2023年3月30日木曜日

いろいろあったけど 下地島空港民営化4周年

  


 早いもので、下地島空港が民営化されてから、3月30日で4周年を迎えます。

 
 当ブログを始めてから既に10年。何だかあっという間だったような気がするのですが、こと、下地島空港に関しては、長くブログを続けて来たんだなぁ~と感じるのです。


 この10年は、下地島空港にとっても激動の期間であり、当ブログでもそれで一喜一憂していました。
 今、当然のように定期便が飛んでいる空港を眺めていると、何だか不思議な感じがします。

 


 上の写真は、冒頭の写真と共に、2012年夏に撮ったものです。ちょうどブログを始めた頃です。

 今ではあまり見かけない全日空機ですが、当時は、ここで訓練飛行を行っていました。まだ、伊良部大橋は開通していない時代です。



 下地島空港は、1979年(昭和54年)に訓練飛行場として開港し、以来、沖縄県が管理していました。

 パイロットの訓練のため、一旦滑走路に着陸しそのまま再び加速して離陸する、迫力のタッチ&ゴーを間近で見ることができ、しかも、背景には美しい海が控えるというベストビュー。

 伊良部大橋がなかったので、熱心なファンは、フェリーにレンタカーを積んでやって来たものです。


 しかし、日本航空が経営難に陥ったことから、下地島空港も風向きが変わります。

 当時、空港の維持費用は、訓練飛行で利用する日航と全日空が折半する形で負担していましたが、日航が撤退し、単独では維持費を負担するのは困難だとして、2014年には全日空も撤退します。

 その後は、時たまRACと海上保安庁の小型プロペラ機が、細々と訓練飛行を行うだけという寂しい状況に陥り、下地島空港はまさに宝の持ち腐れに。


 もうこのまま廃港になるのではないかという噂も流れ始め、一方、普天間基地の代替施設として米軍に提供すべしという政治的主張もあり、どうにも落ち着かない時期でした。




 空港管理者である沖縄県は、全日空撤退後、庁内に作業班を設置し、新たな利活用策の公募を始めました。

 その後、2016年になって、民間空港としての再生、パイロット養成事業、ドローン操縦者の養成など4事業を選定したと発表したのです。


 さらに、2017年、ターミナル施設の新設等による旅客化と訓練飛行の本採用が決定。採択された事業者により工事が始まりました。

 当初は、2018年秋の開港予定でしたが、半年ほど遅れて、翌2019年3月30日午前10時過ぎに、ジェットスターの一番機が機が着陸したのです。




 その後、スカイマークが本格的に進出し、特に羽田からの直行便が飛ぶことになってから、下地島空港の名は、沖縄好きや航空機マニアだけではなく、一般の観光客にも浸透していきました。

 また、国際線として、LCCの香港エクスプレスも定期便が設定されました。


 宮古空港にはなかった、航空便と連動したリムジンバス・路線バスも運行されるなど、宮古島のサブ空港として本格稼働を始めます。


 実質初年度の2019年度は126,159人の利用がありましたが、2020年度はコロナで転けて、その後、2021年度は221,504人まで伸ばし、昨年5月27日には、利用者数累計50万人を達成したのです。




 現在は、ジェットスターが2往復、スカイマークが5往復の運航されていますが、国際線は、香港エクスプレスがコロナで運休のまま、現時点で復活しておらず、スカイマーク頼みから脱却できていません。

 2025年度の年間利用者を、57万人とすることが目標でしたが、そのためには、今の倍くらいの便数が必要でしょう。


 この間、宮古空港はどんどん運航本数を増やしました。
 300人くらい乗れる中型機も含め、1日25~30便が飛んでいて、水をあけられるばかり。
 
 全日空の羽田・宮古の直行便は、10年前は1便もなかったのですが、今年の夏は3便にまで増便され、JAL系と併せて、首都圏からの利便性が格段と向上しています。

 また、島人は近くて便利な宮古空港を利用するため、観光客の利用が多い下地島空港は、オフシーズンには苦戦することになってしまいます。





 今年の夏、コロナが明けて大量の観光客が宮古島に押し寄せた場合、不足するのは、ホテルの客室数でも、航空機の座席数でもなく、レンタカーとタクシーだと言われています。

 せっかく活気の戻った下地島空港ですが、宮古空港との競争も厳しく、この先どうなるのか、必ずしも明るい未来が約束されているわけではなさそうです。

 
 立地は最高なのですから、単なる飛行機の乗り場ではない、付加価値のある魅力的な空港施設にはできないものでしょうか。

 例えば、空港ロビー内に展望台があって、17ENDの海を背景に飛び立つ飛行機が見学できたら、そこにカフェでもあってゆったり過ごせたら、そのためだけにでも下地島空港を利用するような気がします。



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2023年3月25日土曜日

宮古島にある犬猫保護団体の光と影


 ♪ お魚くわえたドラ猫 追っかけて~

  ご存じサザエさんのオープニング主題歌です。ドラ猫とは、野良猫の中でも、人の家に上がり込んで食べ物を失敬するような、悪い猫という意味だそうです。


 最近ではめっきり少なくなった野良猫、野良犬ですが、その背景には、保健所の奮闘と、ボランティア団体の活躍があります。

 今回は、宮古島で犬・猫の保護活動を行うある団体にまつわる、もの凄く難しくて厄介な問題について取り上げます。

 


 動物愛護法(動物の愛護及び管理に関する法律)という法律があります。飼い主不在の犬・猫は、原則として保健所が引き取ります。

 保健所は、引き取った犬・猫を一時保護し、別の引き取り手を探します。保健所で引き取り手が見つからなかった犬・猫は、最期は殺処分されます。

 令和3年度(2021年度)は、全国で、犬2,739頭、猫11,718頭が殺処分されました。
 これでも、かなり減った方で、平成28年度(2016年度)以前は、その数が、合わせて5万頭を、平成21年度(2009年度)は、20万頭を超えていました。


 コロナで保健所が忙殺されたことは周知のとおりですが、保健所は他にも重要な業務を担っており、犬・猫に割ける予算もマンパワーも限られています。


 保健所で引き取り手の見つからなかった犬・猫が殺処分されてしまわないよう、引き取って一時飼育し、新たな飼い主を見ける活動をしている人達がいます。

 こういった活動は日本全国で行われており、統計数字はハッキリしませんが、おかげで命を繋ぐことができたワンコやにゃんこの数は、相当な数に上ります。


 宮古島にある「宮古島 SAVE THE ANIMALS」もそんな活動を行う団体です。




 この団体は、2019年の設立ですが、輝かしいキャリアがあります。

 テレビ番組に何度も登場しているのです。何とか動物園とか、何十時間テレビとか。

 創業者が昔何かやらかしたと問題になっている、某事務所のスーパーアイドルが、団体の施設を訪問して保護犬の世話をし、その後の番組では、保護犬を引き取ったお宅を訪問して再会するという、感動ドラマの舞台にもなりました。

 そのおかげで、知名度は格段にアップし、寄附も増加したそうです。エンタメ会社の会長から、1千万円という高額の寄附があったことも報じられています。



 その一方で影もあるようです。

 なんと、あの文春砲が、団体と近隣のトラブルを報じたのです(2022年8月31日文春オンライン)。

 それによれば、

 近隣の住民に説明がなく突然開設された
 犬・猫の鳴き声がうるさい
 犬の糞が地域のゴミ捨て場に大量に捨てられた
 放置された大量のペットフードをカラスやネズミがあさりに来る
 犬の散歩のために畑などに無断で入り込む
 市に間に入ってもらい施設の閉鎖を約束したがそれを果たしていない

 ということが問題になっているのだとか。




 自分もその場所に行ってみました。周辺は、サトウキビ畑と家屋が点在する集落です。確かに、犬が吠えていました。

 広い敷地なので、騒音というほどでもないように思いましたが、キャインキャインと甲高く鳴く犬もいて、四六時中これを聞かされていたら、ちょっと辛いかも知れません。

 
 また、この施設は、一般の見学を受け付けていません。

 多くの施設では、見学者を積極的に受け入れることによって、新たな飼い主を開拓すると共に、ボランティアや寄附を募るものなのですが。


 一方、ホームページはきちんと作成されており、譲渡会(飼い主を探すためのイベント)も行われていて、月毎の会計報告もされています。



 文春砲が炸裂した直後の9月6日、NEWSポストセブンもこの問題を報じました。施設を訪問し、代表から話を聞いていますが、その言い分としては、

 保護施設が使えなくなった別の団体から、保護犬約60頭を引き取って始めた。

 元々は、ブリーダーが犬を飼育していた土地の提供を受けたもので、自分が開拓したわけではない。

 メーカーからペットフードの提供の申し入れがあり、数量をよく確認しないで受けてしまったところあまりに膨大な量で、処理するまでに時間がかかった。

 事前にあいさつをしなかったことは詫びた。規模は縮小しているが、すぐに出て行けと言われても、今いる犬・猫を見捨てるわけにはいかない。

 高さ7メートルの壁の設置を約束したが、建築基準法違反だったため、適法な範囲で設置した。二重窓の設置などは対応した。衛生面の対処もした。

 ということのようです。 




 以前自分は、神奈川県内のとある犬猫保護団体で、ホンのちょっとだけお手伝いをした経験があります。

 ここの主宰者は、経営者であれば若手の部類ですが、その手腕は確かなもので、様々な方法で資金を集め、次々に事業を拡大し、保護犬・保護猫の数を増やしていきました。

 もし、この人が営利事業でこの才覚を発揮していたら、青年実業家として名をなし、都心のタワーマンションに住み、高級外車を乗り回していたかも知れません。

 しかしこの人は、その経営手腕を薄幸なワンコやにゃんこのために振るいました。

 とても真似できないことだと思いましたが、それでも、内部には慎重意見もありました。
 これ以上手を広げず、今できることを手堅くやるべきだと。万一破綻したら、路頭に迷った犬・猫は最期は殺処分されることになるからと。

 

 これは、特殊なケースでしょう。

 保護団体の主宰者には、犬・猫に対する情熱はあっても、施設経営や、ボランティアの人事労務管理の経験があるとは限りません。

 活動するに当たって、想定外の難題に直面したとき、それをスマートに解決出来なくても、ある程度やむを得ない面があると思います。



 文春砲の「事前に説明がなかった」という部分がちょっと引っかかりました。

 代表は移住者とのことですが、元々ブリーダーが犬を飼っていた土地だし、県の許可を受けているし、お隣さんといっても何十メートル、百何十メートル先という敷地だから、一々説明は不要と考えたのかも知れません。 
 いや、普通はそう考えるでしょう。

 ただ、ここは島です。人間関係が都会とは比べものにならないほど濃厚です。郷に入れば郷に従えと思う人も当然いるでしょう。


 別の事情もありそうです。

 冒頭の写真をご覧になってお気づきでしょうか。この犬にはあるべきものがありません。鑑札(首輪)です。
 この写真は、宮古島で2020年7月に撮ったものです。


 都会では、野生の犬に遭遇することは滅多にありませんが、島では時々見かけます。人に刃向かわないので、もしかしたら、飼い主がいるのかも知れません。

 鑑札があっても、放し飼いにしたり、散歩の時にリードを離して自由に遊ばせる飼い主もいます。
 島は人が少なく、ペットを遊ばせる場所がいくらでもあります。

 地域猫とすらいえない、半野良猫も沢山います。ホンの十数年前までは、生まれた子猫を海岸に捨ててくることも珍しくなかったと聞きます。
 今なら動物愛護法違反ですが。


 そんな環境下では、保護活動の意義は伝わり難かったかも知れません。説明の件と併せて、スタート時点で、ボタンの掛け違いがあった可能性があります。

 さらに、テレビに出たことで、掛け違えに拍車がかかった気がします。


 日本中に同じような施設がある中、何故ここがテレビ番組に登場したのか。それは、宮古島だからでしょう。

 リゾートの島、海が綺麗な島は、絵になるし、話題にもし易い。
 そこで感動ドラマを仕立て上げれば、視聴者に強いインパクトを与えることができると考えられたのではないでしょうか。


 その影で、日頃から多少なりとも我慢を強いられている人達は、このような感動ドラマを素直に受け入れられるでしょうか。
 もし自分ならば、無理だと思います。

 文春砲がこのような地域の問題に炸裂したのも、感動ドラマの舞台裏だからです。光に照らされたからこそ、その影をあぶり出したはずです。




 この話には、オチがありません。

 目的は真っ当であり、是非頑張っていただきたいと思います。しかしその一方で、我慢を強いられている人達を放置することはできません。

 何処か人が住まない場所に移転できれば良いのでしょうが、それには金がかかるし、その金で、もっと保護犬・保護猫の数を増やせという意見もありそうです。

 閉鎖ということになれば、宮古島で、犬・猫の殺処分が増えるかも知れません。
 子猫を保護して、SNSなどで飼い主を探すといった個人間のネットワークもあるようですが、いかんせん、保健所に持ち込まれる犬・猫がなくならないのです。



 もっとも、この記事をきれい事で締めくくるのは簡単です。

 「当事者間でよく話し合ってほしい」とでも書いておけば、取り敢えずまとめにはなります。

 テレビのニュース番組だと ” 専門家 ” なる人物が登場し、「行政がきめ細かな対応をすべきだ」と言い出しそうな場面です。

 「どちらも、テレビの視聴率至上主義の犠牲者だ」なんて書いてみれば、かっこいい結びで終えることができそうです。

 でもそれでは、当事者にとってはクソの役にも立たない戯れ言でしかありません。



 この記事を書くに当たって、島の知り合いにも話を聞いてみました。

 団体に関して、良くない評判が少なくなかった一方、きちんとしているという好意的な評価も少しありました。
 譲渡の際の審査が厳しいという声も聞きましたが、これはしっかりした飼い主に譲渡するという趣旨ならば、むしろ賞賛すべきことだろうと思います。



 一時興味は持ったものの、なかなかに難しい話なので、そのままお蔵入りにするつもりでしたが、人の勧めもあって記事にしました。

 問題があります、でも解決策は思い浮かびません、というだけの薄っぺらい内容の記事ですが、高級ホテルが次々と建つバブリィな宮古島には、一方で、影の部分もあるのだということを知ってもらうだけでも、全く無意味ではないと思い直したからです



 宮古島には、幸せそうなにゃんこもいます。




 文春砲はこちら

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2023年3月20日月曜日

沖縄で見つけたちょっと気になるシーン10選

   
 ビーチサンダルの移動販売車



 カメラを持って歩いていると、絶景でも、特別なシャッターチャンスでもないけれど、ちょっと気になるシーンに巡り会うことがあります。

 思わずカメラを向けたものの、何かのテーマに沿ってご紹介するのは難しい、でもちょっと捨てがたいという、ニッチな存在の一点モノの写真を掻き集めました。

 テーマにならない、というのが今回のテーマです。



 ピンクのブロック塀にはめ込まれた不思議な石敢當(いしがんとう)


 誇らしげなマンホールの蓋


 ネックレスのようなアサヒカズラ


 チョークで黒板に書かれたマンゴーかき氷


 白壁に映るバナナ(芭蕉)葉の影


 多分誰かが拾ってここに集めたのだろう


 影を計算して作られたおしゃれな看板


 無理矢理に紅型風にしたようなステンドグラス


 ビーチはまだ遠い感じ



 まったく統一性のないものばかりですが、見てもらって、少しでも目に留まる、印象に残る写真があったら嬉しいのですが。



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