2021年10月27日水曜日

秘境にある天国 西表島イダの浜2021

 

  
 西表島の秘境船浮。
 その船浮には、八重山でも五指に入ろうかという絶景ビーチ、イダの浜が、ひっそりと横たわっています。


 タイトルの「2021」は、過去に当ブログで紹介したことのある場所を、今年撮った写真と共に近況をお伝えする企画です。


 船浮自体が秘境ですが、イダの浜に行くには、集落からさらに林の中を10分ほど歩かなければなりません。



 こんな所を歩いていて、本当に海に着くのだろうかと不安になった頃、突然視界が開けて、美しい海が現れます。




 これがイダの浜です。

 美しいだけではなく、穏やかな海です。西表島の入り組んだ地形の中にあるこの浜は、波が立ちにくく穏やかなのです。

 正面に見えているのは外離島(そとぱなり)という島です。 




 イダの浜は、北西方向に海を見る400㍍ほどのビーチです。ずっと端まで歩いてみました。ここがビーチの北端です。



 そこから振り返って、ビーチの全景を見渡します。



 こちらは、南の端から眺めたイダの浜。




 一見白砂の砂浜ですが、砂ではなく親指大の枝珊瑚のかけらが堆積しています。



 沖縄のビーチの砂が白いのは、内地の大部分のビーチのように山から砂が運ばれたのではなく、珊瑚のかけらが波で砕けて砂状になったものが打ち上げられ、砂浜を形成しているからです。

 ここの砂浜は、砕ける前の少し形が残っている珊瑚のかけらでできています。



 ヤドカリも歩きにくいのでは?




 透明度が高いのは、波が砂を巻き込まないからです。

 かつては、シュノーケリングポイントとしても紹介されていましたが、今年泳いだ人に聞いた話だと、もう珊瑚はあまりないとのこと。

 5年前の珊瑚の白化で、石西礁湖は相当大きなダメージを受けたようです。



 

 本当に天国のようなビーチですが、数年前は、この浜の後背地が企業に買われたとか、ホテルの建設が発表されたとか、先行きどうなることかと心配されましたが、その後特に動きはないようです。


 昔に比べ、来訪者も増えました。それでも、人がいるのは日中の僅かな時間だけです。

 コロナの影響ももちろんありますが、落ち着いた秘境の天国が蘇りつつあります。





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2021年10月22日金曜日

絶景なれど神聖な場所 宮古島のピキャズ

 


 宮古島の中心市街地に最も近いビーチであるパイナガマビーチ。その少し外れに、ピキャズと呼ばれる、絶景のビューポイントがあります。

 

 ピキャズの話をする前に、ちょっと別の話をさせてください。先日宮古島で、とんでもないことを見かけたのです。


 宮古創世の神を祭る場所、漲水御獄(はりみずうたき)。

 沖縄の御獄は、ほとんどがその地域で厳格に管理されていて、古くからの仕来りにより、立ち入っていいのは、何時、何処の誰だ、などと決められています。

 よそ者が勝手に入ることは、ほとんどの御獄で禁じられています。

 しかし、漲水さまは別で、むしろ、宮古に行ったなら、必ずごあいさつをした方がいいとされています。
 自分も、ちょっとした験担ぎで、ほぼ毎回お参りに行っています。

(拝んでいる人とは関係ありませんが。)


 その漲水御獄で、社殿に入り込んでいた観光客3人組を見かけたのです。お参りするといっても、賽銭箱の手前で拝むのは日本人としての常識でしょう。

 自分は漲水さまからすればよそ者なので、「入るな」とは言う立場ではないですが、一応、「立ち入らない方がいいですよ」と注意はしたのですが、「なんで?」と言わんばかりにキョトンとしていました。

 彼らとて、自分達の地元では、まさか神社の社殿に入り込まないでしょうから、南の島に遊びに来て気が緩んでいたとしか思えません。



 さて、話をピキャズに戻します。

 ピキャズは、単なる絶景ポイントというだけではありません。拝所(うがんじゅ・うがん)と呼ばれる、神霊がよりつく聖域です。

 言い伝えに寄れば、胴体がこの丸い池のような部分と同じ太さの巨大な龍が、この場所から海と空を行き来しているとか。


 また、幼少の仲宗根豊見親(なかそねとぅーみや)が、当時宮古の首長を努めていた大立大殿(うぷだてぃうぷとぅぬ)と出会い、魚玉をうつ(漁獲の分配)様からその聡明さが見初められ、大立大殿の養育を受けて、後に後継者として島を治めたという伝承が残されている、由緒ある場所でもあります。(宮古島アプリ 綾道より)




 神司(かんつかさー)という神職の女性が、時々ここで祈りを捧げます。龍に呼ばれたら祈りに来るのだそうです。

 神司は、この岩の部分に正座して祈ります。下の写真の白い部分は、ろうそくが溶けた後です。




 そんなピキャズですが、その美しい景観が話題となり、ネットを中心に情報が広がっています。

 ピキャズは、丸い池のような形をしていますが、二つ上の写真のように小さな穴で海と繋がっています。
 ここは池ではなく海なのです

 有名な下地島の通り池をミニチュアにしたような場所です。


 なんでも、繋がることを「ぴきゃず」といい、(地下で水脈が)繋がっている場所だから、ピキャズというのだとか。
 まあ、この点については定かではありませんが。



 ”池”の部分には、珊瑚もあります。ルリスズメダイやツノダシもいました。数年前の珊瑚の白化前は、もっと綺麗だったそうです。




 そのピキャズが最近何かと問題になっています。

 一部の観光客が、ここに来て、神司が祈る場所に腰掛けて足を投げ出し、反対側からその写真を撮ってSNSに投稿するといったことが横行しているらしいのです。

 中には、水着で写真を撮る人も。

 ”池”部分で泳いだり、SUPで進入する人もいるそうです。


 確かにここは立入禁止ではないし、聖地であることを知らせる看板などもありません。知らないでやっていたのだろうと思います。

 しかし、島人にとってはそれで済む問題ではありません。ここで泳げば、珊瑚を破壊する恐れもあります。




 
 ピキャズは、島人の信仰心に支えられた聖地(拝所)です。

 御獄のような施設はありませんが、祈りを捧げる場所に水着や軽装で座り込んだり、龍が空に昇るとされる海で泳ぐことは、そこを神聖な場所と考える人達からすれば、あり得ない所業です。


 この記事を書きたくなったのは、冒頭でお話しした、漲水御獄に進入した輩の件があったからです。

 観光客であっても、目的が神社仏閣巡りとか、パワースポット巡りの人であれば、決してこんなことはしないでしょう。
 ビーチリゾートに来て気が緩んだのでしょうが、島人が見たら観光客に対して不快の念を抱くのは間違いありません。

 なんでわざわざ島人に喧嘩を売るようなことをするんだ!と思います。



 ピキャズも同じです。島人の要請を受けて県なり市が、立入禁止にすれば、もうこの景観を見ることはできなくなります。

 そうなる前に、市か、観光協会が、ここは聖地であるから気を付けるよう促す看板を立てて欲しいのですが、それまで当ブログとして、ピキャズは聖地であることをお知らせした上で、節度ある行動をするよう呼びかけたい思います。





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2021年10月17日日曜日

沖縄そばの日 宮古島で感じた沖縄そば新潮流




 澄んだスープに浮かぶ麺とトロトロの三枚肉。思わず食欲をそそる一品です。

 下の写真は、上と同じ三枚肉そばですが、麺が違います。上はラーメン風の縮れ麺、下は沖縄そば風の細麺です。

 この店は、麺の種類が選べるのです。




 宮古島の北部、狩俣のにいまそばです。

 若い店主が、那覇のラーメン屋で修行し、この地で開業したそうで、縮れ麺、細麺共、店主による手打ち麺です。

 どちらの麺も、あっさりスープとの相性がよく、島の人にも評判は上々で、店はいつも混雑しています。



 これがお店の入り口。どう見たって普通のお宅で、初めて入る時は勇気がいります。
 玄関に券売機があるのでそこで食券を買い、靴を脱いで、普通のお宅の居間のような場所でそばを食べます。 




 10月17日は沖縄そばの日です。

 沖縄そばは、沖縄なら何処でも食べられる県民食ですが、その一方、内地のラーメンのようなこだわりはあまりなく、何処で食べてもそれほど変わらないのが特徴です。

 旨いと言われる店でも、スープや具が旨いのであって、麺自体は大手製麺所の麺をそのまま使っている店が大半です。
 
 手打ち麺は、本島でも一部の店に限られ、宮古・八重山諸島では滅多にお目にかかれませんでした。


 ところがここ1~2年、宮古島でじわじわと増えている、こだわりの自家製麺、手打ち麺の店。
 麺にこだわるということは、当然、具やスープにもこだわっています。宮古島で感じた、沖縄そばの新潮流です。



 続いては、昨年も紹介した、雪塩工場の隣のカフェIrayoiです。

 ここの麺は、「木灰(もっかい)そば」。
 木灰そばとは、ガジュマルなどの木を燃やした灰を水に溶かし、その上澄み液を鹹水の代わりに小麦粉に練り込んだ、昔ながらの製法で作った麺です。


 そば屋ではなく、カフェ。色々な食事メニューの中に、そばもあるといった感じですが、こだわりの麺を使っている割に余り目立たせないという、憎い演出か。笑




 こちらも昨年に続いての登場です。荷川取(にかどり)港にあるみなと食堂です。

 こちらも手打ち麺です。これはアーサそばですが、アーサーがトッピングされているだけではなく、麺にも練り込んであるという凝った一品。




 下里大通りにある居酒屋めーめー(旧めーめー麺)です。

 かつては、そば中心のメニューでしたが、今はヤギ料理がウリの居酒屋に。でも、昼間も営業しています。

 ヤギメニューには、ヤギ度が1から5まで表示されていて、自己責任で選びます。

 食べたのは、「オジーの塩ヤギそば(ヤギ度5)」です。焼きそばではありません。ヤギそばです。腰のある太麺で、癖の強いヤギ肉にはよく合います。



 臭いと言われるヤギですが、全然平気。余裕で完食しマスクを着けたら、途端に口の中がモワワァ~~~

 コロナの一日も早い終息を心から願った瞬間でした。


 その夜、うなされてヤギが夢に出て来た~?




 来間島の沖縄そばまるかみです。

 ここを教えてもらったのは4月だったのですが、コロナのせいで、その後ずっと休業かテイクアウトのみの営業。
 やっと入れたのは10月でした。

 こちらも手打ち麺がウリです。メインメニューは、三枚肉とソーキの乗ったまるかみそば。見た目以上のボリュームです。



 見た目普通の家の庭に車を駐めて、玄関で靴を脱いで畳の部屋でいただきます。




 とある水曜日のこと。

 午前中池間島に行った帰りに、Irayoiに寄ったらお休み。ならばと、にいまそばに行ったらここも休み。焦って車を飛ばしてみなと食堂に行ったらこれまた休み。さらにさらにめーめーまで休み!

 オーマイガー! 水曜日の宮古島はラマダンだったのか!


 それで、絶対に開いているだろう伊良部島のいらぶ大橋海の駅のフードコートまで長躯疾走します。

 開いててよかったぁ~

 手打ち麺ではなさそうですが、十分旨かった。



 しかも、ここからの眺めは、プライスレス。

 


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2021年10月13日水曜日

陸路では行けない 西表島の秘境船浮2021




 同じ島の中にあるのに、道路が通じていないため船でしか行くことが出来ない秘境の集落。西表島の船浮です。

 感覚的には、離島に行くのと同じです。


 タイトルの「2021」は、過去に当ブログで紹介したことのある場所を、今年撮った写真と共に近況をお伝えする企画です。





 コロナのせいで、八重山の島々では水際作戦を徹底しているところも多く、離島の中の離島みたいな船浮は、ちょっと敷居が高いのかと思っていました。

 9月でしたが、行くのを迷い、取り敢えず船の発着場である白浜まで行ったところ、船の減便も、「来訪を遠慮してくれ」的な掲示も一切なく、ほかの観光客も普通に船に乗船しているので、自分も行くことにしました。

 着いてみると、コロナ以前と何も変わらない光景が広がっていました。



 地域の命綱、船浮海運の「ふなうきまる」。
 県などが出資する、沖縄県離島海運振興株式会社という第三セクターの会社が保有し、貸し付けています。




 陸続きなんだから、道路を造ればいいじゃないかと言う人もいますが、そういうわけにもいかないのです。

 現在の道路の終点である白浜から船浮までは、入り組んだ湾と崖が海に迫った複雑な地形のため、道路建設は大工事になります。
 人口は約50人。そのために、何百億円かかるか分からない道路を、おいそれとは造ることはできません。



 そのおかげで、一つの小さな島のようなエリアが形成されました。
 綺麗な海以外には何もない、感覚的には、同じ人口の鳩間島よりもっと秘境感が漂う場所です。


 集落内の道路。軽トラがやっと入れる程度の幅です。




 上の川(ういぬかー)。川ではなく井戸です。
 ここの水は、貴重な飲み水として利用されただけではなく、体にいいとされ、ここで水浴びをすると若返るのだとか。




 このトンネルは、戦時中に造られたもの。いわゆる防空壕ではなく、旧日本海軍が造った特攻艇の秘密基地に通づるトンネル。

 船浮は、秘境ですが、その分目立ちにくいことや、島々に囲まれ海が荒れにくいことから、海軍も注目していたそうです。

 現在、立ち入り禁止ではないそうですが、崩落が進んでおり中に入るのは危険です。




 1974年にこの地で、彼の有名なイリオモテヤマネコが発見された!?とされていたのですが、実は、既に別の場所で生体が捕獲されていました。




 集落から10分ほど林の中を歩くと、イダの浜という美しい海があります。

 イダの浜については、改めてご紹介しますが、数年前、小さな民宿しかないこの地に、80室もあるホテルが開業予定と業界紙に広告が出され、騒然としたことがありました。
 しかし、完成予定の2019年になっても、形跡すらありません。



 ここは集落の外れ。歩いて行ける船浮の終点です。



 その堤防を越えると、西表の美しい海が広がっていました。何もない、海以外には本当に何もない、日本の秘境です。





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2021年10月9日土曜日

静かだった宮古島の砂山ビーチ2021




 当ブログ推奨の宮古セブンビーチのひとつ、砂山ビーチ。今年は、訪れる人も少なく静かでした。

 タイトルの「2021」は、過去に当ブログで紹介したことのある場所を、今年撮った写真と共に近況をお伝えする企画です。




 砂山ビーチと言えば、あのランドマーク的な岩ですが、崩落の危険があるということで、残念ながら2年前から立入禁止に。



 穴の部分をアップにして、無理矢理写真を撮ってみましたが、やはり今イチでした。



 この岩の隣りの日陰に陣取っていた業者が閉め出されたのが、やはり2年ほど前。コロナのおかげで、クルーズ船の団体客も来なくなり、静かなビーチが蘇りました。

 でも、海自体は、変わらず綺麗です。




 こんな看板が立ったのも2年ほど前。砂山ビーチに行く途中の路は、私有地だったのです。観光客らの通行は差し支えないが、事業者の通行は禁ずるという内容です。

 これは、以前当ブログでお伝えした、「沖縄県海浜を自由に使用するための条例(平成2年10月18日条例第22号)」に配慮したためだと思います。
 



 でも、業者が居た辺りにこんなのがありましたが、あまり商売っ気は感じられないので、救難救助の関係なのでしょうか。 




 砂山ビーチに行くには、文字通りの砂の山を越えて行かなければなりません。そのおかげで、直接車で資機材を搬入することができず、以前から、マリンスポーツ的なものはありませんでした。
 ただ、人が泳いでいるだけです。その点は好感が持てます。




 坂の途中、というか、この辺りが最高点。峠です。見えているのは、南西方向。平良港方面です。




 9月は、”コロナ対策”で完全封鎖。もっとも、歩道を伝って徒歩で行けなくはなかったようです。




 宮古バブルで、ここいら一帯も開発が危惧されていました。コロナ禍を経てどう変わるのか。この静けさは今だけなのでしょうか。





 沖縄県海浜を自由に使用するための条例に関してはこちら


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