した挙げ句、破綻への途を辿ったのです。
 失敗の原因の一端は、需要を無視した、一方的・画一的構想だったといわれています。
 今、建設中の宮古島のホテルは、きちんと需要を予測し、ニーズに合ったサービスを提供できるのでしょうか。

外国人観光客のリスク
 外国人観光客は、国際情勢や為替の変動といった、観光外の要素によって、大きく影響を受けます。
 その好例が韓国です。今年4月に訪韓した中国人観光客数は、前年同月比67%の減。これは、在韓米軍がTHAADを配備したことに中国が反発し、その報復措置として、旅行会社に韓国へのツアーの中止を要請するなど、経済制裁を発動したからだといわれています。
 同様のことが日本で起きたら、ということは、誰も考えないのでしょうか。
 これを書いている2019年8月末現在でも、日韓関係の急速な悪化や、米中貿易摩擦に端を発した急激な円高元安など、不安材料が顕在化しつつあります。

人手不足
 既に人手不足で、飲食店も、バスも、タクシーも、配送業も、小売店も、ダイビングショップに至るまで青息吐息の宮古島で、現在建設中のホテルが次々にオープンしたとき、スタッフを確保する目処は立っているのでしょうか。
 そもそも、日本中が人手不足。東京都区内でさえ、運転手不足から路線バスを減便する時代です。

水不足
 宮古島の水源は、井戸です。ホテルの開業による新たな水需要に対しては、新たな井戸を掘ることで対応するそうですが、確か昨年も一時小雨傾向で、干ばつ対策会議が開催されていたはずですが。

観光地としての限界
 宮古島の魅力は、何と言っても全国トップクラスの美しい海です。しかし、海以外にはこれといったコンテンツがありません。この特徴は、沖縄の中でも、宮古島が特に際立っています。
 海は、劣化することはあっても増えることはありません。しかも、晴れることが海を楽しむ絶対条件です。
 11月から3月頃までは、曇りや雨の天気が続き、ハイシーズンは、台風のリスクと隣り合わせという厳しい条件を、新規ホテルの経営者は織り込んでいるでしょうか。




 これは、心配のしすぎでしょうか。宮古島に限って、今後も右肩上がりに観光客が増加して、少なくとも高止まりして、いずれ島民にも恩恵が行き渡り、豊かな島経済が実現するのでしょうか。


 仮に宮古バブルが続いて、経済が活性化し、島民の生活も豊かになったとします。しかし、そうなると、それを目当てに日本中から金や人が押し寄せて来るでしょう。それがどういう結果をもたらすかは、想像もしたくありません。



 宮古島市長は、「現在15万トンのクルーズ船が埠頭に接岸するための工事をしている。3年間で完成させようと工事を進めている最中だ。世界では25万トンクラスのクルーズ船が主流の時代になってきている。この工事が終わると、それに対応するために港湾のルールを改定し工事を始める計画も考えている」という(東洋経済ON-LINE




 では、もし万が一、宮古バブルが弾けたら、元の平穏な生活が戻るでしょうか。それはなかなか難しいと思います。

 建物は完成したのに開業できないホテル、余剰となった大型バス、閑散としたショッピングセンター。 
 企業の倒産、撤退で失業者も出るでしょう。いくら人手不足とはいえ、容易に転職できる人ばかりではありません。

 また、急激に上がった家賃や固定資産税は、下がるときはゆっくりです。

 台風が吹き荒れた後のように、後始末には時間がかかるでしょう。

 バブル景気が弾けた後、古き良き昭和の時代に戻った訳ではありません。失われた10年とか、失われた20年といわれるように傷は深いのです。


 バブルの後遺症を少しでも軽減するためには、出来るだけ早くソフトランディングするように、今のうちから手立てを尽くすしかありません。

 それとも、永遠の成長を夢見るかです。

 

 一つ面白いことに気が付きました。

 観光客は激増中なのですが、航空券の価格、ツアーの価格は、5年前、10年前と比べ特段高くなった印象はありません。予約が特に難しくなったと感じることもありません。

 ホテルに関しては、3~4年前、那覇や石垣島の、手頃な価格帯のホテルがなかなか予約できずに難儀しましたが、今は落ち着いています。宮古島に関しては、特定の宿にこだわらなければ、昔と状況は変わっていません。

 航空機の便数の増加や機材の大型化、「ホテル」ではない、ゲストハウス、カプセルホテル、トレーラーハウス、コンテナハウスなどの増加、ネット予約の普及による予約事務の効率化がその理由だと思います。

 この感覚どおりであれば、5年前・10年前と比べて、宿泊施設は、相対的に不足していないということになるのですが。

 
 これは想像ですが、数年後には、新しくてゴージャスなホテルに、かなりお得な価格で泊まることができるのではないでしょうか。
 ただし、スタッフは少なく、食事を含めたサービスは、最小限かも知れませんが。





 20年近く宮古島に通い続けてきた者としては、今の宮古バブルは、歯がゆくて仕方ありませんが、宮古島市の選挙権を持たない以上、観ているしかありません。


 しかし、島外の観光客として今すべきことは、この浮かれた状況の中でも、地に足を付けて地道に生活し、あるいは、従来どおりのサービスを提供してくれている人・業者であるか、そうでないかを、しっかり見極めておくことだと思います。
 
 そして、宮古バブルが弾けたときでも、その人達と変わらぬお付き合いをすればいいのです。

 また、島外の業者だけが潤って、島民は被害者である、というような言われ方をすることも多いのですが、宮古島出身でも、えげつない商売をしている人もいます。

 島民かそうでないかを色眼鏡で見るのではなく、今何をしているかが、重要です。



 とにかく、どんなことがあっても、宮古の海だけは守ってください。

 ディカプリオ主演の映画、「ザ・ビーチ」のロケ地となったタイのマヤ湾では、観光客の増加により環境破壊が深刻化し、サンゴ礁の大部分が消え、海の生態系も失われたとされています。
 
 もし、宮古の海がそんなことになったら、宮古島は、農業だけで細々と生きていくのか、それとも自衛隊に島の存亡を託すのか、そんな島になってしまうかも知れません。



この記事を書くに当たって、
東洋経済ON-LINE 「宮古島バブルが地元住民にもたらす光と影」( 18.6.19)
琉球新報 (19.1.11)
沖縄タイムス(19.4.4)
RBCニュース (19.8.12・13)
宮古島市役所ホームページ
を参考にしました。



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2019年8月24日土曜日

ローカル感満載 愛すべき多良間空港とプロペラ機の旅




 宮古空港のターミナルから、地面を歩いて、多良間行きの琉球エアコミュータ(RAC)機に乗り込みます。
 プロペラ機です。25分ほどの空の旅。それも、実質飛行時間は、10分程度です。


 非常用設備の説明を、今時、動画ではなくスッチーが実演してくれる、絶滅危惧機でもあります。




 高度を上げるまでもなく、到着してしまいます。なので、窓の外の眺めは素晴らしい。




 多良間空港に到着しました。
 タラップを降りて、ターミナルまで歩きます。結構遠い。どうせほかの機は来ないんだし、もっと近くに駐めてもらうわけにはいかないんですかね。



 機体の後部で荷物の積み卸し作業中。でも、人が誰もいない?

 実はこのとき、2人の係員は、車椅子のお客さんの降機のお手伝い。大空港では、持ち場を離れるな、と怒られそうな感じですが。




 機内預け手荷物の受け取りです。シャッターが開くと・・・



 何とトラックがバックで入って来て・・・



 そのまま、受け取ります。飛行機の貨物室から直接受け取っても同じかも。笑




 多良間島に行ったのは、これで3回目なのですが、この間、多良間空路は劇的な進化を遂げていたのです。


 これは、2002年8月。9人乗りのアイランダー。




 2012年は、39人乗りのDHC8



 今は、50人乗りのDHC8-Q400。この機材に変わってから、悪天候による欠航が少なくなって助かると、島の人が言っていました。



 南大東空港も、同じようにローカル感満載でよかったのですが、多良間空港もええ感じの空港です。
 

 多良間島は、宮古郡多良間村。位置的には、宮古島と石垣島の間ですが、文化的には宮古島との結びつきが強く、空路も海路も、定期便は、宮古島から出ています。





 帰りのこと。空港で手荷物を預けると、保安検査の係員から「ロビー内は、エアコンが効いて涼しくお待ちいただけます。」と声がかかります。

 これは、感じよかったですよ。ほかの空港だと、「混雑している」「乗り遅れる」と大袈裟に煽られて急かされるだけなのに。

 ほんのちょっとした心遣いですが、こういうインセンティブがあれば、自ら進んで搭乗待合室に行こうという気になりますよね。



 そして、最後に凄いエピソード。
 ロビーで出発を待っていると、空港係員から、綺麗に小さく折りたたんだ千代紙を渡されました。「お渡しすれば分かるそうです。」と。

 泊まった宿から、代金を多くもらいすぎたと、返金でした。僅か200円なのに。

 取り次いでくれる空港係員もまた凄い。既に保安検査を済ませてロビーだというのに。
 島も緩いけど、空港もユルイです。
 台風で予定を繰り上げての出発だったのですが、こんなこともあったので、多良間島を離れるのが本当に名残惜しかった。





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2019年8月20日火曜日

伊良部島と下地島を結ぶ絶景ポイント 乗瀬橋復活




 左伊良部島、右下地島。

 二つの島を結ぶ橋のうち、最も南側にあるのが乗瀬橋です。架け替え工事をしていたので、長らくこの眺めはお預けでしたが、今年ようやく完成し、絶景ポイントが復活しています。





 こちら、掛け替え前の乗瀬橋から撮った写真。2006年のものです。



 こちらは、掛け替え後。今年撮ったものです。


 全然変わってないじゃないかって?だからいいのです。
 もし、この眺めが変わってしまっていたらショックでした。観光客は増えても、海は変わっていません。



 乗瀬橋は「ぬーしはし」と読みます。ここいら辺りの地名です。




 乗瀬橋、そして、渡口の浜を見守る乗瀬御獄。左上の赤い鳥居です。
 地元の有力者の娘で、神に娶られたといわれる玉メガが祀られています。航海安全の守護神ですが、御獄なので控えめに撮りました。



 乗瀬橋の付け根の道路脇に繁茂しているタコノキと、その隙間から見える渡口の浜。本当に綺麗な海です。



 乗瀬橋の伊良部島側端から。どう見ても川ですよね。伊良部島と下地島は、本当にすぐそばにあります。
 近くに車を駐めて、この絶景ポイントを歩いて渡ってみてください。ちゃんと歩道もあります。




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2019年8月16日金曜日

名前は分からないけど 小浜島の北側ビーチ




 小浜島で泳ぐとしたら、どこのビーチ?

 と聞かれても、これは意外な難問です。はいむるビーチか、とぅまるビーチか、細崎(くばざき)のビーチか。

 今回は、そのいずれでもない、小浜港の北西側ビーチをご紹介します。ガイド本などには一切出ていませんが、Googlemapの航空写真では、長い砂浜が写っていて、気になっていました。


 行ってみるとそこは、波のない穏やかな海でした。



 こんなに広くて穏やかな海なのに、誰も泳いでいません。というか誰もいません。

 正面に嘉弥真島が見えます。



 聞いた話では、南側の海が荒れた時は、業者は、ここから出発するのだとか。
 そのためなのか、一番港に近い東側には、カヤックが無造作に並んでいました。



 元々波の立たない穏やかな海ですが、無風の時にはもう池です。これなら、海に入っても流されたり、波に飲まれる心配はなさそうですが。

 地図を見ると、この場所の沖合は、石垣島と西表島の間くらいにあって、一応外海に通じているのですけれどね。



 ところが、一天俄にかき曇り。突然のスコール。



 そして雨上がり。水蒸気がもわぁ~っと立ちこめる、湿気ムンムンの明るい空に戻りました。
 カメラのレンズが瞬時に曇りそうな感じです。本当に南国らしい。



 設備は、何もありません。人もいません。今まで2回足を運びましたが、このビーチでは誰にも会っていません。

 でも、アクセスは簡単です。小浜港から徒歩5分。




 小浜島に泳ぎに行くとしたら、ホテル前の、いわゆるはいむるビーチに行く人が多いようです。

 たしかに、あそこなら設備も整っていますから。

 高速船で小浜港に着いた人は、ほとんどが送迎バスに乗ってホテルに向かうか、レンタカーなどを借りに港前の店に向かいます。



 そんな中、御自分だけ、どなたも行かない穴場のビーチまで歩くなんて、なかなかよろしくてよ。オーホッホッホ




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2019年8月12日月曜日

もしも沖縄で台風に遭遇したら(改訂版)


 沖縄旅行出発直前、沖縄滞在中に、もしも台風に遭遇したら何をするべきか、まとめてみました。

 沖縄台風関連の記事は、過去にも書きましたが、情報が古くなっている部分もあったので、このたび、全面的に書き換えました。

 


台風情報を集める

 夏の沖縄は、台風だらけのようなイメージですが、実際、台風のために予定変更や中止を強いられるのは、10%程度の確率だと考えてください(詳しくはこちら)。

 これは、他の国内旅行が、悪天候のために予定変更になる確率と比べて、特段高いとも思えませんが、沖縄に関しては、飛行機でしか行き来できないという特殊性があるので、いざというときに迅速・適格な判断ができるよう、旅行開始1週間くらい前から、台風情報を気にしておくことをお勧めします。


 台風とは、熱帯低気圧のうち、中心付近の最大風速が17㍍以上のものをいいます。台風が発生すれば、その進路予報が気象庁のホームページで発表されます。

 台風情報は、気象庁のほか、手軽に見ることのできる外国の情報として、米軍=Joint Typhoon Warning Center  (JTWC)のものがあります。

 http://www.metoc.navy.mil/jtwc/jtwc.html

 グリニッジ標準時で表示されるため、日本時間と9時間の時差があります。


 台風の進路予想は円で描かれるので、ついその中心を進むと考えがちですが、気象庁の場合、予報円の中に台風が進む確率は70%としています。つまり、予報円の中心どころか、予報円から外れている可能性が30%もあるわけで、それだけ進路予想は難しいということになります。

 同様に、速度や強さ(どれ位発達するか)の予測も難しいわけで、まだ先の予報に一喜一憂しない方がいいと思います。


 典型的な台風は、赤道付近で発生し、1週間くらいかけて沖縄に接近します。
 ただ、近年、沖縄近海で突如として発生し、その2~3日後には最接近、などという厄介な台風もあるので油断はできません。

 台風情報はまだなく、特に熱帯低気圧もなさそうなのに、週間天気予報を見ると、ある期間曇り・傘マークが続き、信頼度の欄がCになっていることがあります。

 これは、「天候が安定せず、何かが起きるかも知れないが、現時点ではまだ分からない」という意味のようです。
 この段階で台風の心配をするのは早過ぎますが、この期間には天気の変化があるかも知れないことを心に留めて置くと、あたふたしなくて済むかも知れません。


(気象庁HPから引用)


航空機が欠航になるとき

 台風のため、航空機が欠航するかどうかは、大体その空港が風速25㍍以上の暴風域に入るか否かで予測できます。

 暴風域は、気象庁の台風情報では、赤で表示される円です。小型の台風では発生しないこともあります。暴風域内で航空機が飛ぶことはまずありません。
 風速15㍍以上の強風域に入った段階で、運航・欠航のギリギリの判断が行われるようです。

 RACのプロペラ機(与那国・多良間・久米島・与論便等)は、ジェット機よりも早く欠航が決まります。

 ただ、空港や航空会社で独自のデータを解析しているようで、気象庁の台風予報とは必ずしも一致しません。

 なお、低気圧である台風は、反時計回りに渦を巻きます。そのため、一般には台風の中心より東側・南側の方が風雨が強くなる傾向にあります。
 例えば、台風が宮古島と那覇の間を通過した場合、西側の宮古島より東側の那覇の方が影響大となる可能性が高いことになります。
 

 運航に関しては、台風が近づいている時は慎重な、遠ざかっている時は大胆な判断が下されるようです。

  意外ですが、航空会社ごとに判断が異なります。JALは欠航を決めたが、ANAは飛んだとか、その逆もあります。



航空機の欠航の前兆

 航空会社のホームページで「運航状況」・「発着案内」と進み、該当路線、例えば「石垣→沖縄那覇」を開くと、「台風の影響を受ける恐れのある便」に指定された旨、注記がされていることがあります。

 この場合、該当便は、手数料無しでキャンセル・便の変更が可能になります。これは、航空会社が「ちょっとヤバイかも」と考え始めたというサインです。


 自分が予約した便が、「台風の影響を受ける恐れのある便」に指定されてしまったとき、ここが、一番の悩みどころになります。指定されたことに気付いた人達が対応に動き始めるため、キャンセルならともかく、変更の場合は、素早い決断が奏功することもあり得ます。
 

 台風前に臨時便が飛ぶときは、より深刻な状況になったと考えてください。
 早い話、台風後の混乱を少しでも軽減するため、先に帰れる人は帰してしまおうということです。つまり、航空会社も本気だというサインです。


 その時沖縄に居て、帰りの予約便がもしかしたら台風で欠航するかも知れないときに、その便より早い時間帯に臨時便の運航が発表されたら、それに振り替えて帰宅することを、重要な選択肢の一つとすることをお勧めします。


 臨時便は突然発表されますので、航空会社のサイトをこまめにチェックしておく必要があります。希に「○日の○時から空港カウンタで予約を受け付けます。」みたいに予約方法を指定されることもあります。

 なお、臨時便は機材繰りの都合上、飛ばないことがあります。臨時便の発表がないからまだ大丈夫だと、短絡的に考えるのは危険です。

 また。臨時便を出せるのは、機材に余裕のある大手だけです。


 その他、台風接近時、出発時間を繰り上げて飛ばすことがあります。この場合、実質は出発時間の繰り上げですが、形式的には、当該便の欠航と臨時便の運航になり、あらたな搭乗手続きが必要になります。



予約の変更

 欠航の場合はもちろんですが、当該便が、「台風の影響を受ける恐れのある便」に指定された時点で、ネットでの予約変更(キャンセルも)が可能になります。
 本来変更が出来ない割引運賃や特典航空券も、台風時の特例として手数料無しでの変更が認められます。

 ネットで予約した航空券でなくても、便名、予約番号が分かれば、スマホでアクセスして変更ができます(変更できない種類の航空券もあります)。この場合は、空港での搭乗手続が必要になります。
 ネット変更ができれば、これが一番楽な方法です。

 ネットでは変更ができないのは、次のケースです。
・ 空席がない場合(実際の空席の有無とは違うことがあります。)
・ 路線を変更する場合(石垣→羽田の直行便を、那覇経由に変更するようなケース)
・ 元々ネットでは取り扱えない種類の航空券の場合
・ 臨時便で予約方法が指定されている場合


 ネットで思うように変更ができなくても、JAL・ANAグループの場合、まだ諦めるのは早いので、それぞれの航空会社(ツアーの場合はツアーデスク)に電話をするか、空港窓口に向かってください。

 可能であれば、空港の窓口での手続きが確実です。
 混乱時は、予約とキャンセルが、次々に発生する上、団体分の席が空きそうだとか、機材の変更があるとか、台風の動きが遅いのでこの便の予約はここでストップ、といった最新の情報にアクセスできるのは、現場の窓口職員です。
 
 そのためか、窓口の職員の方が、非常時の対応に広い裁量が与えられているように感じます。
 例えば、石垣→羽田の直行便の予約を、空席のある那覇経由に変更してくれたこともありましたが、緊急時の措置ということで、大々的に公表されることはありません。


 なお、実際には、窓口に並びつつ、ネットでの予約を試みたり、電話をしたりする人もいます。また、複数人で役割分担している人達もるので、臨機応変に対処してください。



 行きの便が欠航になるなどして旅行を中止した際、行きと帰りで航空会社が異なるときは、帰りの便を手数料無しでキャンセルするには、行きの便の欠航証明、無搭乗証明を求められる場合があります。
 行きの便をキャンセルする段階で、帰りの便が違う航空会社であることを申し出て、手順を確認しておいた方がいいでしょう。


 JAL・ANA間の航空券の裏書き制度が廃止されたため、両社間での便の変更は、特別な場合を除き、できなくなっています。



欠航したときの空席待ち 

 台風で航空機が欠航になった場合、JAL・ANAに関しては、従来は、予約を変更するのではなく、空席待ちをしてもらって、運航再開後順番に送り出す、というのが基本でした。

 最近は、予約の変更が主流になりつつありますが、それでも、思うように変更できない、とにかく早く帰りたいという場合は、速やかに、空港の窓口で空席待券を入手してください。

 欠航の前後では、直前のキャンセルや変更がそれなりの数あり、それらが空席待ち分としてとして開放される仕組みのようです。

 したがって、変更は出来たけれど、希望どおりの便ではないというときも、念のため空席待券をもらっておくことをお勧めします。希望便への再変更ができれば、空席待ちをしなくてもいいだけですから。


 空席待券は、番号1番から順次発券されます。この順番が運航再開後重要になってきます。欠航便の航空券は、その種類にかかわらず効力が継続している扱いになります。

 変更のできない航空券でも、飛ばない以上失効しませんから、一旦払い戻しをして新たに購入する必要はありません。特典航空券も使っていない状態として扱われます。この欠航便の航空券と空席待券で、運航再開後に順番に搭乗できるシステムです。


  運航が再開されると、既にその便の予約を持って搭乗手続きをした人の残りの分が、空席として解放され、空席待券の番号1番の人から順次呼ばれます。
 実際には、空席待券をもらっても、空席待ちをしない人が相当いるので、空席は30席なのに100番の番号の人まで乗れた、などということがよくあります。

 
  空席待ちは、空港で、自分の番号が呼ばれたときにその場に居ないと飛ばされます(再発行はしてくれますが、番号が後になります。)。
 呼ばれる時間は決まっていて、便出発の15分前とか30分前などと指定されますから、その時間に空港にいれば大丈夫です。
 ただし、実際には、混乱のため表示時刻より大幅に遅れることがしばしばあります。

 現時点で何番の番号まで呼ばれたか、カウンターに表示されますので、いつ頃呼ばれるかは、自分の番号と運航便を見れば大雑把には分かります。

 電話で問い合わせにも応じてくれることもありますが、電話自体が繋がらないこともあります。

 臨時便が飛ぶことがあり、この場合一気に順番が進みます。
 
 遅い番号の空席待券であったとしても、帰れるまで何日も待つということはありません。
 那覇空港では、千人以上の羽田行き空席待ちを、臨時便の運航も含め1日で捌くことはよくあります。石垣空港(それも旧空港時代)では那覇行きの空席待ちをしていた2千4百人を、運行開始後1日半で送り出したこともあるそうです。


  なお、欠航便の航空券が有効なのは、原因となった台風による混乱が収束するまでなので、これ幸いとばかり、ゆっくりしていると無効になります。老婆心ながら。


 ただ、空席待ちは、空港に大勢の人が押し寄せ、床に座り込み、食事やトイレを気にしつつ、ケータイの充電も心配、といった状況が続きます。
 旅慣れた人、これも旅の一部・ネタと考えられる人はともかく、小さな子供連れの人などには、空席待ちはお勧めできません。

 そもそも空席待ちをしなくて済むように、旅行自体を中止するという選択肢も含め、早めの決断が必要になるかも知れません。



運航再開後の注意点

  台風の影響が収まっても、機材のやりくりがつかなくて欠航となることもあります。また、沖縄の各空港では、運航再開直後は、搭乗手続きが混乱し、大幅に遅延することがあります。
 一方、運航再開後にも臨時便が飛ぶことがあります。

 運航再開直後は、まだトラブルやアクシデントの可能性があることを見越して、時間に十分余裕をもって行動することが賢明です。



八重山の離島航路について

 台風が接近しつつあるとき、八重山の離島に居る場合は、取り敢えず石垣島まで戻ることを強くお勧めします(泊まっている宿でも勧められると思います)。

 強い台風が八重山を直撃した場合、波照間島では4日程度、その他の島でも1~2日、島に閉じ込められる可能性が高いからです。

 石垣島でも宿に閉じ込められる点では同じですが、それでも、次の点で有利です。
・ 船より先に、航空機が運航再開されることが少なくない。
・ コンビニなどもあり、食料品・日用品等を確保しやすい。
・ 風が小康状態になれば、買い物や食事程度はできる。
・ 停電した場合でも、離島より早く回復することが多い。


  八重山の高速船は、波高2.5メートル超えが欠航の判断の一つの目安です。

 南風の時は、まず波照間航路が、北風の時は、上原航路(鳩間島を含む)が欠航になります。西表島に関しては、大原航路が運航されている限り上原~大原間のバス輸送が行われます。


 各航路共、当日朝に、船会社のホームページに、通常運航・欠航・未定の表示がされるほか、状況によっては事前に、特別なお知らせとして運航見通しが掲載されます。

 明日が危ないかも知れない、という微妙な場合は、石垣島なら離島ターミナルの窓口で状況を聞く、離島滞在中なら宿の人に聞いてもらうなどして、情報収集に努めてください。




 慶良間諸島など、本島周辺の離島も事情は大体同じですが、慶良間に関しては、高速船・フェリーの順で欠航になるので、高速船が欠航したら、すぐさまフェリーに乗って戻ることを考えてください。


宮古島の橋の通行止め

  宮古島に関しては、伊良部大橋、池間大橋、来間大橋が、原則として風速25㍍以上で通行止めになります。
 伊良部島など、宮古島以外の宿に泊まっている場合で、宮古空港に行きたいときなど要注意です。泊まっている宿の人に相談してみてください。

 なお、通行止めは、市のホームページやFMみやこなどを通じて、事前に予告されます。



宿泊先の確保について

 欠航により予定外の滞在を強いられたときは、急遽宿探しをしなければなりません。

 特に混乱しやすいのは石垣島です。これから台風が来そうだというとき、飛行機で石垣島に到着し各離島に宿泊を予定していた人が、急遽予定を変更して石垣島で宿を探す一方、各離島から予定を切り上げて石垣島に戻った人も宿を探すためです。

 片っ端から電話しても、どこの宿も満室と言われ焦ることがありますが、再度電話してみると予約できることもあります。


 石垣島に限りませんが、最近は、システムで空室管理をしているホテルが多く、キャンセルがあっても、それがシステムに反映されるまでは、予約が受けられないところが増えているそうです。
 しかし、台風ともなれば、旅行をキャンセルする人が必ずいるので、その分の空室が発生しているはずです。焦らず、落ち着いて行動してください。

 一方、台風の場合、ネットの一括予約サイトには、キャンセル分の空室は載らないようです。トライしてももちろん構いませんが、電話予約の方が確実です


宿の探し方

 とっさのことで情報も少ないと思いますが、石垣空港・石垣島離島ターミナル・宮古空港・那覇空港1階のコンベンションビューローには、宿のパンフレットや、宿情報も載っている観光ガイド(フリーペーパー)が置いてあります。旅行ガイド本やネット情報も参考にして、まずは目当ての宿に直接電話をかけましょう。

 船や航空機が欠航して先に進めなくなった場合は、前日もその島に泊まっていた場合は、同じ宿に連絡する手があります。自分が先に進めない以上、新しい人も来られない可能性が高いからです。


 台風時の宿泊の問い合わせ先について、石垣島では「石垣市観光交流協会」「石垣市役所観光課」を、宮古島では「宮古空港観光案内所」を指定しています。

 石垣市観光交流協会 0980-82-2809  
 宮古空港観光案内所 0980-72-0899  (いずれもR1.8現在)


 台風で本当に困った時の最後のお助けが、市役所、観光協会です。事情を話せば、親身になって解決方法を探してくれると思います。

 台風銀座の沖縄では、毎年こういう事態を経験していて、ノウハウがあります。くどいようですが、焦らず、落ち着いて行動してください。


宿探しの注意点

  空室が有ったら、値段を聞くのもお忘れなく。後で気まずい思いをしないために、あらかじめ確認しておく方がベターです。
 台風だからといって吹っ掛けられたりすることは有りません。むしろ、一部のホテルでは、台風時に、安い特別価格で部屋を提供してくれることすらあります。

 レンタカー以外の場合、どうやってそこまで行くのかも考えておく必要があります。タクシーだといくらかかるのか、那覇の場合、モノレール駅から近いか遠いかは重要です。

  宿が決まったら、次は、食事をどうするかを考えてください。風雨の中、外食は容易ではありません。宿で食事をすることができるか否か予約時に確認し、場合によっては、事前にコンビニなどで食料を確保しておくことも必要となります。

 


その他

 スマホ、ケータイは、絶対的必需品です。早め早めのフル充電を心掛けてください。

 台風時、傘はまったく役に立ちません。駐車場から建物までの僅かな距離でも、びしょ濡れになるので、コンビニか、もし近くにあれば百均で、レインコートを買っておくと役に立ちます。


 航空券の扱いなどは、制度が変わることも有りますので、不明な点は、航空会社に確認してください。


 2019年8月現在、知り得た情報に基に記載しました。新しい情報があればコメント等でお知らせいただければ幸いです。




 台風は、被害ももたらしますが、サトウキビにとっては恵みの雨だったり、珊瑚にとっては恵みの大波だったりします。

 沖縄は昔から、台風と共生してきたのです。と、頭の中では分かっちゃいますが、やはり本音は、「頼むから台風逸れてくれぇ~」ですよね。笑



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2019年8月7日水曜日

多良間島ってこんなところ


 石垣島や宮古島にもほどほど近く
 沖縄らしい美しい海に囲まれた
 観光客激増ともバブルとも無縁の静かな島

 そんな所あるわけないだろって?いや、あるんです。多良間島です。


 
 外周約19㎞。人口千人余の多良間島。観光客はほとんどやって来ません。



 集落から歩いて行ける前泊港周辺の海。沖縄らしいコーラルブルーの美しい海です。
 



 集落を外れると一面のサトウキビ畑。こちらも沖縄らしい風景が広がります。 




 集落内の道路に大きくはみ出したバナナの木。文句言う人なんていないんでしょうね。バナナもたわわに実っています。




 これは、昔の遠見台。ここから、遠く宮古島も石垣島も見渡せたそうです。ここいら辺りの標高は、約28メートルだとか。
 島一番の高地でも、約34メートルです。




 島唯一の交通機関である村営バス。
 バスですが、白ナンバーです。飛行機の発着に合わせて、1日2往復。運賃は、距離によって200円と400円です。




 多良間村役場。飛行機を乗り継がなければ県庁にすら行けない多良間島民にとって、役場はすべての拠点です。




 こちら、自分が泊まったゲストハウス。
 何しろこの造りですから、風や雨のときは、音響効果が凄いです。笑
 でも、中は、リゾートホテル並に広い。食事は出ないけれど、1泊3400円!




 島の人に聞いたオススメのそば屋にいってみると・・・
 


 「玄関へお回り下さい」だって。



 どう見ても普通のお宅のような玄関があった。そばを食べるためにこの店に入るには、かなり勇気がいります。




 多良間神社。後由緒がまたユルくて、ほのぼのとします。



 この島には、ダイバーは多少やって来るけれど、一般の観光客はほとんど来ないとか。沖縄離島の雰囲気は存分に伝わって来ますが、これといった目玉商品の観光地がないからでしょうか。
 
 民宿もレンタカーも、旅人のためではなく、工事関係者など仕事でやって来る人達のためにあるようです。



 観光客はいないはずなのに、海で泳いでる人達がいました。

 これは、観光客ではなく島の人です。海に泳ぎに来たのではなく、夕日を見に来たら、暑いから海に飛び込んじゃったみたいな感じです。
 海から上がったら、早速、焼きそばとオリオンビール。ちょっと羨ましかった。




 台風をかいくぐって、何とか1泊だけできた多良間島。

 自転車で島内を廻っていると、会う人会う人、挨拶をしてくれるのです。子供達は元気よく、おじい・おばあは、「ふむふむよく来た」みたいな感じで。


 よくある沖縄離島なのだけれど、特別にのんびりしていてユルい島。多良間島って、こんなところです。 
 

 放し飼いのヤギがまで興味深そうに、こちらに向かって来ました。そんなに観光客は珍しいかぁ?




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