宮古島の中心市街地に最も近いビーチであるパイナガマビーチ。その少し外れに、ピキャズと呼ばれる、絶景のビューポイントがあります。
ピキャズの話をする前に、ちょっと別の話をさせてください。先日宮古島で、とんでもないことを見かけたのです。
宮古創世の神を祭る場所、漲水御獄(はりみずうたき)。
沖縄の御獄は、ほとんどがその地域で厳格に管理されていて、古くからの仕来りにより、立ち入っていいのは、何時、何処の誰だ、などと決められています。
よそ者が勝手に入ることは、ほとんどの御獄で禁じられています。
しかし、漲水さまは別で、むしろ、宮古に行ったなら、必ずごあいさつをした方がいいとされています。
自分も、ちょっとした験担ぎで、ほぼ毎回お参りに行っています。
(拝んでいる人とは関係ありませんが。)
その漲水御獄で、社殿に入り込んでいた観光客3人組を見かけたのです。お参りするといっても、賽銭箱の手前で拝むのは日本人としての常識でしょう。
自分は漲水さまからすればよそ者なので、「入るな」とは言う立場ではないですが、一応、「立ち入らない方がいいですよ」と注意はしたのですが、「なんで?」と言わんばかりにキョトンとしていました。
彼らとて、自分達の地元では、まさか神社の社殿に入り込まないでしょうから、南の島に遊びに来て気が緩んでいたとしか思えません。
さて、話をピキャズに戻します。
ピキャズは、単なる絶景ポイントというだけではありません。拝所(うがんじゅ・うがん)と呼ばれる、神霊がよりつく聖域です。
言い伝えに寄れば、胴体がこの丸い池のような部分と同じ太さの巨大な龍が、この場所から海と空を行き来しているとか。
また、幼少の仲宗根豊見親(なかそねとぅーみや)が、当時宮古の首長を努めていた大立大殿(うぷだてぃうぷとぅぬ)と出会い、魚玉をうつ(漁獲の分配)様からその聡明さが見初められ、大立大殿の養育を受けて、後に後継者として島を治めたという伝承が残されている、由緒ある場所でもあります。(宮古島アプリ 綾道より)
神司(かんつかさー)という神職の女性が、時々ここで祈りを捧げます。龍に呼ばれたら祈りに来るのだそうです。
神司は、この岩の部分に正座して祈ります。下の写真の白い部分は、ろうそくが溶けた後です。
そんなピキャズですが、その美しい景観が話題となり、ネットを中心に情報が広がっています。
ピキャズは、丸い池のような形をしていますが、二つ上の写真のように小さな穴で海と繋がっています。
ここは池ではなく海なのです
有名な下地島の通り池をミニチュアにしたような場所です。
なんでも、繋がることを「ぴきゃず」といい、(地下で水脈が)繋がっている場所だから、ピキャズというのだとか。
まあ、この点については定かではありませんが。
”池”の部分には、珊瑚もあります。ルリスズメダイやツノダシもいました。数年前の珊瑚の白化前は、もっと綺麗だったそうです。
そのピキャズが最近何かと問題になっています。
一部の観光客が、ここに来て、神司が祈る場所に腰掛けて足を投げ出し、反対側からその写真を撮ってSNSに投稿するといったことが横行しているらしいのです。
中には、水着で写真を撮る人も。
”池”部分で泳いだり、SUPで進入する人もいるそうです。
確かにここは立入禁止ではないし、聖地であることを知らせる看板などもありません。知らないでやっていたのだろうと思います。
しかし、島人にとってはそれで済む問題ではありません。ここで泳げば、珊瑚を破壊する恐れもあります。
ピキャズは、島人の信仰心に支えられた聖地(拝所)です。
御獄のような施設はありませんが、祈りを捧げる場所に水着や軽装で座り込んだり、龍が空に昇るとされる海で泳ぐことは、そこを神聖な場所と考える人達からすれば、あり得ない所業です。
この記事を書きたくなったのは、冒頭でお話しした、漲水御獄に進入した輩の件があったからです。
観光客であっても、目的が神社仏閣巡りとか、パワースポット巡りの人であれば、決してこんなことはしないでしょう。
ビーチリゾートに来て気が緩んだのでしょうが、島人が見たら観光客に対して不快の念を抱くのは間違いありません。
なんでわざわざ島人に喧嘩を売るようなことをするんだ!と思います。
ピキャズも同じです。島人の要請を受けて県なり市が、立入禁止にすれば、もうこの景観を見ることはできなくなります。
そうなる前に、市か、観光協会が、ここは聖地であるから気を付けるよう促す看板を立てて欲しいのですが、それまで当ブログとして、ピキャズは聖地であることをお知らせした上で、節度ある行動をするよう呼びかけたい思います。
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