2020年8月30日日曜日

ウィズコロナ時代の石垣島超一人旅



 これなら文句ないだろぉ!

 一人で飛行機に乗り、ホテルのシングルルームに泊まり、基本レンタカーで移動し、食事も全て一人。ウィズコロナ時代の石垣島3泊4日超一人旅です。


 4日間の旅行中、お互いにマスクをしているか、ソーシャルディスタンシングが保たれている場合以外、人との会話はゼロ、と徹底しました。

 今、ここまでは求められていないと思いますが、緊急事態宣言下であったとしても、これなら文句ないだろうという、旅のスタイルを敢えて実践してみました。





 なんだかんだと言っても、6月30日以来、既に4回沖縄に行きました。

 行く度に少しづつ人も増えて、徐々に活気が・・・のはずでしたが、むしろ、行く度に、人が減っているのではないかと思えてきます。


 一番それをリアルに感じるのは、飛行機の空席の多さです。

 到着後の手荷物受け取りレーンで待つ人は、7月の時はまばら、今月はチラホラといった程度です。

 沖縄に行く観光客は、ダイバーを始め荷物の大きい人が多く、機内に持ち込めないので、受け取りレーンを二重三重に取り囲むの普通でした。





 竹富島に半日ほど行き、その他、石垣島の主な観光地、無名の観光地を一通り回りました。
 川平公園、底地浜、玉取崎展望台、竹富島のコンドイ浜などには、そこそこ人が居てちょっと安心しました。

 川平湾の小島とか、荒川の滝とか、普通人の行かないマニアックな場所にも人が居て、却って驚きました。

 また、前回も感じたのですが、外国人観光客がそれなりにいるのです。Youはどこから沖縄へ?


 一方、アンガマなど、8月31日から始まる旧盆の行事は、ほとんどがお休み。竹富島では、11月頃行われる島最大の神事、種子取祭の中止が地元紙に報じられていました。


 竹富島でお世話になっていたゲストハウスのおかーさんと、たまたま離島ターミナルで会いました。

 宿は、営業を続けているけれど、キャンセルがドンドン入るので、客が来てみるまで分からない状況だとか。

 予約取るのが大変な人気宿だったのに。



 夜の石垣島中心市街地。

 7月のときと比べて、さらに休業中の店が増えているように感じました。
 繁華街美崎町にある、「おーりとーり」という名の通りは、バーやスナックを始め、いわゆる接待を伴う夜の店が多いのですが、特に閑散としています。

 以前は、邪魔になるほどいたタクシーも、全く見かけません。


 普通の居酒屋などでは、客引き、というのは失礼ですが、店頭で呼び込みをしている店員がとても多かったのが印象的です。
 メニューや割引券を持って、通りがかりの人に声をかけていきます。

 多分、暇な時間を有効活用しているのでしょう。


 宮古島では、繁華街の近くに泊まらないので状況を見ていませんが、おそらく同じだろうと思います。

 


 一件の居酒屋に入ってみました。

 案内されたのは、カウンターの角席。夜7時過ぎだったのに、客は一人。その状態が何と1時間以上も続きます。


 1時間ほど経って三々五々店に集まって来たのは、店長の友達。

 店長は、30代の若手で、島出身者。色々な仕事に就きながら、昨年念願だったこの店を新規オープンしたそうです。

 「昨日は、もう少しお客さんが居たけれど、3日に1度はこんな感じです。」と言っていました。

 関東出身で、美崎町の接待を少ししか伴わない夜の店(あ~ややこしい)で働いていたという女性は、店が休業中で、肉屋でアルバイトをしているとか。

 店長の同級生で、運送業に勤めているという男性は、公共事業が減って、資材の運搬も減っているとのこと。
 コロナ禍にあって、運送業は堅調なのかと思っていたら、それも厳しいらしい。




 客である自分に気を遣ってくれて、皆離れたテーブルに座っていましたが、他に客がいないので、十分話が出来るのです。

 一方、当人達は、ひとつのテーブルに座ってマスクもなし。仲間うちではこんな感じなんでしょうかね。


 新石垣空港が出来た頃は、店を予約しておかないと夕食難民になる、なんて言われたものですが、今となっては夢のよう、いや、今が悪夢なのか。





 島内ドライブ中に、ロードサイドにある展望台などの駐車場が、軒並み閉鎖されているのに気が付きました。
 もっとも、駐車禁止にしていない場所もあり、どういう基準で分けているのか不思議でした。

  
 玉取崎展望台で、ワゴン車販売をやっていたおとーさんに話を聞いたところ、県管理地では、沖縄県独自の緊急事態宣言に併せて始めたとかで、石垣市の管理地では、このようなことはないということです。

 こんなことされて、うちらも迷惑だとも話していました。


 知事が緊急事態宣言をしたので、各部局で対応策を検討しろとか何とか言われて、道路管理課も何かやらなければと、無理無理ひねり出したのがミエミエ。

 失礼ながら、こんなトイレすらない単なる駐車スペースを閉鎖して、コロナの感染拡大を防げると本気で信じているのでしょうか。

 これは、コロナを恐れるあまり、効果は疑問だが副作用のあるワクチンに飛びついたようなものです。
 せっかく来てくれた、僅かな観光客を不安・不快にさせるという副作用です。

 それとも、何も考えずに、ただやってる感を演出するだけなのでしょうか。


 多少なりとも税金を使ったのですから、是非、効果の検証をしていただきたいものです。この駐車禁止のおかげで、一体何人の感染者増を防げたのか。




 当初は、ホテルのチェックインとか、レンタカーの借り受けとか、料理の注文とか、事務的な会話以外はしないつもりでしたが、思いがけず、色々な人から話を聞くことが出来ました。
 マスクはしていても、島の人は変わっていません。
 
 

 当ブログを読んでいただいている皆さんは、もちろん沖縄好きだと思います。

 こんなご時世ですから、多少の制約はありますが、それでもいいという人は、是非沖縄に旅に出てください。

 特に、一人ご飯の大丈夫な一人旅派は、すぐに行っても大丈夫です。


 行くな、来るなと声高に叫ぶ人もいますが、それが合理的な理由によるものか、単に思い込みで言っているだけなのか、よく聞いていれば分かります。


 幸い航空機も、宿も、予約は容易で、価格も驚くほど安いものがあります。
 東京の人もGoToキャンペーンが使える方向で検討されているとか。

 まもなく9月ですが、沖縄の夏はまだ続きます。


 国破れて山河在り
 石垣島夏にして草木深し
 時に感じてはハイビスカスに涙をそそぎ
 別れを恨んではヤモリの声にも心を驚かす

 なんてことにならないように。


 晴れた日の川平湾は、それはもうため息が出るほど美しく、日頃自分は何を悩んでいたんだったのか、忘れてしまうほどです。



 

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2020年8月25日火曜日

宮古島の「珊瑚の盛」2020




 圧倒されるような珊瑚礁。
 活き活きとした珊瑚とそこで戯れる熱帯魚を、シュノーケリングで楽しめます。ここは宮古島の南岸のビーチです。

 タイトルの2020は、以前当ブログで取り上げた場所を、今年撮った写真で改めてご紹介しようという企画です。


 というわけで、昨年に続いて今年も行ってきました、珊瑚の盛。

 命名者は、珊瑚の森と言っていますが、珊瑚特盛りのここは、「森」より「盛」の方がイメージにピッタリ。

 というわけで、当ブログでは勝手に命名「珊瑚の盛」。




 ちなみに、命名者とはこちらの方。

 当ブログで毎度おなじみの、ひでちゃんTours宮古島のゆるゆるブリンナーさんです。





 というわけで、今回もゆるゆるブリンナーさんのガイドで、出発します。

 泳ぎ初めてすぐに出会ったのがこれ。枝珊瑚の上を魚の群れが悠々と泳いでいました。最初からこれだから、もういきなりテンションが上がります。



 本当に、珊瑚特盛りです。こんな光景が、ここでもあそこでも。



 さらに凄いと思うのは、これです。

 キャベツ珊瑚とか薔薇珊瑚とか呼ばれている、リュウキュウキッカサンゴ(琉球菊花珊瑚)です。

 これまた特盛り。お皿も欠けずに、こんなに大きく、こんなに群生しています。



 見事に咲いています。本当に、薔薇珊瑚というのがよく分かります。



 こちらは、セジロクマノミ。クマノミ界のアイドルは、ニモこと、カクレクマノミですが、こちらの方が珍しい。
 セジロクマノミは、このような、触手の短いイソギンチャクしか嫌なのだそうです。

 「セジロ」はもちろん、「背白」からきています。



 くどいようですが、珊瑚特盛り。珊瑚の盛です。




 砂浜に戻って小休止?と思ったら、何と泳ぎ始めてから既に1時間40分。本当にあっという間。年甲斐もなく夢中になってしまいました。

 気が付いたら、ドッと疲れが・・・笑



 沖縄の珊瑚は、ずいぶん死滅してしまいました。主な原因は、温暖化による海水温の上昇だとされています。
 
 でもまだ、こんな素敵な場所も残っています。これ以上破壊されないよう、十二分に気を配って大切にしてほしい。もちろん、ひと事ではなく自分もです。



 何処に行けば、こんな光景が見られるのかと言われても説明が難しいので、興味のある人は、上記、ひでちゃんtours宮古島までお問い合わせください。



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2020年8月22日土曜日

池間島の絶景イキヅー でも開発で島人は怒っている




 池間島の西側にある、知る人ぞ知るミニビーチ「イキヅー」。

 綺麗な海てんこ盛りの宮古島周辺にあって、他のビーチに決して引けをとらない、絶景海岸です。

 そこで、今、ちょっとしたトラブル発生中。




 イキヅーはこんな感じ。岩に囲まれているので、砂浜の延長はあまり長くないミニビーチですが、人も少なく、とてもエエ感じです。




 また、ここの砂浜は、カメが産卵にやって来る場所であり、さらに、オカガ二が産卵をする場所としても有名です。




 ところが、このイキヅーに面した場所、島一周道路と海岸の間の私有地の木が、ばっさり伐られて、風通しがよくなってしまいました。
 
 池間島は、北側から東側にかけては、海に対してやや小高くなっていますが、西側のイキヅー辺りは、道路と海の高低差がほとんどありません。

 なので、防風林となっていた木を伐ってしまうと、道路まで吹きさらしになってしまいます。実際、台風の後には、大量の砂が道路まで飛んできたそうです。




 宮古島バブルの記事でも、防風林という言葉を使いましたが、島の人がいう防風林は、造林された森林のことではありません。

 自生している、タコノキとかモンパノキなど、風や塩害に強く、その内側の土地を守っている雑木のことです。

 島人は、長年の経験から、海沿いの防風林を切らず、その内側で生活をして来ました。宮古島に限らず、沖縄の人の生活の場は、海沿いであっても、海が見えない場所がほとんどなのです。



 私有地であれば、地主が木を切ることは違法ではありません。おそらく開発許可も不要だったのでしょう。
 しかし、荒天時に道路などに被害を与えたとなれば、全く責任なしといえるかは微妙です。しかも、どうやら私有地の境を越えて、国有地に生えていた木まで切り倒したらしく、余計に島人の怒りに火を付けたようです。

 荒らされた砂浜には、ウミガメが産卵のためやって来ることも、もうないだろうと言われています。




 土地の面積は、500㎡弱とのことなので、ホテルではなく、カフェかコテージのようなものが建つのでしょうか。

 確かに、こんな海を目の前にしながらランチが出来たらいいと思いますよ。でも、それは晴天のときだけ。海が荒れたらどうなっちゃうのでしょうか。
 何しろ、防風林を自ら切り倒しちゃったのですから。

 ホテルの建築計画もそうなのですが、どうも、開発業者は、沖縄の台風を甘く見ているとしか思えないのです。

 その土地のことを知らず、たまたま眺めが素晴らしかったからと、安易に建物を建ててしまえば、いずれしっぺ返しを食らうような気がするのですが。皆さんはどう思われますか。




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2020年8月17日月曜日

美しさを自粛中? 来間島長間浜の近況




 来間島の北西に約1㎞にわたって広がる広い砂浜。長間浜。

 駐車場は狭く、途中の道もデコボコ。最後は、砂に足を取られながら狭い道を草木をかき分けて降りると、辿り着く先はとても綺麗な海でした。

 写真家の北島清隆氏の写真集には「沖縄でもっとも美しいビーチ」のタイトルの下に、長間浜の写真が載っています。



 ところが・・・



 えっ、ウソでしょ?

 海に向かって右側、北方向に歩いて行くと、ようやく砂浜が見えて来ました。



 ここだけ切り取れば、昔と同じ綺麗なビーチが残っています。でも、ホンの100mくらい。とても、小さな浜になってしまいました。



 これは、2012年6月に撮ったもの。



 ところが、2012年9月の台風で砂が根こそぎ持って行かれました。



 しかし、翌2013年5月に行ってみると、また元に戻っていました。



 その後、台風の度に砂が削られたり、また戻ったりを繰り返したようですが、大まかな傾向としては、ここ数年、長間浜の砂は、徐々に削られているようです。

 原因は、伊良部大橋ではないかと思っています。
 伊良部大橋建設により、潮の流れが変わって、砂が北側(伊良部島方面)に流されやすくなったのではないでしょうか。

 伊良部島の渡口の浜や、伊良部大橋南側に干潮時に現れる砂州「ゆにの浜」は、従来よりも砂の層が厚みを増しています。また、同じようなことが来間大橋建設により、前浜でも起こっています。


 2019年10月に撮りました。



 再び、綺麗だった頃の2008年9月。



 こちらは、もっと前の2006年9月の写真。

 何処までも白砂の砂浜が続くパラダイスでした。砂は細かく素足で歩くととても気持ちがよい。砕ける波の泡はクリーミー。
 これなら、沖縄一と言いたくなりますよね。


 

 今年来間島に大規模なリゾートホテルが開業しました。ホテルは長間浜に直結しているわけではありませんが、ホテルの敷地の南西端にあるレストラン横から、長間浜に出られるようになっています。

 ここを降りて、右側を見ると綺麗な砂浜。しかし、左側を見てしまうと。岩場がゴツゴツな浜です。




 かつては、砂浜(国有地)で許可なく商売をやって問題になったり、「駐車場」の誘導標識に従って車を進めると、私有地の有料駐車場だったりと、トラブルも多かった長間浜。

 それも、これも長間浜が素敵なビーチだったからこそ起こりえたものです。


 海の色と、砕ける波の色は相変わらず綺麗なままです。

 こういう時勢ですから、空気を読んで自粛中?
 余計な気を遣わないでいいから、早く元の美しい浜に戻ってください。




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2020年8月13日木曜日

コロナ禍と宮古島バブル 有り余るホテルの行く末


 観光客が激増し
 公共工事やホテルの建設工事が急ピッチで進められ
 建設作業員が好待遇で県外から集められ
 アパートが作業員宿舎に充てられたため家賃が高騰し
 建築費高騰にも拘わらず地主がアパート建築に着手する
 
 そんな状況から「バブル」と言われていた宮古島。


 ここ1~2年、宮古島と周辺離島では、信じられないほどのハイペースでホテルが開業しました。
 しかも、今なお建築中、計画中のホテルが目白押し。中には、200室超、300室超という大規模なものあります。

 そんな中で、コロナ騒動が起こりました。


 当ブログでは、これまでも宮古島バブルを取り上げ、行く末を案じていましたが、仮定の話から、リアルな現実が迫って来たかも知れません。





 宮古島バブルは、コロナの前に既にピークを越えていたとも言われています。

 自衛隊基地などの公共事業が一段落し、建設作業員が徐々に減る中、人手不足のため工事が遅れがちだった新築アパートが、次々と完成しました。
 需要と供給が逆転したのは、昨年秋ではないかと言われています。


 そこにコロナです。

 2月からクルーズ船が来なくなりました。月間数万人の外国人観光客が一気にゼロ。もちろん、国内旅行者についてもご承知のとおりです。

 宮古島市の入域観光客数は、対前年同月比でいえば、4月が12.28%、5月は6.77%、6月は19.41%、と文字どおりの激減。
 7月が39.69%でやっと少し戻しましたが、8月は、全国的な感染者増から余談を許さない状況で、そうこうしているうちに、かき入れ時の夏が終わってしまいます。

 観光関連産業の従業員には、雇い止めや希望退職の嵐が吹き荒れています。

 日本中の観光業界がコロナで青息吐息ですが、宮古島は突っ走っていた分、特に激しく転倒しました。

 それでも、ホテルの建築工事はストップしません。緊急事態宣言時には一時工事が中断したり、海外からの資材の供給遅れがあったりと、計画通り進んでいないものがほとんどのようですが、観光客の少ない島内を、大型トラックが頻繁に行き交っています。




 
 楽観的な予測をして、2021年にはコロナが終息し、2019年と同じ数の観光客が宮古島にやって来るとしても、既にホテルの客室数は、2019年を軽く超えているのです。

 供給に見合った需要がなければ、つまり、2021年以降にこれまで以上に観光客が来てくれなければ、供給過多になってしまいます。
 
 しかしそれは、コロナが早期に終息する以上に悲観的だと考えます。


 新築ホテルは観光客のニーズとマッチしているのか

 最近オープンしたホテルは、トレーラーハウスのような簡易なもの、ワンルームマンションの部屋貸しみたいなものもありますが、大部分は、高級リゾートホテルの部類です。
 一番安くても、1泊朝食付きで2名1室の1人当たりの料金は1万数千円、高級な部屋になると1泊数万円といった値段設定がされているようです。

 そうすると、単に観光客が増えるだけではダメで、高級ホテル志向の人、少なくとも宮古島に行けるならば宿泊費は気にしない、という層が増えてくれなければ困ることになります。


 一般に、その宿に泊まること自体が旅の目的となることがあります。

 しかし、宮古島にあっては、高級ホテルでも、温泉・グルメという二大観光要素で勝負することはできず、そこに滞在しなければ見られない絶景があるわけでもありません。

 高級ホテルに泊まるといっても、あくまで宮古島観光の一環として、ゴージャスなホテルを選ぶだけなのだろうと思います。


 一方で、宮古島周辺には、前浜、砂山、渡口の浜、17ENDといったオールジャパンでもトップクラスの美しい海が点在していますが、そこには、レンタカーさえあれば、民宿に泊まっていても行けるのです。


 宮古島では、海に沈む夕日を泳ぎながら眺めるなどという、何とも贅沢な時間の過ごし方をする人達がいますが、そういう人達にとっては、ホテルは寝られればいい場所かも知れません。
 夜は地元の居酒屋に行きたいから、西里通りなど繁華街に歩いて行けるホテルの方がいいと思う人も多いでしょう。

 そうなると、ビーチサイドのリゾートタイプに偏重した宮古島の新築ホテルは、観光客のニーズと本当にマッチしているのか、甚だ疑問です。
 
 以前だと、インバウンド・海外の富裕層という声が聞こえて来たかも知れませんが、今、声高に言える話ではありません。



 新築ホテルは宮古島の台風を分かっているのか

 いまさらいうまでもありませんが、沖縄は台風銀座です。それも、内地では数年に一度という大型台風が毎年のようにやってきます。

 台風が接近するとホテルに閉じ込められますが、そういうときはむしろ、頑丈で設備の整っているホテルは安心です。
 しかし、近年増えているヴィラタイプのホテルでは、レストランに行くにも売店に行くにも、一旦屋外に出なければなりません。台風の時には扉を開けるだけでも危険です。


 さらに台風直撃ともなると、橋が通行止めになります。

 伊良部島や来間島などのホテルに泊まっていると、欠航便の変更手続のために宮古空港に行くことすらできないのです。高級ホテルの客でも台風は容赦してくれません。


 また、単独では最大と思われる329室のホテルが、2023年に開業する予定ですが、場所は、トゥリーバー地区という、中心市街地からやや離れた埋め立て地です。

 ここは、埋め立て地だけあって平坦な土地ですが、当然、防風林など全くない風の通り道です。「あんな所で台風に遭ったら凄いよね」というのが島の人の声です。

 伊良部島の南岸のビーチサイドにも、ホテルが続々と増えています。


 ところが、宮古島の外周道路は、海が見える場所をほとんど通っていません。台風時に防風林で守られる造りになっているからです。
 



 ホテルだけが増えても遊び場である海は増えない

 今年2月、来間島に169室という大型リゾートホテルがオープンしました。
 これは、宮古島市としては、東急やシギラエリアホテル群に次ぐ、大規模リゾートです。

 満室ならば、1室2名としても3百数十人が滞在することになりますが、ホテル施設内に止まる客はほとんどいないでしょうから、その人達はどこかに遊びに行きます。

 遊びに行くといっても、基本的に海しかない宮古島です。

 前浜や砂山などのビーチ、インギャーマリンガーデンや東平安名崎などの絶景スポットに、それぞれ何十人単位で分散することになるのでしょうが、それだけ一気に増えると、落ち着かないと感じる人が多いのではないでしょうか。
 観光客激減の今年ですら、名だたるポイントには、それなりの人出があるのです。

 フナクス、中の島、吉野海岸などのシュノーケリングポイントでは、そんなに人が増えたらキャパオーバーです。

 最近記事にした、保良泉鍾乳洞(パンプキンホール)のように、既にキャパオーバー寸前の場所もあります。

 船で行く、ダイビングやシュノーケリングのツアーも、客が増えれば船は増えるかも知れませんが、人が増えれば、珊瑚や熱帯魚のストレスとなり、ポイントは荒れてしまいます。船が増えることによる危険も懸念されます。 


 さらにその上、新規の200室・300室分のホテル客が参戦すると、一体どうなちゃうのでしょうか。


 その反面、海は増えません。

 せいぜい、今まであまり人の行かなかったビーチの周辺に駐車場を造り、行きやすくすることぐらいでしょう。
 でも、そんな場所はもうあまり残っていません。いい場所は、口コミであっという間に広まり、駐車場があろうがなかろうが、訪れる人が増えていきます。


 むしろ、開発によって遊び場となる海が減っていくかも知れないのです。

 宮古の海が綺麗なのは、川らしい川がなく、大雨でも土砂が海に流れ出さないことが理由のひとつとされています。
 隆起珊瑚の島である宮古島は、降った雨が地面に浸透し、そのまま海に流れ込むことはありませんでした。

 下の写真をご覧ください。


 大雨の後、海に向かって泥水が流れ出しました。開発がなければにこのようなことは起きなかったかも知れません。

 その時の海中の様子です。この状態が続いたら、太陽光が届かず珊瑚の生育に悪影響をもたらします。

(写真二点提供:「ひでちゃんtours宮古島」)

 ホテル建築によって、宮古の海はむしろ劣化する恐れもあるということです。



 海に定員はありませんが、適正人数というものがあります。

 あまりに人が多い、のんびり出来ない、ずっと前から予約しないとダイビングにも行けない、珊瑚も少なくなったとなれば、いくらホテルがあっても、空港があっても、橋があっても、観光客はいずれ離れていくでしょう。

 つまり、観光客が今後も増えたとしても、それは一時的で、何処かで頭打ちになります。何処でそれが起きるのか。ずっと先かも知れませんが、来年なのかも知れません。


 市も、バブルの波に乗って、15万トンのクルーズ船が埠頭に接岸するための工事をしている真っ最中。
 併せて、海外の観光客が買い物などを楽しんだり、宮古の歴史など感じることができる交流厚生用地を整備する(宮古毎日新聞)としていますが、大変失礼ではありますが、今時こんな構想をしている場合ではないと思うのですが。




 バブルに踊り、コロナで痛い目にあった観光地宮古島。明るい兆しが見えない中、今なお増え続ける宿泊施設。
 果たして、この先どうなるのでしょうか。考えられるパターンは、だいたい3つだと思います。

パターン1
 コロナのダメージは一過性で、1~2年遅れで、観光客の右肩上がりの増加が復活し、ホテルも活性化する。

パターン2
 コロナが終息しても観光客の延びは鈍く、ホテルは供給過多になり、価格競争の末、倒産も発生する。

パターン3
 コロナ後、観光客の伸びは緩やかであるが回復し、ホテルは供給過多気味ではあるものの、業態変更や、サービス内容の変更などで共存できる。


 パターン1が、ホテル事業者にとってベストな流れでしょう。でも、それが難しそうなのは、縷々書いてきたとおりです。
 仮に、このとおり展開したとしても、遊び場である海が増えない以上、長続きはしないのではないでしょうか。

 パターン2は、従来からの宮古ファンにとっては悪くない話だと思います。これ以上人が増えず、旅行代金も上がらない、いや、むしろ高級ホテルに安く泊まれることになるかも知れません。
 しかし、ホテルが破綻すれば、失業者も出ます。関連する多くの業者も影響を受けてしまいます。
 閉鎖されたビーチサイドのカフェ、使われなくなったイスやテーブルが無造作に砂浜に積み上げられた姿など、あまり想像したくありません。


 そうなると、パターン3、すなわち「ほどほど」がベストなのでしょうが、多分これが一番難しい。
 
 そのためには、誰かが調整役を買って出る必要があります。これこそ、市の役割です。

 きちんとした、観光マスタープラン的な方針を立て、将来を見据えて、最も重要な観光資源である海を守りつつ、観光関連産業を最低限保護し、そして、従業員の生活も守る。そんな政策を市に期待したいのですが・・・


 でも、多分無理でしょうね。
 前からずっとそんなことを思っているのですが、一向に動きはありません。、
 

 もっとも、市は、コロナでの件では他地域のような過剰な反応を示さず、その点は好感が持てました。何もしない、というのが宮古島市の特徴なのかも知れません。

 市がやらないなら、誰かが代わって、その役割を果たしてくれないでしょうか。
 団体とか、事業者とか、たとえ個人であっても、長期的な視点で、宮古島のあるべき姿を考えてくれる人を、たいした役には立てませんが、当ブログとして応援させていただきます。

 コロナ後の宮古島がどうなるのか、目が離せません。


 
 宮古島バブルに関しては、以前にこんな記事も書いています。

 宮古島バブル 宮古島はどうなっちゃうの?




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2020年8月9日日曜日

竹富島でよく見かける花 アサヒカズラ




 ハートの形をしたピンクの小さな花。アサヒカズラ(朝日葛)です。


 「沖縄でよく見かける花」シリーズの一環のつもりだったのですが、掻き集めたアサヒカズラの写真が、一点を除き、全て竹富島で撮ったものだったので、素直に、「竹富島でよく見かける花」というタイトルにしました。 笑


 というわけで、竹富島とアサヒカズラ。




 もちろん、アカカズラは、竹富島固有の花ではありません。メキシコ原産で、熱帯、亜熱帯の各地に広く生息し、主として園芸用に育てられています。

 別名、珊瑚藤、ニトベカズラともいうそうですが、ニトベカズラは、元台湾総督府の新渡戸稲造さん(元五千円札の人)から由来したそう。
 ということは、台湾にも多いわけですよね。




 竹富島は、竹富島憲章に基づいて、島中で植栽に努めています。

 しかし、例えばハイビスカスは、沖縄中何処でもみられます。アサヒカズラも、探してみれば、沖縄中何処にでもあるものの、写真に撮りたくなるようなまとまったものは、竹富島が何故か圧倒的に多いのです。




 調べていくうちに、アサヒカズラは、園芸用に植栽した物の種がこぼれて、野生化するケースがあるのだとか。

 もしかしたら、竹富島はそのケースでしょうか。そう言えば、石垣の外側にもはみ出して咲いていることが多いような気がします。




 この花を撮っていると、蜂がいることが多いので、要注意です。ブンブン音を立てて花にまとわりついています。
 蜂は、きっとハイビスカスやブーゲンビリアよりもこの花が好きなんですね。




 中央下に蜂が潜んでいます。ミニカマキリの運命やいかに?




 花言葉は、愛の鎖。愛があるかどうかは別として、確かに鎖っぽい。




 こちらの花は、名前は似ているのに、全く違う花、アリアケカズラ(有明葛)。別名アラマンダです。




 ピンクの花は、青空が似合います。暑い沖縄の夏。それでも、こんな花も楽しめます。




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