先日、朝日新聞系のサイトにこんな記事が載りました。
「多良間島を発着する航空便が、日本航空(JAL)の「マイル修行」目的の利用者で満席になり、島民が乗れずに困っている」
一体何があったのでしょうか。
移動目的ではなく、航空会社の上級会員になるためだけに飛行機に乗る人達は、「マイラー」「修行者」などと呼ばれています。
航空会社の上級会員になると、大空港にある専用ゲートやラウンジ(ビールが飲み放題)が利用できる、獲得マイルにボーナスが付くといった実利もありますが、優先搭乗ができるとか、預けた手荷物が優先的に受け取れるといった、マニアの優越感をくすぐる仕掛けもあります。
そんなことから、 航空マニアのみならず、飛行機を多く利用する旅行者で上級会員を密かに目指している人は、思ったより多く存在するようです。
今般、JALがキャンペーンを行ったことから、飛行距離の短い離島便に修行者が殺到したため、多良間島と宮古島結ぶ便が連日予約で満席となり、いつものようにおっとり構えていた島民が、航空券が買えなくてビックリしたというのが今回のお話です。
上級会員資格は、1年間にその会社の航空機に乗る回数や距離に応じて獲得できます。
それに加えて、JALは、一昨年から「JAL Life Statusプログラム」という制度を作り、これまでJALへの貢献度によって、上級会員であるJGC(JALクローバルクラブ)会員の入会資格が得られることになりました。
具体的には、まず、JMB(JALマイレージバンク:無料)会員になった後、JALグループ便に乗った回数や、クレジットカードであるJALカードの利用 などが点数化され、一定数を超えることが条件となります。
その際、飛行距離ではなく、搭乗回数がポイント化されます。そうすると、会員資格を得るための修行としては、長距離便を選ぶより、短距離便に乗った方が効率がいいことになります。
この冬、JALがそのポイントを2倍にするというキャンペーンを行ったので、短時間の搭乗で効率良くポイントを貯められる、宮古・多良間便などに予約が殺到しました。
多良間島では、1日2往復、50人乗りのプロペラ機が宮古空港まで運航されていますが、人口僅か1028人(1月末現在)で、観光客もあまり来ないこの島にとっては輸送力過剰であり、逆に言えば乗りたいときにいつでも乗れる路線でした。
宮古島のニュースですら内地で報じられることは滅多にないのに、何故、多良間島のこの問題が全国ネットで、それも数多く取り上げられ、また、炎上したのでしょうか。
それはマスコミが、修行者を変わり者扱いし、自分の楽しみのために人の迷惑を顧みない厄介者のおかげで小さな島の人達が被害に遭っている、といった論調で面白おかしく書き立たからでしょう。
自分は、修行したことはありませんが、こういった取り上げ方には、強烈な違和感を感じます。
修行者には、何の問題も落ち度もありません。
修行者は、正規のルールに則り、金を払って航空券を購入しています。
予約に際して裏技を使ったわけでも、航空券を買い占めて転売したわけでもありません。
島民と同じルールの中で動いています。
公共交通ですから、鉄道でも船舶でも、定員制の乗り物は全て先着優先が大原則です。
多良間島の特殊性、つまり、日常生活において宮古島への依存度が高いことや、代替手段が1日1往復(日曜日休航)の船しかないという問題は、地元自治体や航空会社が考えるべであって、修行者のせいにするのは筋違いです。
マスコミの好きそうなコメントとして、「修行者は島に来ても金を落とさない」というのがあります。
本当に島民がそう言ったのかどうかは分かりませんが、万一、多良間島に行って金を使わない奴は飛行機に乗るなと本気で思っているならば、それはただのエゴです。
それどころか、どうやっても赤字の路線維持のために、必要もないのに金を払って乗ってくれる修行者は、大変有り難い存在のはずです。
間接的にですが、島のために相当な金を落としているのです。
JALだって、今回のような事態が起こることはある程度想定していたはずで、それでも、赤字路線であろう宮古・多良間便のテコ入れを図る意味もあって、キャンペーンを企画したのだろうと思います。
たまたま、想定を超えてしまい「過ぎたるは及ばざるがごとし」になっちゃった、というのが今回の騒ぎの顛末ではないでしょうか。
都会に居て、島のことも知らず、航空機にもあまり興味のない人が、表面的な現象を取り上げて面白おかしく書き立て、View数を稼いでいるのかと、勘ぐりたくもなります。
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