2021年12月29日水曜日

今年もラスト Sunset 宮古・八重山2021

 


 夕刻、オレンジ色に染まった海で、SUPをする人達。


 早いもので、今年もあと僅か。沈むゆく夕日の写真をご覧いただきながら、今年の沖縄旅行を振り返り、徒然なるままに語っちゃおうと思います。




 残念ながら今年も、コロナコロナの1年になってしまいました。

 しかも、去年に続き、沖縄ハイシーズンの夏に、コロナもハイシーズンとなってしまったため、観光業の関係者は、さぞかし大変だったろうと思います。




 行政のコロナ対策、過剰反応には、自分としても大いに不満があり、そのことを何度も記事にしました。

 しかし、個人的に接した島の人との間では、こちらが不快になるようなことは何一つなかったのです。
 これは、去年もまったく同じでした。

 とても有り難いことなのですが、冷静に考えると不思議でもあります。




 自分は運が良くて、たまたまいい人とだけ出会ったのでしょうか。
 
 実は、島人には本音と建前があって、公に言っていることと、普段していることが違うのでしょうか。はたまた、行政と住民の間に意識の乖離があったのでしょうか。

 まさか、自分は変な人オーラが出ていたので、相手にされなかっただけ!?





 話変わって、これは、エンジェルラダーと呼ばれている現象です。
 「天使の階段」なんて、上手いこと名付けましたね。もっとも、正式には薄明光線というのだそうですが、そう言ってしまうと身も蓋もありません。





 こちらは、サトウキビ畑に沈む夕日。ごくありふれた、島の日常の風景です。

 が、こういう風景を見ると、つい、夏の1日の終わり → さあビールだ、という妄想がですねぇ・・・
 


 
 当ブログでは、どうもビールネタ、酒ネタが多くなっておるようです。すんません。そんなに飲んでる訳ではないのですが、飲まない人から見ると結構飲んでます。

 何を言っているんだか分かりませんが、ま、要するに、今年も旨いオリオンビールを沢山飲みましたということです。

 夏の沖縄で飲むオリオンビールは、本っっっ当に旨いんですよ ♪




 今年は、コロナのせいで、人のいない沖縄と、人がいないはずなのに行ってみたら人が沢山いる沖縄を両方体験しました。

 空港や飛行機は空いていましたが、何だかんだと言っても、結構な人数の人が沖縄に行っています。
 自分もその一人ですが、過去記事にも書いたとおり、観光客が感染を拡大させた訳ではなさそうなことが分かって一安心です。


 それにしても、本当にしつこいコロナ。来年こそは、普通の夏が迎えられますように。




 今年も当ブログをご覧いただきありがとうございました。
 また来年お目に掛かりましょう。

 皆様、どうぞ良いお年を。





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2021年12月24日金曜日

回顧沖縄ひとり旅2021 沖縄で感じる小さな幸せ



 なぜ沖縄に行くのか。そこに沖縄があるからだ。

 なんて気取っている場合じゃないですが、イギリスの登山家、ジョージ・マロリーが言ったセリフ「なぜ山に登るのか。そこに山があるからだ。」が、何となく分かるような気がした、令和3年、2021年でした。





 何度も沖縄に行って、ついに悟りを開いて無の境地になった、わけではもちろんなく、煩悩は尽きません。


 ただ、沖縄に行きたい、というのはもちろんなのですが、頭に浮かんでくるのは、

 宮古島の前浜の外れの木陰に車を駐めて、窓全開で昼寝したい、
 竹富島のコンドイ浜の四阿で、寝ているネコの写真を撮りたい、
 真夏の黒島で、夕方民宿でシャワーを浴びて、いくらタオルで体を拭いても汗が噴き出てくる中、オリオン缶ビールをプシュ!としたい、

 などなど、ピンポイントのリアルな場面ばかりなのです。

 やはりコロナのせいで、今まで当たり前にできたことが、そうではなくなったからだと思います。

 何故沖縄に行くのか、何をするために沖縄に行くのか、という話は取り敢えず置いておいて、とにかく今年も行って、小さな幸せをひとつひとつ実感した次第です。



 さて、今年の宮古島。前浜に凄いものがありました。砂の彫刻?サンドアート?



 制作者はこちらの人。

 時間があるとき、夕方の涼しくなった頃合いを見計らってやって来るのだと言っていましたが、それにしても見事です。

 潮が満ちてくれば、崩れて消える。そしてまた造る。輪廻転生じゃないですか。




 こちらは、小さな不幸と世にも不思議な物語。

 9月の竹富島。ビールが買えない。宿にも置いていない。飲食店はアルコールなしで、そもそも夜はほとんど営業しておらず、8時以降は全て閉店。
 
 これは、自分的には一大事。分かっていれば、石垣島のコンビニで買ってくるんだった。


 ソフトドリンクの自販機です。見本が抜かれています。コロナの影響で、物流が滞っているのでしょうか。
 この機械の一番高い商品は170円なのですが、試しに300円入れてみて、中段のボタンを押してみると・・・

 あれっ?何故か、小さな幸せが訪れます。世にも不思議な物語。



 
 ところで、その竹富島では、島人が反対していたリゾートホテル計画が、頓挫しています。
 粘り強い反対運動を続けていく中、コロナが神風になったのかも知れません。。

 日帰り客が多い → ホテルを造れば儲かる、みたいな安易な発想ではなく、造るならニーズをきちんと分析し、島と共存可能な永続性のあるプランを考えて欲しかったと思います。


 2004年に、島内外から反対運動が起こる中、西表島の月が浜にオープンしたリゾートホテル、「西表サンクチュアリーリゾート ニラカナイ」。

 その後、運営が星野リゾートに委託され、委託契約が終了して元に戻りと二転三転し、結局2019年に完全に星野に譲渡され、「西表島ホテル」となりました。




 小さな幸せというより大きな幸せだったのは、今年は台風に遭遇しなかったこと。

 去年もあまり台風に当たらずラッキーだったのですが、2019年には、これでもかというほど台風にいたぶられたので、プラマイゼロといった感じです。

 でも、適度な台風が時々来て、雨を降らせてほしいというのが、島人の本音。

 黒島診療所のスタッフの愛犬ハナちゃんも、「暑い~散歩やだ~」と言うとります。




 これも小さな幸せというより大きな感謝感激。

 9月の宮古島にて。以前記事にした、ゆにの浜でSUPをした後、帰って気が付いたら財布がない。旅行中だからそれなりの現金は持ち歩いているわけで、こりゃヤバイことに。

 探して探して、SUPの出発地まで戻って探して、その前に行った駐車場にも行って、管理事務所に落とし物が届いていないかも聞いて、でも見つからない。

 後は、着替える時にこの人の車の中に落としたかも知れないと、電話して探してもらったけれどやはりダメ。
 
 警察に紛失届けを出そうと思っていた矢先、発見とのLineが。SUPの出発地の側溝に落ちていたそうです。わざわざ行って探してくれたのです。
 自分では見つけられなかった場所。もう、感謝感激雨あられ。

 そのお姿には後光が差していました。




 夏の沖縄の楽しみの一つ、マンゴー。
 ねっとりとした甘さと微かな酸味の絶妙なハーモニー。南国フルーツの女王と言われるだけあって超高級品ですが、現地では、そこそこお手頃価格で買うことができます。

 既に十分美味しいのですが、さらなる改良品種が出回っています。一番左の黄色いのは宮古産の金密という種類。右は、台農1号という台湾産のマンゴーです。




 金密は、糖度が高く、繊維質がやや強いかな。台農1号も甘さの強い種類です。
 
 かつて、台湾産マンゴーは、安いけれど味は今イチというのが通り相場でした。これは、品質が悪いわけではなく、輸出に時間が掛かるため、完熟前に収穫してしまうため。

 しかし、品種改良が行われ、安いながらも旨いマンゴーが石垣島を中心に出回っています。



 その南国フルーツの女王マンゴーと、サクランボの王様佐藤錦。こんな贅沢な一皿、ホテルでオーダーしたら目の玉が飛び出ますが、実は、宮古島の民宿の朝食のデザート。

 佐藤錦は、山形の常連さんから送られて来たものだそうで、運良くお相伴に与ってしまいました。♪

 小さな幸せ。でも、瞬間的には大きな幸せでした。




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2021年12月20日月曜日

宮古一賑やかだった2021の下地島17END

 


 海が美しい宮古島周辺にあって、その中でも一二を争う絶景ビーチ、下地島空港北西端。通称17END。

 宮古はおろか、オール沖縄でも、オールJAPANでも、ここ以上に美しい海は、そうそうありません。

 タイトルの「2021」は、過去に当ブログで紹介したことのある場所を、今年撮った写真と共に近況をお伝えする企画です。




 干潮時、波の引いた砂浜には、それは美しい砂模様が現れます。しかも、見る限り石一つ転がっていません。
 これはもう、アートの領域では?




 潮が満ちてくると、コーラルブルーの海に変わります。満ちても引いても、美しいの一言。





 そんな17ENDですが、今年はコロナの影響で、ご多分に漏れず観光客が減少した宮古島。ここも当然人が減って・・・と思ったらとんでもない。

 むしろ、近年で一番人出が多く、賑やかでした。

 コロナ禍の中、下地島空港では、昨年秋から新たにスカイマークが定期便の運航を始めました。
 飛行機の離発着が増えれば、カメラを持った観光客も増えます。

 訓練飛行も増加中。寂しかった3~4年前と比べれば雲泥の差です。



 この機体、よく見ると、なんとAIR DO(エアドゥ)!

 AIR DOは、旧社名が北海道国際航空だった、北海道の航空会社。今時点で北海道内の空港を起点とする便しか飛んでいないはず。

 今年5月、既に沖縄路線に参入しているソラシドエアとの統合を発表していますが、いつかは、遙々北海道の翼が宮古の空にやって来るのでしょうか。





 賑やかだったもう一つの理由は、宮古島市長がコロナ世界最悪宣言をし、夏以降ビーチの駐車場を封鎖した影響です。

 下地島は国有地なので、市の管轄外であり手は出せなかったのでしょう。そのせいか、観光客が17ENDに殺到しました。

 駐車場は左側だけ。右側は全部路駐です。こんなにも多くの車が溢れていました。



 ここで商売をしている人を初めて見ました。ほかの場所からは閉め出されたということなのでしょうか。




 さて、これも賑やかな話題でした。17END史上かつてない出来事、日本最大の旅客機、オール2階建てのA-380が飛んで来たのです。

 これは、定期便ではなく、企画便です。
 こんな超大型機が満席でにやって来たら、下地島空港のターミナルではとても捌けませんが、滑走路は対応可能なので、このようなイベントフライトが実現しました。
 

 もう、シーズンオフに差し掛かった10月末ですが、それにしても凄い見物客ですね。

         (写真提供:毎度おなじみ ひでちゃんTours宮古島



 自分的には、今年の17ENDに関するメインイベントは、こちらなのですが。



 
 賑やかとは言っても、そこは沖縄の離島。芋荒い状態には決してなりません。

 メチャメチャ綺麗な海があって、その目の前で航空機が轟音を響かせながら離発着する。こんなイケてる場所なのに、車さえあれば誰でも行ける。

 ビーチサイドの超高級ホテルに泊まっても、ここより素敵な海が見られる訳ではありません。

 下地島17ENDは痛快な所です。





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2021年12月15日水曜日

ありゃ?バラス島がない?

 


 西表島の民宿で、お客さんから「バラス島がなくなった」という話を聞いたのです。


 バラス島は、西表島の船浦港と鳩間島の間辺りにある島、と言うより砂州です。大海原の中、何故かここだけ砂が集まって島のようになっていました。

 小浜島に近い浜島とか、宮古島のゆにの浜とか、そういった感じの場所です。




 これは、15年ほど前に撮った写真ですが、遠くにバラス島が見えています。



 今年9月、当時と同じ場所で撮ってみたのですが、それらしきものがない。



 本当になくなっちゃった!こりゃ大変!一大事!


 といっても、ただの砂州ですから、昔から、大きくなったり小さくなったり、形を変えたり、場所を少し移動したりしていました。

 聞いた話では、昨年から徐々に標高?が低くなり、満潮時には水没することも多かったようですが、今年は、干潮時間帯でもうっすらと砂地が現れる程度だった時期もあったそうです。


 ところで、バラス島は、正確には砂ではなく、親指大の珊瑚のかけらでできています。その点でも、大自然の不思議です。



 周辺の海は、こんなに綺麗な珊瑚礁です。

 バラス島行きのシュノーケリングツアーを扱っていたショップは、大変だろうと思います。珊瑚が変わらなくても、看板が消えたようなものですから。




 バラス島は、当ブログでも、かつて、八重山諸島のベストビーチ10として紹介したこともある美しい砂浜です。

 そもそも存在すること自体が不思議な「島」ですから、消えてしまってもやむを得ないのかも知れませんが、2015年頃にも海面下に沈んだ事があり、その後復活していますから、そんなに心配しなくていいのかも知れません。

 でも、万一本当になくなっちゃったら残念ですよね。


 写真は、2012年8月のものです。




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2021年12月11日土曜日

本当は漁港じゃないけれど 来間漁港2021




 港の海が美しい、というのは当ブログでずっと言い続けているテーマですが、ここの海も本当に美しい。
 来間島の来間漁港です。


 タイトルの「2021」は、過去に当ブログで紹介したことのある場所を、今年撮った写真と共に近況をお伝えする企画です。





 自分がよく利用する、羽田・宮古直行便は、大体午後3時頃に宮古空港に到着します。レンタカーを借りたりしていると、既に午後4時近く。

 何はともあれ宮古の海を見たい、けれどゆっくりしている時間もない。そんなときに真っ先に向かうのが、ここ、来間漁港です。

 宮古空港から車で20分ほど。堤防の上を歩けるので、サンダルに履き替えなくても、靴のままで大丈夫。
 桟橋や防波堤の下には、美しい宮古の海が広がります。お隣は、猫の舌ビーチです。


 ポンツーン(浮き桟橋)の先端からの眺めです。



 ここは、一般には来間漁港と言われており、「来間漁港」で検索するといくらでもヒットしますが、本当は漁港ではありません。

 港湾管理者(沖縄県)の正式名称は、「来間・前浜港(来間地区)」。来間大橋開通前は、宮古島行き航路の発着場でした。





 小さいながらも珊瑚や熱帯魚も見ることができます。




 ここから後ろを振り向くと、猫の舌ビーチという位置関係になります。




 何処をとっても海が綺麗な宮古島周辺ですが、ここの特徴は、このまだら模様の海。底地の砂と岩と藻類が織りなす模様です。


 この正面に見える防波堤は、車を駐めて真っ直ぐ歩いて行けますが、ぐるっと廻って、やや狭い護岸を慎重に歩いて行くと、この場所に辿り着きます。

 防波堤の先端から、港全体を見渡す絶景です。




 こんなところまでやって来る物好きはそうそういないだろうと思っていたら、釣りの人が結構いました。

 来間大橋の歩道から釣りをしている人も結構見かけるので、ここいら辺は、釣れるのでしょうね。
 
 風が強いので、帽子を飛ばされないように注意です。





 防波堤の東側の付け根に当たる部分に、ミニミニビーチがありました。

 まあ、ここまで来る人はいないと思いますが、もし、ここにビーチパラソルでも立てれば、プライベートビーチ感は特盛りです。




 当ブログでは、猫の舌ビーチの方を何度も紹介していますが、地続きならぬ海続きですから、ここでも当然綺麗な海が満喫できます。

 砂浜もいいですが、少しだけ高いところから見下ろすという感じがいいです。ここは、泳がない海、眺めるだけの海です。

 対岸の前浜港に比べれば、ここは落ち着いています。最近、急に人が増えたことが、気掛かりと言えば気掛かりですが。





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2021年12月6日月曜日

沖縄のコロナ感染は本当に観光客が原因だったのか

 

 2021年を振り返って、どうしても納得できなかったことがあります。それは、この一年間の石垣市、宮古島市、沖縄県の、観光客に対する冷遇ぶりです。

 理由とされたのは、コロナです。

 ですが、沖縄でコロナが蔓延したのは、本当に観光客が原因だったのでしょうか。何故行政は、観光客を狙い撃ちにするかのような仕打ちをしたのでしょうか。

 この1年を振り返って、分析してみたいと思います。 

 


沖縄でコロナが蔓延したのは本当に観光客が原因なのか

 沖縄でコロナが蔓延したのは、観光客が大勢押し寄せたからだ、という論調は流行の当初からありました。

 過去記事でも紹介しましたが、マスコミによく登場する、沖縄県立中部病院の高山義浩医師は、沖縄のコロナ蔓延は、観光客だけが原因ではなく、様々な複合的要因があったとしています(3月31日付けYahoo!ニュース)。

 我が意を得たり、という気分だったのですが、その後も観光客性悪説は収まりません。

 例えば、感染症の専門家で政府の分科会委員の某教授(日頃テレビを見ている人にはお馴染みの顔です)ですら、NHKの全国ニュースで「沖縄に関して言えば、第4波は、GWの観光客が原因と考えられる」などと発言していたのです。


 しかし、本当にそうなんでしょうか。


 次のグラフをご覧ください。ちょっと見にくくて申し訳ないのですが、客観性を保つために公表されているデータをそのまま引用します。

(東洋経済オンライン「新型コロナウイルス国内感染の状況」から)


 これは、沖縄県における実効再生産数のグラフです。実効再生産数とは、一人の感染者が平均して何人に感染させたかを表す指標です。

 第4波における実効再生産数のピークは、5月15日の1.56でした。この日に1人の感染者が、平均1.56人に感染させた計算になります。

 これは、今年のGWの最終日であった5月5日よりも、10日ほど後のことです。
 しかも沖縄は、GW明けにすぐに梅雨入りするため、観光客は減少します。気象庁によれば、今年の梅雨入りは5月5日頃、平年は5月10日頃とされています。

 つまり、沖縄では、観光客が減った頃に感染者が増え出したということです。


 実効再生産数について

 普段、マスコミ等でお馴染みなのは、日々の感染者数だと思いますが、感染者数は、 
 感染 → 潜伏期間 → 発症 → 受診 → 検査 → 陽性判明 → 報告 → 発表
 という手順を経るので、感染から発表まで、10日から2週間のタイムラグがあると言われています。

 そこで、感染者発表から遡って、再生産数(既に感染している人が新たに何人に感染させたか)を割り出します。これは、8割おじさんとして有名な西浦博教授のモデルによるものです。

 したがって、ある期間の実効再生産数のピークは、実際の感染のピークと一致すると考えられています。


 もう一つグラフを見てください。

      (東洋経済オンライン「新型コロナウイルス国内感染の状況」から)


 こちらは第5派における実効再生産数です。この時のピークは、7月31日の2.12でした。

 今年は、7月にオリンピック4連休(7月22日~25日)があり、GWと同様に観光客が増えて感染者数も増えると言われていました。

 しかし、この頃の実効再生産数は、右肩上がりで増加中ですが、連休期間中に特に増えた形跡は窺えません。

 それどころか、もっと重要な事実があります。この時沖縄には台風6号が接近していたのです。

(沖縄地方気象台ホームページから)


 宮古島は23日に台風の目に入り、比較的影響の少なかった沖縄本島でも、22日・23日はほとんどの航空便が欠航しました。

 したがって、このとき沖縄の観光客数は、前後の平日と比べても激減したはずですが、感染状況に変化はないのです。


 さらにもう一点、付け加えます。

 これも過去記事で紹介したとおりが、沖縄県が発表している、感染者の居住地別のデータがあります。

 記事にした9月9日時点のデータでは、沖縄県内の感染者の累計数46,506人のうち、他県居住者の感染者は379人で、率にして0.81%に過ぎないのです。
(12月4日現在でも同じ)

 と言うことは、内地から短期間沖縄に来た人で、沖縄滞在中にコロナを発症した人はほとんどいないということです。

 これは、氷山の一角だろう、感染していても無症状で、ウイルスをまき散らして帰っていた奴もいるんじゃないか、という意見もありそうです。

 氷山は、海に浮いている部分は全体の7分の1から8分の1だそうですが、仮にこの数字を8倍したところで、0.81×8=6.48%にしかなりません。



 以上をまとめると、

 第4波では、観光客が減った頃に感染のピークを迎え、
 第5派では、観光客が減った期間でも感染のペースは変わらず、
 トータルでは、内地から来て沖縄で発症が確認された人は僅かしかいない、

 ということになり、結論としては、沖縄でコロナが蔓延したのは観光客が主原因ではない、ということが強く推認されるのです。

 少なくともこれらはことは、沖縄でコロナが蔓延したのは観光客が原因だとする主張の信頼性を攻撃する、裁判で言うところの弾劾証拠になり得ると思います。 
 
 弾劾証拠とは、ある証拠の証明力を弱めることになる別の証拠という意味です。



行政はどう対応したのか

 しかしながら、石垣市、宮古島市、沖縄県の対応は、まさに観光客性悪説です。


 石垣市は、
 「市としては、陰性証明、ワクチン接種証明の提示は義務との位置付けだ。観光客は全員必ず検査や接種を受けて来島してほしい。」(沖縄タイムス6月22日)


 法律を勉強したことがある人は、これヤバイんじゃない?と直ぐに気が付くでしょう。
 法令の根拠なく、市長が国民に義務を課すことは絶対にあり得ません。

 石垣市役所には、誰も市長を止める人はいなかったのでしょうか。



 宮古島市は、
 「世界最悪の感染地域になった、観光客らに緊急事態宣言中の来島は止めていただきたいと強く求めた。」(沖縄タイムス8月19日)


 確かにこの直前、宮古島や石垣島では感染者数が急増していました。市長としても厳しい状況であっただろうと想像できます。

 しかし、世界最悪になっても、市民に呼びかけるのではなく、真っ先にターゲットにしたのは観光客です。

 しかも、宮古島市は、主要ビーチの駐車場閉鎖を始めます。観光客が来ても海では遊ばせないというのは、果たしてコロナ対策なのでしょうか。






 経験したことのない未曾有の事態だから、考えられる対策は何でもするという話なら、まだ分からなくもありません。

 しかし、石垣島の中心市街地の一部飲食店では、明るい時間帯から深夜まで、ずっと客が酒を飲んでいました。
 自分が目にしたのは7月でしたが、島の人によれば、夏中営業していたとのこと。


 コロナ対策をするのであれば、まずこういう場所に手を付けるべきではないでしょうか。観光客に義務とか何とかいうのは、順序が違いませんか。



 また、宮古島市長の世界最悪宣言の記事(沖縄タイムス)には続きがあります。

 市の担当者は、ルールを守らず酒類を提供している飲食店での感染が深刻化していると説明。接客業や建設関係で来島し滞在中の人にも感染が拡大しているとし「できるだけ外出を控え、他の人との接触を避けてほしい」と求めた。”
 
 
 バブルを引きずって建築工事が止まらない宮古島。島内には、工事関係者が多く滞在し、夜はドンチャンやって店の人と共に感染を広げているとの認識です。

 問題点がはっきりしているのに、工事関係者やリゾートバイトの一時帰還は求めないのでしょうか。





 沖縄県は沖縄県で、8月1日から「沖縄ブルーパワープロジェクト」なるものを始めました。
 陰性証明かワクチン接種証明で、施設や飲食店で割引が受けられるというものです。

 インセンティブを与えて、望ましい方向に導くというのは、行政活動の一つのスタイルです。
 ですが、その証として、観光客にリストバンドをしろというのです。「新しい観光スタイルの目印」なんだそうです。

 ちょっと想像してみてください。迎え入れる県民の側は、リストバンドをしていないのです。一目でよそ者だと区別するシステムです。
 
 しかも、観光客しか来ないような店にリストバンド無しで行けば、陰性証明無しですと晒すようなもの。こんなことに耐えられますか。
 もし、これを人権問題に敏感な欧米でやったら、暴動になるかも知れません。

 しかも、しかも、ここまでさせるのだから、観光客を歓迎するのかと思いきや、感染者が増えた途端、手のひら返しで来訪は自粛しろというのです。


 もう、県も市も、一体何をやりたいのか分かりません。


※ 追記
 沖縄ブルーパワープロジェクトは、観光協会や経済団体が主催し、県が後援したものです。行政が主体になって行ったものではなく、その点、上記は一部記載が不十分でしたので追記します。


 ふと、こんなことが頭をよぎりました。

 毎日唐揚げやポテチをつまみにビールをしこたま飲んで、〆にラーメンとチャーハンをを食べていたら、体重が100㎏を超えてしまったので、「ダイエットのために毎日15分歩くことにしました」と言う人を見てどう思いますか。

 痩せたかったら、「まず食べる量を減らせ」だと思いませんか。



必ず検証を

 なんでこんなことになってしまったのでしょうか。

 東京にいる専門家なら、地方の事情が分からず一般論をしゃべったとも考えられます。しかし、県や市なら、沖縄の実情を分かっているはず。
 
 観光立市、観光立県の石垣市や宮古島市、沖縄県が、何故こんなに観光客を邪険に扱うのか本当に不思議です。

 このことについては、島の人達や、沖縄好きの人達とずいぶんと話しました。

 真剣な議論ではなく雑談程度ですが、島の人と話していると、「市は何も考えていない」という人が結構いました。

 もちろん、何も考えていない訳ではないでしょうが、それでもそう思う人が多いのは、痒いところに手が届いていないと感じていたのかも知れません。

 選挙権のある市民・県民には強いことを言い難いので、顔の見えない観光客をスケープゴートにして、やっている感を演出したのではないか、という辛辣な見立てもありました。

 どちらにせよ、あまりいい印象を持たれていないようです。


 もちろん、観光客なんて来なくて結構という人もいたでしょう。観光業とは無縁な人にとっては、「よりによってこんな時に来るな」というのが本音かも知れません。

 それでも、大所高所から、冷静、かつ、適切な対応をするのが、県や市の役割ではないでしょうか。 



 今まで経験したことのない事態に見舞われ、国から一個人に至るまで右往左往したこの2年間。
 県や市の対応が最適ではなかったとしても、それはやむを得ないと思います。

 ただ、事あらば真っ先に切られるのが観光客だと思うと、沖縄好きで150回近く通った身としては、残念でなりません。

 感染者数は、今は落ち着いていますが、第6波とか、オミクロン株とかマスコミが騒がしい状況が続いています。
 これまでのコロナ対策を必ずや検証し、今後に供えていただきたいと切に希望します。



 下の図は、10月5日の、全日空87便羽田発宮古行きの当日の空席状況です。この青色は全て空席です。

(全日空アプリから)


 平日とはいえ、沖縄はまだ夏の10月の初旬。10月といえば、感染者数も激減し、緊急事態宣言も解除済みです。航空会社は、破格のセールを行いました。

 それでも、宮古直行便がここまでガラガラだったのです。

 世界最悪宣言やビーチ閉鎖は、過剰なコロナ対応ではなかったのか、それによる副作用はなかったのか、陰で泣いた観光関係者はいなかったのか、必ずや検証をしていただきたいと思います。



 さて、こんな年ではありましたが、自分はほぼ例年通り7回沖縄に行きました。

 幸いなことに、直接接した人は、一人として観光客丸出しの自分に対して冷い態度を取ることはなく、そのことで不愉快な思いをすることは、ただの一度もありませんでした。


 行政の対応には様々不満がありましたが、本当は、お礼を言わなければいけないのかも知れません。

 「ほかの観光客につれなくしてくれたおかげで、リーズナブルな価格でゆったり沖縄旅行が楽しめました。ありがとうございました。」と。






 高山医師の見解を紹介した記事はこちら(後半の方です)

 沖縄県のデータを紹介した記事はこちら(後半の方です)

 石垣島の対応を紹介した記事はこちら

 宮古島の対応を紹介した記事はこちら



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