難航している竹富町の訪問税ですが、それとは別に、竹富島では、2019年から島に行く人に入島料の支払いを求めています。
訪問税は、全島が対象で税金なので強制徴収、入島料は、竹富島だけのオリジナルで支払いは任意です。
当ブログは、訪問税には反対していますが、逆に入島料の趣旨に賛同し、かつての記事では「僭越ながら、当ブログとしても、応援させていただきます。」なんて書いたこともありました。
あれから7年。今、素直に応援しますという気になれなくなっています。
今回は、その辺のお話を詳しく。
(開始当初のチラシ)
竹富島の入島料は、「祖先より受け継ぎ育んできた自然、祭事や習慣、伝統工芸や町並みを、皆さまとの協働で10年後、20年後・・・100年後とつないでいく」ことが目的とされています。
海浜清掃、珊瑚の保全など、入島料を財源に行う24の事業を挙げているほか、その3分の1をトラスト活動に充てるとしています。
トラストとは、自然環境の保全及び持続可能な利用の推進を目的として、地域内の土地等を取得することで、開発事業者等から、土地を取得する資金に充てることができます。
海浜清掃、珊瑚の保全など、入島料を財源に行う24の事業を挙げているほか、その3分の1をトラスト活動に充てるとしています。
トラストとは、自然環境の保全及び持続可能な利用の推進を目的として、地域内の土地等を取得することで、開発事業者等から、土地を取得する資金に充てることができます。
かつて、コンドイ浜に隣接する土地でリゾート開発計画が進められ、島民はこれに強く反対しました。
この計画は、コロナという神風のおかげもあって頓挫したようですが、私有地である以上再び開発計画が持ち上がる可能性もないとは言えません。
そこで、トラスト基金によって、そういった土地を買い上げようとするものです。この場合、一定の条件下で国の補助金も得られます。
だからこそ、頑張って欲しいと当時は思ったのです。
この事業は、一般財団法人竹富島地域自然財団によって行われています。財団の収入は、入島料のほか、営利事業、補助金、寄附などによって賄われています。
2020年度の入島料収入は592万円でした。これは、竹富島に行った人の10.5%が入島料を支払った計算になります。
同様に、
2021年度: 732万円(13.7%)
2022年度:1,289万円(11.2%)
2023年度:1,135万円( 9.7%)
2024年度: 945万円(8.0%)
となります。
問題は支出です。公表されている最も新しいデータは2024年度のものですから、この年の収支を詳しくみていきます。
総収入は1,337万円
(入島料945万円・助成金245万円・その他収入が145万円)
注:端数処理しているので合計額と一致しません。
支出の内、管理費が537万円、そのうち役員報酬が207万円・給与手当が192万円となっています。
助成金とは、環境省所管の地球環境基金からの助成金で、御獄の保全活動などに助成されたものです。
これを見て気が付くのは、
管理費が高すぎる。
ということです。
助成金は、10%以内の範囲で事務費として使用できるので、管理費の内25万円が助成金から支出されたとしても、残り512万円は入島料収入とその他収入の合計1090万円の中からから支出された計算になります。
これは助成金以外の収入の約47%に当たります。
中でも役員報酬が気になります。役員報酬の207万円は、助成金を除いた収入額の約2割を占めます。
そうすると、入島料300円のうち、60円ほどが役員報酬に廻され、90円弱が給与費その他の管理費として使われ、実際に事業に使われるのは150円ちょっと、という可能性が高いのです。
いや、可能性どころか、財団の収益構成からすれば、「当たらずといえども遠からず」であることは確実です。
しかもこれは、決算書を追いかけて初めて分かる数字です。「お支払いいただいた入島料の50%弱は、財団の管理費に使わせていただきます」というアナウンスはどこにもありません。
役員報酬は、2020年度は51万円でした。2022年度に81万円になって、2023年度には205万円に跳ね上がっています。
ですが、2023年度に役員の増員があったわけでもありません。明らかにされていない何らかの理由があって、役員報酬が改定されたのです。
追記:
このブログをアップしたのは8月25日ですが、8月24日に2025年度の決算が発表されています。
後日、分析して、追記するか、別記事でアップします。
過去記事にも書いたことがあるのですが、2023年頃から竹富港のターミナルで「入島料の納入はお済みでしょうか。まだお済みでない方は・・・」という放送が頻繁に流るようになりました(今年は確認していませんが)。
「納入」という日本語は、義務を前提とした言い方です。任意の協力金に対しては不適切な用語ですが、最初は単なる言葉の問題だと思っていました。
実は、もっともっと深い意味がありそうなのです。
(竹富町の第2次竹富島地域自然資産地域計画より)
自分の不勉強を恥じるしかないのですが、正直に告白すると、この事業は、竹富島が独自に行っているものだとばっかり思っていました。
しかし、そうではなくて、行政としての竹富町の事業であり、島の財団に事業委託をしていたのです。
委託といえば、普通は、委託料を払って代わりに事業を行ってもらうとか、料金の徴収事務を代わりにやってもらって手数料を払うといったことが多いのですが、本件の委託はちょっと変わっています。
入島料(町では入域料と呼んでいます)の収受、その管理・運用まですべて委託しているのです。
つまり、入島料という仕組みを創ったから、それを使って財団を運営して事業をしてくれ、という委託なのです。
そもそも、そんな委託の仕方があるのか、という気もしますが、それは措くとしても、このケースでは町の責任はどうなるのでしょうか。
仮定の話ですが、財団が不正な経理をして第三者に損害を与えた場合、町は賠償責任を負うのかといった問題です。
この辺がどうもスッキリしません。
また、興味深いことに、竹富町の第2次竹富島地域自然資産地域計画には、入島料の支払いは任意としながらも、竹富町民等は徴収免除の対象とするという記述があります。
徴収という日本語は、法律に基づいて強制的に集めるという意味です。
その上、竹富町民は「徴収」が免除されているわけですから、「自分達の島のために入島料を払おう」と思っても、制度上はその受け皿が用意されていないことになります。
これは摩訶不思議ですよね。
2018年11月21日に八重山日報が報じたところによれば、当時、任意という前提ではあるものの、船の運賃に上乗せして「徴収」する条例が検討されていたが、船会社が拒否したため、今の方式になったそうです。
例えば、竹富島往復乗船券が1500円だとすると、窓口で券を買おうとすると1800円が請求されます。
そして、「入島料は払いません」と申し出ると、1500円になるような仕組みが考えられていたようです。
船会社は、その手間を嫌ったとされています。
つまり、任意といいながら限りなく税金に近い制度設計をしていたようで、これは紛れもなく、訪問税のフォアランナー(先駆け)であったわけです。
「納入はお済みですか」は、不適切だと思っていましたが、当事者にとっては、「何が問題なの?」という感覚なんでしょう。
この事業は、2019年に始まりましたが、5年ごとに見直すとされています。
5年目を控えた2023年11月1日、町と財団からなる地域自然資産協議会が開催され、次の5年の事業計画が検討されました。
沖縄タイムスは同月5日、この協議会に関し、「収入目標は年間6000万円だが…実際は1100万円 なぜ停滞?」という記事を掲載しています。
それによれば、当初は運賃上乗せができなくても、4割くらいは払ってくれるだろうから、来島者が50万人として、6000万円くらいの収入になると見込んでたようですが、捕らぬ狸の何とやら、に終わったようです。
それに加えて、入島料を払ってくれる人の割合は、2021年度の13.7%をピークに年々減少し、2023年度は9.7%、2024年度は8.0%まで落ち込んでいます
それでも、収入に応じて管理費を縮小するといった、身の丈に合った運営に変更されることはありませんでした。
その結果、半分ほどしか事業に使われない入島料の「納入」が呼びかけられる、それが竹富島の入島料の現在地だと言えます。
赤瓦の屋根の木造の家、石積みの塀、舗装をせず白砂を撒いた道、咲き乱れる花。
竹富島の伝統集落は、竹富島にとどまらず、全沖縄を代表する景観ですが、その陰で島民の生活の利便性は大きく制限されています。
それでも伝統を守っていこうとする島民の姿勢を、自分はリスペクトし、及ばずながら協力したいと思っていました。それは、素直な気持ちでした。
しかし、次に行った時に入島料を払うかと問われば、「ノー」かも知れません。
竹富島憲章には、「美しい島を守る」という項目の中に「道路、各家庭には、年二回海砂を散布する。」という条項があったのですが、2017年に削除されています。
※ 竹富町の計画については、こちら。
※ 財団の収支については、こちら。
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