旧暦5月の満月の夜、それは始まるのです。
池間島の海に日が沈み・・・
まだ薄明るい中、今年はスーパームーンと呼ばれる大きな満月が顔を出すと・・・
じゃじゃーん。暗闇の中から卵を抱えたオカガニ参上。
お腹いっぱいに卵を抱えています。
これが北海道で、このカニがタラバガニなら、「カニの外子」という珍味、寿司ネタになるのですが、オカガニは食べても旨くないらしい。だから、沖縄で数が減らないんだとか。
ん~ 何とも説得力のあるご説明で。
ヤシガニからは不公平だと苦情がきそうな・・・
オカガニという名前からして丘に住むカニなのですが、祖先は海に住む普通のカニと同じだったらしく、今でも海で産卵します。
そこで、産卵のために普段住んでいる丘から海まで、お腹に卵を抱えてえっちらおっちら大移動。
「それだけでも疲れるのに、無粋な人間の奴らが道路を造ったり、防波堤を造ったりするものだから、もー大変なんすよ!」
オカガニは、沖縄の各地に幅広く分布していますが、池間島には数が多いことと、「道路越え」をすることから有名になりました。
「はぁ~ やっと何とか海岸までたどり着いたよ。」「オッシャー!」 勝利のVサイン?
ほかのカニ達も続々と砂浜にやって来ました。
こちらは、オカヤドカリ。丘に住むヤドカリです。数は少ないけれど、オカガニと同じことをします。
オカガニは、満月の夜に産卵しますが、満月というより大潮のとき、つまり、「海がもっとも近い」ときを狙って産卵するようです。
だったら、昼間だっていいし、新月の夜だっていいじゃん?と思われた方。
いい質問ですね~
夜に産卵するのは、外敵から目立たないようにするためらしいのです。そして、新月のときも大潮なので、一部の種類のオカガニは新月のときに産卵するのですが、主流派は満月を選びます。
理由は分かりませんが、月の大きさを見て、潮の満ち干を判断しているのではないかと言われています。
そして、凄いのは、満潮の時間の直後から放卵を始めること。
つまりですね、満ちた潮が引き始める瞬間、すなわち、最も卵が海中にもって行かれやすいタイミングを選んで放卵するのです。
どうして、そんなことが分かるのでしょうか。
波が来ました。
放卵の瞬間です。
でも、オカガニの親は海では生きられません。波にさらわれたら溺れて死んでしまいます。
まさに命賭けの産卵。
感動の一瞬です。
と思ったのですが・・・
翌朝。
命を賭けて産卵したはずなのに、気が緩んだのか網戸の隙間に引っかかった間抜けなオカガニ。
感動シーンの後に笑いを取ることも忘れない、何とも愛すべき奴です。
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