前回に引き続き、失敗しない沖縄風景の写真の撮り方、海編の続きです。
今回は、恥ずかしながら、自分がよく失敗する典型的なケースをご紹介します。
おぉ、やったゼィ!と思ってモニターで確認したら、あ~惜しい!なんてことがよくあるのですよ。
だいたいそういうときに限って、いいのが撮れてんだよなぁ~
あぁ 余計なものが
コーラルブルーの海と白砂の砂浜が綺麗に撮れました、が、右端に余計なものが。
沖縄らしい美しい海は、せっかくだから広角で撮りたいところですが、ゴミ、打ち上げられた海藻、石など邪魔な物が画面に入っているのに気づかずに、シャッターを押してしまいます。
自分は未だ、この手の失敗が一番多いのです。
海辺で太陽にギラギラ照らされている状況では、視界は明るく眩しく、しかも、テンションが高くなっていることもあって、注意力が散漫になるからでしょう。
これを避けるためには、やはり冷静にファインダーを見て、気を付けるしかありません。邪魔物があれば、それをどけるか、それより前に進むか、あるいは、カメラの位置を低くすると目立たなくなることもあります。
また、仕上げの段階で、トリミングするとか、画像処理ソフトで修正可能な場合もありますので、せっかくの傑作を諦めないでください。
水平線が水平じゃない
撮っている時は、ほとんど気が付かないのですが、後でよく見ると気になるのが、水平線です。
この写真のように、水平線がホンのちょっと傾いていると、致命的ではないのですが、やはり気になります。出来れば、下の写真のように、本当に水平の方が安定感があります。
その原因ですが、自分の場合は、ですが、どうもシャッターチャンスに気合いが入り過ぎて、肩に力が入ってしまうことのようです。
手ぶれの原因にもなり得ますので、力を抜いて、軽~くシャッターを押しましょう。笑
なお、上の写真程度の傾きならば、画像処理ソフトで修正可能です。
また、敢えて、画面を傾けて撮る、というのはもちろんありですが、意図せず、中途半端にナナメってしまうと、何か素人っぽい写真に見えてしまいます。
ピントが合わない シャッターが切れない
30年前の一眼レフならともかく、今時のカメラは、オートフォーカスなので、ピント合わせなんて必要ないはずなのですが・・・
モンパノキと背景には綺麗な海。蝶が飛んで来て絶好のシャッターチャンスとばかり、シャッターを押しました。
が、拡大してみると、ビミョーに何処にもピントが合っていない。泣
出来れば蝶に、それがだめでも、葉っぱの先端辺りには、カチッとしたピントが欲しかった。詳しいメカニズムは分かりませんが、カメラがフォーカシング仕切れない状態のまま、シャッターボタンを押してしまったのでしょう。
う~ん。残念。
一般に、オートフォーカスは、コントラストのない被写体は苦手です。一面青い海のようなシチュエーションでは、なかなか反応してくれません。
また、こういうときに、シャッターボタンを押しても、シャッターが切れない、ということがあるかも知れません。これは、カメラの設定で、ピントが合わないとシャッターが動かないようにしてあるためです。設定を解除するか、波立っている所、海の色の変わり目、船などを探してピントを合わせてください。
マニュアルフォーカスとモードに切り替えてもいいですが、ちょっと面倒かも。
正確なフォーカシングは、カメラの性能そのものであり、高価なカメラ、新しいカメラの方が若干有利ですが、それでも、望遠レンズ使用時、接写時などでは、細かいピント合わせに狂いが生じることがあります。
一瞬のシャッターチャンスでなければ、念のため、同じものをもう一枚撮っておくことをお勧めします。連写ではなく、一旦リセットして、もう一度ピント合わせから始めれば、2回続けてピントをロストすることは少ないでしょう。
波の動きが速い
波、というか、水の動きは意外と速くて、何も考えずにシャッターを押してしまうと、中途半端な写真になってしまいます。
乗船中の船から外の景色を撮りました。
上の写真は、これでもシャッタースピード1/320なのですが、波しぶきが完全に流れてしまいあまり美しくありません。
こちらは、シャッタースピード1/2000。さすがにこれなら、しぶきもピタッと止まりました。
P(プログラム)モードで撮影している場合は、シャッター優先に切り替え、高速シャッターを選択してください。必要ならISO感度も上げてください。
続いては、失敗というより、事前に下調べしたおいた方がいいですよというお話です。
干潮時は悲惨な海
小浜島細崎の干潮時の海です。天気はよかったのですが、これではいくら何でも。
潮が満ちてくるとこんな感じです。とても同じ場所とは思えません。
珊瑚礁に囲まれた沖縄の海は、遠浅な場所が多いのです。だからこそ、泳いだりシュノーケリングしたりするのに適しているのですが、浜辺から海を美しく撮るには、たっぷりの海水が必要です。
泳ぎに行くならともかく、写真を撮りに行くのに潮の満ち干まで調べて行くことは少ないと思いますが、場所によってはこんなことになっちゃうので、やはり要注意です。
潮の状況は、気象庁のHPなどで調べられますが、大雑把にいうと、満月・新月の時は、正午頃が干潮、その6時間前と後が満潮で、それが、毎日小1時間ほどのペースで遅くなって行きます。
港、橋の上、展望台から撮る場合は、海が深いので、さほど問題ないですし、ビーチでも、宮古島の前浜とか、伊良部島の渡口の浜のように、砂浜が沖の方まで続くところでは、干潮時でも、変わらず綺麗に撮れます。
一方、竹富島のコンドイ浜や、黒島の仲本海岸のように、干潮時は海が干上がってしまい、一見つまらない光景に見えるのですが、沖の方まで濡れずに歩いて行けるので、いつもと違った美しい海を撮ることが出来る場所もあります。
順行線と逆光線では・・・
下地島17END西側の海。上は、日没3時間ほど前に撮ったもの。これはこれで綺麗ですが、午前中に撮った下の写真と比べると、あまりの違いにビックリします。
順光線とは、被写体に対してカメラの方向から光が当たること、逆光線は、その反対です。
光をどのように捉えるか、それはもうアートの世界ですが、順光線は被写体の色や形をはっきり正確に描写しますので、特別な狙いがない限りは、風景写真は、順光線の状態の時に撮るのが定石です。
17ENDのように西側に面した海は、東から日が当たる午前中がベスト、石垣島川平公園のように東向きの海は、午後の順光線を狙います。
最後に番外編です。
プロのように美しく撮るには?
プロのように、青空や雲を鮮やかに撮るにはどうしたらいいのか、というご質問がよくあります。
プロカメラマンは、ほとんどPLフィルターというものを使って撮っています。
PL(Polarizing Filter)フィルターとは、偏光フィルターのことで、レンズの前面に装着して使います。
偏光グラスと同じで、反射光を防ぎ、色彩のコントラストを高める働きをもつものです。サイズによって値段が異なりますが、高いものでも数千円程度なので、アマチュアカメラマンでも使う人が多くいます。
ただ、自分も買ったのですが、ほとんど使っていません。
空や雲が、見た目以上にクッキリスッキリ写ってしまうことや、海面が、見た目以上にグリーンがかって写ってしまうためです。
乱反射を押さえると海の色が緑色になるなんて、沖縄の海の色は何と繊細なのかと思ってしまいます。
PLフィルターを使うことで、作品に明らかな違いがでるので、風景写真を綺麗に撮るための秘訣として指南されることも多いのですが、万能ではないので、そこはご自身で判断してください。
ついでに紹介すると、世に出回っている写真のほとんどは、撮影後、パソコン上で画像処理されています。また、ほとんどのカメラで、設定で、撮影時に彩度(色の鮮やかさ)やコントラストを調整することができます。
デジタルの世界では、元のデータをいくらでも変更することが可能です。
画像処理は、それ自体アートであるという反面、やり過ぎると、写真という範疇からは遠ざかって行くような気がします。
プロが撮ったとされる沖縄の写真でも、極端に色鮮やかなもの、例えば、やけにブルーが綺麗だとか、やけにグリーンが鮮やかだったりするものは、ほぼ間違いなく色補正されています。
浅い海では、底の砂のベージュ色が被るので、純粋なブルーはあり得ません。黒島や与那国島の牧草地は、実際は、鮮やかな緑色をしているわけでもありません。
プロだから美しい写真を撮るのか、プロだから上手く見せるのか、何とも微妙な作品が、少なからず出回っていることは、知っていてもいいと思います。
失敗しない沖縄風景の写真の撮り方、海編は今回で終了し、続いて、沖縄の花編に移ります。
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