2024年3月6日水曜日

竹富町の訪問税について続報



 竹富町で検討中の訪問税。1回2千円とされていましたが、さすがに高いと思ったのか、千円にするそうです。

 竹富町の訪問税について、その後の情報です。町は迷走気味です。

 (以前の記事は、こちらをご覧ください。)




 琉球新報などが報じたところによれば、町は、住民説明会を開いた結果、観光客らに課す訪問税の税額を、1回2千円から千円に減額し、当初目指していた3月中の議会での可決をあきらめ、6月に延期するそうです。

 議会で成立した後、総務省との協議が必要ですから、少なくとも今年の夏の新税は、完全になくなりました。



 まだ高いけれど、千円なら仕方がないかなと思いがちですが、これは、心理学で言うところのドア・イン・ザ・フェイスです。


 最初に無理なお願いをして断られたら、少しハードルを下げてお願いすると、相手は言うことを聞いてくれる可能性が高くなるというものです。

 よく引き合いに出される例としては、男の子が女の子をデートに誘ったら断られた。そこで男の子は、「お昼ご飯一緒にどう?」と誘うと、女の子はお昼くらいならまあいいかとOKする、というのがあります。


 ちなみに、ドア・イン・ザ・フェイスの名前は、セールスマンが訪問先で、断られた後でもドアから顔を突っ込み、ドア越しにお客さんとやり取りをする姿が由来とされているそうです。


 そもそも、税額は目的と必要性から決められたはず。評判が悪いから半額にしとくね、と言われても、始めからきちんと見積もりしたの?と突っこみたくなります。


 町のHPには、訪問税条例案が掲載されています。

 条例案の第1条には、「竹富町への多くの観光客等の来訪によって発生し、又は増幅する行政需要に対応するため」と書いてありますが、第3条により町が自由に使える普通税となっており、以前に地元紙に報じられたものと変わってはいません。


 また、この中で驚いたのは、5千円で1年間有効の年間パスポートというか、サブスク制度を導入するとか。

 これはもう謎です。税金なのにお得意様割引きがあるんですか。

 そもそも、訪問税はオーバーツーリズム対策でしょ。ならば、6回以上来ればおトクですというのは理屈に合わないと思いませんか。

 



 竹富町には、竹富町観光案内人条例というのがあります。

 主として西表島において、ツアーガイドを免許制にし、エリア毎に一業者がガイドできる客の上限を定め、違反者には罰則を科するという内容が含まれています。


 今、この条例が営業の自由を保障する憲法に違反する、と訴えられています。

 訴えによれば、一業者がガイドできる客数を制限しても、観光客が減らなければ自然環境の保全には繋がらず、実態は、環境保護に名を借りた小規模業者の優遇であり、規制の目的と手段がマッチしていないというのです。

 確かに、一業者当たりの客数を制限しても、事業者や観光客の総数を制限しなければ意味ないし、安全面でいうならば、一業者当たりの客数ではなく、一ガイド当たりの客数を制限すべきです。
 
 事実このとおりであれば、誠に当を得た指摘であり、裁判で町はどのように反論するのか注目されます。


 なお、この条例の第1条には目的として、「観光旅行者等の生命及び身体の保護並びに竹富町の財産である優れた自然環境の保全を図るとともに、とりわけ西表島等における持続可能な自然観光事業を推進し、 もって永続的な地域社会の発展に寄与することを目的とする。」と書かれています。



 また、沖縄タイムスが報じたところによれば、町は、現在禁止されている西表島でのキャンプを、自然体験ツアーに限って解禁することを検討しているとのこと。

 同記事では、地元の公民館の代表は、「キャンプ場以外ではキャンプ禁止と理解しており、十分な説明がないまま許可されるのは納得がいかない」、「ウミガメやアジサシ類、ヤマネコの保護が優先で、キャンプ禁止が望ましいのでは」と訴えたとしています。


 こうした一連の動きをみると、町の姿勢には一貫性がなく、本気でオーバーツーリズム対策に取り組んでいるのか疑問に思うのですが、いかがでしょうか。




 NHKの沖縄NEWS WEB(3月1日配信)によれば、竹富町の前泊町長は、訪問税導入に関し、

 「国や県におんぶにだっこという状況がいつまでも続いてはならない。今この環境をしっかり守り次につなぐために、町民の皆さんにご理解いただきたい」と述べた、

ということです。


 この発言は結構重要なポイントだと思います。

 町の税収は、歳入総額のわずかに4%未満。残りの大半は、地方交付税を始めとする補助金や交付金に支えられています。

 これを少しでも自主財源に置き換えたいというのは、町政を運営する立場として分からなくはありません。



 しかし、条例の目的は、「竹富町への多くの観光客等の来訪によって発生し、又は増幅する行政需要に対応するため」ですよね。


 オーバーツリズム対策に金がかかるから、その分は観光客も負担してくれ、という趣旨に読めますが、実は、観光客の増加に乗じて新たな財源を確保するのが狙いだったのでしょうか。

 だから、使途の限られた目的税ではなく、自由に使える普通税にするのでしょうか。

 訪問税を払ってくれる観光客はWelcomeだから、年間パスポートも発行するからじゃんじゃん来てね、ということなのでしょうか。


 オーバーツーリズム対策というのは、羊頭狗肉ではないでしょうか。
 
 町民はすべて非課税というのは、使途が観光客のためにかかる費用に限られるからではないでしょうか。
 町が豊かになるための税金ならば、むしろ、町民こそが真っ先に負担すべきではないでしょうか。


 こういった疑問に対して、町はどのように説明するのでしょうか。

 



 なお、竹富町では、今月31日まで訪問税に関するパブリックコメント(意見募集)を行っています。



 NHK沖縄NEWS WEBは、こちら

 竹富町の訪問税に関するパブリックコメント(意見募集)については、こちら


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