2022年7月10日日曜日

八重山航路の現状とちょっと心配な安栄観光





 コロナで2年間減便が続いた、石垣島と八重山の各島を結ぶ航路。

 2年振りに乗客が増え、元のダイヤに戻っているかと思いきや、なかなか状況は厳しいようです。



 7月1日現在の竹富島航路のダイヤです。



 下は、2年前、緊急事態宣言が明けた直後の竹富港の時刻表ですが、あの時とほとんど変わっていません。



 変わったのは、安栄観光と八重山観光フェリーとの共同運航が廃止され、昔ながらのダブルトラックに戻ったこと。


 しかし、2社がほぼ同じ時刻で運航するため、利用者からすれば、便数が減ったままなのと同じです。

 コロナ前の2019年は、竹富島航路に関していえば、一部の時間帯を除く朝から夕方まで、30分間隔で17往復が運航されていました。



 八重山航路は、元々そんなに儲かる路線ではないのですが、この2年間の乗客減で、船会社は、経営体力を消耗したようです。

 それに加えて人手不足も深刻だそうで、安栄観光も八重山観光フェリーも、船の大型化を図ることで、効率よく輸送をこなす方向に転換しつつあるように感じました。


(定員162名の安栄観光の双胴船「うみかじ2」)



 一方、定期航路から撤退し、コロナでツアーも休止していた石垣島ドリーム観光ですが、ようやくツアーが復活し、八重山の海上で、再びその雄姿を見ることができるようになりました。

 



 そんな中で、ちょっと気になる話題です。

 安栄観光がヤバイらしい



 今年の6月1日のこと、石垣島から小浜島に向かっていた第88あんえい号は、基準航路を外れて浅瀬に船底を接触させ、舵が損傷する事故を起こしました。

 けが人はなかったそうですが、国の沖縄総合事務局は、基準航路の順守など船員への安全教育に関する記録や、航行中の船内を巡回して安全を確認した記録などが適切に残されていなかったという理由で、改善命令を出しました。


 また、過密な運航ダイヤに問題があったとして、ダイヤの見直しも検討するよう行政指導をしました。



 ゆるゆるダイヤのはずが、何故過密ダイヤ?と思ったのですが、実は、安栄観光は、ちょっとヤバイことになっているかも知れないのです。


 
 島の人から聞いた話では、同社に最近就任した役員と、元から在籍していた従業員の折り合いが悪く、船長クラスを含む複数人の退職者が出たのだとか。

 実際、今年の3~5月頃は、突発的な欠航がチラホラあったそうです。公共交通で、事故や悪天候以外の理由での急な運休など、本来あり得ない話です。


 つまり、運航本数を増やすために過密ダイヤになったのではなく、少ない乗員で効率よく廻さなければならなかったため、過密ダイヤになってしまったということらしいのです。





 琉球放送(web版)によると、行政処分を受けて安栄観光の森田安高社長は、事故を陳謝したうえで、「船長や機関長など技術職が定年退職などで減ったこともあるので、島民と観光への影響を考慮しながら、ダイヤ改正を調整したい」とコメントしたそうです。


 定年退職か、自主退職かはともかく、ダイヤ維持に影響が出るほどの人手不足は間違いないようです。

 夏休み期間には、むしろ若干の増便を発表している安栄観光ですが、果たして大丈夫なのでしょうか。




 かつて、島人からは、「海が荒れてもアンエイなら行ってくれる」という絶大なる信頼を得、観光客からは、「海のハイウエイスター」などと言われ、ファンの多かった安栄観光ですが、その威光に陰りが生じています。

 今や「八重観の方が安心だ」という島人も増え、時の流れを感じざるを得ません。



 八重山観光フェリーは、波照間島の不定期航路の事業免許を取得しており、現在、唯一安栄観光の単独運航になっている波照間航路にも、今後進出するかも知れません。

 
 



 昨年のことですが、離島ターミナルのコインロッカーが故障し、金を入れても鍵がかからず、指定された連絡先も応答せず、自分以外にも観光客数名が混乱していました。

 そのとき、コインロッカーとは何の関係もない八重山観光フェリーが、たまたま窓口が隣にあるという理由だけで荷物を無償で預かってくれたため、事なきを得たのですが、この機転の利いた対応には、ホスピタリティみたいなものを感じました。


 この先、八重山航路は、もしかしたら、八重山観光フェリーが中心となって動かして行くことになるのかも知れませんが、安栄観光も、捲土重来を期し、必ずや、島人や観光客の信頼を回復してください。



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2 件のコメント:

  1. なるほどそういうことなんですね。
    これまで十数年、年に1~2回の八重山旅行は「少々荒れても運休しない安永」ってイメージで選んでいましたが、たまたまダイヤの関係で乗った八重観がすごく丁寧で心地よかったのを思い出しました。
    漁師上がりの強者船長たちの定年退職が進むと今後はどうなっちゃうんでしょうか。
    それでも長年のお付き合いの安永には頑張って欲しいですね。
    同時刻出航を見直して攻めたダイヤで勝負して欲しいです。19時台に竹富・小浜経由大原行とか、羽田や関西を午後に出発してもその日のうちに離島に渡れると時間を有効に使えたり、工事関係者や住民も便利になったりするのでは?

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    1. ほかにいにょ2023年11月19日 21:21

      コメントありがとうございます。
      何と言うか、優等生の八重観より、やんちゃな?安栄の方は人気がありますよね。
      人手不足とか、燃油高騰とか厳しい環境ですが、ガンバって欲しいです。

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