2016年11月5日土曜日

ますます人が増える石垣島と不便になる黒島


 新空港開港以来、観光客が増え続ける石垣島。

 東京や関西からの直行便の復活、機材の大型化(というか中型化)、LCC(ピーチ)就航に加え、ご多分に洩れず外国人観光客が大勢押し寄せ、オンシーズンは、市街地に人が溢れています。




 特に、ホテルの予約が大変です。
 リゾートホテルや、安宿は依然とあまり変わりませんが、1泊数千円クラスのビジネスホテルは、夏休み期間中の週末、連休の初日などは、1ヶ月前の予約でも遅いときも。
 人気宿ならともかく、「○○ホテルまで~」などとぼやきたくなることも。


 元々、石垣島のホテルは、行事や祭事の時に周辺離島から人が集まってきていっぱいになることが多かったのですが、近年は、航空券と宿を自由に組み合わせて予約できる、フリーツアーを利用する観光客が多く、リーズナブルな値段で、小ぎれいなビジネスホテルの需要が増えているそうで、加えて、外国人観光客もホテル指向なので、大変なことになっちゃったんだとか。


 石垣島の離島桟橋周辺、市役所周辺は、新たなホテル建設に適した土地があまりなく、古いホテルを改修して「リブランド」してオープンするケースが多くなって来ています。

 730交差点。工事終了後には、一体何ができるのやら。


 飲食店も、以前は、油断していると夕食難民になりそうなこともありましたが、ホテルに比べ小回りが効くためか、店が増えて落ち着いて来ました。

 石垣島ヴィレッジ。
 ビル自体はリニューアルですが、1~2階に小さな飲食店が20軒ほど混在。ブルーシールアイスクリームの店から日本酒バーまで。屋台村のイメージでしょうか。



 そんな石垣島とは対照的に、ここ数年の間に観光客が減り、船便が減り、そして日によっては、昼ごはんを食べられる食堂がどこも開いていない!なんてことになってしまった島があります。



 黒島です。

 黒島航路(高速船)は、ピークの平成20年は、安栄観光が7往復(冬季は1往復減)、八重山観光フェリーが6往復、ドリーム観光が3往復だったのですが、安栄観光と八重山観光フェリーが共同運航を始めた平成22年から事実上の減便となり、現在は、安栄観光+八重山観光フェリーが6往復(冬季は1往復減)、ドリーム観光が2往復にまで減ってしまいました。

 食堂も、7~8年前は5~6軒あったのですが、休業やら、週末のみ営業やら、さらには、やっているんだか閉まっているんだか分からない店が増え、今では、ほぼ確実に営業している店は2軒と、最近始まったサンドイッチの移動販売だけ。

 その2軒も不定休なので、島の行事やお店の都合によっては、観光客は、昼食難民になってしまいます。

 ちなみに、夜営業する(可能性のある)店は、1軒のみ。売店も1軒です。






 八重山の各離島は、ここ20年ほどの間に便利になりました。

 各島の港は、以前は、コンクリートの護岸があっただけだったのが、ポンツーン(浮桟橋)となり、待合室や売店のあるターミナルも整備されています。
 道路も、舗装されたり、拡幅されたりしてきました。

 それに歩調を合わせるかのように、宿や飲食店、レンタサイクル店、マリンスポーツのショップなども、ほとんどの島で、今も増え続けています。

 黒島も、一時この流れに乗ったかのように見えたのですが、いつの間にか、また元の不便な島に戻りつつあります。


 竹富町のHPによれば、昨年1年間の黒島の入島観光客数は、28,428人。ピークだった平成20年の42,072人に比べ、何と3分の2。

 波照間島の30,205人をも下回っています。波照間航路は荒天による欠航が多く、行きたくても行けなかった人が大勢いたはず。それにくらべ、黒島航路は、欠航も少なく、所要時間も運賃もほぼ半分なのですが。

 ちなみに、竹富島は、511,413人と桁外れです。



 何故黒島だけ?
 元々、何もないといわれる島でした。
 何もないとはいっても、西の浜は、全八重山のビーチの中でも五指に入るのでは、という美しさだし、仲本海岸では、シュノーケリングをしにやってくる日帰り観光客も少なくありません。

 島自体が、畜産を生業といていて、観光には気合いが入らないのかも。
 しかし、船が減便となれば、一番困るのは島人のはず。食堂だって、シーズン真っ盛りでもなければ、観光客より地元の人の利用が多いはずなのに。



 「でも、一つくらいこういう島があってももいいよね。」とは、黒島で同じ宿に泊まったお客さん達が、口を揃えて言っていたセリフです。

 そうですね。確かにそうなんです。

 15年ほど前に初めて黒島に来たときは、遙かな孤島にワクワクドキドキしながら、船を降りたはず。
 それなのに、初心?を忘れ、今では、航空機・バス・船と事務的に乗り継いで、当たり前のように到着し、東京から2千㎞も離れた人口200人の孤島であることも忘れ、ついつい都会と同じような便利さを求めてしまいます。



 今年の10月9日。
 島では、結願祭の奉納芸能が演じられた日。島中の店がお休みでした。
 そうと知らずに、たまたまこの日に黒島にやって来た自分は、運悪く土砂降りの雨にずぶ濡れにながらも、唯一営業していた、サンドイッチの移動販売のおかげで、何とか、お昼ご飯にありつけました。

 これも旅のハプニングとして、いい思い出なのです。石垣島のように人が増え、店が増えることを望んでいるわけではありません。
 
 黒島は不便になったわけではなく、少し前に戻っただけでした。





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