竹富島に残る沖縄の原風景、今回でひとまず終わります。ラストは、赤瓦の屋根です。
竹富島の憲章の「美しい島を守る」の項目の中で、建物は伝統的な様式を踏襲し屋根は赤瓦を使用する、とされています。
伝統様式の建物とは、平屋であるとか、間口は南向きだとか、間取りについてもルールがあるようですが、外から見て目立つのは何と言っても、赤い瓦の屋根。
赤瓦は、平な女瓦と丸い男瓦とからなり、瓦を葺く際には、まず女瓦を並べて、その左右の継ぎ目を覆うように男瓦を被せ、台風にも耐えられるよう、瓦どうしの隙間を漆喰で塗り固めます。
赤いのは、耐熱性に優れているからだそうで、漆喰は元々は白っぽい色ですが、すぐに変色して黒っぽくなります。
新築中のお宅にも、屋根に赤瓦が敷かれます。漆喰がまだ白く、瓦も焼けていないため、とても綺麗です。
以前は、沖縄でも藁葺きの屋根でした。
昔は、王府や役所以外では、瓦屋根は禁止されていて、民家に瓦が敷かれるようになったのは、明治時代中期以降のこと。
今、竹富島に残っている藁葺き屋根の建物は、多分これ1軒だけだと思います。民宿新田荘の建物です。
赤瓦の屋根とは切っても切れないシーサー。
屋根の上のシーサーは、特別に発注するのではなく、瓦を葺く瓦職人が、残った瓦と漆喰で造る物です。
赤瓦の屋根と石垣、花や木に囲まれた白砂の道を観光客が行く。これぞ竹富島、これぞ沖縄、という光景。
でも、竹富島を除いては、こうした場所を探すのは大変です。
基幹島である石垣島から一番近い離島であり、年間50万人もの観光客が押し寄せる竹富島。
当たり前のようにあるこの光景を守るため、島人は、よそ者には俄に理解できないほどの情熱を注いでいます。
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