2019年8月12日月曜日

もしも沖縄で台風に遭遇したら(改訂版)


 沖縄旅行出発直前、沖縄滞在中に、もしも台風に遭遇したら何をするべきか、まとめてみました。

 沖縄台風関連の記事は、過去にも書きましたが、情報が古くなっている部分もあったので、このたび、全面的に書き換えました。

 


台風情報を集める

 夏の沖縄は、台風だらけのようなイメージですが、実際、台風のために予定変更や中止を強いられるのは、10%程度の確率だと考えてください(詳しくはこちら)。

 これは、他の国内旅行が、悪天候のために予定変更になる確率と比べて、特段高いとも思えませんが、沖縄に関しては、飛行機でしか行き来できないという特殊性があるので、いざというときに迅速・適格な判断ができるよう、旅行開始1週間くらい前から、台風情報を気にしておくことをお勧めします。


 台風とは、熱帯低気圧のうち、中心付近の最大風速が17㍍以上のものをいいます。台風が発生すれば、その進路予報が気象庁のホームページで発表されます。

 台風情報は、気象庁のほか、手軽に見ることのできる外国の情報として、米軍=Joint Typhoon Warning Center  (JTWC)のものがあります。

 http://www.metoc.navy.mil/jtwc/jtwc.html

 グリニッジ標準時で表示されるため、日本時間と9時間の時差があります。


 台風の進路予想は円で描かれるので、ついその中心を進むと考えがちですが、気象庁の場合、予報円の中に台風が進む確率は70%としています。つまり、予報円の中心どころか、予報円から外れている可能性が30%もあるわけで、それだけ進路予想は難しいということになります。

 同様に、速度や強さ(どれ位発達するか)の予測も難しいわけで、まだ先の予報に一喜一憂しない方がいいと思います。


 典型的な台風は、赤道付近で発生し、1週間くらいかけて沖縄に接近します。
 ただ、近年、沖縄近海で突如として発生し、その2~3日後には最接近、などという厄介な台風もあるので油断はできません。

 台風情報はまだなく、特に熱帯低気圧もなさそうなのに、週間天気予報を見ると、ある期間曇り・傘マークが続き、信頼度の欄がCになっていることがあります。

 これは、「天候が安定せず、何かが起きるかも知れないが、現時点ではまだ分からない」という意味のようです。
 この段階で台風の心配をするのは早過ぎますが、この期間には天気の変化があるかも知れないことを心に留めて置くと、あたふたしなくて済むかも知れません。


(気象庁HPから引用)


航空機が欠航になるとき

 台風のため、航空機が欠航するかどうかは、大体その空港が風速25㍍以上の暴風域に入るか否かで予測できます。

 暴風域は、気象庁の台風情報では、赤で表示される円です。小型の台風では発生しないこともあります。暴風域内で航空機が飛ぶことはまずありません。
 風速15㍍以上の強風域に入った段階で、運航・欠航のギリギリの判断が行われるようです。

 RACのプロペラ機(与那国・多良間・久米島・与論便等)は、ジェット機よりも早く欠航が決まります。

 ただ、空港や航空会社で独自のデータを解析しているようで、気象庁の台風予報とは必ずしも一致しません。

 なお、低気圧である台風は、反時計回りに渦を巻きます。そのため、一般には台風の中心より東側・南側の方が風雨が強くなる傾向にあります。
 例えば、台風が宮古島と那覇の間を通過した場合、西側の宮古島より東側の那覇の方が影響大となる可能性が高いことになります。
 

 運航に関しては、台風が近づいている時は慎重な、遠ざかっている時は大胆な判断が下されるようです。

  意外ですが、航空会社ごとに判断が異なります。JALは欠航を決めたが、ANAは飛んだとか、その逆もあります。



航空機の欠航の前兆

 航空会社のホームページで「運航状況」・「発着案内」と進み、該当路線、例えば「石垣→沖縄那覇」を開くと、「台風の影響を受ける恐れのある便」に指定された旨、注記がされていることがあります。

 この場合、該当便は、手数料無しでキャンセル・便の変更が可能になります。これは、航空会社が「ちょっとヤバイかも」と考え始めたというサインです。


 自分が予約した便が、「台風の影響を受ける恐れのある便」に指定されてしまったとき、ここが、一番の悩みどころになります。指定されたことに気付いた人達が対応に動き始めるため、キャンセルならともかく、変更の場合は、素早い決断が奏功することもあり得ます。
 

 台風前に臨時便が飛ぶときは、より深刻な状況になったと考えてください。
 早い話、台風後の混乱を少しでも軽減するため、先に帰れる人は帰してしまおうということです。つまり、航空会社も本気だというサインです。


 その時沖縄に居て、帰りの予約便がもしかしたら台風で欠航するかも知れないときに、その便より早い時間帯に臨時便の運航が発表されたら、それに振り替えて帰宅することを、重要な選択肢の一つとすることをお勧めします。


 臨時便は突然発表されますので、航空会社のサイトをこまめにチェックしておく必要があります。希に「○日の○時から空港カウンタで予約を受け付けます。」みたいに予約方法を指定されることもあります。

 なお、臨時便は機材繰りの都合上、飛ばないことがあります。臨時便の発表がないからまだ大丈夫だと、短絡的に考えるのは危険です。

 また。臨時便を出せるのは、機材に余裕のある大手だけです。


 その他、台風接近時、出発時間を繰り上げて飛ばすことがあります。この場合、実質は出発時間の繰り上げですが、形式的には、当該便の欠航と臨時便の運航になり、あらたな搭乗手続きが必要になります。



予約の変更

 欠航の場合はもちろんですが、当該便が、「台風の影響を受ける恐れのある便」に指定された時点で、ネットでの予約変更(キャンセルも)が可能になります。
 本来変更が出来ない割引運賃や特典航空券も、台風時の特例として手数料無しでの変更が認められます。

 ネットで予約した航空券でなくても、便名、予約番号が分かれば、スマホでアクセスして変更ができます(変更できない種類の航空券もあります)。この場合は、空港での搭乗手続が必要になります。
 ネット変更ができれば、これが一番楽な方法です。

 ネットでは変更ができないのは、次のケースです。
・ 空席がない場合(実際の空席の有無とは違うことがあります。)
・ 路線を変更する場合(石垣→羽田の直行便を、那覇経由に変更するようなケース)
・ 元々ネットでは取り扱えない種類の航空券の場合
・ 臨時便で予約方法が指定されている場合


 ネットで思うように変更ができなくても、JAL・ANAグループの場合、まだ諦めるのは早いので、それぞれの航空会社(ツアーの場合はツアーデスク)に電話をするか、空港窓口に向かってください。

 可能であれば、空港の窓口での手続きが確実です。
 混乱時は、予約とキャンセルが、次々に発生する上、団体分の席が空きそうだとか、機材の変更があるとか、台風の動きが遅いのでこの便の予約はここでストップ、といった最新の情報にアクセスできるのは、現場の窓口職員です。
 
 そのためか、窓口の職員の方が、非常時の対応に広い裁量が与えられているように感じます。
 例えば、石垣→羽田の直行便の予約を、空席のある那覇経由に変更してくれたこともありましたが、緊急時の措置ということで、大々的に公表されることはありません。


 なお、実際には、窓口に並びつつ、ネットでの予約を試みたり、電話をしたりする人もいます。また、複数人で役割分担している人達もるので、臨機応変に対処してください。



 行きの便が欠航になるなどして旅行を中止した際、行きと帰りで航空会社が異なるときは、帰りの便を手数料無しでキャンセルするには、行きの便の欠航証明、無搭乗証明を求められる場合があります。
 行きの便をキャンセルする段階で、帰りの便が違う航空会社であることを申し出て、手順を確認しておいた方がいいでしょう。


 JAL・ANA間の航空券の裏書き制度が廃止されたため、両社間での便の変更は、特別な場合を除き、できなくなっています。



欠航したときの空席待ち 

 台風で航空機が欠航になった場合、JAL・ANAに関しては、従来は、予約を変更するのではなく、空席待ちをしてもらって、運航再開後順番に送り出す、というのが基本でした。

 最近は、予約の変更が主流になりつつありますが、それでも、思うように変更できない、とにかく早く帰りたいという場合は、速やかに、空港の窓口で空席待券を入手してください。

 欠航の前後では、直前のキャンセルや変更がそれなりの数あり、それらが空席待ち分としてとして開放される仕組みのようです。

 したがって、変更は出来たけれど、希望どおりの便ではないというときも、念のため空席待券をもらっておくことをお勧めします。希望便への再変更ができれば、空席待ちをしなくてもいいだけですから。


 空席待券は、番号1番から順次発券されます。この順番が運航再開後重要になってきます。欠航便の航空券は、その種類にかかわらず効力が継続している扱いになります。

 変更のできない航空券でも、飛ばない以上失効しませんから、一旦払い戻しをして新たに購入する必要はありません。特典航空券も使っていない状態として扱われます。この欠航便の航空券と空席待券で、運航再開後に順番に搭乗できるシステムです。


  運航が再開されると、既にその便の予約を持って搭乗手続きをした人の残りの分が、空席として解放され、空席待券の番号1番の人から順次呼ばれます。
 実際には、空席待券をもらっても、空席待ちをしない人が相当いるので、空席は30席なのに100番の番号の人まで乗れた、などということがよくあります。

 
  空席待ちは、空港で、自分の番号が呼ばれたときにその場に居ないと飛ばされます(再発行はしてくれますが、番号が後になります。)。
 呼ばれる時間は決まっていて、便出発の15分前とか30分前などと指定されますから、その時間に空港にいれば大丈夫です。
 ただし、実際には、混乱のため表示時刻より大幅に遅れることがしばしばあります。

 現時点で何番の番号まで呼ばれたか、カウンターに表示されますので、いつ頃呼ばれるかは、自分の番号と運航便を見れば大雑把には分かります。

 電話で問い合わせにも応じてくれることもありますが、電話自体が繋がらないこともあります。

 臨時便が飛ぶことがあり、この場合一気に順番が進みます。
 
 遅い番号の空席待券であったとしても、帰れるまで何日も待つということはありません。
 那覇空港では、千人以上の羽田行き空席待ちを、臨時便の運航も含め1日で捌くことはよくあります。石垣空港(それも旧空港時代)では那覇行きの空席待ちをしていた2千4百人を、運行開始後1日半で送り出したこともあるそうです。


  なお、欠航便の航空券が有効なのは、原因となった台風による混乱が収束するまでなので、これ幸いとばかり、ゆっくりしていると無効になります。老婆心ながら。


 ただ、空席待ちは、空港に大勢の人が押し寄せ、床に座り込み、食事やトイレを気にしつつ、ケータイの充電も心配、といった状況が続きます。
 旅慣れた人、これも旅の一部・ネタと考えられる人はともかく、小さな子供連れの人などには、空席待ちはお勧めできません。

 そもそも空席待ちをしなくて済むように、旅行自体を中止するという選択肢も含め、早めの決断が必要になるかも知れません。



運航再開後の注意点

  台風の影響が収まっても、機材のやりくりがつかなくて欠航となることもあります。また、沖縄の各空港では、運航再開直後は、搭乗手続きが混乱し、大幅に遅延することがあります。
 一方、運航再開後にも臨時便が飛ぶことがあります。

 運航再開直後は、まだトラブルやアクシデントの可能性があることを見越して、時間に十分余裕をもって行動することが賢明です。



八重山の離島航路について

 台風が接近しつつあるとき、八重山の離島に居る場合は、取り敢えず石垣島まで戻ることを強くお勧めします(泊まっている宿でも勧められると思います)。

 強い台風が八重山を直撃した場合、波照間島では4日程度、その他の島でも1~2日、島に閉じ込められる可能性が高いからです。

 石垣島でも宿に閉じ込められる点では同じですが、それでも、次の点で有利です。
・ 船より先に、航空機が運航再開されることが少なくない。
・ コンビニなどもあり、食料品・日用品等を確保しやすい。
・ 風が小康状態になれば、買い物や食事程度はできる。
・ 停電した場合でも、離島より早く回復することが多い。


  八重山の高速船は、波高2.5メートル超えが欠航の判断の一つの目安です。

 南風の時は、まず波照間航路が、北風の時は、上原航路(鳩間島を含む)が欠航になります。西表島に関しては、大原航路が運航されている限り上原~大原間のバス輸送が行われます。


 各航路共、当日朝に、船会社のホームページに、通常運航・欠航・未定の表示がされるほか、状況によっては事前に、特別なお知らせとして運航見通しが掲載されます。

 明日が危ないかも知れない、という微妙な場合は、石垣島なら離島ターミナルの窓口で状況を聞く、離島滞在中なら宿の人に聞いてもらうなどして、情報収集に努めてください。




 慶良間諸島など、本島周辺の離島も事情は大体同じですが、慶良間に関しては、高速船・フェリーの順で欠航になるので、高速船が欠航したら、すぐさまフェリーに乗って戻ることを考えてください。


宮古島の橋の通行止め

  宮古島に関しては、伊良部大橋、池間大橋、来間大橋が、原則として風速25㍍以上で通行止めになります。
 伊良部島など、宮古島以外の宿に泊まっている場合で、宮古空港に行きたいときなど要注意です。泊まっている宿の人に相談してみてください。

 なお、通行止めは、市のホームページやFMみやこなどを通じて、事前に予告されます。



宿泊先の確保について

 欠航により予定外の滞在を強いられたときは、急遽宿探しをしなければなりません。

 特に混乱しやすいのは石垣島です。これから台風が来そうだというとき、飛行機で石垣島に到着し各離島に宿泊を予定していた人が、急遽予定を変更して石垣島で宿を探す一方、各離島から予定を切り上げて石垣島に戻った人も宿を探すためです。

 片っ端から電話しても、どこの宿も満室と言われ焦ることがありますが、再度電話してみると予約できることもあります。


 石垣島に限りませんが、最近は、システムで空室管理をしているホテルが多く、キャンセルがあっても、それがシステムに反映されるまでは、予約が受けられないところが増えているそうです。
 しかし、台風ともなれば、旅行をキャンセルする人が必ずいるので、その分の空室が発生しているはずです。焦らず、落ち着いて行動してください。

 一方、台風の場合、ネットの一括予約サイトには、キャンセル分の空室は載らないようです。トライしてももちろん構いませんが、電話予約の方が確実です


宿の探し方

 とっさのことで情報も少ないと思いますが、石垣空港・石垣島離島ターミナル・宮古空港・那覇空港1階のコンベンションビューローには、宿のパンフレットや、宿情報も載っている観光ガイド(フリーペーパー)が置いてあります。旅行ガイド本やネット情報も参考にして、まずは目当ての宿に直接電話をかけましょう。

 船や航空機が欠航して先に進めなくなった場合は、前日もその島に泊まっていた場合は、同じ宿に連絡する手があります。自分が先に進めない以上、新しい人も来られない可能性が高いからです。


 台風時の宿泊の問い合わせ先について、石垣島では「石垣市観光交流協会」「石垣市役所観光課」を、宮古島では「宮古空港観光案内所」を指定しています。

 石垣市観光交流協会 0980-82-2809  
 宮古空港観光案内所 0980-72-0899  (いずれもR1.8現在)


 台風で本当に困った時の最後のお助けが、市役所、観光協会です。事情を話せば、親身になって解決方法を探してくれると思います。

 台風銀座の沖縄では、毎年こういう事態を経験していて、ノウハウがあります。くどいようですが、焦らず、落ち着いて行動してください。


宿探しの注意点

  空室が有ったら、値段を聞くのもお忘れなく。後で気まずい思いをしないために、あらかじめ確認しておく方がベターです。
 台風だからといって吹っ掛けられたりすることは有りません。むしろ、一部のホテルでは、台風時に、安い特別価格で部屋を提供してくれることすらあります。

 レンタカー以外の場合、どうやってそこまで行くのかも考えておく必要があります。タクシーだといくらかかるのか、那覇の場合、モノレール駅から近いか遠いかは重要です。

  宿が決まったら、次は、食事をどうするかを考えてください。風雨の中、外食は容易ではありません。宿で食事をすることができるか否か予約時に確認し、場合によっては、事前にコンビニなどで食料を確保しておくことも必要となります。

 


その他

 スマホ、ケータイは、絶対的必需品です。早め早めのフル充電を心掛けてください。

 台風時、傘はまったく役に立ちません。駐車場から建物までの僅かな距離でも、びしょ濡れになるので、コンビニか、もし近くにあれば百均で、レインコートを買っておくと役に立ちます。


 航空券の扱いなどは、制度が変わることも有りますので、不明な点は、航空会社に確認してください。


 2019年8月現在、知り得た情報に基に記載しました。新しい情報があればコメント等でお知らせいただければ幸いです。




 台風は、被害ももたらしますが、サトウキビにとっては恵みの雨だったり、珊瑚にとっては恵みの大波だったりします。

 沖縄は昔から、台風と共生してきたのです。と、頭の中では分かっちゃいますが、やはり本音は、「頼むから台風逸れてくれぇ~」ですよね。笑



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