2017年7月18日火曜日

失敗しない沖縄風景写真の撮り方 海編Ⅰ




 沖縄の美しい海を写真に撮ったのに、見た目ほど綺麗に撮れない。スマホで撮った写真の方が綺麗だった。カメラが悪いのか、それともウデが悪いのかとお悩みの方へ。

 カメラもウデも悪くありません。
 原因は、最近のカメラは優秀なので勝手に色々なことをしてくれますが、それがカメラマンの意図と合わないためです。
 スマホカメラは、スマホのディスプレイ上では、そこそこそれなりに見えるように設定されています。
 

 写真の撮り方を教えろ、というご要望は以前から多かったのですが、自分が試行錯誤しながら撮っている状態で、「上手な写真の撮り方を教えます」なんて、とてもおこがましくて言えませんでした。
 ただ、見た目のとおりの写真が撮れない、という点に関しては、アートとかセンスとかの問題ではなく、カメラの使い方、つまり、テクニックの部分なので、それならお役に立てることも少しはあるかなと考え、重い腰を上げることにしました。


 上手な写真の撮り方に関しては、プロが書いた、風景写真の指南書がいくらでもありますので、そちらをご覧いただくとして、これだけは知っておくといいですよ、という知識やテクニックと、自分がよくやる失敗の例も併せて紹介しますので、参考にしていただいて、沖縄で満足の行く写真を撮ってください。





 見た目ほど綺麗に撮れないのは、ほぼ間違いなく露出(Exposure)の問題です。

 露出とは、センサー(昔ならばフィルム)に光を当てることです。
 今のカメラは、適正な露出を自動的に判断(Auto Exposure)し、シャッタースピードとレンズの絞り値を決めてくれます。

 露出は、不足すると黒っぽく、オーバーすると白っぽく写るのですが、一つの画面に、例えば、空、海、砂浜、草木があるとすると、それぞれ光の反射率が違うので、適正露出も異なります。

 カメラが判定した適正露出による画像と、人間が見た目の印象が違うこともあります。沖縄の海の砂は、白砂と呼ばれますが、厳密には白ではなくベージュのような色です。砂に露出が合ってしまうと、砂は茶色っぽく、海は黒っぽく写ってしまいます。
 また、草木に露出が合ってしまうと緑は鮮やかに出ますが、逆に海は白っぽくなってしまいます。

 ですから、コーラルブルーの海を美しく撮りたければ、露出は海に合わせてください。そうすれば、砂は白っぽく、草木はちょっと濃いめの色に写るはずですが、これでほぼ見た目のイメージどおりだと思います。



 上の写真では、葉っぱは、鮮やかな色になりますが、海を綺麗に撮るには、露出オーバーです。


 上の写真は、砂浜に露出を合わせましたが、海の色は暗くなってしまいました。


 一般に、カメラは、初期設定では、構図の大部分を占める被写体だったり、被写体全体の平均値(厳密にはもっと色々なことを計算しています)だったりを瞬時に計算し、適正露出とします。
 晴れた日に、全面海だけを撮るならば、カメラ任せで問題ありませんが、空、雲、砂浜、草木、岩など色々なものがある場合、また、太陽光線が、背中から当たる順光線ではない場合、一番美しく撮りたいもの(海とか夏の雲とか)にピタッと露出を合わせてくれなければ、カメラマンの撮りたい写真にはなりません。



 そこで、露出をコントロールするために、AEロックという機能を使います。AEロック(Auto Exposure Lock:AEL)とは、露出を固定する機能です。


 今時のデジカメは、コンパクトカメラでも一眼レフでも、写真に写るのと同じ状態が、あらかじめファインダーやモニターで確認できるますから、まず、撮りたい構図でカメラを構えてみて、一番撮りたいものが、暗いとか、白っぽいとか感じた場合は、ファインダーなどを見ながらカメラを上下左右に動かしてみて、露出が合っていると感じたところで、AEロックボタンを操作し、改めて撮りたい構図でシャッターを押せばOKです。



 宮古島の名勝、東平安名崎を撮りました。

 構図の大部分を占めるのは、岬そのものなので、カメラは、岬の緑に露出を合わせました。しかし、ここでは、海の美しさを表現したい。
 そこで、カメラをずずっと左方向に振り、海に露出が合ったところで、AEロックし、また元の構図に戻したら、意図したとおり美しい海が撮れました。



 もう少し精密に露出を決めたい場合は、測光モードをスポット測光にしてください。カメラが露出を決める際、中央部分だけの明るさを測光する機能です。
 

 他に、分割測光とか中央重点平均測光などの機能があります。色を正確に再現するより、複雑に光の当たる被写体を自然な感じで表現したいとか、とにかくシャッターチャンスを優先したい場合などには有利ですので、上手く使い分けてください。


 一番綺麗に表現したいもの(例えば海)をファインダーの真ん中に持ってきてシャッターを半押しすると、カメラが、その部分の適正露出を計算します。
 そのままシャッターを押しても構いませんが、それでは、撮りたいものが、常に画面の真ん中に写ることになってしまいますので、訂正露出が得られたら、AEロックで固定し、後は好きな構図でシャッターを押せばよいのです。
 

 スポット測光とAEロックの使い方は、メーカーによって、カメラによって異なるので、分からなければ取扱説明書を読んでください。最近のカメラならコンパクトカメラでも、装備されていると思います。

 

 なお、それでも、説明書を読んでもよく分からない、操作が面倒、そこまで写真に凝らない、という場合は、メインで撮りたいものが画面の大部分を占めるような構図にすれば、カメラ任せでもほぼ大丈夫です。
 

 砂浜、船などが小さく写っている程度なら問題はありません。空は全体の1/3以下を目安にすれば、海中心の色合いが表現できるはずです。 


 露出をマスターすれば、見た目ほど綺麗に撮れないという問題は、ほぼ解決するはずです。

 今時のデジタル製品は、色々な機能があり過ぎで、ほとんど使いこなせません。カメラもしかり。分厚い説明書なんて、今更読む気もしないですよね。

 でも、構図をどうするか、露出を何処に合わせるかは、簡単に言ってしまうと、何をどう撮るかということです。
 露出を狙ったとおりに決められるよう、そこの部分だけでもマスターし、カメラを使いこなしてください。

 高価なカメラ、大きな一眼レフでないといい写真が撮れないなんてことは、絶対にありません。


 今回は、露出の話だけで終わってしまいました。次回に続く。



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