「普通の居酒屋に行けば大体何処でも大丈夫だよ」と答えるのですが、この答えでは満足してくれない人もいます。
「手抜きしないでもっとマジメに教えろ」と。
しかし、那覇は分かりませんが、宮古島や石垣島なら、繁華街にある居酒屋に行けば、いわゆる沖縄料理は大体食べられるし、当たり外れもそんなにありません。
スマホで一生懸命検索するより、ぶらぶら歩いて、良さげな店にぱっと入っちゃえばいいと思うのですがね。
今回から3部作で、いわゆる沖縄グルメについて、観光客目線、かつ、ちょっと斜め目線で切り取りたいと思います。
沖縄料理とは、沖縄の郷土料理のことですが、それでは何が沖縄料理なのでしょうか。
農林水産省HPによれば、郷土料理とは、各地域の産物を上手に活用して、風土にあった食べ物として作られ、食べられ、歴史や文化、あるいは食生活とともに受けつがれたものだそうです。
今では特別な時にしか食べない伝統料理とか、昔はよく食べたらしい絶滅危惧食ではなく、その地域で、今でも普通に食べられている料理ということでしょうか。
これを念頭に、ググって見ると、沖縄料理の絶対的トップ3は、
沖縄そば
ゴーヤチャンプルー
ラフテー
みたいです。
チャンプルーとは混ぜこぜの意味で、料理のチャンプルーは、色々な食材が混ざったものです。
ゴーヤチャンプルーは、ゴーヤのほか、ポーク、豆腐、卵、麩、タマネギ、モヤシなどを一緒に炒めたもので、炒めたからチャンプルーなのではなく、色々混ざっているからチャンプルーなのです。
ラフテーは、豚のかたまりを皮付きのまま煮込んだもので、中華料理の東坡肉(トンポーロー)に近いものです。
それに続くものとしては、海ぶどう、タコライス、ポーク玉子、ゆし豆腐、サータアンダギー、ジーマーミ豆腐、ジューシー、にんじんシリシリー辺りでしょうか。
タコライスは、メキシコ料理のタコスの具を、トルティーヤに挟むのではなく、ご飯の上に乗せたものです。
1984年に初めて創られたとされ、伝統はありませんが、短期間に急速に普及しました。
ポーク玉子は、アメリカ占領時代に広まったポークランチョンミートを、焼いて玉子焼きを添えたお手軽料理です。
ゆし豆腐は、豆乳ににがりを入れ、固まり始めた豆腐をすくってそのまま食べるふわふわな豆腐のことです。
サータアンダギーは、砂糖を揚げたものという意味で、製法はドーナツと同じです。
ジーマーミ豆腐は、大豆ではなくジーマーミ(地豆=落花生)で作った豆腐です。
にんじんシリシリーは、専用の道具で細く切ったにんじんを卵で和えた炒め物のことです。シリシリーは、擂り擂りが訛ったのだとか。
ジューシーは炊き込みご飯又は混ぜご飯、海ぶどうは、ブドウの房のような海藻です。
さらに、島人御用達のディープな沖縄料理としては、血イリチー(豚肉を豚の血で炒めたもの)、中身汁(豚のモツを汁仕立てにしたもの)、ミミガー(豚の耳を湯がいて薄く切ったもの)、ヒージャー汁(ヤギ汁)などが挙がります。
血イリチーやヒージャー汁までくると、観光客レベルではかなりハードルが高くなります。
もちろんこれ以外にも、沖縄料理は沢山ありますよ。
さて、こうして見ると、代表的な沖縄料理は、海ぶどうを除いては、日本の何処でも簡単に手に入る食材で、調理方法も特別なものではないことが分かります。
しかも、タコライスのように比較的最近広まった料理も含まれます。
なんかテーゲーで、沖縄らしいと感じるのですが、もう少し深く考察すると、海に囲まれ物資が乏しい島では、昔から身近な食材を工夫しながら美味しく食べたのかも知れません。
(まあ知らんけど)
冒頭、沖縄料理を食べるには、普通の居酒屋に行けば大体何処でも大丈夫と書きました。
「普通の」という意味は、最近は、観光客ウケを狙ったおしゃれな居酒屋店も増えているからです。
昔からある、島人がやっている「普通の」居酒屋には、こうした沖縄料理メニューが「普通に」あります。
むしろ、内地の居酒屋なら定番メニューである、枝豆、焼き鳥、鶏の唐揚げ、フライドポテト、ほっけの塩焼き、蛸わさなどの方が、探すのが難しいかも知れません。
居酒屋であっても、子供連れ家族連れで行く人も少なくありません。
こういう店では、味も値段も大きく変わることはあまりありません。そこそこ旨くて、まあまあ安い、あまり特徴がないのが特徴みたいな。
新しいことや競争を好まない県民気質の影響かも知れませんが、一方で、誰でもが食べる代表的な沖縄料理が不味ければ、その店は淘汰されてしまうからだ、という話を聞いたことがあります。
ところで、居酒屋で普通に飲んでいるおとーさん達は、何をつまみに酒を飲んでいるのでしょうか。
そば、タコライス、ポーク玉子、ジューシーは食事系だし、サータアンダギーやジーマミー豆腐はおやつ系です。
それは、一般には、沖縄料理と認識されていないようですが、泡盛の肴としても、食堂の定食にも、民宿の夕食にも、当たり前のように登場するものです。
郷土料理の定義である、地域の産物を上手に活用して、風土にあった食べ物として食べられてきたもので、歴史や文化、食生活とともに受けつがれているもの、にも当てはまります。
当ブログ認定の究極の沖縄料理は・・・
刺身です。
刺身なんて、海なし県も普通に食べるじゃないか、と思われるかもしれません。
しかし、沖縄では、刺身にかける意気込みが違います。
魚屋ではなく、刺身だけを売る「刺身店」が各所にあります。
その日に捕れたアオブダイ、タマンなどの地魚が並ぶこともありますが、主力商品は、マグロやカツオです。
民宿の夕食では、極めて高い確率で刺身が出ます。急な宿泊予約に対しては、刺身が足りないというだけの理由で、断られたりもするのです。
かくして、沖縄最強の郷土料理は、沖縄そばでもゴーヤーチャンプルーでもなく、実はマグロやカツオの刺身ではないかと。笑
沖縄に行ったならば、是非共、普通のマグロやカツオの刺身を食べて、「あぁ沖縄に来たんだなぁ~」としみじみ感じてください。
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