前回、北海道のニセコを例に出しましたが、地元紙などが報じたところによれば、ニセコ町でリゾート開発を行う会社が破綻しました。
スキー場に隣接し、羊蹄山も一望できる抜群のロケーションに、客室露天風呂を備えた部屋など全219室のニセコ最大級のリゾートホテル。
昨年中に完成する予定でしたが、今月になって裁判所は、開発を担う香港系の会社の破産手続きの開始を決定しました。
建設途上の建物は、現在もそのまま放置されています。
AERAdigitalは、大阪の神社で、外国人の子どもが、社務所から持ち出したおみくじ入りの木筒を振って遊んでいたケースを報じました。
母親は、注意するどころか、それを写真に撮っていたそうで、子どもは手を滑らせて筒を落とし、おみくじ棒を境内にばらまいたとか。
全国各地の神社仏閣で、外国人の不敬行為が問題になっています。
長崎県対馬の和多都美(わたづみ)神社は、外国人の不敬行為にたまりかねて、「氏子、崇敬者以外の境内への立ち入りを禁ずる」としたことも報じられています。
外国人が日本の文化を理解できないことはある程度やむを得ないことです。日本人にも非常識な人間はいます。
しかし、大勢の人間が大挙して不敬行為を行えば、多勢に無勢となり、もはやマナーの問題では済まされず、一律に規制をかけるしかなくなります。
東洋経済ONLINEによれば、 京都の旅館では、夕食の提供を止める所が増えているそうです。
外国人観光客は、宿の夕食に彼らのイメージする日本食を求めます。
しかし、宿の食事には、霜降り和牛のステーキも寿司もラーメンもたこ焼きも出ない。それで、 「ほとんどすべての食事を残し、ファストフードや、コンビニで手軽なサンドイッチなどを購入して食べている姿をよく見かける」のだそうです。
良心的な宿では、高級料亭旅館でも民宿でも、丹精を込めて料理を創ります。
それを残されるだけでも残念なのに、翌日から夕食をキャンセルすると言い出す人が多いらしいのです。
食材を用意しても、キャンセルされる。
「準備しているから無理だ」と断っても、「食べていないのに何故金を払わないといけないのだ」と詰めよられる。
言葉が違うし、意思の疎通が難しい。
キャンセルを受け入れたら、事前決済の場合は予約サイトやクレジットカード会社へ返金の連絡をしなければならない。海外サイト経由の場合がほとんどのため、そこでも言語の壁が立ちはだかる。
ただでさえ人手不足なのに、対応に追われて忙しくなる。
だったらもう食事の提供は止めてしまえ、ということなるのだそうです。
しかしそうなると、日本人観光客が、宿の夕食を楽しみたいと思っても、もはや適わなくなってしまいます。
テレ朝newsでは、富士山と桜が同時に見える山梨県の河口湖畔のとある場所に、外国人観光客が殺到していると報じました。
周辺は住宅密集地で、道路も狭いことから日常的に渋滞が発生。住民のなかには、自宅まで5分の道が30分かかることもあるといいます。
さらに、住宅の敷地内に無断で立ち入る観光客が後を絶たないというのです。
「冬なんてたばこ吸いながら入ってきたり、だからすごく怖い。今の時期だと(庭の)桜が咲いていると桜を見に来たり、あとは庭の植木を見に入ってきたり、家を撮影したり平気でしている。ちょっと怖いです」とは、取材を受けた住民の話です。
毎日新聞によると、上場するホテル13社の昨年10~12月期の客室単価は、全社が前年同期を上回り、最大で1・6倍に上昇したとか。
その理由として、旺盛なインバウンド需要を挙げ、「客室単価はさらに上昇が見込まれ、国内旅行客と訪日観光客で客室予約の争奪戦が激しさを増す見通し」としています。
最近報道されたオーバーツーリズム関連の事例をいくつか紹介しましたが、このようなニュースが連日のように報じられています。
オーバーツーリズムによる自然破壊については、マヤ湾の例が有名です。
タイのピピレイ島のマヤ湾は、レオナルド・ディカプリオ主演の映画「ザ・ビーチ」のロケ地になったことで、観光客が急増しました。
その結果、海の生態系が破壊され、珊瑚の約8割が死滅し、浜辺やジャングルも、ゴミや排泄物で汚染されました。
マヤ湾は2018年に閉鎖され、4年後に砂浜までは条件付きで行けるようになったものの、ボートを含め海に入ることは今も禁止されています。
インバウンドによって潤う人達もいます。国も地方もそれを期待します。
しかし、度が過ぎてオーバーツーリズムの状態になってしまうと、失うものの方が多くなってしまいます。
恩恵は受けず損失だけを被る人達もいます。「受忍限度」という言葉で語られることもありますが、観光客が勝手に庭に入って写真を撮るなどは、明らかに受忍限度を超えています。
ホテル代の高騰は言うに及ばず、自然、文化の破壊などは社会全体の損失です。
オーバーツーリズムは、その土地の自然、文化、生活環境を破壊し、破壊し尽くして終わると言われています。
一度破壊されてしまうと、そう簡単には元に戻りません。オーバーツーリズムの状態になる前に何とか歯止めをかけたいところです。
翻って、宮古島、石垣島はどうでしょうか。
まだ間に合うと思うのです。
外国人を含む旅行者が島に溢れ、物価も土地も上がりました。自然環境も徐々に変わってきています。
でも、ニセコのような事態には至っていないと思います。 だから、今すぐ手を打てば、宮古・八重山をオーバーツーリズムから守ることはできるのではないでしょうか。
続く
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