来る9月25日、オリオンビール株式会社は、東京証券取引所プライム市場に上場されます。
それがどうした?と言われると身も蓋もないのですが、証券取引所に株式を公開すれば、自社株の売買が容易になることで、資金調達が容易になります。
また、知名度や信用度が向上することにも繋がります。
ということよりも、沖縄の企業が遂にここまで成し遂げたという、立身出世ではないけれど、そういった象徴的意味合いが大きいのです。
沖縄県の製造業では初めての株式上場だそうですが、そんなわけで、あのオリオンビールが上場するというのは、沖縄的大ニュースなのです。
オリオンビールの創業は、アメリカ占領時代の1957年、生産開始は1959年でした。
発売当初は、ドイツ風の濃厚なビールを造っていたそうですが、あまり売れず、アメリカ風の軽いビールを製造したところ、沖縄の高温多湿の風土に合ったのか、急激に売り上げを伸ばし、復帰前後には、県内シェアの9割を占めたそうです。
今でも、沖縄県内では5割のシェアを誇ります。コンビニはともかく飲食店では、オリオンビール以外のビールを置いてある店は、未だ少数です。
オリオンビールは、沖縄県内のほとんどのイベントに協賛又は後援するといわれる、JTA(日本トランスオーシャン航空)と並ぶ沖縄県を代表する企業なのです。
もっとも、オリオンビールは、創業以来右肩上がりに業績を伸ばし遂に上場まで漕ぎ着けた、というわけではありません。
むしろ反対で、本土復帰により、それまで輸入品扱いだった内地のビールが一気に浸透して苦戦を強いられます。
オリオンビールのシェアは右肩下がり。2002年にはアサヒビールと提携するなどしましたが、切り札にはなりませんでした。
オリオンビールは、沖縄にとって戦後復帰の象徴のような会社でした。
沖縄の復興には製造業が必要だとの信念の下、実業家が中心となり設立され、その後も創業家が経営に関わる非上場企業でした。
1990年頃までには創業家は経営から退いたのですが、その後も株式の約2割を創業家一族が保有しており、企業の大胆な改革のためには、創業家の株を買い取る必要があったのだとか。
2019年に、野村ホールディングスとアメリカの投資ファンドのカーライルが、創業家などから株式を取得し、オリオンビールは両社の完全子会社となりました。
野村とカーライルは、買収当初から、オリオンビールの企業価値を高めた上で上場を目指すとしていました。
会社も新製品を次々と投入するなど期待に応え、遂にその日を迎えることになったのです。
これにより、知名度の向上と、県外・海外への販売強化に期待がかかります。
東証(東京証券取引所)プライム市場とは、「グローバルな投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向けの市場」なんだそうです(ワタクシにはよく分かりません。汗)。
ちなみに、トヨタもソニーもプライム市場上場企業です。
上場に伴い、オリオンビールの株式は一般の人でも購入できます。上場時の株の売り出し価格は1株770円だそうです。
株主として飲むオリオンビールは、一段と美味いのでは?(まあ知らんけど)。
株主優待として、オリオンTシャツがもらえるそうですが、条件としては千株以上の保有が必要です。
それでは皆様、株式上場を祝って、いや、そんなの関係なくても「ありっ!乾杯!」
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