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2023年11月12日日曜日

島人が乗ってくれない 石垣島のバス会社の奮闘

 


 人手不足、燃油費の高騰、オーバーツーリズム、島民のバス離れなど、矛盾した課題を抱えながらも奮闘する、石垣島のバス会社、東(あずま)運輸のお話です。


 バス会社ですから、お客さんが乗ってくれないことには商売にならないのですが、何しろ、島人はバスに乗ってくれない。

 昨年3月に公表された石垣市公共交通計画によれば、全くバスを利用しない人が59.3%に上り、年に1回~3回しか利用しない人12.6%と併せると、島人の7割以上の人がバスとはまったく無縁の生活をしています。

 逆に、ほぼ毎日バスを利用する人は僅かに0.5%なのです。


 交通手段分担率では、自動車(運転)77%、自動車(同乗)6%、徒歩6%、バス1%などとなっていました。

 石垣市の人口は、直近の10月末で50,151人ですから、バスを通常の移動手段としている人は500人ほど。
 毎日バスに乗ってくれる人は、250人程度しかいないのです。

 これでは、バス会社もお手上げでしょう。





 一方、新石垣空港と市街地や離島ターミナルを結ぶ路線は堅調です。

 新空港開港当初は、旧市街地を経由して終点のバスターミナルまで行く4系統と、リゾートホテル経由の10系統がそれぞれ30分間隔で運転されており、空港からは、市街地に向かうバスが15分間隔で運行されていました。


 その後、空港・港直行のカリー観光バスの運行が始まり、両社仁義なき戦いを繰り広げた時期もありました。


 コロナで観光客が減少する中、ホテル経由の10系統を削減しつつ、生活路線を兼ねる4系統は維持しましたが、コロナ回復後にはバス路線も回復すると思いきや、今年7月から却って減便されてしまいました。

 何故? 理由は、人手不足だそうです。

(※12月から2便が復活予定)


 東運輸は、占領下の昭和25年(1950年)に発足しました。

 この当時は、通勤・通学と言えばバス利用が当たり前で、通勤・通学に合わせた運行ダイヤが編成されるなど、バスは住民生活に密着した存在でした。

 市街地と集落の間での物品輸送もバスが行っており、車掌(当時は車掌が乗務していた)は、集落の住民から受けたメモを片手に買い物もしてくれたそうで、客だけではなく貨物も混載した車内はいつも満杯だったとか。

 そんな時代もあったようです。 




 この会社では、もの凄くコスパの良いフリー切符を販売しています。

 1日乗り放題1000円の「1日フリーパス」と、なんと5日間乗り放題2000円の「みちくさフリーパス」です。

 1日券といっても、実は24時間券です。5日券にいたっては120時間券です。空港・バスターミナル間の片道運賃が540円であることを考えると、相当使い勝手のいい乗車券です。


 この夏、バスに乗って、米原、川平といった観光地を巡ったのですが、短区間チョイ乗りの人を除けば大半の人は、フリー切符の利用者でした。
 価格を考えると、当然でしょう。


 何故こんなに気前のいい切符を売っているのか、これは想像ですが、島人がほとんどバスに乗らない中、空気を運ぶよりはマシだということではないでしょうか。

 乗客がいなければ、運転手のモチベーションも上がりません。何でもいいからとにかくバスに乗ってもらいたい、そんな会社の姿勢が垣間見えるような気がするのですが。





 全国のバス会社はこれまで、利用客の減少による収入減に対処するため、徹底した合理化を図ってきました。

 分社化などによる総務費の削減などもありましたが、労働集約産業であるバス業界では、人件費を削らないことには話になりません。

 各社とも、管理部門の人員を削減したり、乗務員を子会社の従業員に移管し労働条件を下げるなどして、何とかやり繰りして来ました。

 しかし、コロナ禍を経て、人手不足、従業員の高齢化など、元々抱えていた「基礎疾患」が悪化し、これ以上の無理はできないとばかりに、減便や路線廃止を行う会社が増えています。


 東運輸とて例外ではありません。

 空港線4系統は、白保、宮良、大川、真栄里などの主要な集落と中心市街地を結ぶ生活路線も兼ねています。
 その4系統だけを残して他の路線を全て廃止しても、生活に支障の出る石垣島民は、極僅かです。これが現実です。

 そんな中、便数の多寡はともかく、全島くまなく巡らされている路線網は何時まで維持されるのか、予断を許さない状況に既に突入していると思います。


 鉄道にしろバスにしろ、路線廃止となれば、必ず地元から反対運動が起こります。しかし、乗りもしないで廃止反対と言っても説得力はありません。
 

 地元民がバスに乗らない中で、観光客需要に支えられて何とか凌いで来た、石垣島のバス会社、東運輸。
 十年くらい先には訪れるであろう、自動運転まで、東運輸の奮闘は続くでしょうか。

 


 
 石垣市交通計画については、こちら


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2019年9月14日土曜日

ちょっとしか役に立たない八重山のバス・高速船情報


カリー観光の直行バスが混んでいる!


 石垣空港・離島ターミナル間で直行バスを運行するカリー観光。

 新空港の開業に合わせて、6年前にスタートしましたが、なにかと冷遇され、当初は、乗客が2~3人で出発、などという時期もありました。

 当ブログでは、判官贔屓で応援していたのですが、なんと最近は、モタモタしていると乗り切れないほどの混雑振りなのです。

 
 カリー観光では、トランクルームのあるハイデッカータイプの車両と、一般車両が混在しているのですが、特に、一般車両の時は悲惨です。

 大きな荷物を倒れないように手で支えながら、つり革につかまって30分我慢する、なんてことがないよう、2019年夏現在としては、出発5分以上前にバス停に行くことをマジでお勧めします。


 実際、空港・港間では、早くて、かつ、安いのですから、これは当然の結果です。是非増便して、20分間隔で運行してください。 

 



安栄観光の高速船を予約してみた



 予約しなくても乗れることは分かっていましたが、話のタネに安栄観光のwebsiteで、波照間往復便を予約をしました。

 往復予約したにも拘わらず、復路はオープン発券。
 思わず窓口で確認しちゃいました。「往復予約したんですけど。」「復路はお好きな便にお乗りいただけます。」

 何のための予約ぅ~? 笑

 ついでに、もう一つ突っ込むと、購入時にスマホで予約画面を見せるか、プリントアウトしたものを見せろと書いてありましたが、実際には窓口で名前を言うだけでOKでした。


 ただ、予約することで若干メリットがあります。運賃が約5%安くなります。波照間往復の場合、6,790円のところが。6,500円に。

 

 なお、大原・波照間、小浜・竹富などの島間航路は、鳩間便を除き、あらかじめ予約をしておかないと乗れないとか、そもそも船が立ち寄ってくれないことがありますからご注意を。



波照間航路にエース投入


 2年前の夏、波照間島のムシャーマで、あいさつに立った公民館長が、「いよいよ波照間島に大型高速船が就航し、これで欠航が大夫少なくなる。」と豪語したそうですが、島民期待の星、双胴船「ぱいじま2」が波照間航路に就航しています。

 安栄観光の高速船も徐々に大型化が進んでいますが、この船は、何と210人乗り。かつての波照間航路専用船、あんえい78号は46人乗りだったのです。

 しかし、デカすぎて、波照間港のポンツーン(浮桟橋)に停泊出来ず、フェリー用の護岸に着船しています。


 とにかく、海が荒れて欠航の多い波照間航路。その就航率を10%改善することを目指して、ぱいじま2が導入されました。
 小型船が運休となる日でも、ぱいじま2だけは運航される日が増え、就航率の向上の面では効果が出ているそうです。


 ただし、この船は遅い。所要時間は従来の約60分から約90分に。風向きのよってはもっとかかります。

 この船は、揺れるときでも、ウィーン、ウィーンと八の字に揺れます。昔のあんえい78号のようにジャンプはしません。



小浜島、竹富島航路は波動輸送


 安栄観光と八重山観光フェリーが共同運航体制になってから、便数は減りましたが、船舶に余裕が出来たためか、機動的な運用が行われています。

 特に乗客の多い、竹富島航路、小浜島航路等に関しては、列に並んでいる人の数を、カチカチとカウントして、多い場合には、続行便が運航されています。

 
 例えば、竹富港で船を待っていると、船が2隻続いて来ることもありますが、竹富島から乗る乗客が少なければ、2隻目の船はそのまま帰ってしまいます。

 逆に、竹富港で待っている人の数が多く、石垣から来た船に乗りきれない場合は、もう1隻が回送でやって来ます。

 いずれにせよ、乗りたい人が、予約無しで全て乗れるのは、大変結構なことです。
 
 だから、往復予約してもオープン発券されるのでしょうか。笑


 なお、黒島便は、相変わらず空いているので、このようなことは見たことがありません。




 スマホでご覧いただいている方へ 過去記事の検索方法はこちらをご覧ください。



2015年7月6日月曜日

石垣空港連絡バス情報2015年版


 新石垣空港開港以来、当ブログでは、空港アクセスが不便だ不便と散々ぱら書いてきましたが、今年6月から、新たな展開が。

 別会社の新規参入です。

 「カリー観光」という観光バス会社による、石垣空港~離島ターミナル間、ノンストップ便の運行が始まりました。

 早速、空港から港まで乗ってみました。
 運賃は、片道540円。従来から運行していた「東運輸」と同じですが、所要時間は30分。時刻表による比較では東運輸バスより7~17分早いことになります。

 空港出口正面の一番いい場所は、タクシーで占領されているので、バスに乗るには出口に向かって左側方面に歩かなければなりませんが、カリー観光バス乗り場は、東運輸バス乗り場のさらにバス1台分先にありました。

 バス停に近づくと、両社の従業員が、客引きかと思うほどしつこく「何処まで行くのか」と聞いてきます。 笑
 これは、もちろん誤乗車防止の意味もあるでしょうが、カリー観光バス便は、離島航路利用者のためのシャトル便という扱いで、市街地に行く人は乗らない、という前提で免許/許可が行われたためと邪推しています。

 でも、市街地に行く場合でも、東運輸バスの終点「バスターミナル」で降りるつもりの人は、「港に行く」と言って、カリー観光バスに乗って港まで行っちゃった方が早いです。


 しかし、車両は東運輸バスと同じタイプ。トランクで荷物を預かってくれるハイデッカータイプではありませんでした。残念。

 空港出発後、運転手がなんと観光ガイドを始めました。
 さすが観光バス会社。

 ぱいぬ島とは、沖縄の方言で~から始まって、白保の集落は何処何処からの移住者が多く~宮良の集落は何処何処からの移住者が多く~請福酒造は元パイナップル工場跡地に作られ~宮良川にはマングローブが~日本最南端のマックが~夏川りみの生家~と最後までほぼ途切れることなく続きます。

 運転手:「左手に見える海は太平洋で、ずっと行くとアメリカです。」
 乗 客 :「・・・」


 帰り(港→空港)も同じ話を聞かされるのかと思うと、ちょっと驚異でしたが、さすがにそれはありませんでした。
 しかし、宮良橋通過の際、マングローブ林が見易いよう、速度を落として運転したのには、観光バス会社のプライドを感じましたな。 笑
 

 カリー観光バスのノンストップ便は、細かいメリットがいくつかあります。

 順調走行した場合、予定時刻より早く着くことがあります。途中停車するバスは、バス停を時刻表より早く通過してしまうわけにはいかないため、道が空いていても途中で時間調整しますが、ノンストップだと、早く着いて文句を言う人はいませんから、どんどん走ります。実際、自分が乗った便は、港行きが29分・空港行きが28分と、予定の30分より若干早着しました。

 平得交差点からバイパスを通るので、中心市街地を通る東運輸バスより、信号待ちが少なくより確実です。
 途中乗車がないので、発車後空いている席があれば荷物を置いたりできます。
 料金先払いなので、降車はスムーズです。扉も2箇所が開放されます。
 
 料金・乗り心地(ガイドをどう評価するかを別として)は同じで、所要時間は短いので、このカリー観光バスのノンストップ便は使えます。

 ただし、本数が少なすぎる。
 1時間に1~2本の運行なので、乗りたい時に乗れるとは限らない。東運輸バスは、実質15分置きの運行ですから、この点では勝負にはなりません。
 また、東運輸バスは、便利なフリーパスが使えます。


 新聞報道によれば、東運輸バスも対抗して、ノンストップ便の運行を検討しているとのことです。
 何故、最初からやってくれないのだ、という気もしますが、今後、競争による利便性の向上に期待したいと思います。
 この会社は、空港発便では、始発なのに整理券を取らせる、ターミナル発便では、窓口で乗車券を買わせ、運転手がはさみを入れる、といった、不思議な儀式がありますが、乗客目線で使い易さを検討していただきたいと思います。

 路線バスとしてのポテンシャルは、ハードもソフトも東運輸バスの方がずっと上なので、本気を出せば、きっと使い易い公共交通システムができるでしょう。


 一方、カリー観光バスには、
 運行本数を増やして欲しい。1時間2本の定時運行になれば便利です。
 座席の一部を撤去して荷物置き場にして欲しい。そうすれば、実質の乗車人数も増えるし、安全走行にも繋がると思います。
 小銭の要らない千円で、往復券を発行して欲しい。囲い込みなるので、会社としてもメリットがあると思います。


 頑張れカリー観光!
 負けるな東運輸!

2013年10月10日木曜日

八重山離島航路と新石垣空港連絡バス情報

 その日の未明に台風が接近した石垣島。
 午後には風も収まり、飛行機の発着も平常に戻っていましたが・・・


 石垣港離島ターミナルは完全閉鎖。運航の見通しを聞こうにも、中にすら入れない。まさに「取り付く島もない」という感じですな。 



  その離島航路ですが、最近は以前より時間がかかるようになっています。

 例えば、竹富航路の場合、所要時間は10分~15分とされていますが、最近では10分で到着することはなく、下手をすると15分でも着かないことがあります。。
 時刻表では、石垣港発が毎時00分と30分、竹富港発が15分と45分となっていますが、このダイヤは、石垣港出港後10分程度で竹富港に到着し、4~5分で乗客の乗り降りを終えて15分後には石垣港に向けて出港する前提で組まれていますが、このような状況では必然的に竹富港発便は出発到着とも遅れが生じます。


 海のハイウエイスターなどと言われたA社ですが、乗客に怪我人が出たことからあまり飛ばさなくなりました。
 特に港内では徐行、他船とすれ違うときは最徐行しますので、航続距離が短い竹富路線では影響が大きいようです。

 安全確保が目的であれば、望ましいことではありますが、それならば時刻表を修正してもらいたいものです。

 昔のように、これは公共交通ではなくアトラクションかと思うほどガンガンぶっ飛ばしていたのが懐かしいですな。

 当面の間、特に離島発石垣行きの便は、少し遅れる前提で予定を組んだ方が無難です。
 石垣港から、他島行きの船に乗り換える場合や、バスで空港に向かうときは想定接続時間に10分程度余裕をみておくと安心です。




 ところでまったくどうでもいい話なんですが、牛の島黒島からどうやって牛達を石垣島まで運搬するかご存知でしたか?
 

 普通の貨客船に車と同じように積んでいました。安栄観光「ぱいかじ号」。

ドナドナ~みたいな。

 

 さて、話題を変えて、ここでも再三書いた新石垣空港連絡バスですが、多客時には臨時便を運航していることが分かりました。

 これは、空港から離島ターミナル、バスターミナルまでノンストップなので便利です。
 ただし、バス会社のHPには何も書いてありません。
 乗務員にいつ運行されるのか尋ねたところ、「そうだねぇ~ 混んでる時ですかね~」という”完璧”な回答をいただいてしまいました。

 ところで、このバス会社は、運賃の支払い方法に色々流儀がありまして、まず、定期便は、整理券を受け取り運賃後払い方式。
 始発の空港から乗るときも必ず整理券を取れと言われます。
 ところが、臨時便は運賃前払い方式なのです。
 
 確かに途中停まらないから前払いの方が合理的なのは分かるけれど、同じバス停から同じ目的地に行くのにバスによって支払い方法を変えなくたってねぇ。

 さらに、バスターミナル発空港行きの場合、始発のバスターミナルでは窓口で乗車券を買うように言われます。
 そしてなんと、乗車時にパンチを入れるんですよ。


 今時「切符切り」なんて儀式を行っているところが他にあるでしょうか。
 (スタンプを押すのではなく、穴を開けるのですから。)
 この一々社印を押した切符も、手作り感満載でファンタスティック!

 
 最後に、空港からバス乗るときは、離島ターミナルから船に乗り継ぐことを申し出れば、安栄観光の割引(運賃の260円引き)券をもらえます。
 安栄観光のみとなっていますが、安栄の窓口で乗船券を買えば八重山観光フェリーの便にも乗ることができます(石垣島ドリーム観光は不可)。

 ただ、これも向こうから声をかけてくれる場合と、降車時にこちらから運転手に請求しないとくれない場合がありますので、積極的に申し出ましょう。
 キャンペーンというから終わりがあるのかも知れませんが、特に期間については表示されていません。