2025年4月27日日曜日

雨の石垣島は思ったほどゆるくなかった

 


 石垣島に行ったのは、23日から26日。
 気象庁の週間予報は、曇・曇・曇・曇・・・ そんなわきゃねーだろぉ!



 こちらは、24日朝のNHKの天気予報です。
 石垣島の周辺に前線と高気圧。どちらかがホンのちょっと動くと、晴れにでも雨にでもなりそうな気圧配置。

 気象庁は、どっちに転ぶか分からないから、曇にしといたのか。笑




 で、天気の話は措きます。(何故措くのかも、措きます。)



 ネットで探して安かったから予約したレンタカー。

 「アウトレットクラスなので、キズやヘコミがありますが、気にしないでください。」とか。
 アウトレットの意味がちょっと違う気がするけど、まあいいか。




 その「アウトレット車」で国道を走行中、大浜辺りで渋滞にはまりました。何でこんな所で?と思っていたら、交通事故。
 なんと、バス停で停止中の路線バスに車が突っこんだ。

 乗客は後続の臨時バスに乗り換え、警察による現場検証が行われていたための渋滞です。

 ちなみに、事故車は「れ」ナンバーでした。




 石垣島の銀座4丁目交差点こと、730(ナナサンマル)交差点。

 交差点脇の建物は、かつては、「コンビニシーサー」という、あまりconvenienceではないコンビニが1階に入るオフィスビルだったのですが、今は「730COURT」という、名前はオシャレな物販のテナントビルに改装されました。



 そこに隣接している場所に、屋台風の建物があるのですが、名前は「ナナサンバル」。酒が3杯で730円だそうです。

 「千ベロ」というのは、千円でベロベロに酔える店ですが、それに対抗する730円ベロですかね。

 物価高の昨今、大変有り難い店、いや、有り難くないというべきか。



 結構繁盛しているみたいでした。




 離島ターミナルの植樹帯みたいな場所に、バナナが実を付けていました。手を伸ばせば簡単に採れそうですが、誰も手を出さない。いいでよすね~このゆるさ。




 さすが石垣島。なんだかんだと言っても、まだまだゆるいよな~と思っていたら、全然ゆるくないものが。


 繁華街で見かけたランチの看板です。いくら石垣牛を使っているからといって、牛丼が4千円。

 これはもう、インバウンド丼の世界では。 



 ところが、それで驚くのは早かった。 
 


 東京で1万円出してステーキを食べるとしたら、高級感あるオシャレな店で、目の前でシェフが、「焼き具合はいかがなさいますか」と尋ねてくれるイメージしかありません。


 もちろん、ターゲットは、霜降り和牛を食べてみたいという外国人観光客でしょう。

 外国人が1万円のランチに舌鼓を打つ一方、日本人は730円ベロで盛り上がっているとしたら、なんか寂しくないですか。



 24日夜、石垣港の沖合には、10階建てくらいの超大型クルーズ船が停泊していました。

 あるブログで読んだ話では、クルーズ船の団体客が大挙して川平湾に押し寄せる日には、現地の公衆トイレが大変なことになっているのだとか。

 そう言えばかつて宮古島でも、前浜のトイレが団体客でとんでもないことになっていたことが、民放の全国ニュースで報じられたこともありました。

 
 このタイミングで、石垣島のコンビニは、「お手洗いの利用について 当面の間使用中止」という貼り紙をしていました。

 ここだけではなく、見た限り多の店も同じ対応でした。

 何だか、ちょっと考えちゃいますよね。
 



 それにしても、石垣島では外国人旅行者を本当に沢山見かけました。

 空港でも、離島ターミナルでも、ユーグレナモール(あやぱにモール)でも。場所によっては、日本語を話しているのは従業員だけ!?みたいなシーンも。


 しかし、だからといって混雑しているというほどでもないのです。

 GW前ということで、空港も離島ターミナルも余裕があったし、繁華街で夕食難民になることもありませんでした。

 これだけ外国人旅行者が多いのにそれほど混んでいないということは、もしかして、日本人旅行者が少なくなっているのでしょうか。



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2025年4月22日火曜日

沖縄離島のオーバーツーリズム問題を考える Ⅱ

 


 前回、北海道のニセコを例に出しましたが、地元紙などが報じたところによれば、ニセコ町でリゾート開発を行う会社が破綻しました。

 スキー場に隣接し、羊蹄山も一望できる抜群のロケーションに、客室露天風呂を備えた部屋など全219室のニセコ最大級のリゾートホテル。
 昨年中に完成する予定でしたが、今月になって裁判所は、開発を担う香港系の会社の破産手続きの開始を決定しました。

 建設途上の建物は、現在もそのまま放置されています。



 AERAdigitalは、大阪の神社で、外国人の子どもが、社務所から持ち出したおみくじ入りの木筒を振って遊んでいたケースを報じました。

 母親は、注意するどころか、それを写真に撮っていたそうで、子どもは手を滑らせて筒を落とし、おみくじ棒を境内にばらまいたとか。


 全国各地の神社仏閣で、外国人の不敬行為が問題になっています。

 長崎県対馬の和多都美(わたづみ)神社は、外国人の不敬行為にたまりかねて、「氏子、崇敬者以外の境内への立ち入りを禁ずる」としたことも報じられています。


 外国人が日本の文化を理解できないことはある程度やむを得ないことです。日本人にも非常識な人間はいます。

 しかし、大勢の人間が大挙して不敬行為を行えば、多勢に無勢となり、もはやマナーの問題では済まされず、一律に規制をかけるしかなくなります。



 東洋経済ONLINEによれば、 京都の旅館では、夕食の提供を止める所が増えているそうです。

 外国人観光客は、宿の夕食に彼らのイメージする日本食を求めます。

 しかし、宿の食事には、霜降り和牛のステーキも寿司もラーメンもたこ焼きも出ない。それで、 「ほとんどすべての食事を残し、ファストフードや、コンビニで手軽なサンドイッチなどを購入して食べている姿をよく見かける」のだそうです。


 良心的な宿では、高級料亭旅館でも民宿でも、丹精を込めて料理を創ります。

 それを残されるだけでも残念なのに、翌日から夕食をキャンセルすると言い出す人が多いらしいのです。 
 
 食材を用意しても、キャンセルされる。
 「準備しているから無理だ」と断っても、「食べていないのに何故金を払わないといけないのだ」と詰めよられる。

 言葉が違うし、意思の疎通が難しい。

 キャンセルを受け入れたら、事前決済の場合は予約サイトやクレジットカード会社へ返金の連絡をしなければならない。海外サイト経由の場合がほとんどのため、そこでも言語の壁が立ちはだかる。
 ただでさえ人手不足なのに、対応に追われて忙しくなる。

 だったらもう食事の提供は止めてしまえ、ということなるのだそうです。


 しかしそうなると、日本人観光客が、宿の夕食を楽しみたいと思っても、もはや適わなくなってしまいます。



 テレ朝newsでは、富士山と桜が同時に見える山梨県の河口湖畔のとある場所に、外国人観光客が殺到していると報じました。

 周辺は住宅密集地で、道路も狭いことから日常的に渋滞が発生。住民のなかには、自宅まで5分の道が30分かかることもあるといいます。


 さらに、住宅の敷地内に無断で立ち入る観光客が後を絶たないというのです。

 「冬なんてたばこ吸いながら入ってきたり、だからすごく怖い。今の時期だと(庭の)桜が咲いていると桜を見に来たり、あとは庭の植木を見に入ってきたり、家を撮影したり平気でしている。ちょっと怖いです」とは、取材を受けた住民の話です。



 毎日新聞によると、上場するホテル13社の昨年10~12月期の客室単価は、全社が前年同期を上回り、最大で1・6倍に上昇したとか。

 その理由として、旺盛なインバウンド需要を挙げ、「客室単価はさらに上昇が見込まれ、国内旅行客と訪日観光客で客室予約の争奪戦が激しさを増す見通し」としています。



 最近報道されたオーバーツーリズム関連の事例をいくつか紹介しましたが、このようなニュースが連日のように報じられています。





 オーバーツーリズムによる自然破壊については、マヤ湾の例が有名です。


 タイのピピレイ島のマヤ湾は、レオナルド・ディカプリオ主演の映画「ザ・ビーチ」のロケ地になったことで、観光客が急増しました。

 その結果、海の生態系が破壊され、珊瑚の約8割が死滅し、浜辺やジャングルも、ゴミや排泄物で汚染されました。

 マヤ湾は2018年に閉鎖され、4年後に砂浜までは条件付きで行けるようになったものの、ボートを含め海に入ることは今も禁止されています。




 インバウンドによって潤う人達もいます。国も地方もそれを期待します。

 しかし、度が過ぎてオーバーツーリズムの状態になってしまうと、失うものの方が多くなってしまいます。


 恩恵は受けず損失だけを被る人達もいます。「受忍限度」という言葉で語られることもありますが、観光客が勝手に庭に入って写真を撮るなどは、明らかに受忍限度を超えています。

 ホテル代の高騰は言うに及ばず、自然、文化の破壊などは社会全体の損失です。

 

 オーバーツーリズムは、その土地の自然、文化、生活環境を破壊し、破壊し尽くして終わると言われています。

 一度破壊されてしまうと、そう簡単には元に戻りません。オーバーツーリズムの状態になる前に何とか歯止めをかけたいところです。


 翻って、宮古島、石垣島はどうでしょうか。





 まだ間に合うと思うのです。

 外国人を含む旅行者が島に溢れ、物価も土地も上がりました。自然環境も徐々に変わってきています。

 でも、ニセコのような事態には至っていないと思います。 だから、今すぐ手を打てば、宮古・八重山をオーバーツーリズムから守ることはできるのではないでしょうか。





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2025年4月19日土曜日

沖縄離島のオーバーツーリズム問題を考える Ⅰ

 

 もしソーキそばが1杯2500円だったら。もしパイナップルが1個1500円だったら。石垣牛の焼き肉コースが1万5千円だったら・・・

 


 北海道のニセコ。

 かつては、パウダースノーのスキーリゾートとして憧れの地でしたが、いち早くインバウンドの波が押し寄せ、それが加熱し、もはや日本ではないとすら言われています。


 英語と中国語の看板ばかりが目立ち、日本人の観光客は僅かだそうです。

 ニセコ駅・倶知安駅を通るJR函館本線(通称山線)は、1両編成の列車が1日僅か5往復するだけの廃止確定路線ですが、現在の乗客の大半は外国人です。

 駅でボードを持って客を出迎えるのも外国人ばかり。


 共通1日リフト券は1万円を超え、カツ丼が3000円とか味噌ラーメンが2000円などは当たりまえ。

 北海道の地元系コンビニのセイコーマートには、1パック2000円のイチゴや、1万円の値札が付いた「山崎」「白州」といった国産ウイスキーが並んでいます。


 これまた英語表記の売り別荘の看板を見ると、東京23区かと見まがうような売値が。
 


 オーバーツーリズムは、観光公害と訳されたりしますが、自然破壊や文化破壊に止まらず、地元民の日常生活をも脅かします。


 バスに観光客が溢れ、生活のため利用する地元民が乗れないというのは京都市などで有名な話です。

 外国人がアプリでタクシーを次々と予約していくので、高齢者がタクシーで病院に行きたくても、電話すら取ってもらえないということも。


 人手不足にも拍車がかかります。

 外国人相手の事業者が、高時給で従業員を募集するので、介護・福祉施設は言うに及ばず、地元民が利用する普通の店が人出が足りずに潰れていきます。


 観光地に隣接した土地の値段が上がります。売り抜けた人は金を手にできますが、普通に住んでいる人はただ固定資産税が上がるだけ。

 所有者が亡くなり相続が発生すると、相続税が高いため、遺族は納税のためにその土地を手放さざるを得ないことも。

 これは、1990年頃のバブルの時の田園調布と同じ構図です。


 今、長野県の白馬が第二のニセコになると言われています。白馬の土地も爆上がりしました。




 そもそも、何故外国人観光客が増えたのでしょうか。

 理由の一つは、日本の魅力が海外に知れ渡ったことです。これに貢献したのは、なんといってもネット情報です。

 加えて歴史的な円安もあります。

 東日本大震災のあった日の週明け、日本が当面海外から大量の物資を輸入するだろうという思惑から円が買われ、1ドル80円を大きく割り込む場面がありました。

 あの頃から比べれば、ドル保有者は最大50%オフで日本旅行ができるのです。


 さらに拍車をかけたのが、国を挙げてのインバウンド政策です。

 電車やバスで外国語の放送や案内があるのはもはや日常ですが、元々は国土交通省の施策で、事業者に強い行政指導と補助金の交付が行われました。

 観光ビザの免除や要件緩和にも積極的です。


 何故、国は予算を投じてまでインバウンドを呼び込もうとするのか。その理由は、あけすけに言えば、外国人に日本で金を使って欲しいからです。

 インバウンドにはメリットも多くありますが、一方で強い副作用をもたらします。処方箋に従って適切に服用するべきところですが、今の日本はインバウンドのオーバードーズ(過剰服用)ではないでしょうか。

 


 建設ラッシュが続き、バブルと言われる宮古島では、土地が高騰しています。

 3月27日配信の宮古毎日新聞によれば、2024年の地価公示価格(1月1日時点)は、宮古島市では前年に比べた伸び率が、商業地12.4%、住宅地は12.3%で、いずれも県内トップだったそうです。

 たった1年で土地の価格が12%も上がるなんて、これはもう正真正銘のバブルです。

 
 同記事によれば、「平良地区の中心市街地の地価は大幅な上昇傾向」、「商業地の中心市街地では、賃料が急激に上昇しており、資金力がある県外の業者が高値の取り引きが出ている」、「宮古島全体で、県外・外国資本によるホテル開発が目白押しだ」とのこと。

 

 ニセコにしろ、白馬にしろ、陸続きであればまだ、多少不便でも隣町に買い物に行くなど逃げ道も考えられます。

 しかし、離島である石垣島や宮古島がオーバーツーリズムに陥ったら、逃げ道がありません。





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