沖縄の美しい海とは無縁で、なおかつ、ここまでマイナー&マニアックな場所だと、もう読んでもらえないかも知れないと心配になるのですが、でも、一度行ってみると、その印象は強烈です。
日本にこんなジャングルがあり、かつて、そこに産業があって大勢の人が住んでいた。これは、ちょっと驚きです。
西表島の浦内川の支流、宇多良川沿川にあった、宇多良炭坑跡です。
今残っているのは、トロッコレールの引き込み線用の煉瓦の柱など、ごくわずかですが、当時は3~4百人の人が暮らす一大産業拠点があったそうです。
沖縄一の流域面積を持つ大河川、浦内川。宇多良川はその支流です。
本川側から宇多良川の合流地点を撮ったものです。当時は、ここからこの小さな川を遡って進んで行ったのです。もちろん物資も全部船で運搬しました。
今は、遊歩道が整備されていて、誰でも川沿いに歩いて行けます。とはいえ、まるでジャングルの真っ只中の道。暑くて蒸し蒸し。
カヌーで川を遡る人達を横目に進みます。
つる性の植物が天に向かって伸びています。ここでギャーギャーと鳥が鳴いたらビビリそう。
こちらは、着生植物のオオタニワタリ。遊歩道もどんどん植物に浸食されています。
西表島には、古くから燃える石があるという言い伝えがあり、明治時代から本格的な石炭の採掘が行われてきました。
労働者は、沖縄各地や九州、そして台湾から集められたましたが、その多くは、口車に乗せられ、騙されるように連れてこられたそうです。
今でも、行くのが大変な場所。飛行機も自動車も道路もない時代ですから、一度連れてこられたら二度と戻れません。過酷な労働を強いられ、逃げ出しても遠くまでは行けず、すぐに連れ戻されたそうです。
昭和になってから開発されたこの宇多良炭坑は、それでもいくぶん労働条件の改善が図られ、「他よりはマシ」だったとか。
同じ八重山の島の中で、近くにある黒島や波照間島は平坦な島で、開拓され、さとうきび畑や牧草地となっていますが、何故か、西表島だけは、全島が熱帯雨林のようなジャングルで、今でも、島のほとんどが未踏の地です。
それだけに、他の島にはない、豊かで厳しい自然が残されています。一口に八重山諸島といっても、なかなか多彩です。しかも、こんな史跡まであるとは、本当に驚きです。
煉瓦の遺構が、ガジュマルの木に取り憑かれて?います。日本広しといえども、南国沖縄でしか見られない光景です。
「天空の城ラピュタの世界だ」と言っている人がいましたが、なるほど、それもあるかも知れませんね。
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