2017年7月30日日曜日

失敗しない沖縄風景写真の撮り方 花編Ⅱ




 失敗しない沖縄風景写真の撮り方 花編の続きです。

 被写体の花はバッチリOK。それでも、失敗しちゃったケースです。



露出の失敗

 露出で失敗した例です。ゆうなは、花と葉っぱのコントラスト差が大きいので、平均的な露出で撮ると、こんな中途半端な写真になってしまいます。  

 グッと花に近寄って露出を決めると、ゆうなの花らしい写真になりました。なお、露出については、第1回の海編Ⅰを参照してください。



被写体ブレ

 この写真の目玉は、何と言ってもハイビスカスですが、肝心の花の部分がブレてしまいました。これは、風による被写体ブレです。

 花は軽いので、ちょっとした風でも揺れてしまいます。風が強いときは、大きく揺れてファインダーの中で花が上下することも。
 しかし、風は強く吹くときでも、必ず息継ぎと呼ばれる風が止む瞬間があるので、そこまで待ってシャッターを押してください。何分も待つということは、普通ありません。ちょっとの間の我慢です。



微妙にピントが・・・

 ハイビスカスをアップで撮りました。これだけ接近するとピントの合う範囲がせまくなるので、雌しべにはピントが来ていません。

 ハイビスカスをアップで撮る場合、その特徴である雌しべにピシッとピントが来ていないと、どうも据わりが悪いんですね。 

 オートフォーカスでは、ピンポイントで雌しべにピントが合いにくい場合があるので、その場合、面積の大きい花びら辺りでピントを固定し、ファインダーを覗きながら雌しべにピントが合うまで、カメラの方を前後させるといいようです。
 ちなみに、ハイビスカスは、黄色いのが雄しべ、先っぽの赤いのが雌しべだそうです。



 そして最後に、失敗というより、より美しく花を撮るためのテクニックとして、背景処理についてお話します。
 海を撮るときには、背景をどうしようか考えることはありませんが、色々な場所に咲いている小さな花の写真は、背景を選びます。


 青空の下、ハマユウの花が美しく咲いていましたが、白い花が白い雲と重なってしまい、ちょっと煩い感じです。

 少しカメラを振って雲とできるだけ重ならないようにし、ついでに下側の砂浜もカットしたら、スッキリしました。



 一番メインのハイビスカスの花の雌しべが、後ろの葉っぱと重なって目立ちません。

 ホンのちょっとカメラの位置を下げることで、ハイビスカスを引き立たせることができました。色合いのバランスも悪くないと思います。



 ストレリチア(極楽鳥花)という花です。本当に鳥のような花。この奇妙な形が目立つような背景で撮りたいところです。

 そこで、こんな風に撮ってみました。もう少し下に潜れれば良かったのですが、この場所では、これが限界でした。



 前回も書きましたが、花は逃げません。
 花がどう写るか、背景はどうなっているか、ゆっくり観察した上で、露出、ピントを確認して撮ってください。

 一瞬のシャッターチャンスで勝負する分野ではないので、高価な機材や高度なテクニックが必要というわけではありません。丁寧なリサーチによって、誰でも、プロと並ぶような素敵な写真を撮れる可能性が十分にあります。


 失敗しない沖縄風景写真の撮り方シリーズ。あと、夕日編も書きたいのですが、少しお休みします。

 次回は、8月3日更新予定です。この日で、当ブログは5周年となります。


2017年7月26日水曜日

失敗しない沖縄風景写真の撮り方 花編Ⅰ




 失敗しない沖縄風景写真の撮り方。海編に続いて、今回から花編です。

 そもそも花って綺麗ですよね。
 沖縄らしい原色の花は、青空や海に映えます。
 それで、わぁ~きれい!とばかりシャッターを押したけれど、後で見たら、大したことなかった、今イチだったということがよくあります。

 花を撮るときは、慌ててシャッターを押さず、まずじっくり観察してください。これに尽きます。



 まずは、こちらをご覧ください。青空と青い海をバックに咲くハマユウ。これを見つけたとき、とても綺麗に見えたのです。
 しかし、よく見ると、花びらの枯れた部分が汚い。


 それで、花びらが綺麗に揃ったハマユウを探しました。これならば、写真として鑑賞に堪え得ると思います(ただし、よ~く見ると左側に葉っぱのようなものが1本。これがなければもっとよかった。)。

 
 花というものは、第一印象は無条件で綺麗です。それで、思わずカメラを向けるのですが、撮って後から見ると、花にちょっとでも枯れたり傷ついた部分があれば、どうしてもそこに目が行ってしまうのです。

 花の形が綺麗に整っているか確認し、そうでなくても、撮りたくない部分を隠すようなアングルがないか探してから、シャッターを押すといいと思います。
 どうしても無理、というケースもありますが、ちょっとの工夫でグッとよくなることもあります。



 こちらは、花の左奥に、萎んだ花が写ってしまいました。
 百合系の花は、一つの茎にいくつかの花をつけますが、咲き終えた花が、萎んだまま散らずに残ってしまいます。
 この写真は、奥の雑草の穂もうるさい。撮る前のチェックが甘かったようです。

 花の右方向に回り込み、下から見上げるように撮れば、邪魔物を隠せたかも知れません。


 アザミを、海を背景に撮ることが出来ました。しかし、肝心の花がゴチャゴチャしています。下の方に枯れた花も。
 背景を海で抜く事に気を取られ、肝心の花に注意が向かなかった失敗です。



 せっかくツマベニ蝶がハイビスカスに止まってくれたのに、花に傷が。惜しい!蝶に、もっと綺麗な花に止まってと頼むわけにもはいかず・・・
 ハイビスカスの花は、汚く枯れることはないのですが、時々花びらが虫に喰われます。


 雨に濡れた八重咲きのハイビスカス。いい感じですが、枯れ枝が絡まっています。可能ならば、この枝を取り除きたいところ。


 バナナとアラマンダ(有明葛)。色彩的にも綺麗で南国情緒を彷彿させますが、茶色の枯れた花が、アラマンダに重なって気になります。


 反対側に回り込んで撮りました。見たくない部分が上手く隠せました。



 花一輪ではなく、数多くの花が咲いているシーンとなると、さらに難しい。
 画面の中に、バランスよく花が咲いていてくれないと、散漫な写真になってしまいます。


 赤いサルスベリの花と黄色いアラマンダの花に、青空と緑も加わり、とても綺麗で思わずシャッターを押しました。
 が、改めて見ると、主題が不明確で、何を撮りたいのだか分からない写真になってしまいました。少なくとも右下の1/4は全く不要です。



 ランタナです。ピンクと黄色が揃って色は綺麗ですが、ただ撮っただけの散漫な写真になってしまいました。左の枝も邪魔です。



 アサガオ系の花が、まとまって咲いていました。何も考えずに撮ったら、真ん中やや右寄りに萎んだ花が写ってしまい、全体に美しくありません。


 グッと寄ってみて、ほぼ咲き揃っているところでフレーミングしました。花びらが濡れている感じもよく出て、上の写真よりは、気持ちよく見られると思います。



 テンニンギク。この花は、次々と花びらを散らすので、咲き揃うことがまずありません。綺麗に咲いている花を選んでアップで撮るしかないようです。



 青空にひまわり。花はいっぱい咲いていますが、バラバラで揃っておらず、インパクトに欠けます。 


 そこで、一輪の花に迫ってみました。花が咲き揃っている訳ではありませんが、インパクトは出せたと思います。



 花は、逃げないので、どこからどう撮るか、ゆっくり考える時間があります。

 花を撮るときに、いきなりシャッターを押さず、一呼吸置いてまず観察してみる。
 これだけで、確実に一歩、いい写真に近づきます。花の写真を撮る際に、是非心に留めて置いてください。

 次回も、花編の続きです。その他の失敗例です。



2017年7月22日土曜日

失敗しない沖縄風景写真の撮り方 海編Ⅱ




 前回に引き続き、失敗しない沖縄風景の写真の撮り方、海編の続きです。

 今回は、恥ずかしながら、自分がよく失敗する典型的なケースをご紹介します。
 
 おぉ、やったゼィ!と思ってモニターで確認したら、あ~惜しい!なんてことがよくあるのですよ。

 だいたいそういうときに限って、いいのが撮れてんだよなぁ~


あぁ 余計なものが

 コーラルブルーの海と白砂の砂浜が綺麗に撮れました、が、右端に余計なものが。
 沖縄らしい美しい海は、せっかくだから広角で撮りたいところですが、ゴミ、打ち上げられた海藻、石など邪魔な物が画面に入っているのに気づかずに、シャッターを押してしまいます。 


 自分は未だ、この手の失敗が一番多いのです。
 海辺で太陽にギラギラ照らされている状況では、視界は明るく眩しく、しかも、テンションが高くなっていることもあって、注意力が散漫になるからでしょう。

 これを避けるためには、やはり冷静にファインダーを見て、気を付けるしかありません。邪魔物があれば、それをどけるか、それより前に進むか、あるいは、カメラの位置を低くすると目立たなくなることもあります。

 また、仕上げの段階で、トリミングするとか、画像処理ソフトで修正可能な場合もありますので、せっかくの傑作を諦めないでください。



水平線が水平じゃない

 撮っている時は、ほとんど気が付かないのですが、後でよく見ると気になるのが、水平線です。
 この写真のように、水平線がホンのちょっと傾いていると、致命的ではないのですが、やはり気になります。出来れば、下の写真のように、本当に水平の方が安定感があります。

 その原因ですが、自分の場合は、ですが、どうもシャッターチャンスに気合いが入り過ぎて、肩に力が入ってしまうことのようです。

 手ぶれの原因にもなり得ますので、力を抜いて、軽~くシャッターを押しましょう。笑

 なお、上の写真程度の傾きならば、画像処理ソフトで修正可能です。
 また、敢えて、画面を傾けて撮る、というのはもちろんありですが、意図せず、中途半端にナナメってしまうと、何か素人っぽい写真に見えてしまいます。



ピントが合わない シャッターが切れない

 30年前の一眼レフならともかく、今時のカメラは、オートフォーカスなので、ピント合わせなんて必要ないはずなのですが・・・

 モンパノキと背景には綺麗な海。蝶が飛んで来て絶好のシャッターチャンスとばかり、シャッターを押しました。


 が、拡大してみると、ビミョーに何処にもピントが合っていない。泣

 出来れば蝶に、それがだめでも、葉っぱの先端辺りには、カチッとしたピントが欲しかった。詳しいメカニズムは分かりませんが、カメラがフォーカシング仕切れない状態のまま、シャッターボタンを押してしまったのでしょう。
 う~ん。残念。


 一般に、オートフォーカスは、コントラストのない被写体は苦手です。一面青い海のようなシチュエーションでは、なかなか反応してくれません。
 また、こういうときに、シャッターボタンを押しても、シャッターが切れない、ということがあるかも知れません。これは、カメラの設定で、ピントが合わないとシャッターが動かないようにしてあるためです。設定を解除するか、波立っている所、海の色の変わり目、船などを探してピントを合わせてください。
 マニュアルフォーカスとモードに切り替えてもいいですが、ちょっと面倒かも。

 正確なフォーカシングは、カメラの性能そのものであり、高価なカメラ、新しいカメラの方が若干有利ですが、それでも、望遠レンズ使用時、接写時などでは、細かいピント合わせに狂いが生じることがあります。

 一瞬のシャッターチャンスでなければ、念のため、同じものをもう一枚撮っておくことをお勧めします。連写ではなく、一旦リセットして、もう一度ピント合わせから始めれば、2回続けてピントをロストすることは少ないでしょう。



波の動きが速い
 
 波、というか、水の動きは意外と速くて、何も考えずにシャッターを押してしまうと、中途半端な写真になってしまいます。

 乗船中の船から外の景色を撮りました。
 上の写真は、これでもシャッタースピード1/320なのですが、波しぶきが完全に流れてしまいあまり美しくありません。

 こちらは、シャッタースピード1/2000。さすがにこれなら、しぶきもピタッと止まりました。

 P(プログラム)モードで撮影している場合は、シャッター優先に切り替え、高速シャッターを選択してください。必要ならISO感度も上げてください。

 

 続いては、失敗というより、事前に下調べしたおいた方がいいですよというお話です。

干潮時は悲惨な海

 小浜島細崎の干潮時の海です。天気はよかったのですが、これではいくら何でも。

 潮が満ちてくるとこんな感じです。とても同じ場所とは思えません。

 珊瑚礁に囲まれた沖縄の海は、遠浅な場所が多いのです。だからこそ、泳いだりシュノーケリングしたりするのに適しているのですが、浜辺から海を美しく撮るには、たっぷりの海水が必要です。 

 泳ぎに行くならともかく、写真を撮りに行くのに潮の満ち干まで調べて行くことは少ないと思いますが、場所によってはこんなことになっちゃうので、やはり要注意です。

 潮の状況は、気象庁のHPなどで調べられますが、大雑把にいうと、満月・新月の時は、正午頃が干潮、その6時間前と後が満潮で、それが、毎日小1時間ほどのペースで遅くなって行きます。


 港、橋の上、展望台から撮る場合は、海が深いので、さほど問題ないですし、ビーチでも、宮古島の前浜とか、伊良部島の渡口の浜のように、砂浜が沖の方まで続くところでは、干潮時でも、変わらず綺麗に撮れます。

 一方、竹富島のコンドイ浜や、黒島の仲本海岸のように、干潮時は海が干上がってしまい、一見つまらない光景に見えるのですが、沖の方まで濡れずに歩いて行けるので、いつもと違った美しい海を撮ることが出来る場所もあります。




順行線と逆光線では・・・

 下地島17END西側の海。上は、日没3時間ほど前に撮ったもの。これはこれで綺麗ですが、午前中に撮った下の写真と比べると、あまりの違いにビックリします。

 順光線とは、被写体に対してカメラの方向から光が当たること、逆光線は、その反対です。
 光をどのように捉えるか、それはもうアートの世界ですが、順光線は被写体の色や形をはっきり正確に描写しますので、特別な狙いがない限りは、風景写真は、順光線の状態の時に撮るのが定石です。

 17ENDのように西側に面した海は、東から日が当たる午前中がベスト、石垣島川平公園のように東向きの海は、午後の順光線を狙います。


 
 最後に番外編です。

プロのように美しく撮るには?

 プロのように、青空や雲を鮮やかに撮るにはどうしたらいいのか、というご質問がよくあります。

 プロカメラマンは、ほとんどPLフィルターというものを使って撮っています。
 PL(Polarizing Filter)フィルターとは、偏光フィルターのことで、レンズの前面に装着して使います。

 偏光グラスと同じで、反射光を防ぎ、色彩のコントラストを高める働きをもつものです。サイズによって値段が異なりますが、高いものでも数千円程度なので、アマチュアカメラマンでも使う人が多くいます。



 ただ、自分も買ったのですが、ほとんど使っていません。
 空や雲が、見た目以上にクッキリスッキリ写ってしまうことや、海面が、見た目以上にグリーンがかって写ってしまうためです。
 乱反射を押さえると海の色が緑色になるなんて、沖縄の海の色は何と繊細なのかと思ってしまいます。

 PLフィルターを使うことで、作品に明らかな違いがでるので、風景写真を綺麗に撮るための秘訣として指南されることも多いのですが、万能ではないので、そこはご自身で判断してください。

 
 ついでに紹介すると、世に出回っている写真のほとんどは、撮影後、パソコン上で画像処理されています。また、ほとんどのカメラで、設定で、撮影時に彩度(色の鮮やかさ)やコントラストを調整することができます。
 デジタルの世界では、元のデータをいくらでも変更することが可能です。
 画像処理は、それ自体アートであるという反面、やり過ぎると、写真という範疇からは遠ざかって行くような気がします。


 プロが撮ったとされる沖縄の写真でも、極端に色鮮やかなもの、例えば、やけにブルーが綺麗だとか、やけにグリーンが鮮やかだったりするものは、ほぼ間違いなく色補正されています。
 浅い海では、底の砂のベージュ色が被るので、純粋なブルーはあり得ません。黒島や与那国島の牧草地は、実際は、鮮やかな緑色をしているわけでもありません。
 

 プロだから美しい写真を撮るのか、プロだから上手く見せるのか、何とも微妙な作品が、少なからず出回っていることは、知っていてもいいと思います。


 
 失敗しない沖縄風景の写真の撮り方、海編は今回で終了し、続いて、沖縄の花編に移ります。
 

 

2017年7月18日火曜日

失敗しない沖縄風景写真の撮り方 海編Ⅰ




 沖縄の美しい海を写真に撮ったのに、見た目ほど綺麗に撮れない。スマホで撮った写真の方が綺麗だった。カメラが悪いのか、それともウデが悪いのかとお悩みの方へ。

 カメラもウデも悪くありません。
 原因は、最近のカメラは優秀なので勝手に色々なことをしてくれますが、それがカメラマンの意図と合わないためです。
 スマホカメラは、スマホのディスプレイ上では、そこそこそれなりに見えるように設定されています。
 

 写真の撮り方を教えろ、というご要望は以前から多かったのですが、自分が試行錯誤しながら撮っている状態で、「上手な写真の撮り方を教えます」なんて、とてもおこがましくて言えませんでした。
 ただ、見た目のとおりの写真が撮れない、という点に関しては、アートとかセンスとかの問題ではなく、カメラの使い方、つまり、テクニックの部分なので、それならお役に立てることも少しはあるかなと考え、重い腰を上げることにしました。


 上手な写真の撮り方に関しては、プロが書いた、風景写真の指南書がいくらでもありますので、そちらをご覧いただくとして、これだけは知っておくといいですよ、という知識やテクニックと、自分がよくやる失敗の例も併せて紹介しますので、参考にしていただいて、沖縄で満足の行く写真を撮ってください。





 見た目ほど綺麗に撮れないのは、ほぼ間違いなく露出(Exposure)の問題です。

 露出とは、センサー(昔ならばフィルム)に光を当てることです。
 今のカメラは、適正な露出を自動的に判断(Auto Exposure)し、シャッタースピードとレンズの絞り値を決めてくれます。

 露出は、不足すると黒っぽく、オーバーすると白っぽく写るのですが、一つの画面に、例えば、空、海、砂浜、草木があるとすると、それぞれ光の反射率が違うので、適正露出も異なります。

 カメラが判定した適正露出による画像と、人間が見た目の印象が違うこともあります。沖縄の海の砂は、白砂と呼ばれますが、厳密には白ではなくベージュのような色です。砂に露出が合ってしまうと、砂は茶色っぽく、海は黒っぽく写ってしまいます。
 また、草木に露出が合ってしまうと緑は鮮やかに出ますが、逆に海は白っぽくなってしまいます。

 ですから、コーラルブルーの海を美しく撮りたければ、露出は海に合わせてください。そうすれば、砂は白っぽく、草木はちょっと濃いめの色に写るはずですが、これでほぼ見た目のイメージどおりだと思います。



 上の写真では、葉っぱは、鮮やかな色になりますが、海を綺麗に撮るには、露出オーバーです。


 上の写真は、砂浜に露出を合わせましたが、海の色は暗くなってしまいました。


 一般に、カメラは、初期設定では、構図の大部分を占める被写体だったり、被写体全体の平均値(厳密にはもっと色々なことを計算しています)だったりを瞬時に計算し、適正露出とします。
 晴れた日に、全面海だけを撮るならば、カメラ任せで問題ありませんが、空、雲、砂浜、草木、岩など色々なものがある場合、また、太陽光線が、背中から当たる順光線ではない場合、一番美しく撮りたいもの(海とか夏の雲とか)にピタッと露出を合わせてくれなければ、カメラマンの撮りたい写真にはなりません。



 そこで、露出をコントロールするために、AEロックという機能を使います。AEロック(Auto Exposure Lock:AEL)とは、露出を固定する機能です。


 今時のデジカメは、コンパクトカメラでも一眼レフでも、写真に写るのと同じ状態が、あらかじめファインダーやモニターで確認できるますから、まず、撮りたい構図でカメラを構えてみて、一番撮りたいものが、暗いとか、白っぽいとか感じた場合は、ファインダーなどを見ながらカメラを上下左右に動かしてみて、露出が合っていると感じたところで、AEロックボタンを操作し、改めて撮りたい構図でシャッターを押せばOKです。



 宮古島の名勝、東平安名崎を撮りました。

 構図の大部分を占めるのは、岬そのものなので、カメラは、岬の緑に露出を合わせました。しかし、ここでは、海の美しさを表現したい。
 そこで、カメラをずずっと左方向に振り、海に露出が合ったところで、AEロックし、また元の構図に戻したら、意図したとおり美しい海が撮れました。



 もう少し精密に露出を決めたい場合は、測光モードをスポット測光にしてください。カメラが露出を決める際、中央部分だけの明るさを測光する機能です。
 

 他に、分割測光とか中央重点平均測光などの機能があります。色を正確に再現するより、複雑に光の当たる被写体を自然な感じで表現したいとか、とにかくシャッターチャンスを優先したい場合などには有利ですので、上手く使い分けてください。


 一番綺麗に表現したいもの(例えば海)をファインダーの真ん中に持ってきてシャッターを半押しすると、カメラが、その部分の適正露出を計算します。
 そのままシャッターを押しても構いませんが、それでは、撮りたいものが、常に画面の真ん中に写ることになってしまいますので、訂正露出が得られたら、AEロックで固定し、後は好きな構図でシャッターを押せばよいのです。
 

 スポット測光とAEロックの使い方は、メーカーによって、カメラによって異なるので、分からなければ取扱説明書を読んでください。最近のカメラならコンパクトカメラでも、装備されていると思います。

 

 なお、それでも、説明書を読んでもよく分からない、操作が面倒、そこまで写真に凝らない、という場合は、メインで撮りたいものが画面の大部分を占めるような構図にすれば、カメラ任せでもほぼ大丈夫です。
 

 砂浜、船などが小さく写っている程度なら問題はありません。空は全体の1/3以下を目安にすれば、海中心の色合いが表現できるはずです。 


 露出をマスターすれば、見た目ほど綺麗に撮れないという問題は、ほぼ解決するはずです。

 今時のデジタル製品は、色々な機能があり過ぎで、ほとんど使いこなせません。カメラもしかり。分厚い説明書なんて、今更読む気もしないですよね。

 でも、構図をどうするか、露出を何処に合わせるかは、簡単に言ってしまうと、何をどう撮るかということです。
 露出を狙ったとおりに決められるよう、そこの部分だけでもマスターし、カメラを使いこなしてください。

 高価なカメラ、大きな一眼レフでないといい写真が撮れないなんてことは、絶対にありません。


 今回は、露出の話だけで終わってしまいました。次回に続く。