2022年6月29日水曜日

来間島長間浜はちょっとビックリ

 

 かつて、写真家の北島清隆氏が、「沖縄でもっとも美しいビーチ」だと言った、来間島の長間浜。

 伊良部大橋の影響とみられる潮の流れの変化で、砂浜が痩せて、近年、少し残念なことになっています。




 長間浜の砂浜の状況に関しては、以前にも当ブログでお伝えしていますが、ここ数年一進一退といったところで、完全アウトにはならないものの、かつてあった、どこまでも続く長いビーチは、最近は見ていません。



 その長間浜で、びっくりぽんな出来事が!

 なんと、道路とビーチを直結する、立派なコンクリート階段ができていました。




 何故こんなものができたかというと、ちょっとややこしい経緯があります。

 ここは、元々里道(りどう)と呼ばれる、市管理地でした。

 里道とは、公図が作成された明治時代に、正式な道路ではなかったが人の通り道だったため、国有地とされたもので、法律が改正され、現在では市町村が管理しています。


 昨年夏ごろ、隣接するリゾートホテルの事業主から、事業者負担でこの里道の整備をしたい旨、市に申し出がありました。

 里道は、普通財産、つまり、たまたま市が地主であるだけで、行政目的のために管理している土地ではありません。

 申し出に対し市は、地主の立場で判断すればよいので、OKしました。ということで、こんなびっくりぽんなものができてしまったのです。

 もしこれが、海岸保全区域にかかっていたら、絶対に許可にはならなかったでしょう。


(工事前はこの程度だった)



 これができたおかげで、長間浜に行きやすくはなると思います。

 しかしその分、台風の時に波や砂がこの階段を伝って舞い上がって来そうです。

 防風林でがっちり守られていた島に、わざわざ風の通り道を造ってあげるわけですから、風速何十㍍の強風が吹き荒れたら、周辺は砂と潮でザラザラ、ベタベタになっちゃうような気がします。






 強風時のことを措くとすれば、取り敢えず便利にはなりました。


 この階段は、リゾートホテルの宿泊客のために造られたことは明らかですが、元々が里道であるため、誰でも通れます。

 一方、ホテル隣接とは言え、客室からは結構な距離があります。水着のまま部屋から歩いてビーチまで、といった雰囲気ではなさそうです。


 そうなると、結局ホテルの宿泊客以外の人が、長間浜への新ルートとして利用することになりそうですが、駐車場がないため、一般客は路上駐車しなければなりません。




 道路と階段の間に手頃な空き地があったので、ここを駐車場にすればいいのに、と思いましたが、ここには「立入禁止」の看板が。



 またここで、何かやるんだろうな。有料施設とか造って。




 元からある駐車場は、この先にあります。草木が生い茂ってしまったのは、このルートを使う人が少なくなったからでしょうか。




 さて、その長間浜ですが、階段を降りた辺りから北側(海に向かって右側)100㍍弱は、砂浜が残っていて、昔ながらの美しい長間浜です。




 しかし、そこから反対方向を後ろを振り返ると、だんだん、あまり美しくない長間浜になっていきます。

 これを撮ったのは、干潮の2~3時間前位でしたから、干潮時は、もっと悲惨な状況だと思われます。




 2年ほど前、当ブログでは「絶景ビーチへと続く『奥への細道』」という記事を書いたことがあります。

 宮古島に限らず、沖縄では、人ひとりやっと歩ける位の細い道を通らなければビーチに行けない場所が、いくつもあります。

 
 長間浜へは、こんな細道を通って行っていました。そこがまた旅情を誘ってよかったのですが。




 前回記事にした、宮古島の前浜ほどではありませんが、何かと騒がしくなった来間島の長間浜周辺。

 しかし、肝心の長間浜自体が、かつての輝きを失いつつあるのは、皮肉です。





奥への細道の記事はこちら


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2022年6月25日土曜日

宮古島前浜はちょっと感じ悪い

 

 東洋一と称される、美しいビーチ、宮古島前浜。


 でも、ハッキリ言わせてもらいます。

 初めて宮古島に行く人は、東急ホテルに泊まる人以外は、今ここには行かない方がいいと思います。
 宮古島はこんな所なのかと、ガッカリしたり、誤ったイメージを持たれてしまうかも知れないからです。
 

 コロナが明けた、宮古島前浜のちょっと残念な現状をお伝えします。





 前浜港の岸壁の入り口が、車両進入禁止になりました。

 ここは港としての本来の役割を終えて、より海に近い駐車場として使われており、コロナ以前は、飲食物販売のワゴン車やトレーラーが常駐していました。

 
 海直結のため、ちょっとした衝突や踏み間違いで、海に転落する危険もあったので、これは、やむを得ない措置だと思います。

 港の入り口のすぐ右側に、4月からこんなのができています。「BEACH PAVILION MAEHAMA」



 ワゴン車などによる飲食物販売と、水着ショップなどがあるそうで、要するに商業施設エリアです。

 岸壁に常駐していたワゴン車などを、安全な場所に集約したのもいいと思います。

 
 問題は、ロープを張って歩行者まで閉め出したことです。 


 冒頭の写真のように、ビーチは目の前です。しかし、ロープを突破しないでビーチに行くには、店の前を通過しなければ行けません。

 新しい施設を造ったから、遠回りしてここを通らないとビーチには行かせませんというのは、利用者にとってものすごく感じが悪いことだと、関係者は誰も気付かないのでしょうか。


 前浜と言えば、海が綺麗な宮古島の中でも看板ビーチのはずですが、その品格のかけらも感じられません。





 前浜港の手前には、市管理の駐車場があります。コロナ前は、団体客が大型バスを連ねて押し寄せました。

 そのために造ったバス専用駐車場。しかし、新たに造ったわけではなく、一般車用の駐車スペースを潰して造ったのです。


 コロナ以後、ここにバスがやって来ることはほとんどありません。

 それどころか、バス自体が減車され、今、僅かしか宮古島に観光バスが存在しません。一般車がバスの駐車スペースに駐めても、誰にも迷惑はかかりません。

 それでも、一般車の便宜は図らず、バス優先のまま。



 入り口に張られたロープは、ひょいと一跨ぎすれば中に入れます。法令上の立ち入り禁止区域でもありません。


 実際、慣れた人は、より海に近いバスの駐車スペースに車を駐めて、ロープを越えてビーチに行きます。
 よく知らない人や、ルールだから守らなければならないと考える真面目な人だけが、律儀に、少ない一般車駐車スペースに車を駐め、店の前を通ってビーチに行くのです。


 大人しい奴には従わせ、理屈を言いそうな奴は黙認するみたいなやり方は、自分は、もの凄く嫌なのですが、どう思われますか。

 しかも、それを主導しているのは行政なのです。





 前浜には、もう一箇所、駐車場があります。前浜港の西側(海に向かって右側)です。「ウインディまいばま」という昔からある市の施設に隣接しています。「ウインディまいばま」は、海の家的なカフェです。


 
 ただ、こちらの駐車場は狭く、すぐ満車になります。また、1台当たりの駐車スペースも狭いため、駐車するのにも、車を降りるにも気を遣います。





 そして、ここいら一帯が、前浜で最も感じの悪いエリアなのです。


 コロナ前のことですが、ここに車を駐めたとたん、「観光ですか~」とチャラく声を掛けられたことがありました。ここは市営の駐車場ではないのかと問うたら、「いや交通整理ですよ」などととぼけられました。

 自分のような、一人でやって来るおっさんにまで声を掛ける位ですから、日ごろ、相当熱心に「営業活動」をしているのでしょう。



 女子同士、あるいはカップルでビーチを歩いていると、若い男から「この海をバックに写真を撮りましょう。シャッター押しますよ。」と声を掛けられます。

 写真を撮り終えると、続けて、ジェットスキーやバナナボートの営業が始まります。


 こういう、離島ののんびり感をぶちこわす、露骨な営業自体感じの悪いものですが、少し前、新婚カップルがビーチで声を掛けられ、波が高い中でジェットスキーを強行し、女性の方が具合悪くなり、病院に駆け込むといったことがありました。

 ここまで来ると、感じが悪いとかのレベルではなく、完全に一線を越えています。


 この話を聞いたとき、単純に自分は、警察に被害届を出すべきだと思いましたが、本人の意向により、情報提供に止まったそうです。

 観光地で何かあっても、警察沙汰にすることは当人の負担が大きく、簡単にはできないというのが現実です。





 前浜は、遠浅ではないため、ジェットスキーが多数行き交っていますが、普通に泳いでいる人も大勢います。きちんとエリア分けができているとも思えません。

 こんな中で事故が起こらない方が不思議です。いや、もしかしたらもう起きているのかも知れませんが。


 以前、ジェットスキーで引っ張る遊具が、海中の重石か何かに繋がれ、海面に浮いたままになっていました。

 もちろん、占用許可なしにこんなことはできないはずですが、実際には、不法占用どころか、所有者不明の投棄物になっていたそうです。


 こんなことなってるビーチは、石垣島やその他八重山諸島では知りません。





 当ブログを書き始めてから、間もなく10年になりますが、東洋一と称される前浜のことは、もう何回も取り上げ、多数の写真を紹介してきました

 長く読んでくれている人はお気付きかも知れませんが、初期の頃の記事は、手放しでその美しさを紹介するものでした。

 ここ3~4年の記事は、海は綺麗だけどちょっと・・・というニュアンスに変わってきたと思います。

 そして、ついにこの記事を書くことになってしまいました。



 これから初めて宮古島に行く人は、東急ホテルに泊まる人以外は、今ここには行かない方がいいと思います。

 東急に泊まれば、さすがにホテルの目の前でおかしな商売はしないだろうし、ホテルの駐車場なら、チャラく声を掛けられることもありません。

 逆に言えば、リゾートホテルに泊まらない限り、このビーチでのんびりできないというのは、とても残念なことです。



 泳ぐにしろ、眺めるにしろ、同じように綺麗で、もっとのんびりしたビーチが、宮古島周辺にはいくつもあります。


 下地島の通称17END、伊良部島の渡口の浜、目の前の来間大橋を渡った向かい側にある、来間島ネコの舌ビーチ(パチャビーチ)なら、間違いなく満足してもらえると思います。

 あるいは、前浜でもずっと北の方に行けば、駐車には苦労しますが、人の少ない美し海が待っています。

 今後、当ブログで紹介しようと思っていますが、埋め立て地のトゥリバーのビーチや、島北端の西の浜なども、時間帯によっては、人の居ない3つ星級ビーチに変身します。

 
(前浜の北側の海)



 宮古島周辺では、お一人様1泊数万円という超高級ホテルがドンドン建っています。

 その是非はともかく、国内外の富裕層が宮古島に泊まりに来ても、島の看板ビーチがこれではお寒い限りです。



 ビーチの品格とは、秩序があり、誰もが、自然を感じながら、安全で安心して遊べることではないでしょうか。

 人が集まるところには、商売をしたい人間も集まってきます。そこを上手く調整し、観光客が安心して遊べるようにするのが、行政の役割だと思いませんか。


 ちなみに、前浜一帯の海岸は国有地であり、管理者は、法令の定めるところにより現在は宮古島市で、港湾区域の管理者は沖縄県です。



 残念なビーチになってしまった前浜。でも、海が綺麗なことに変わりはありません。




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2022年6月21日火曜日

アートがネイチャーな西表島月が浜




 西表島、そして八重山を代表するビーチの一つ、月が浜。島での呼び名はトゥドゥマリ浜です。

 ここは、沖縄でよく見る白砂の砂浜とは少し雰囲気が違います。沖縄最大の河川浦内川から運ばれた、木目の細かい砂が堆積した、広くて静かなビーチです。





 月が浜は、目に前にホテルがあり、宿の多い住吉集落にも近いのですが、訪れる人は多くありません。

 珊瑚がないので、シュノーケリングに適さないというのがその理由ですが、木目の細かい砂が厚く堆積し、アートのような美しい砂模様が、大自然=ネイチャーなビーチにできる、オンリーワンの砂浜なのです。


 まずは、この写真。砂の細かさが、何となく伝わるでしょうか。



 海から葉っぱが流され着くこともあります。浦内川のマングローブでしょうか。不思議なのは、こうした葉っぱが流されるのは、広い砂浜の決まった場所だけなのです。




 水溜まりに雲が映ります。真っ平らに見える砂浜でも、ホンの僅かの高低差ができるようです。




 砂浜に不思議な模様ができています。まるで粘土のようですが、ただの砂です。本当に細かい砂。




 こちらは、波の造形ではなく、カニの砂団子。カニが巣穴を掘るとき、綺麗に丸めて外に捨てます。



 砂浜に同化しているカニ。小さい割に、高速で移動します。足がいっぱいあるから?




 真西に海を臨む海岸は、夕日の名所でもあります。




 この轍は、ヤドカリの通った跡です。





 コテで整形したような整った部分と、隣り合わせで枯山水のような縞模様。波と風の力だけでこうなりました。

 もったいなくて、この上を歩くことができません。一体どのような力加減でこんなアートができるのでしょうか。




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