2025年6月17日火曜日

竹富町訪問税条例が町議会で可決成立

 
 行くだけで1回毎に千円徴収されるという竹富町の訪問税条例が、6月13日に町の議会で可決成立しました。

 今後必要となる総務省との協議を経て、来年度から施行したい意向のようです。




 当初、安栄観光、八重山観光フェリーなどの運賃に上乗せする形での徴収を予定していましたが、両社から断られたためこのまま頓挫すると思ったのですが、徴収方法は取り敢えず措いておいて、条例を先に創っておくことにしたようです


 船会社が徴収してくれなければ、各島のターミナルに関所を設けて、来島者から一人一人徴収するしかないと思ったのですが、条例では何と、

 当該申告納税者が訪問をした日から起算して10日以内に、訪問をした日における訪問の総数、税額その他必要な事項を記載した申告書を町長に提出し、及びその申告に係る税額を納付書によって納付しなければならない

 となっています。

 つまり、各自が自主申告して納税してくださいということです。


 八重山毎日新聞が報じたところによれば、具体的な徴収方法については規則で定めるそうで、石垣港離島ターミナル内での券売機による徴収や、ネットによる事前納入などを検討しているそうです。

 
 これでは、税金を払っても払わなくてもノーチェックという、マジメに払った人がバカみたいな制度だと思いますよね。

 でも、条例には、船会社等による特別徴収の方法もあるとされています。


 町の本音は、取り敢えず条例を先に創って、これから総務省協議とかに時間がかかるから、それまでに船会社を説得したいと考えているようです。 

 「同税をめぐっては現在、町が独自徴収する形で準備を進めている。町は地元船会社に特別徴収義務者となってもらえるよう引き続き交渉を続けていく考え(八重山毎日新聞)」だそうです。




 当ブログは、訪問税に一貫して反対しています。

 詳しい理由は過去記事に散々書きましたので、そちらを参照いただければと思いますが、もう一度簡潔に述べます。

 訪問税は普通税にも拘わらず住民は非課税だからです。


 条例の第1条には次のように書かれています。

(趣旨) 
第 1 条  この条例は、竹富町への多くの観光客等の来訪によって発生し、又は増幅する行 政需要に対応するために課する竹富町訪問税に関し、必要な事項を定めるものとする。

 このように書いておきながら、訪問税は普通税なのです。普通税とは使途を定めない普通の税金です。


 第1条で、税の目的はオーバーツーリズム対策と明言しているのだから、使い道もそれに特化した目的税とすべきですが、敢えて普通税にしたのは、ほかの目的にも税収を使いたいからでしょう。

 それにも拘わらず、住民は非課税なのです。

 
 オーバーツーリズム対策ならば、住民は非課税で構わないから、税収の使い道はそれに特化してください。

 一般財源として使いたいならば、住民を非課税にする理由はありません。住民にも公平に課税してください。

 税を負担するのはよそ者だけ、でも税収は住民のために使ってもいい、こんな不公平な税制度が何故我が国で許されるのか不思議です。




 町議会では、ただ一人、三盛克美議員が反対討論し、「観光業界や船会社との十分な合意形成がなされていない。来島者への心理的負担と観光客減少の懸念があり、使途や効果の説明も不十分」と述べたそうです八重山毎日新聞)



 竹富町の訪問税条例について一番詳しく書いた当ブログの記事はこちら


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2025年6月13日金曜日

沖縄でよく見かける花 琉球朝顔 Ⅱ

 


 沖縄の花。

 ハイビスカスは、原色で青空に映え、南国のイメージにもピッタリです。当ブログでも、時々写真をアップしています。

 しかし、沖縄でハイビスカスよりももっと目にしているはずなのに、地味なので見落としている花もあります。

 琉球朝顔もその一つです。

 
 5年以上前に当ブログで一度紹介したことがありますが、久々第二弾をお届けします。





 琉球朝顔は、西表朝顔とも言われます。和名は野朝顔(ノアサガオ)。園芸植物としては、オーシャンブルーと呼ばれているようです。

 よく見かける西洋朝顔と花の形は似ていますが、生命力が強く、何と越冬します。

 ただし、霜が降りる地域では越冬できません。その点、南国沖縄はピッタリ。そんなわけで沖縄のあちらこちらに自生しています。
  


 西洋朝顔同様、つる性の植物なので色々な所に絡みます。まるで手入れの行き届いた生け垣のようですが、勝手に生えて勝手に咲いているだけ。
 


 他の花が咲いていても、遠慮はありません。



 雨上がりの日差しに映える琉球朝顔。



 花びらの縁の方から、徐々に萎んでいきます。その過程もなかなか綺麗です。




 お仲間には、昼顔があります。こちらは、沖縄で最もよく見かける昼顔であるグンバイヒルガオです。 



 琉球朝顔との違いは、水捌けの良い砂地を好むこと、地面に這うように生育することです。
 砂浜では、コーラルブルーの海の引き立て役となるので、その点琉球朝顔よりも印象に残ります。




 夕顔というのもありますが、夕顔と言えば源氏物語ですよね。

 佳人薄命の見本みたいな儚い生涯でした。しかし、当時未成年だった光源氏と・・・なので、今なら逮捕されちゃいますねぇ。笑


 話を戻して琉球朝顔。主役は手前の花、ランタンですが、バックでいい味を出してくれています。




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2025年6月9日月曜日

沖縄が梅雨明けしちゃった!

 


 6月8日、気象庁は「沖縄地方が梅雨明けしたとみられる」と発表しました。

 いくら何でも早過ぎじゃね? と思ったら、史上最速タイ記録だそうです。平年よりも13日、去年よりも12日早い梅雨明けです。




 ただ、これが異常気象なのかと言えば、必ずしもそうとも言い切れません。

 沖縄各地で海神祭(ハーリー)が行われるのは、旧暦の5月4日(ユッカヌヒー)ですが、ハーリーが終わると沖縄は梅雨が明けると言い伝えられています。

 今年の旧暦の5月4日は、新暦の5月30日だったので、そろそろといえばそろそろだったのです。


 梅雨入り前に前線が停滞していた時期もありました。

 気象庁によれば、宮古・八重山共4月は平年並みの雨量だったようですが、3月は平年を上回る雨量を観測しており、実質的な梅雨時期が早めに来たとも考えられます。


(今年4月24日の天気予報)


 一方で、ちょっと変だなという感じもします。

 今年の梅雨入りが一番早かったのは、沖縄地方ではなく九州南部で、平年(6月2日)より大幅に早い5月16日だったのです。

 その後、奄美地方が5月19日、沖縄が5月22日と続きましたが、前線が南から北上する通常パターンではなかったのです。


 そして、台風がまだ1つも発生していません。台風1号の発生は、最も早いのが2019年の1月1日、最も遅いのが、1998年の7月9日です。


 記載日現在、気象庁、米軍とも台風情報は発表していません。




 こうなると、真っ先に心配になるのは水不足です。

 本島地方のダム貯水量は平年の92%と報じられました。10%未満の不足ではありますが、梅雨明け後の期間が長くなるため、余談は許しません。


 ダムのない宮古島は特に心配です。

 話が逸れますが、先日放映されたNHKのブラタモリで、宮古島の地下ダムが紹介されていましたが、あれは農業用水専用で、水道水への転用はできません。

 水道水確保のためには、雨が降ってくれるのを待つしかないのです。

 


 早くも梅雨明けの沖縄では、真夏の太陽が輝いていることでしょう。

 観光客としては、今すぐにでも飛んで行きたいところですが、島の人にとっては、そんなことを言っている場合ではないですよね。


 気象庁は、毎年季節現象を観測しています。
 季節現象とは、ある季節にだけ現れ、その季節を特徴づける生物活動や大気・地面の現象で、梅雨も重要な季節現象です。

 毎年、梅雨入り梅雨明けを発表するのは、それを観測し続けることで、気象変動の傾向を探るためです。


 例年と同じ時期に適度な雨が降って、適度な規模の台風がやって来てくれる、というわけにはいかないのでしょうかねぇ。





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2025年6月4日水曜日

♪ あれから10年も~ 10年前のブログを見ると

 


 毎年沖縄に行って、写真を撮って、ブログを書いて。

 相変わらず同じようなことを続けているのですが、やはり十年一昔。

 自分で書いた記事でも、10年前のものを今読み返すとちょっと新鮮な気持ちになります。そんなわけで今回は、ちょっぴり回顧録。




 10年前、すなわち2015年の沖縄の一大トピックスは、何と言っても伊良部大橋の開通です。

 当ブログでも沢山写真をアップしました。


 今や、あって当たり前の伊良部大橋。いや、逆に言えば、10年前までは伊良部島まで船で行っていたんだ。


 一方の下地島空港は、訓練飛行が前年で終了し、定期航空便が就航する前の寂しい時代でした。




 2015年は、石垣空港連絡バスの仁義なき戦いの始まりでした。

 この年、カリー観光が石垣空港・離島桟橋間の運行を開始。老舗の東運輸との間で熾烈な競争が繰り広げられました。


 後に、人手不足で減便となり、今では目立つ競争はなく、両社共、黙々とタスクをこなしているといった印象です。 

 しかし、どちらも運賃を据え置いているのは立派だと思います。羽田空港行きのバス路線は、コロナ以降2~3割値上げしています。




 一方、海路に目を向ければ、この年の石垣・竹富往復運賃は、安栄観光・八重山観光フェリー共1170円でした。

 現在は、1700円ですから約20%の値上げとなっています。主な理由は燃油高です。


 ところでこの年は、石垣・竹富航路は、安栄、八重観合わせて19往復(夏期は21往復)、さらに石垣島ドリーム観光が11.5往復も運航されていたのです。

 今では、安栄が5往復、八重観が10往復のみと、全盛時の面影はありません。観光客自体はむしろ増えているのですが。




 宮古島の前浜は、東洋一とも言われる美しいビーチでした。

 今でも、海の美しさは変わりませんが、何だか色々な人が集まって営業活動が活発で、とても離島の海とは思えない俗っぽい場所になってしまいました。

 当時のブログには、単純にその美しさだけをアップしていたのですが。






 自分的には2015年は、沖縄旅行100回目を達成した年でした。

 そんなわけで。当ブログでも100沖縄記念特集として、宮古・八重山の絶景100選なんていう特集記事も書いていました。

 ちなみに、沖縄旅行の回数は現在160回です。


 そのほか、渡名喜島に初上陸し、2回目の与那国島にも行きました。初与那国の時は天気が悪かったので、この島を満喫できたのは、この時が最初です。

 冒頭の写真は、この時撮った与那国馬です。



 この年の年末には、ブログ記事300本に到達しました。現在は、この記事も含めて1072本です。

 やっぱり、10年は長い!笑



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2025年5月30日金曜日

夜の石垣港お散歩




 酔い覚まし?腹ごなし? まあどっちでもいいのですけれど、夕食後、真っ直ぐホテルに戻らず、 夜の石垣港界隈を散策してみました。

 風に吹かれて。8時を回る頃にはもうほとんど人がいません。


 手前にあるのは、安栄観光の船です。離島ターミナルから少し離れた所に停泊しています。
 


 水面に映るホテルの灯り。



 人気のない夜の桟橋。文字どおりの静寂。



 と思ったら、何故か人が歩いている。

 これは、竹富島の「星のや竹富島」の従業員です。ホテル周辺には従業員宿舎がなく、チャーター船で石垣島から通勤しているのです。



 夜の離島ターミナル。

 既に施錠されて立ち入ることはできませんが、煌々と灯りが点いています。よく見ると人影も。
 残業でしょうか。お疲れ様です。



 店の灯りに浮かび上がった椰子の木もいい感じでした。




 風に吹かれて♪

 というか、海なので本当に風が強いのですが、日中の暑さが収まった心地よい風です。

 
 昼間の喧噪が嘘のように寝静まった夜の石垣港。夜景というほど綺麗なわけではありませんが、ちょっといい感じです。

 せっかくだから、少しブラブラ歩いてみませんか。

 

 下の写真は、ちょっと面白いなと思って撮ったのですが、フラッシュを使いました。こんなに明るく見えているわけではありません。




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2025年5月25日日曜日

求む! 沖縄の夏空

 


 沖縄がようやく梅雨入りしました。5月22日のことです。

 例年よりも12日遅く、九州南部よりも遅い梅雨入りでした。

 4月に石垣島に行ったときは雨で、もう梅雨入りしたかと思ったのに、あの時の前線と雨は何だったんだ。


 
 どうも最近ツイていない。昨年9月は台風、10月は雨、今年4月も雨と、しばらく沖縄で青空を見ていない。

 早く沖縄の夏を見たい! 求む青い空。白い雲。コーラルブルーの海!



 地味に綺麗な海。この青空があってこそ。


 人気のない海。でも、ジリジリと太陽に照らされます。



 パラグライダー。
 こんな所でやって欲しくはないけど、この天気で見下ろす海は素敵だろうなと。



 早朝のビーチ。青空に虹。


 うーじ畑にも虹。


 青空だけでも十分魅力的です。



 「雨でも楽しめます」なんて言ってみたところで、所詮戯れ言。晴れてギンギンの太陽があってこその沖縄です。

 
 毎年、何度も行っている沖縄ですが、やはりこの眺めは格別です。そして、しばらくこれを見ないと禁断症状が出てしまいます。沖縄依存症。笑
 



 そういえば、今日まで台風はまだ一つも発生していないんですよね。






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2025年5月19日月曜日

宮古島のフジレンタカーが廃業しちゃった

 

 宮古島がバブルなんていわれる遙か前からあった、ゆる~いレンタカー屋、フジレンタカー宮古島店が、残念なことに今年1月に廃業していました。




 フジレンタカーというのは、那覇に本社があるレンタカー会社で、沖縄本島と宮古島・石垣島に営業所がありました。

 といっても、各営業所はフランチャイズ方式なので、資本関係はありません。


 フジレンタカー宮古島店の特徴は、何といってもその安さ。軽自動車が夏シーズンでも24時間4000円。しかも免責込み。
 オフシーズンは、それが2960円まで下がります。


 値段が安いだけではなく、これまで様々なエピソード、ブログネタも提供していただきました。笑

 以前の記事では「Fレンタカー」なんて書いていましたが、今回は、本名?で書かせてもらいました。


 初めて借りたのは、もう20年以上前の平成14年(2002年)でした。

 車を借りて、営業所に返して、その後空港に送ってくれるものだと思ったていたら、「帰りは、空港の駐車場の空いてるところに駐めて、どの辺に駐めたか電話ちょうだい。ドアは施錠せず、キーはダッシュボードに入れておいてね。じゃあ気をつけて行ってらっしゃい。」

 「はぁ~」としか言いようがなかった。

 実は、この”スーパー返車システム”は、当時は宮古島でも石垣島でも結構あったのですが、自分はこのとき初めて経験し、ぶっ飛びました。


 空港に着いたのに、お向かえがいないということも数回に1回の割合であります。
 忙しくて送迎が間に合わないから常連客は後回し、ということもあったようですが、その挙動から「マジで忘れてただろ~」ということも。


 宮古空港に向かえに来てもらったとき、空港にたまたま知り合いがいて、「一緒に乗っていく?」みたいなことがありました。

 それは構わないのですが、そのとき車は宮古空港の横断歩道上。そこに車を駐めて知り合いを乗せようとしたところ、背後からパトカーに警告されるし。

 関係ないこっちがハラハラしましたよ。




 フジレンタカーは、自動車整備工場が本業でした。中古車を仕入れ、自社で整備して安く貸すのがビジネスモデルでした。

 そのため、値段は安いけれど、10年くらい前には新車だったような車が多く、中には、ドアを開けるのにコツがいる車とか、エアコンが爆音を響かせる車とか、スマホをくっつけたのかと思うような、小さなカーナビしかなかった車もありましたっけ。


 他の車は全部出払っていたので、貨物用のバンを借りたことがあります。



 30年振りくらいに乗ったパワーウインドウなしの車。当然カーナビはありません。




 一方で、台風で思わぬ予定変更があっても、いつも気持ち良く受けてくれました。到着便が遅れて空港で長時間待たせてしまったことも。

 どんな時でも、何事もなかったかのように「はいは~い」と対応してくれました。台風の時など、こっちはバタバタなので、このゆるさは本当に有り難かったです。


 3年前、半導体不足のため、全国で新車の納入が遅れるという騒ぎがありました。

 沖縄のレンタカー業界も、その余波を受けてレンタカー不足し、値段が相当上がりました。
 それに乗じて、普通車が24時間数万円というぼったくり業者も次々と出現しました。

 さすがに、Tヨタなど全国チェーンの大手はそんなことはしませんでしたが、それでも5割程度の値上げをしています。

 そんな中、元々安いフジレンタカーは1円も値上げしなかったのです。





 レンタカー担当は、A子さんという女性。有り体に言うと、これぞ「ザ・沖縄のおばちゃん」という人でした。
 まあ、言うなればこの人がフジレンタカーのゆるさの元凶、いや、源です。


 若い人を雇っても、次から次に辞めてしまうのが長年の悩みだと言っていました。

 あるとき、新潟県から移住した若い女性を雇ったところ、マジメに一生懸命働くので今度こそ定着するかと思いきや、

 「それがね~ こっちで彼氏が出来て妊娠しちゃって、そうしたら彼氏がとんずらして、彼女は一人で子供を産むと言って実家に帰っちゃって。もう若い子は何考えてるか分かんないよ。」

 いやいや、そんな話しオレが聞いちゃっていいんですか。


 なんてこともあったのですが、数年前からは、Yすださんという若い男性が定着し、A子さんもホッと一息だったはず。


 ところが、開業時からずっと頑張ってきたA子さんが、3年前に突然辞めてしまいました。Yすださんによれば、何の引き継ぎもなく本当に突然だったそうです。

 一人残されたYすださんは、孤軍奮闘していましたが、昨年8月、「もうレンタカーは辞めるかも知れません。社長に言われているんです。」なんて寂しい話をしていました。

 気になっていたので、夏シーズンを前に聞いてみたら、本当に辞めちゃったとのこと。



 本業の自動車整備工場に加え、近年は不動産貸し付けも好調で、競業者が多くコスパの悪いレンタカー事業からは手を引いたようです。

 経営者の判断としては妥当だったのかも知れませんが、ユーザー、というか一沖縄好きとしては何とも寂しい限りです。


 もう、A子さんともYすださんとも会うことはないのでしょうか。





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2025年5月15日木曜日

沖縄で出会ったファンタスティックな人達 Ⅲ

 


 場所は・・・伏せておきます。

 宮古島か周辺離島の何処かとだけ書いておきます。理由は後ほどお話します。

 今回のファンタスティックな人は、民宿のオーナー。「おとうさん」です。




 「おとうさん」は、地元の名士。元は偉い人でした。そこをご理解いただかないと、ファンタスティックさが伝わらないのです。


 「おとうさん」は、元沖縄県庁の職員でした。総務課長を経て、最後は民営化前の下地島空港管理事務所の所長を勤めたそうです。


 一般に、都会と違い地方では、社会・経済において行政の占める割合が大きいのですが、特に沖縄県では、離島を含む広大なエリアを抱えている上、基地問題やそれに起因する国との特殊な関係などから、県庁の存在は一際大きいものがあります。


 総務課というと、縁の下の力持ち、雑用係りのイメージをもたれがちですが、役所の総務課とは、国や他自治体、議会などとの総合調整を担う重要なポジションであって、言ってみれば、行政の屋台骨。

 沖縄県の総務課長ともなれば、広範な調整業務を担い、重責を負う重要ポストです。

 下地島空港管理事務所長のポストは、「最後は地元で」と希望したそうですが、そうした希望を聞いてもらえるのは、トップクラスの管理職だけです。


 そういう役職を経験した人ですから、それも当時だったら、定年退職後も好条件での再就職、有り体に言えば天下り先が用意されていたはずですが、なんと、それを辞退して、民宿を始めたというのです。

 「おとうさん」曰く。「天下りをして、退職金の二重取りをするような生き方は、オレの性に合わないんだ」と。

 かっけー!




 もっとも宿の常連さんの解説によれば、民宿を始めたのは、退職後も若い人と毎日一緒に飲めるからだとか。

 思わず納得しそうになりましたが、それであってもファンタスティックだと思うのです。


 天下り先は、まあ、全てではないでしょうが、役所の補助金で運営されている団体や、役所との人脈を切らさないために退職者を受け入れる民間企業が多いのです。

 なので、報酬の割に責任の軽い名誉職的なポストが用意され、しかもこの頃は、天下り先を退職する際に、再び退職金がもらえるのが当たり前でした。


 それを断ったのです。

 民宿の「おとうさん」になって、毎日お客さんと一緒に食事をして一緒に飲むという生活を選択したのですから、これはとてもイケてるじゃないですか。


 だからという訳ではないでしょうが、宿の常連さんも、いつも夕食前から食堂に集まって楽しそうに飲んでいました。

 
 建物はなかなかユニークで、客室部分と食堂の間に謎の土間があったり、2階の部屋には謎のベッドルームがあって、窓を開けると屋根の上だったり。

 居心地はいいのですが、ただ、あのちょっと、建築基準法的に・・・でして。

 ま、そんな訳で場所は書きにくいですねぇ。


 民宿なのに、生ビールサーバーがあるのです。

 10リットルの樽を1万円で仕入れ、それを500ミリリットルのグラス1杯500円で売るから、もうけは泡の分しかない、なんてドヤ顔で語っていました。




 自分が最後に泊まったのは、もう10年くらい前になってしまいました。

 その時は10月の連休だったのに、何故か客は自分一人。

 「おとうさん」に連れられて、島の寄り合いに参加し、ビールでの「おとーり」という恐るべきイベントに付き合わされたりしました。


 その後理由は分かりませんが、休業で電話も繋がらない時期があり、復活したという話を聞いたので、また泊まりに行こうかと思っていた矢先、コロナ時代に突入。結局そのままになってしまいました。


 今、ネットでググってみても、口コミを含め情報はコロナ前のものばかり。Googleマップによれば、建物はまだあるようなのですが。



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