2023年6月8日木曜日

竹富島コンドイ浜にみる干潮・満潮の海の美しさ

 


 深さ数㎝の海が何処までも続く、なんて信じられますか。


 潮の満ち干によって海の景観は変わります。でも、海が急に深くなる場所では、その差を感じることはあまりありません。

 一方、遠浅の海でも、干潮の時に岩がゴロゴロむき出しになってしまうのでは、美しくありません。
 
 遠浅で、しかも、限られた条件を満たした場所でのみ、こんな深さ数㎝の美しい海が出現するのです。
 その限られた場所の一つが、竹富島のコンドイ浜です。




 遠浅であることに加えて、砂が豊富で砂浜の層がぶ厚いことが必要です。


 これは、すべて珊瑚礁のおかげです。
 温暖な沖縄の海は珊瑚の生育に適していますが、珊瑚は共生する褐虫藻(かっちゅうそう)が光合成を必要とするため、浅い場所に発達します。

 島の周辺の海は、珊瑚が発達することで益々浅くなって行きます。
 
 さらに、珊瑚が死滅した後、波に砕かれた珊瑚は細かい砂となって陸地近くに堆積します。

 この珊瑚由来の白い砂こそ、コーラルブルー、エメラルドグリーンと言われる沖縄の海の色を創りあげる源です。

 上の写真がまさにそうです。堆積した浅い砂浜に海水が満ちると、こんなに美しい海となります。 
 

 内地の砂浜の大部分は、川から運ばれた山砂できていますが、近年堰やダムが造られ、山砂が供給されにくくなり、徐々に海岸が痩せているそうです。

 その点、珊瑚由来の白砂は、無尽蔵といってもかまわないほど、自然の海から供給されるのです。
 沖縄の海の美しさの秘密はここにあります。



 さらに加えて、砂浜が真っ平らであり、干渉時に申し訳程度に水が浸かると、深さ数㎝の海が誕生するわけです。
 



 宮古島の周辺にも、砂浜が何処までも続く遠浅のビーチがいくつかあります。前浜とか、渡口の浜とか、17ENDとか。

 しかし、コンドイ浜とは違う景観です。その意味でここは、知る限り唯一無二のビーチだと思います。



 少しだけ潮が満ちてくると、こんどは海が巨大な水溜まりになります。

 この状態ではまだ沖合からの波は来ないので、無風であれば池のようになり、雲を映す鏡になります。




 コンドイ浜は、人が多いことやシュノーケリングに適さないことなどから、初心者向けのつまらないビーチみたいに思っている人も少なくないようです。

 しかし、満潮時と干潮時で全く異なる光景を見せ、しかもどちらも美しいという、コンドイ浜の凄さにもっと注目が集まってもいいと思うのですが。


 そもそも、潮の満ち干を考えて海を見に行くなんてことはあまりないと思いますが、是非そういった視点でも、コンドイ浜を眺めてください。

 フォトジェニックな、今風に言えば映え写真を撮るには、最高です。





 満潮の時と、干潮の時の潮位差は場所によって異なります。

 日本海側では最大40㎝ほどしかなく、太平洋側では2メートル程度で、石垣島周辺でもそれくらいです。

 ところが、カナダでは15メートルにも及ぶ地域があるそうです。15もメートル海面が低下したら、どんな光景になるのか想像もつきませんが。





 その美しさとアクセスの良さから、石垣島のどのビーチよりも多くの人が集まる、竹富島のコンドイ浜。


 石垣市地域公共交通計画によれば、石垣島を訪れた観光客の33.7%が立ち寄るそうです。

 宮古島周辺も、八重山諸島も、訪れる人が増え、どんどん変わってしまいましが、この海とこの砂浜、周辺の景観は、20年間変わっていません。
 これもまた、凄いことだと思います。

 近年、リゾートホテル建設計画で揺れたコンドイ浜ですが、今のところ落ち着いています。何時までも静かにこのままでいて欲しいのですよね。



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