2026年1月16日金曜日

若者の泡盛離れという困った問題

 


 若者が泡盛を飲まなくなったからといって、酒造会社はともかく、お前が困ることはないだろうって?

 まったく、その通りであります。ですが、やはりちょっと困るのです。

 今回は、そこら当たりのお話を少し詳しく。




 そもそも、泡盛云々以前に、酒を飲む若者が減っています。


 AIによれば、週5日以上酒を飲む人は、
 男性60代で41%、女性50代・60代で15%だったのに対し、
 男性20代は7%、30代は16%、女性は20代・30代は5%でした。

 確かに、昔に比べれば、仕事関係の飲み会は断りやすいし、高校生で酒を飲んだりタバコを吸ったりするのは不良っぽくってカッコイイ、みたいなこともありません。


 その結果、飲酒習慣は全体でも減少傾向で、厚生労働省の調査では、週に3日以上酒を飲む人は、いずれも男性の場合ですが、1989年の51.5%から2019年は33.9%に下がっています。


 泡盛はどうかというと、沖縄大学が2021年に公表している学術論文によれば、同大学生の嫌いな酒の第2位が泡盛で、約42%(重複回答。ちなみに1位はビールの49%)でした。

 オリオンビールで乾杯し島酒(泡盛)で盛り上がるといった、沖縄的飲み会は否定されているようです。

 そのせいか、泡盛の消費量を増やすにはどうしたら良いかという設問には、アルコールを感じさせないようにするとか、缶チューハイや缶ビールのように簡単に飲めるようにするといった、全然本質的ではない回答が並びます。


 こういう状況が続くと、泡盛はどんどん衰退し、沖縄といえども一部の人のみに愛好されるマニアックな酒になってしまうかもしれません。




 だけど、それで何が困るのか。


 一つは、泡盛は琉球文化だと思うからです。

 泡盛は、伝来当初からタイ米だけが使われています。今でも、酒造組合が一括してタイ米を買い付け、各酒造会社に分配しています。

 つまり、どこも原料は同じなのです。、
 それを黒麹を用い、仕込みは一回だけの全麹仕込みで、単式蒸留器で蒸留する、それも共通です。


 琉球処分(1879年)以前は、40人の専門職人が泡盛を造っていたそうです。

 万が一酒造りに失敗すれば、軽い場合でも蒸留器没収の罰、重いものだと家財没収、さらに島流しの刑まであるという、とんでもないことになっていました。

 それほど泡盛は貴重なもので、王府の監視の下、厳重な管理・保管が行われていました。


 大衆の酒になった今でも、泡盛は昔ながらの製法で造られています。

 そんな泡盛が、飲み手が少なくなって特別な酒になってしまうのは残念です。




 もう一つは、泡盛ならではの古酒の存在です。

 泡盛は、熟成して古酒になるという素晴らしいポテンシャルを持っています。


 多くの酒は、熟成します。

 泡盛は、ウイスキーのように樽で保管しなくても、瓶に詰めた後も熟成を続けます。ワインのように厳格な温度管理は不要です。

 瓶詰めされて製品化した後も、熟成を続けるのです。つまり、買ったまま放っておいても、徐々に徐々に旨味を増していくのです。


 昔の人はそのことに気が付いていて、戦前には、50年とか100年古酒とかとんでもない泡盛が貯蔵されていたそうですが、戦災でほとんど喪失してしまいました。



 戦後、酒税法の特例もあり、安い大衆の酒になった泡盛ですが、そのおかげで有り難みが薄れた面もあります。

 しかし、泡盛のポテンシャルは変わりません。


 若い人なら、安い泡盛の新酒を買って日の当たらない所に保管しておけば、50年後には想像を絶する酒になっているかも知れません。

 メーカーは違っても新酒では同じような味の泡盛ですが、50年経ったら全く別物になっているでしょう。
 もしかしたら、同じ銘柄の酒でも違った進化を遂げるかも知れません。


 自分にはもう、そんなことはできません。50年古酒をどうしても飲みたければ、金を積んで探すしかありません。


 それは若者の特権です。主権在民、いや酒権在民なのであります!

 だから、「泡盛の消費量を増やすにはどうしたら良いか」と問われたとき、「アルコールを感じさせないようにする」なんて言わずに、王道の泡盛道を突き進んでもらいたいのです。


 (段々何を言ってるのか分からなくなって来ましたが、泡盛を飲んで酔っ払っているわけではありません。笑 ) 




 「酒は百薬の長」

 これは、中国「新(紀元8年~)」の皇帝「王莽(おうもう)」の言葉だとされています。

 現在、酒と健康に関する因果関係は様々な形で検証されていて、結果は、どうも呑兵衛には分が悪いようですが、こんな言葉が2000年以上受け継がれているのは、やっぱり、皆酒が飲みたいからなんでしょうね。



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