2026年4月21日火曜日

宮古島のSUP事故は 「自己責任?」

 

 先日、残念なことにまたしても宮古島でSUPの事故がありました。

 幸いこの時は、全員無事救出されたのですが、それよりも前には、行方不明になって見つからないケースもありました。

 今年も沖縄各地で、海の事故が相次いでいます。

 今回は、事故の場合の責任についてのお話しです。


(写真と本文は関係ありません。)



 宮古島の事故を伝えたネット記事の一部に、ガイドが付いていても事故は自己責任であると読めるものがあったが、それは違うのではないのか、と質問がありました。

 海の事故の責任については、法律に詳しい人にとっては釈迦に説法でしょうが、六法なんて開いたこともないという人も、知っておいた方が絶対にいいと思う話です。


 まず、個人で海遊びをする場合です。

 海では、原則誰でも何時でも何処でも自由に泳いだり遊んだりすることができます(港湾の近くなどは人が立ちることが禁止されていますが、これは例外です。)が、自由である分、事故が起きても常に自己責任です。

 自己責任とは、自分の判断によって生じたリスクは、全て自分で負わなければならないということです。

 それだけではなく、万一の場合は、捜索・救助活動のため多くの人を巻き込んでしまうことも知っておいてください。


 海水浴場はちょっとややこしいのですが、海水浴場として届出があった場所は、管理者が遊泳区域や時間を指定することがあります。

 遊泳区域外や時間外で泳ぐことは禁止される一方、遊泳区域内でかつ時間内であれば、事故があった場合には、一定の範囲で管理者の責任が問われることもあります。


 次に、ショップに金を払って、ダイビング、シュノーケリング、SUP、カヌーなどの海遊びをガイドしてもらう場合はどうでしょうか。

 ガイドを請け負った側には安全配慮義務が課せられます。ガイドをするということには、安全に客を遊ばせるという内容が含まれているとみなされるからです。


 仮に、契約書に「事故が発生しても主宰者は一切の責任は負わない」と書かれていたとしても、この条項は公序良俗に反するため無効とされます。

 ただし、参加者がガイドの指示に従わなかった、告知すべき事項を告知しなかった、不可抗力などの場合は別です。
 
 告知すべき事項とは、心疾患、高血圧といった病歴のほか、前日飲み過ぎで体調が悪いといったコンディション不良もあります。


 タイタニック号の沈没現場を潜水艇で探査するツアーでは、主宰者は責任を負わないと契約に明示されていたそうです。
 3000メートルを超える深海を探査するような極めて特殊な事例においては、申込者が賠償請求を放棄してでも参加する意思が明らかであると認められるケースもありますが、誰でも申込みのできる一般のツアーでは、これはあり得ません。


 無料のガイドはどうでしょうか。知り合いを案内するようなケースです。

 この場合も、ガイドに一定の責任が生じます。ガイドを引き受けた以上、有償無償に関係なく、安全配慮義務が課されます。

 ただ、地元の海に詳しい人に着いて泳ぎに行くようなときは微妙です。ケースバイケースの判断がされるでしょう。

 


 さて、以上の点を踏また上で、この記事で本当に伝えたい事はここから先です。


 唐突ですが、こんな例を考えてみてください。

 横断歩道では、道路交通法上、歩行者は安全に横断する権利が認められており、これは絶対的な優先的地位です。

 それでも、多くの歩行者は左右の安全を確認してから渡ると思います。

 横断歩道で車や自転車に轢かれても、責任は100%相手方にあるわけですが、責任が相手方にあるからといって、事故に遭っていいわけではありませんよね。

 
 海の事故も同じです。責任が誰にあるかは賠償を求める際には重要ですが、それにもまして重要なのは事故に遭わないことです。

 冒頭で触れた、ガイドが付いていても事故は自己責任であるというのは、仮にその通り書かれていたとしたら法律上は正しくはありませんが、恐らく真意は違うと思います。



 沖縄には、「沖縄県水難事故の防止及び遊泳者等の安全の確保等に関する条例」というのがあり、ショップを営む者は警察への届出が義務付けられていますが、罰則はありません。

 悪意のショップが多いなどと言うつもりは決してありませんが、あちらも商売です。

 客を喜ばすために無理をしたり、少ないスタッフで多くの客を捌こうとすることもあり得なくはありません。

 ショップやガイドの個々の判断を監督する機関もありません。


 鉄道の世界には ”Fail-safe” の原則があります。「分からなかったり迷ったりしたら、安全の方向に動く」という考え方です。

 停電で信号が点灯しなかったら、赤信号かも知れないので取り敢えず停止するといったものです。海遊びにもこの考え方が必要なのではないでしょうか。

 


 自分が沖縄にはまった当初は、シュノーケリングをすることが主目的でした。

 しかし、今から考えると、安全面においてあまりよろしくないこともしていました。理由は、知識がなかったためです。

 シュノーケリングクリアの練習もしないでいきなりシュノーケリングをすることは、とても危険な事ですが、そんな事すら知りませんでした。


 自分の事を棚に上げて、今さら「安全に心掛けよ」というのも、何だか説教臭くてちょっと気が引けます。

 それでも、ショップのツアーで信じられない事故が起こるのを見るにつけ、自分の身を守るためには、最後は自己判断による”Fail-safe”も必要になることは、心の隅に留め置いておいた方が良いと思うのです。



 改めて言うまでもないことですが、信頼できるショップ・ガイドも沢山います。信頼できるガイドと出会うまでは、左右を確認してから横断歩道を渡る慎重さも必要です。
 責任問題とは別にです。

 まして、個人で海遊びをする場合は、より一層慎重になって、安全についての下調べもしてから、美しい海を楽しんでください。

 波が高かったら、少しでも波の立たないビーチを探して、波打ち際でチャポチャポするだけでも、それなりに楽しめるのが沖縄というところです。

 



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