2021年7月18日日曜日

緊急事態宣言中 だが石垣市は何を考えているのか



 7月14日から石垣島経由で、八重山離島に行って来ました。ところが出発前に、とんでもない記事が地元紙に載ったのです。





PCR検査は義務!?

 沖縄タイムス プラスの6月22日版をそのまま引用します。


 中山義隆石垣市長(沖縄県)は21日、石垣島を訪れる観光客らに7月1日から、出発前72時間以内の新型コロナウイルスPCR検査か抗原検査、またはワクチン接種2回のいずれかを求めると発表した。石垣空港の到着口前に設けたブースで、陰性や接種の証明書を提示してもらい、係員が確認する。証明書の提示を拒んでも罰則はない。

 証明書を確認できた人には、市内の飲食店などで割引などの特典がある「パスポート」が発行される。

 中山市長は5月の感染拡大を振り返り「苦い経験を繰り返さぬよう実効性ある施策を打ち出す必要がある」と指摘。「市としては証明書提示は義務との位置付けだ。観光客は全員必ず検査や接種を受けて来島してほしい」と呼び掛けた。


 国民に義務を課すには法律上の根拠が必要です。一自治体の長の判断で義務を課すことはできません。

 「義務だというくらい強く受け止めてください」というお願いならばできます。でも、行政サイドが、法律上の根拠なく勝手に「義務と位置付け」、「全員必ず」やって来いなどということは、日本国憲法下では絶対にあり得ません。

 これは、公共団体としては恥ずべきことです。石垣市の職員は、誰も市長を止めなかったのでしょうか。

 義務がないのに罰則なんかあるわけがありません。法律上の根拠なくして処罰できるなら、石垣市はもう日本ではありません。

 沖縄タイムスも沖縄タイムスです。こんなツッコミどころ満載の発表を、何の評釈もなくそのまんま伝えているだけですから。


 それも、あらゆる手立てを尽くして万策尽きた結果、超法規的に行ったということならば、憲法論はともかく、心情的には理解できなくもないのですが・・・



実効性ある施策を打ち出したの? 

 14日のことでした。空港からバスターミナルに到着し、ホテルに向かって歩いていました。
 時間にして午後3時半頃、食事にしては中途半端な時間帯ですが、飲食店が数多く並ぶビルの一角で、客が酒を飲んでいる様子。
 緊急事態宣言下では、酒類を提供する飲食店は、休業要請がされているはずです。

 ドリンク3杯+本日の小鉢で1000円だそうですが、まさか、さんぴん茶をジョッキ3杯飲む人はいないでしょう。




 日没の遅い石垣島。夕日を撮りに行ってから、同じ場所の前を通ってみたら、大勢の人が本格的に飲んでいました。




 気になったので、夜8時30分頃に再び行ってみると、宴は続いていました。酒類を提供しない店でも、午後8時以降の営業はしないよう要請されているはずですが。




 16日の夜10時近く。深夜ですが益々盛り上がっていました。バスターミナルでバスを降りると同時に、談笑する声が辺りに響き渡ります。




 こんなバスターミナルにも市役所にも近い、繁華街の人目に付きやすい場所で、昼から夜から大勢の人間が顔を突き合わせて、堂々と飲んで騒いでいるのです。

 これがOKならば、他のコロナ対策はしなくてもいいと感じるレベルです。

 
 飲食店への休業要請は、県が行う仕組みですが、だからといって、市は何もしないのでしょうか。行政指導、行政命令をするよう県に働きかけないのでしょうか。

 市独自でここに出向いて、「県の要請に従って、酒類の提供を自粛してほしい」、客に対して、「飲むのであれば、せめておしゃべりする時にはマスクをしてほしい」と要請することはしないのでしょうか。

 実際にそれをするのは、酔っ払い相手だけに嫌な仕事だろうと思います。でも、本当に実効性のあるコロナ対策をしたいならば、一番ヤバイ場所に飛んでいって、そこを押さえなければ意味がありません。

 安全な場所から、言いやすい他県の観光客をターゲットに無理筋な要求をする前に、やるべきことはなかったのでしょうか。



 風俗店案内所。半分シャッターを降ろし、しかし、灯りは付いていました。




まさかとは思うけれど

 泊まったホテルは、宿泊特化型のいわゆるビジネスホテルでした。部屋はシングルルームかツインルームが大半で、ほとんどが観光客のようですが、一人旅か、二人程度で、グループや団体客は見かけませんでした。

 そのホテルで夕刻、エレベータ待ちをしていると、何人もお客さんが、コンビニの袋を下げてエレベータに乗ってきたのです。

 せっかく石垣島まで来てくれた観光客、それも中には自費でPCR検査を受けてから来た人も少なくないでしょう。

 そんな人達が、石垣島まで来て、沖縄そばやチャンプルーすらも口にできず、ポテチをつまみにビールを飲んで、カップ麺で夕食を済ませているのです。
 

 その一方で、昼夜を違わずドンチャンやっている人が大勢いる。
 本当にこれでいいのですか。沖縄県、石垣市、観光協会の方達によく考えていただきたいと思います。


 今回の旅行の最終目的地は黒島でした。黒島はじめ竹富町では、人口の多い西表島の一部を除き、ほとんどの島民が2回目のワクチン接種を既に終えたそうで、「気にせずおいで」と言ってもらえました。



 まさかとは思いますが、観光客なんか放っておいてもどうせやって来るし、冷遇してもまた違う客が来るし、来年になれば外国人観光客も戻るだろうから、厄介な市民を相手にするより、観光客を狙い撃ちにしてやってる感を示した、なんてことはないですよね。

 これは下衆の勘ぐりですよね。


 20年以上もの間、毎年複数回通い続けた、大好きな石垣島の人達がそんなことを考えてるはずはないと信じます。





結局何だったの?

 自分は、PCR検査で陰性を確認してから出発したのですが、空港で職員から「陰性証明を見せろ」と言われたら、「法律上の根拠を示してください」とやり合うつもりで、気合いを入れて飛行機を降りたのです。笑

 ところが、到着後、手荷物受け取りに時間が掛かり、バスの発車時刻が迫っていたため、慌ててゲートを飛び出したところ、何事も起こらず外に出られてしまいました。


 結局のところ、こちらから陰性証明を見せに行けば、何かの割引券をくれるだけというイベントだったようです。

 抗議を受けて改めたのか、それとも初めからその程度だったのでしょうか。





今沖縄に行くということ

 「人が移動すると感染者が増える」。このテーゼは正しいでしょうか。

 これが原因の話をしているのあれば、誤りです。人が移動するだけでは感染者は増えません。しかし、これが現象の話であれば、正解です。統計的には、人の移動が増えると一定期間後に感染者数が増える傾向にあります。

 つまり、人は移動するに当たって、感染リスクを伴う行動をしてしまうことがあるということです。

 そうであるならば、会食、宴会など感染リスクを伴う行動をしない自信がある人は、堂々と沖縄に行けばいいと思います。

 出発前のPCR検査は、決して義務ではありませんが、手軽にできるようになったので、エチケットとしては受けてから出発した方がいいと、自分では思っています。

 しかし、それより大事なことは、出発前も、向こうでも、感染リスクの高い行動はしないことです。
 そんなこと、役所の人間ならば嫌というほど分かっていると思うのですが。
 

 今回の旅行でも、石垣島や黒島で個人的に接した人達は皆、今までどおり、暖かく観光客を迎え入れてくれました。



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