かつて、「海の暴走族」「海のハイウェイスター」「硬派のアンエイ」の異名をとった石垣島の船会社安栄観光。
海が荒れても「アンエイなら行ってくれる」という島民の厚い信頼の下、八重山の海を爆走していました。
それが今や、老体に鞭を打って頑張っている・・・みたいなことに。
下は、6月5日の安栄観光の公式 Xです。時刻表がスッカスカ。
こんなに減っちゃっているの?
衝撃だったのでHPを確認したら、スカスカな上に張りぼても。黒島航路の1.5往復は竹富経由。
つまり、黒島行きが一部竹富島に立ち寄ることで、竹富航路5往復を確保していることになります。
往時は、竹富航路だけで17往復していたのに。
もっともこれは、6月19日までのにダイヤで、6月20日からは夏ダイヤとなり、一応昨年並みの運航は確保されるようです。
それでも八重山観光フェリーには及びません。しかも、八重観は3月1日から既にこのダイヤを組んでいるのです。
さらに安栄観光は、上原航路接続バスも廃止しました。
これは、石垣・上原航路に接続して、西表島の上原(船浦)~白浜間で運行されていたもので、船の利用者は、乗船券を買うときに申し出るだけで無料で乗れるたので、島民だけではなく観光客の利用も少なからずありました。
それにしても、どうしてこんなことになっちゃったのでしょうか。そんなに経営が厳しいのでしょうか。
もちろん経営が楽な訳はないでしょうが、根本的な原因は、近頃日本中で良く聞く、人件費高騰、燃油や資材の高騰に加え、人手不足、高齢化、働き方改革なんだそうです。
特に船会社は、労働集約産業です。船の接岸作業をみればよく分かりますが、全然自動化されていません。
経験も技術も体力も必要な3K仕事で、ベテラン社員の退職が続いた安栄観光は、かなりのピンチだったようです。
それに燃油高騰が追い打ちをかけます。まさに泣きっ面に蜂。
行政の補助がないわけではありません。
国の交付金を原資とした県の補助金がありますが、昨年度は、14事業者に計5億8千万円ほどが補助されています。
(沖縄県HP)
しかし、八重山航路で補助を受けているのは、与那国行きの福山海運を除いては、安栄観光の波照間航路だけです。
補助の要件に「競合路線がない」という項目があるからです。
八重山航路の大部分は、安栄観光と八重山観光フェリーが競合しているため、どちらも補助を受けられません。
他にも、船舶の新造、改修に対する一部補助とか、船員が移住してやって来る場合の支度金補助とかもありますが、まあ言っちゃ悪いが、焼け石に水といったところです。
それでも、八重山観光フェリーは何とか頑張っているのだから、とつい思ってしまいます。
当ブログでは、2017年以来度々安栄観光についての記事を書いてきました。
あれから10年間。残念ながら安栄観光は、衰退の一途を辿っているかのように見えてしまいます。
何故安栄観光に肩入れするのか、それは昔の「アンエイ」を知っているからです。
かつては、八重山の各航路は、八重山観光フェリーとのダブルトラックで、特に竹富航路は、毎時00分と30分に両社の船が同時に石垣港を出発し、アンエイ船は八重観船をぶっちぎって竹富港に到着するという、悪ガキのような痛快な光景を繰り広げていました。
「アンエイ」は、創業当時、乗組員として海人(=漁師)を集めたそうですが、冒頭に書いたように、「海の暴走族」「海のハイウェイスター」「硬派のアンエイ」などと本当に言われていたのです。
飛行機が台風か何かで揺れると、「飛行機がアンエイで」みたいなギャグが普通に通用していました。
「アンエイ」とは揺れる、飛ばすの代名詞のようでした。
それもそんなに大昔のことではありません。20年ほど前までは「アンエイ」走りが普通でした。悪ガキ「アンエイ」は、島民にも観光客にも人気者でした。
ところが平成20年(2008年)初頭、荒れる波照間の海をいつものように豪快にかっ飛ばしていたら、運悪く船内に怪我人が出てしまい、それ以来、お上に目を付けられ、悪ガキは大人になったのです。
(その経緯はこちら。)
そんな愛すべき悪ガキだった安栄観光が、今や老体に鞭を打って夏場だけは何とか頑張るオジサン、みたいになってしまったのは、とても寂しいことです。
昔は悪ガキだった安栄観光も、昔から大人だった八重山観光フェリーも、八重山の島々にとって文字どおりの生命線、なくてはならない存在です。
苦境を乗り越えて、捲土重来を期していただきたいと心から願います。
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