2026年6月8日月曜日

愛すべき悪ガキだった? 石垣島安栄観光の憂鬱

 


 かつて、「海の暴走族」「海のハイウェイスター」「硬派のアンエイ」の異名をとった石垣島の船会社安栄観光。
 
 海が荒れても「アンエイなら行ってくれる」という島民の厚い信頼の下、八重山の海を爆走していました。

 それが今や、老体に鞭を打って頑張っている・・・みたいなことに。



 下は、6月5日の安栄観光の公式 Xです。時刻表がスッカスカ。



 こんなに減っちゃっているの?

 衝撃だったのでHPを確認したら、スカスカな上に張りぼても。黒島航路の1.5往復は竹富経由。
 つまり、黒島行きが一部竹富島に立ち寄ることで、竹富航路5往復を確保していることになります。

 往時は、竹富航路だけで17往復していたのに。




 もっともこれは、6月19日までのにダイヤで、6月20日からは夏ダイヤとなり、一応昨年並みの運航は確保されるようです。




 それでも八重山観光フェリーには及びません。しかも、八重観は3月1日から既にこのダイヤを組んでいるのです。




 さらに安栄観光は、上原航路接続バスも廃止しました。

 これは、石垣・上原航路に接続して、西表島の上原(船浦)~白浜間で運行されていたもので、船の利用者は、乗船券を買うときに申し出るだけで無料で乗れるたので、島民だけではなく観光客の利用も少なからずありました。



 それにしても、どうしてこんなことになっちゃったのでしょうか。そんなに経営が厳しいのでしょうか。

 もちろん経営が楽な訳はないでしょうが、根本的な原因は、近頃日本中で良く聞く、人件費高騰、燃油や資材の高騰に加え、人手不足、高齢化、働き方改革なんだそうです。

 特に船会社は、労働集約産業です。船の接岸作業をみればよく分かりますが、全然自動化されていません。
 経験も技術も体力も必要な3K仕事で、ベテラン社員の退職が続いた安栄観光は、かなりのピンチだったようです。

 それに燃油高騰が追い打ちをかけます。まさに泣きっ面に蜂。



 行政の補助がないわけではありません。

 国の交付金を原資とした県の補助金がありますが、昨年度は、14事業者に計5億8千万円ほどが補助されています。

(沖縄県HP)


 しかし、八重山航路で補助を受けているのは、与那国行きの福山海運を除いては、安栄観光の波照間航路だけです。
 補助の要件に「競合路線がない」という項目があるからです。

 八重山航路の大部分は、安栄観光と八重山観光フェリーが競合しているため、どちらも補助を受けられません。


 他にも、船舶の新造、改修に対する一部補助とか、船員が移住してやって来る場合の支度金補助とかもありますが、まあ言っちゃ悪いが、焼け石に水といったところです。


 それでも、八重山観光フェリーは何とか頑張っているのだから、とつい思ってしまいます。


 当ブログでは、2017年以来度々安栄観光についての記事を書いてきました。
 あれから10年間。残念ながら安栄観光は、衰退の一途を辿っているかのように見えてしまいます。




 何故安栄観光に肩入れするのか、それは昔の「アンエイ」を知っているからです。

 かつては、八重山の各航路は、八重山観光フェリーとのダブルトラックで、特に竹富航路は、毎時00分と30分に両社の船が同時に石垣港を出発し、アンエイ船は八重観船をぶっちぎって竹富港に到着するという、悪ガキのような痛快な光景を繰り広げていました。

 
 「アンエイ」は、創業当時、乗組員として海人(=漁師)を集めたそうですが、冒頭に書いたように、「海の暴走族」「海のハイウェイスター」「硬派のアンエイ」などと本当に言われていたのです。

 飛行機が台風か何かで揺れると、「飛行機がアンエイで」みたいなギャグが普通に通用していました。
 「アンエイ」とは揺れる、飛ばすの代名詞のようでした。

 それもそんなに大昔のことではありません。20年ほど前までは「アンエイ」走りが普通でした。悪ガキ「アンエイ」は、島民にも観光客にも人気者でした。


 ところが平成20年(2008年)初頭、荒れる波照間の海をいつものように豪快にかっ飛ばしていたら、運悪く船内に怪我人が出てしまい、それ以来、お上に目を付けられ、悪ガキは大人になったのです。

 (その経緯はこちら。)




 そんな愛すべき悪ガキだった安栄観光が、今や老体に鞭を打って夏場だけは何とか頑張るオジサン、みたいになってしまったのは、とても寂しいことです。
 

 昔は悪ガキだった安栄観光も、昔から大人だった八重山観光フェリーも、八重山の島々にとって文字どおりの生命線、なくてはならない存在です。

 苦境を乗り越えて、捲土重来を期していただきたいと心から願います。



新着記事は、X(Twitter) と Facebookでお知らせしています。

スマホでご覧の方へ
    最下欄の「ウェブ バージョンを表示」をタップしてウェブ バージョンに切り替えると、過去記事の検索などの機能が使えます。



0 件のコメント:

コメントを投稿