2015年10月19日月曜日

60度の泡盛「与那国島の花酒」 実は心配なことも


 ラベルの上部に、大きく書かれた「60」の数字。
 与那国島産の「花酒」と呼ばれる泡盛です。これは、日本で唯一販売が許可されている、アルコール度数60度の焼酎なのです。(泡盛は米焼酎の一種です。)

 酒税法の規定で、焼酎はアルコール度数45度まで。それを超えるものは、原料用、つまり加水してから販売してくださいというものですが、歴史的経緯により、与那国島にのみ、アルコール度数60度の原酒の一般販売が許されています。


 
 何故「花酒」と呼ぶか、諸説あるようですが、蒸留を開始して最初に飛んでいく成分を集めた酒、つまり「鼻先」が転じて花酒になったとか、花のような強い香りがする酒だから、という説が有力のようです。

 飲み方は、普通の泡盛と同じように、ロックか水割りが一般的ですが、あまり薄くしてしまっては意味が無いので、ウイスキーのトワイスアップという飲み方(酒と同じ量の常温の水で割る)を真似た1対1の水割りがお勧め。
 ロックや、ストレートで飲む場合は、何しろ強いですから、飲むと言うより、舐めるという感覚でどうぞ。チェイサーも忘れずに。
 凍らないので、冷凍庫に入れておくと、トロッとした感じになります。

 
 こちら、花酒の中でも、多分一番有名な「どなん」。

 「どなん」とは、与那国島の別名です。漢字で書くと「渡難」。文字どおり、渡るのが大変な島という意味です。

 日本最西端にして国境の島、与那国島。
 人口わずか千五百人ほど。

 与那国島で泡盛の話題と言えば、この60度の泡盛=花酒なんですが、実は、驚くべき事に、この小さな島に、何と3つも酒造所があるのです。

「どなん」の国泉泡盛
「舞富名」の入波平酒造
「与那国」の崎元酒造所

 人口5百人強の波照間島にも、波照間酒造所がありますが、ほかの物が手に入らなくても、酒だけは自分達の手で確保するという、島人の酒に対する姿勢というか、情熱というか、むにゃむにゃ・・・



 ところで、標題の心配事です。
 3箇所の酒造所のうち、入波平酒造が、2012年からしばらく休業していました。そのまま廃業になってしまうのかと、舞富名ファンは心配したものですが、昨年、新しい杜氏により生産を再開。

 それはそれでめでたいことなのですが、新しくなって、まだこれが販売されていません。「舞富名10年古酒」。市販されている中では、唯一の花酒の古酒だと思います。


 国際通りの泡盛屋の若いお兄ちゃんが、「これは、沖縄が世界に誇る酒文化です。」と熱く語っていたことをを思い出します。

 新しい杜氏さんが仕込んだ酒は、まだ10年経っていないから出てこないだけかも知れません。でも、以前おじいが仕込んでいたはずの酒は?
 島の中で、こっそり出回っていたりして。


 舞富名のラベルにも書かれている与那国馬。世界に誇るとか何とか言っとらんで、こんなのんびりした雰囲気の中で味わえ!ってことなんでしょうかね。




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