2022年4月21日木曜日

宮古島に次々と建つ超高級ホテルへのひがみと不安

 

 コロナでも止まらなかった、バブリィな宮古島のホテル建設。
 
 この先も次々と竣工・開業が続きます。

 来年には、329室のヒルトン沖縄宮古島リゾート、再来年には、55棟のローズウッド宮古島の開業が控えています。

 その規模の大きさもさることながら、既に開業したホテルも含めて、高級・超高級ホテルが目白押し。


 ホテルが増え過ぎるだけではなく、高級路線をひた走る宮古島。ひがみやら、不安やらを書かせてもらいます。




 近年開業したホテルの多くは、見るからに高級そうですが、実際にどれくらいのものなのか、値段を調べてみました。

 じゃらんnetを利用し、7月23日(土)朝食付き(夕食別)2名1室利用の1泊一人当たりの料金をあたってみました。

 できるだけスタンダードなプランを選択しています。


 宮古島来間シーウッドホテル
  ヴィラタイプ 136,200円~67,300円
  ホテルタイプ 31,000円
 
 ブルーオーシャンホテル&リゾート宮古島 118,125円~65,500円

 イラフSUIラグジュアリーコレクションホテル 88,460円~57,600円

 ホテルシギラミラージュ 81,950円~45,100円


 まあ、本当に結構なお値段ですこと。

 パックツアーを利用すれば、もう少し割安になるのでしょうけれど、それでも航空券や食事代など諸々含めれば、夏のハイシーズンだと、2泊3日でも、お一人様20万円~ といったところでしょうか。




 これから開業する、ローズウッドホテル&リゾーツは、さらに凄そうです。何しろ、自ら「ウルトラ ラグジュアリー リゾート」と名乗るくらいですから。

 日本初上陸ですが、海外の例では、安い部屋でも、1ルームチャージ1泊十数万円。スイートルームなら、1泊数十万円という、世界のお金持ち御用達のホテルです。



 ところでこれは、ローズウッドのプレスリリースの一部です。

 「4軒のレストランとバーは、リラックスビーチフロントをコンセプトとし、新鮮なシーフード、地元で育成され数々の賞を獲得している牛肉、地元で蒸留されたスピリッツやクラフトビールなどを提供いたします。」


 地元で蒸留されたスピリッツって何?まさか、泡盛のこと?

 「宮古島 スピリッツ」でググってみたら市のHPにこんなのがありました。ふるさと納税の返礼品です。「宮古島のスピリッツ&リキュール5種」





 新鮮なシーフードと地元で蒸留されたスピリッツだったら、自分も毎回欠かさず宮古島で堪能しております。好むと好まざるとに拘わらず。笑


 多分、英語で書かれたものを翻訳したのでしょうが、これ書いた人は、あまり宮古島のことを知らないのかも知れません。


 いやしかし、ここは突っ込む場面ではなく、これは心配材料なのです。そのことは、後で詳しく書きます。




 これら高級ホテルがターゲットとするのは、国内外の富裕層らしいです。

 世の中にはお金持ちといわれる人が少なからずいます。お金持ちとはいえないけれど、最高の娯楽には惜しげもなく金をつぎ込む人もいます。


 そういった、本当の富裕層を満足させるためには、何が必要なのでしょうか。





 高級ホテルですから、施設・設備は素晴らしいのだと思います。

 眺望もいいでしょう。

 でも、眺めがいいだけでは今イチです。
 宮古島では、前浜でも渡口の浜でも17ENDでも、日本のTop of the topの海に、誰でも簡単に行けるからです。


 では、食事はどうでしょうか。

 宮古牛は生産量が少なく希少かも知れませんが、例えば、石垣牛と比べて、前沢牛や松阪牛や神戸牛と比べて、敢えて宮古島に行ってまで食べるほど違いがあるでしょうか。

 新鮮なシーフードは簡単に手に入りますが、一度台風が接近すれば、新鮮ではないシーフードすらも手に入りません。それが島というものです。


 宮古島に20年通っていますが、自信を持って人に勧められる食材は、マンゴー位しか思いつきません。


 そうなると、知られていない食材を発掘するか、平凡な素材から最高の料理を創り上げる一流のシェフが必要です。





 ひがみ根性で、ケチをつけているわけではありません。(いや、それもあるかも知れませんが。笑)

 事業計画の際、宮古島という場所を十分にリサーチしたのか、端的に言えば、宮古島に超高級リゾートを受け入れるポテンシャルがあるのかという問題です。


 何というか、宮古島には、秘境感ってないですよね。平坦な地形に加え、整備された道路網のおかげで、近寄りがたいビーチというものがありません。

 そこがいいところなのですが、「○○ホテルに泊まらないと見られない絶景」は、ちょっと考えられません。


 食事にしたって、普通にタクシーで移動出来る範囲内に飲食店があります。「こんなロケーションでこんな豪勢な食事が楽しめる感」は出にくいと思います。


 そして、忘れてはならないのが、台風の脅威です。これはもう言うまでもないと思います。

 余談ですが、今や高級ホテル銀座になってしまった伊良部島の南岸ですが、平成30年の台風8号級のヤツに襲われたら、あんなビーチサイドに建っているホテル群は、無事にやり過ごすことができるのでしょうか。



 それだけではありません。高級ホテルには、相応の一流のホテルマン・一流のシェフが必要です。

 こんなに、高級ホテル林立の中で、必要な人材を確保出来るのでしょうか。外資系ホテルだったら、TOEIC700点は必須らしいですよ。

 内地や、国外からも優秀な人材を集めて来るとして、年に半年はオフシーズンの宮古島に貼り付けておくのは、大変だと思うのですが。



 過去記事でも書きましたが、かつてのリゾート法破綻の原因の一端は、ニーズを無視した、一方的・画一的構想だったといわれています。

 宮古島で、またしても同じ轍を踏んでしまうおそれはないでしょうか。



 開業に当たって、「新鮮なシーフードと地元で蒸留されたスピリッツを提供します、楽しみにしてください。」で安心していないで、

 前回の記事を引きずるわけじゃないですが、「現地でもなかなか手に入らない、幻と言われるオールドスピリッツをご用意いたします。」とか、

 せめて、

 「島の人達が日ごろ口にしている食材を、一流のシェフが調理いたします。」、「夏には島ならではトピカルフルーツを、それもプロの目で厳選した最高級品をお召し上がりいただけます。」

 くらいのことは書いておいた方がいいのではないかと、まあ、余計なお世話ですが。





 宮古島の魅力って海でしょ。海しかないじゃないですか。

 宮古の海なら、きっと世界で勝負できると思います。でも、それを独占することは、宮古島においては不可能です。


 美しい海と共に、高級ホテルで寛ぎたいというニーズも、一定数あると思います。
 
 でも、コロナが終息したときに、気が付けばド~ンと増えている、高級ホテル・超高級ホテルの供給に見合うだけの需要が、果たしてあるのでしょうか。



 八重山の某島に場違いな高級ホテルが建ったものの、すぐに休業。その後、サービスはほとんど無しの格安価格で営業を再開しましたが、また休業に入っています。

 別の某島の、反対運動を振り切って建設されたリゾートホテルは、現在、再建屋といわれるあの会社の手により運営されています。

 もし、このようなことが宮古島で起こってしまえば、そのスケールは八重山の比ではありません。


 こんな、自分のような一介の沖縄好きですら心配になるのに、市の幹部はどうして心配にならないのでしょうか。

 それとも、やっぱりただのひがみなんですかね。笑





 ローズウッドのプレスリリースはこちら


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