竹富島や西表島に行くと、もれなく1000円の税金が付いてくる。
そんな竹富町の訪問税ですが、既に条例が制定され、実施に必要な手続として国と協議中でしたが、どうやら国から差し戻されたようです。
6月12日付け琉球新報デジタルは、「国が同意せず」と報じました。
また、5月26日の参議院決算特別委員会で答弁した総務省の福田官房審議官は、
「町民を一律で非課税とし、町民以外だけを課税対象とすることが公平なのか、様々な手段による訪問者がある中で適切に税を徴収することができるのか、といった論点について指摘している」
と述べています。
どういうことなのでしょうか。
竹富町の訪問税は、竹富島、小浜島、黒島など竹富町の各島に行く人に、1人1回1000円の税金を課すものです。
目的はオーバーツーリズム対策。だから、竹富町民は非課税。しかし、集めた税金はオーバーツーリズム対策に限らず町が自由に使える「普通税」なのです。
当初案では、船の運賃に上乗せして徴収する方式で、早ければ、2024年度から実施したいとしていました。
しかし、安栄観光、八重山観光フェリー、石垣島ドリーム観光が、徴収事務を許否したため、申告納税方式に改めた上、昨年の6月13日の竹富町議会で、賛成10、反対1で竹富町訪問税条例が可決成立しました。
地方公共団体が、新たに税金を課すためには、地方税法の規定により総務大臣の同意が必要です(普通税の場合669条)。
ただし、総務大臣は、協議があれば原則として同意しなければならず、次の場合に限って同意しないことができるとされています(671条)。
1 国税又は他の地方税と課税標準を同じくし、かつ、住民の負担が著しく過重となること。
2 地方団体間における物の流通に重大な障害を与えること。
3 前2号に掲げるものを除くほか、国の経済施策に照らして適当でないこと。
国会答弁で明らかになった、「町民を一律で非課税とし町民以外だけを課税対象とすることが公平なのか、様々な手段による訪問者がある中で適切に税を徴収することができるのか」という点は、上記の項目に当てはまらないようにも見えますが、国は、税の公平性といった根本原理を指摘したようです。
問題点は二つです。
一つは、竹富町民には税が課されないことです。
税金には、普通税と目的税があります。目的税はその名の通り特定の目的のために課す税金です。
例えば、オーバーツーリズム対策のために使うための税なら、目的税です。
ですが、竹富町の訪問税は普通税です。オーバーツーリズム対策に限らず、町が自由に使える財源です。なのに何故町民には課税しないのか、国はそこを突きました。
二つ目は、税の徴収の公平性です。
訪問税は、島に行った人が、自ら申告書を提出し、併せて納税する仕組みです。
しかし、島に行った人が申告・納税をしない場合でも、町がそれをすべてを補足し滞納処分をすることができるのか、できなければ真面目に払った人との間で不公平ではないか、という問題です。
ザル法という言葉があります。ザルから水がすり抜けてしまうように、抜け道や例外が多く、法律としての規制や効果が十分に果たされていない不備な法律を意味するのですが、今のままでは、竹富町訪問税条例は画に描いたようなザル法、ザル条例です。
この点、訪問税条例には、別の規定もあります。町長が特別徴収義務者を指定することができるというものです。
特別徴収義務とは、本来の納税義務者から税を預かってまとめて納税する義務です。
つまり、安栄観光など船会社を特別徴収義務者に指定し、運賃に1000円上乗せ徴収をして町に払えと命じることが、条例上はできることになっています。
しかし、船会社がノーと言っているなかで、一方的にそんなことをしたら、反発は必至です。
以下推測ですが、
町は、国との協議に時間がかかることを見越して、機能不全を承知で申告納税方式で一旦条例を創り、協議の間に船会社を説得するつもりだったのではないでしょうか。
しかし、「船会社はそのうち説得するから、取り敢えず今の条例で同意してね。」という作戦は、国に見透かされたようです。
国は、最終的に地方財政審議会という第三者機関に諮ってから同意するかどうかを決めます。
琉球新報は、「国は不同意」と報じましたが、まだ審議会には諮られていません。
したがって、今の段階では、審議会に諮っても同意を得られない可能性が高いから、もう一度見直したらどうか、と町に投げ返した段階だと思われます。
もちろん町は、「条例は手直ししない。白黒ハッキリしてくれ。」と突っ張ることは可能です。
ただ、どう転んだところで、町が目指していた2026年度中の訪問税実施は、もう間に合わないことは確実で、一番最初に想定していた2024年度からは相当遅れることになります。
当ブログは、最初から訪問税に反対しています。
行く度に1000円も取られるのは嫌だという率直な思いもありますが、それは措くとしても、税の仕組みがおかしいと思うからです。
税の使い道をオーバーツーリズム対策に限定した目的税とするか、使途を定めない普通税にするならば、町民も課税対象にしないと理屈に合いません。
別ページにしたのは、マニアックな法律の話なので、ブログに書いても退屈なだけかなと自嘲したのです。
そのとき、このページの閲覧数が100を超えたら自分で祝杯を挙げたい、なんて書いたのですが、いつの間にか閲覧数は239に達していました。
細かい法律の話でも、読んでくれる人が一定数いるということが分かって、ちょっと気を良くしております。
この竹富島訪問税の仕組みには、もっと色々な課題があることが分かってきました。そんな話や、訪問税のフォアランナーと言うべき竹富島の入島料の話も、近いうちに書きたいと思います。
当ブログは、当初から「沖縄に関すること」というのが唯一の縛りで、その中で自分が書きたいことは何でも書いて来ましたが、特に最近は、水着女子から法律や税まで、ちょっと暴走気味ですんません。
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