宮古島で先月、ちょっと信じられない海のインシデントが発生しました。
我々が、マリンショップを利用して、その指示に従って遊ぶ以上、安全を保障してくれなければ困ります。
一方、客の方に原因があって事故が発生するケースも後を絶ちません。
今回は、安全に海遊びを楽しむための業者選びと、我々観光客の気を付けるべき点について、2回に分けて考えます。
(本文とは関係ありません)
信じられないインシデントというのは、保良のパンプキンホールに行くためカヤックで出発し、入り口付近にカヤックを係留して洞内を探索後、戻ってみたら、カヤックが流されて帰れなくなったという事件です。
観光客が個人の判断で海を甘くみてしまったのかと思ったら、何とマリンショップの主催するツアーで起こったもので、ガイドと客の21人もの人が取り残されたそうです。
幸い全員無事救助されたそうですが、沖縄テレビ放送が報じたところによれば、「乗ってきたカヤックが流された」と警察に通報したのは、ツアーに参加していた客であり、しかもこの業者は、数日前にも同じトラブルを起こしていたとのこと。
昨年8月には、ジェットスキーが牽引するバナナボートに乗っていた8人中3人が振り落とされ、一時行方不明になるという事故も発生しました。
こちらも全員無事発見、救出されましたが、海上保安庁の巡視船が出動する騒ぎになりました。
目的地に到着したら、3人足りなかったという話ですが、途中で振り落としたのに操縦者が気付かず、そのまま行ってしまうというのはちょっと信じられません。
これは伝聞なので場所は伏せますが、某島のあるショップでは、ダイビング客とシュノーケリング客を乗せた船を、船長が一人で運航し、ポイントに着いたら船長はダイバーに付きっきりで、シュノーケリングは、その辺で自由にやってくれと。
陸からは1㎞以上離れた海中です。いつもこんなことをしているのなら、いずれ事故が起きても不思議ではありません。
一体、沖縄はどうなっちゃっているのでしょうか。考えられるのは、観光客の増加と人手不足です。
しかし、原因を考察している場合ではなく、安心して利用できる業者を、自分達自身で探さなければなりません。
我々客側が、安全な業者かどうかを見分けるのは、実際難しい問題です。
安全か危険かという明確な物差しはないので、色々な点を総合的に判断するしかありませんが、その際の着目点というものがいくつかあるように思います。
そもそも、ダイビング、シュノーケリング、水上バイク、カヤック、SUPなどのマリンショップ・マリンスポーツのガイド業は誰でも開業できるのでしょうか。
調べてみましたが、法律上の規制はないようです。
ただ、沖縄県の条例では、公安員会への届出を必要としています。もっとも、許可ではなく届出であり、調査、勧告権限はありますが、罰則は規定されていません。
一方、届け出る内容はかなり詳細で、多くの書類の提出を求められます。また、条例上安全遵守のための義務も細かく課されているようです。
そうすると、届出をきちんと出している業者は、それなりの準備をして体制を整えて営業していると一応推測できますから、その点、参考になると思います。
届出事業者は、沖縄県警のホームページに掲載されています。
ただ、沖縄県全域の数百という業者が、50音順に並べられているだけなので、非常に見辛くなっています。
地域別にするとか、もう少し何とかならないものでしょうかね。
(沖縄県警のホームページはこちら。)
次に、一つの目安として、長く営業を続けている業者かどうかです。
宮古・八重山では、2016~7年頃から観光客が急増し、それに合わせて業者の数も増えました。
それ以前から営業している業者であるかどうかは、一つの指標となるでしょう。
もちろん、新しい業者がダメというわけではありませんが、長くやっている業者は、それなりの実績があるから長く続けて来られたのであろうし、経験も豊富で、その島の海の状況を熟知していると考えられます。
また、情緒的な物言いになってしまいますが、観光客が増える前からやっている業者は、儲かるからというより海が好きだから始めた、という可能性も高いと思います。
次に、スタッフ一人で何人の客を担当するのかも重要です。
これはシンプルで分かりやすいポイントです。少ないスタッフで多くの客を扱えば、人件費のコストが削減され儲かるからです。
ただ、実際にどのくらいの人数なら大丈夫なのかは、迷うことも多いです。
スタッフ一人に客が1~2人ならば、多分安心でしょうけれど、スタッフ一人に客が3~4人ならどうかといえば、これはとても難しい。
海遊びのメニュー、行き先、その日の天候や海況、客の年齢、体力、経験などによって一概には言えないからです。
それでも、広告から読み取れる情報、評価、評判、口コミ辺りを気にしておくといいと思います。
島の人に聞いてみるのも一つの手です。
普段口にすることはなくても、島人の間では「あの業者はちょっと」というネガティブ情報が出回っていることがあります。
ですから、ある程度信頼できる島人と話ができるならば、「いい業者はいないか」「あの業者にお願いしようと思っているがどうか」など、聞いてみるといいと思います。
いつも使っている業者や、知人から紹介された信頼できる業者が、予約で既に埋まっていることはよくあります。
その場合、他の業者を紹介してもらえないか、尋ねてみるのもいいと思います。
もちろん、教えてもらえるかどうかは分かりませんが、自分が安全に気を付けている業者であれば、危ないと思っている業者は紹介しないはずです。
難しいのは、ネットの口コミをどう読むかです。
そもそも、口コミ情報を何処まで信頼していいのかという問題がありますが、マリンショップ・ガイドに関しては、さらに別の面も考えなくてはなりません。
安全とサービスは矛盾することがあるからです。
業者側は安全を考えたとしても、客からすれば、どうしてもっと沖合まで連れて行ってくれないのか、どうして自由に泳がせてくれないのか、といった不満に繋がるかもしれないのです。
ですから、口コミを参考にする場合は、評点数だけではなく、中身をよく読んで、書き手が何に満足したのか、何に不満を抱いたのかを読み取ってください。
少人数でガイドしてくれた、ライフジャケットの装着がいい加減だった、みたいな情報は貴重かも知れません。
ネットはもちろん、ガイド本や島で配布されているフリーペーパーなどには、マリンショップ・ガイドの広告が溢れています。
でも、何となく良さそうといったイメージだけで決めず、色々調べてみてから決めることをお勧めします。
ビーチで業者から勧誘されることもあるかも知れませんが、物のレンタル程度なら別ですが、海遊びであれば即決せず、こっそりスマホで調べてみるくらい慎重でもいいと思います。
一方、そこまで神経質にならなくてもいいだろう、というご意見もあるかと思います。これはあくまで、個人の見解です。
ただ、カヤックが流されて帰れなくなったとか、バナナボートから振り落とされて海上保安庁に救出されたなどということが、もし、自分の身に起これば、もの凄く衝撃的な事だと思うのです。
少なくとも、業者は何処も同じではない、ということは頭の隅に置きつつ、沖縄の海を楽しんでいただきたいと思います。
もちろん、親切で頼りになる業者も沢山いますよ。
ショップの広告ページに水着姿のおねーさんが載っているのを見て、「ここに申し込めば若い女の子と一緒に泳げるかな」などと妄想して、ウキウキしながら業者を決めたりしないでくださいね。 笑
次回は、我々客側が気を付けるべき点について考えます。
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