2019年8月28日水曜日

宮古島バブル 宮古島はどうなっちゃうの?


 宮古島がバブルです。

 不動産価格が高騰し、アパート・マンションが不足し、建設工事が至る所で行われ、タクシーが捕まらず、人手不足。
 今、マスコミで、「宮古バブル」が盛んに報じられています。

 2~3年前から、宮古・八重山の将来が心配でした。そんな趣旨の記事も書きました。

 ついに、宮古島にその日が来ちゃったのでしょうか。




 原因は、観光客の激増です。

 宮古島市の入域観光客数は、平成27年度が513,601人  平成28年度が703,055人 平成29年度が988,343人 平成30年度が1,140,031人と、僅か3年で倍増しました。

 なかでも顕著なのは、大型のクルーズ船でやって来る外国人観光客です。

 宮古島におけるクルーズ船での入島は、平成29年だけで約36万人。昨年の5月は約6万3000人で、前年度比約170パーセントを記録した(東洋経済ON-LINE


 県による2017年末現在の宿泊施設実態調査で、宮古島市内のホテル・旅館は、46軒2432室にとどまり、収容人数は、5868人しかない(琉球新報)
 旅館業法上のホテル・旅館を指し、民宿等は含まれていないようです。

 それを見越した、ホテルの建設ラッシュに、陸上自衛隊の駐屯地や学校・市役所などの大型公共工事が重なり、工事関係者用の宿泊施設が優先され、宮古島市でアパートやマンション不足が深刻化しています。

 家賃3万円前後のワンルームマンションが、高いものだと5万円を超えるほどになっている(東洋経済ON-LINE 18.6.19
 ワンルーム(25~30平方メートル)の賃料は、8万~10万円にまで高騰している物件もあるという(沖縄タイムス 19.4.4

 物件の状態や市街地からの距離に関係なく、空室が出るとすぐ埋まる。新築で室数を増やしたいが、建設業者からは「今は手いっぱいなので1~2年待ってほしい」とお願いされる状況だ(東洋経済ON-LINE


 条件が違うかも知れないので、単純比較はできませんが、去年は家賃5万円で驚いていたのに、今年はもう10万円!?。これはもう、ハイパーインフレです。




 しかし、

 「一見、経済は潤っているように見えますが、市民に実感はありません」「家賃や物価の高騰でも給与は上がっておらず」「住民が置いてきぼりの現状に頭を抱えています」
RBCニュース)

 それに対しては、

 「観光業はトータル産業。自分に直に関係あるないよりも、回り回って自分のところにくる」と宮古島市副市長RBCニュース)


 果たして、そう上手くいくものなのか、それ自体疑問なのですが、少なくともこの話は、恩恵が市民に回って来るまでは、バブルが続いていることが大前提です。

 本当に宮古バブルは続くでしょうか。




そもそもバブルは弾けます
 急激な変化は、必ず歪みが生じます。

バブル時代の土地神話
 バブルの牽引役は不動産で、土地の価格があっという間に高騰しました。やがて土地も値下がりするとは、あの時誰も口に出しませんでした。
 観光客が増加し続けるというのも、「いつか来た道」ではないでしょうか。

スキーブームの末路
  80年代から90年代のスキーブームの頃には、各地で山が削られ、新しいゲレンデとゲレンデサイドのホテルが、毎年のようにオープンしました。
 宮古島のホテル建設ラッシュは、あの頃と重なります。
 スノボを含むスキー人口は、最盛期だった長野オリンピックの頃と比べて3分の1ほどになり、閉鎖されたゲレンデも数知れず。越後湯沢のリゾートマンションなどは、今や「負動産」と揶揄される程です。

リゾート法破綻の傷跡
 1987年に制定された総合保養地域整備法、通称リゾート法により、国の指定を受けたリゾート計画は、好条件の融資と税制面の特典を受けることができました。
 当時、日本中がこぞって手を挙げましたが、指定第1号だった宮崎県のシーガイアが、皮肉なことに、リゾート法破綻の象徴となりました。夕張市もこれに手を出した挙げ句、破綻への途を辿ったのです。
 失敗の原因の一端は、需要を無視した、一方的・画一的構想だったといわれています。
 今、建設中の宮古島のホテルは、きちんと需要を予測し、ニーズに合ったサービスを提供できるのでしょうか。

外国人観光客のリスク
 外国人観光客は、国際情勢や為替の変動といった、観光外の要素によって、大きく影響を受けます。
 その好例が韓国です。今年4月に訪韓した中国人観光客数は、前年同月比67%の減。これは、在韓米軍がTHAADを配備したことに中国が反発し、その報復措置として、旅行会社に韓国へのツアーの中止を要請するなど、経済制裁を発動したからだといわれています。
 同様のことが日本で起きたら、ということは、誰も考えないのでしょうか。
 これを書いている2019年8月末現在でも、日韓関係の急速な悪化や、米中貿易摩擦に端を発した急激な円高元安など、不安材料が顕在化しつつあります。

人手不足
 既に人手不足で、飲食店も、バスも、タクシーも、配送業も、小売店も、ダイビングショップに至るまで青息吐息の宮古島で、現在建設中のホテルが次々にオープンしたとき、スタッフを確保する目処は立っているのでしょうか。
 そもそも、日本中が人手不足。東京都区内でさえ、運転手不足から路線バスを減便する時代です。

水不足
 宮古島の水源は、井戸です。ホテルの開業による新たな水需要に対しては、新たな井戸を掘ることで対応するそうですが、確か昨年も一時小雨傾向で、干ばつ対策会議が開催されていたはずですが。

観光地としての限界
 宮古島の魅力は、何と言っても全国トップクラスの美しい海です。しかし、海以外にはこれといったコンテンツがありません。この特徴は、沖縄の中でも、宮古島が特に際立っています。
 海は、劣化することはあっても増えることはありません。しかも、晴れることが海を楽しむ絶対条件です。
 11月から3月頃までは、曇りや雨の天気が続き、ハイシーズンは、台風のリスクと隣り合わせという厳しい条件を、新規ホテルの経営者は織り込んでいるでしょうか。




 これは、心配のしすぎでしょうか。宮古島に限って、今後も右肩上がりに観光客が増加して、少なくとも高止まりして、いずれ島民にも恩恵が行き渡り、豊かな島経済が実現するのでしょうか。


 仮に宮古バブルが続いて、経済が活性化し、島民の生活も豊かになったとします。しかし、そうなると、それを目当てに日本中から金や人が押し寄せて来るでしょう。それがどういう結果をもたらすかは、想像もしたくありません。



 宮古島市長は、「現在15万トンのクルーズ船が埠頭に接岸するための工事をしている。3年間で完成させようと工事を進めている最中だ。世界では25万トンクラスのクルーズ船が主流の時代になってきている。この工事が終わると、それに対応するために港湾のルールを改定し工事を始める計画も考えている」という(東洋経済ON-LINE




 では、もし万が一、宮古バブルが弾けたら、元の平穏な生活が戻るでしょうか。それはなかなか難しいと思います。

 建物は完成したのに開業できないホテル、余剰となった大型バス、閑散としたショッピングセンター。 
 企業の倒産、撤退で失業者も出るでしょう。いくら人手不足とはいえ、容易に転職できる人ばかりではありません。

 また、急激に上がった家賃や固定資産税は、下がるときはゆっくりです。

 台風が吹き荒れた後のように、後始末には時間がかかるでしょう。

 バブル景気が弾けた後、古き良き昭和の時代に戻った訳ではありません。失われた10年とか、失われた20年といわれるように傷は深いのです。


 バブルの後遺症を少しでも軽減するためには、出来るだけ早くソフトランディングするように、今のうちから手立てを尽くすしかありません。

 それとも、永遠の成長を夢見るかです。

 

 一つ面白いことに気が付きました。

 観光客は激増中なのですが、航空券の価格、ツアーの価格は、5年前、10年前と比べ特段高くなった印象はありません。予約が特に難しくなったと感じることもありません。

 ホテルに関しては、3~4年前、那覇や石垣島の、手頃な価格帯のホテルがなかなか予約できずに難儀しましたが、今は落ち着いています。宮古島に関しては、特定の宿にこだわらなければ、昔と状況は変わっていません。

 航空機の便数の増加や機材の大型化、「ホテル」ではない、ゲストハウス、カプセルホテル、トレーラーハウス、コンテナハウスなどの増加、ネット予約の普及による予約事務の効率化がその理由だと思います。

 この感覚どおりであれば、5年前・10年前と比べて、宿泊施設は、相対的に不足していないということになるのですが。

 
 これは想像ですが、数年後には、新しくてゴージャスなホテルに、かなりお得な価格で泊まることができるのではないでしょうか。
 ただし、スタッフは少なく、食事を含めたサービスは、最小限かも知れませんが。





 20年近く宮古島に通い続けてきた者としては、今の宮古バブルは、歯がゆくて仕方ありませんが、宮古島市の選挙権を持たない以上、観ているしかありません。


 しかし、島外の観光客として今すべきことは、この浮かれた状況の中でも、地に足を付けて地道に生活し、あるいは、従来どおりのサービスを提供してくれている人・業者であるか、そうでないかを、しっかり見極めておくことだと思います。
 
 そして、宮古バブルが弾けたときでも、その人達と変わらぬお付き合いをすればいいのです。

 また、島外の業者だけが潤って、島民は被害者である、というような言われ方をすることも多いのですが、宮古島出身でも、えげつない商売をしている人もいます。

 島民かそうでないかを色眼鏡で見るのではなく、今何をしているかが、重要です。



 とにかく、どんなことがあっても、宮古の海だけは守ってください。

 ディカプリオ主演の映画、「ザ・ビーチ」のロケ地となったタイのマヤ湾では、観光客の増加により環境破壊が深刻化し、サンゴ礁の大部分が消え、海の生態系も失われたとされています。
 
 もし、宮古の海がそんなことになったら、宮古島は、農業だけで細々と生きていくのか、それとも自衛隊に島の存亡を託すのか、そんな島になってしまうかも知れません。



この記事を書くに当たって、
東洋経済ON-LINE 「宮古島バブルが地元住民にもたらす光と影」( 18.6.19)
琉球新報 (19.1.11)
沖縄タイムス(19.4.4)
RBCニュース (19.8.12・13)
宮古島市役所ホームページ
を参考にしました。



 スマホでご覧いただいている方へ 過去記事の検索方法はこちらをご覧ください。



0 件のコメント:

コメントを投稿