宮古島がバブルなんていわれる遙か前からあった、ゆる~いレンタカー屋、フジレンタカー宮古島店が、残念なことに今年1月に廃業していました。
フジレンタカーというのは、那覇に本社があるレンタカー会社で、沖縄本島と宮古島・石垣島に営業所がありました。
といっても、各営業所はフランチャイズ方式なので、資本関係はありません。
フジレンタカー宮古島店の特徴は、何といってもその安さ。軽自動車が夏シーズンでも24時間4000円。しかも免責込み。
オフシーズンは、それが2960円まで下がります。
値段が安いだけではなく、これまで様々なエピソード、ブログネタも提供していただきました。笑
以前の記事では「Fレンタカー」なんて書いていましたが、今回は、本名?で書かせてもらいました。
初めて借りたのは、もう20年以上前の平成14年(2002年)でした。
車を借りて、営業所に返して、その後空港に送ってくれるものだと思ったていたら、「帰りは、空港の駐車場の空いてるところに駐めて、どの辺に駐めたか電話ちょうだい。ドアは施錠せず、キーはダッシュボードに入れておいてね。じゃあ気をつけて行ってらっしゃい。」
「はぁ~」としか言いようがなかった。
実は、この”スーパー返車システム”は、当時は宮古島でも石垣島でも結構あったのですが、自分はこのとき初めて経験し、ぶっ飛びました。
空港に着いたのに、お向かえがいないということも数回に1回の割合であります。
忙しくて送迎が間に合わないから常連客は後回し、ということもあったようですが、その挙動から「マジで忘れてただろ~」ということも。
宮古空港に向かえに来てもらったとき、空港にたまたま知り合いがいて、「一緒に乗っていく?」みたいなことがありました。
それは構わないのですが、そのとき車は宮古空港の横断歩道上。そこに車を駐めて知り合いを乗せようとしたところ、背後からパトカーに警告されるし。
関係ないこっちがハラハラしましたよ。
フジレンタカーは、自動車整備工場が本業でした。中古車を仕入れ、自社で整備して安く貸すのがビジネスモデルでした。
そのため、値段は安いけれど、10年くらい前には新車だったような車が多く、中には、ドアを開けるのにコツがいる車とか、エアコンが爆音を響かせる車とか、スマホをくっつけたのかと思うような、小さなカーナビしかなかった車もありましたっけ。
他の車は全部出払っていたので、貨物用のバンを借りたことがあります。
30年振りくらいに乗ったパワーウインドウなしの車。当然カーナビはありません。
一方で、台風で思わぬ予定変更があっても、いつも気持ち良く受けてくれました。到着便が遅れて空港で長時間待たせてしまったことも。
どんな時でも、何事もなかったかのように「はいは~い」と対応してくれました。台風の時など、こっちはバタバタなので、このゆるさは本当に有り難かったです。
3年前、半導体不足のため、全国で新車の納入が遅れるという騒ぎがありました。
沖縄のレンタカー業界も、その余波を受けてレンタカー不足し、値段が相当上がりました。
それに乗じて、普通車が24時間数万円というぼったくり業者も次々と出現しました。
さすがに、Tヨタなど全国チェーンの大手はそんなことはしませんでしたが、それでも5割程度の値上げをしています。
そんな中、元々安いフジレンタカーは1円も値上げしなかったのです。
レンタカー担当は、A子さんという女性。有り体に言うと、これぞ「ザ・沖縄のおばちゃん」という人でした。
まあ、言うなればこの人がフジレンタカーのゆるさの元凶、いや、源です。
若い人を雇っても、次から次に辞めてしまうのが長年の悩みだと言っていました。
あるとき、新潟県から移住した若い女性を雇ったところ、マジメに一生懸命働くので今度こそ定着するかと思いきや、
「それがね~ こっちで彼氏が出来て妊娠しちゃって、そうしたら彼氏がとんずらして、彼女は一人で子供を産むと言って実家に帰っちゃって。もう若い子は何考えてるか分かんないよ。」
いやいや、そんな話しオレが聞いちゃっていいんですか。
なんてこともあったのですが、数年前からは、Yすださんという若い男性が定着し、A子さんもホッと一息だったはず。
ところが、開業時からずっと頑張ってきたA子さんが、3年前に突然辞めてしまいました。Yすださんによれば、何の引き継ぎもなく本当に突然だったそうです。
一人残されたYすださんは、孤軍奮闘していましたが、昨年8月、「もうレンタカーは辞めるかも知れません。社長に言われているんです。」なんて寂しい話をしていました。
気になっていたので、夏シーズンを前に聞いてみたら、本当に辞めちゃったとのこと。
本業の自動車整備工場に加え、近年は不動産貸し付けも好調で、競業者が多くコスパの悪いレンタカー事業からは手を引いたようです。
経営者の判断としては妥当だったのかも知れませんが、ユーザー、というか一沖縄好きとしては何とも寂しい限りです。
もう、A子さんともYすださんとも会うことはないのでしょうか。
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