2017年6月8日木曜日

宮古島でクマノミの棲息地が荒らされています




 今、宮古島周辺では、とても残念なことが起こっています。
 誰もが普通に泳ぎ、シュノーケリングをするようなビーチで、カクレクマノミが次々と捕獲されています。


 下の写真をご覧ください。同じ場所です。わずか2~3日の間にイソギンチャクごと持って行かれたそうです。
(写真提供「ひでちゃんTours宮古島」)


 これを見て「酷いことをする。」と感じた方は、常識的な価値観と感性をお持ちなのだろうと思います。
 ところが、クマノミを捕獲することについての法的規制はありません。つまり違法ではないのです。
 では、違法でなければ捕ってもいいでしょうか。それもやむを得ないことでしょうか。

 今回は、この点に関して、当ブログとしての意見を主張します。ちょっと堅い話になりますが、最後まで読んでいただければ幸いです。




 ルールとマナーという言葉があります。日本語で言えば、法規範と社会規範ということになると思います。
 コンビニの商品を無断で持ち出してはいけない、というのが法規範で、コンビニではレジに並ばなければならない、というのが社会規範です。

 社会規範は、多くの人が支持する言動の形式です。法規範のように明確ではありませんが、社会生活を送る上で不可欠なものです。

 夜の住宅街で大声で騒いではいけないとか、人が散策する広場でサッカーをしては行けないとか、車内で座席を譲り合いましょうとかそういったことです。
 別の言い方をすれば、社会常識ということだと思います。

 それと同様に、みんなが泳いだり、シュノーケリングをする場所で、珊瑚を破壊したり、クマノミを捕ったりしてはいけないというマナー=社会規範が存在するのではないでしょうか。

 そうすると、捕獲者は「ほかの魚は釣っていいのに、何故クマノミを捕ってはいけないのか。」と反論するでしょう。

 確かに、島人は、宮古島周辺の海でタマンを釣ったり、シャコ貝を捕ったり、もずくを捕ったりしています。自然環境保護の観点からは全く問題ないと言い切れないかも知れませんが、これらは、昔から続く島人の楽しみであり、いわば文化です。乱獲にさえ渡らなければ、これを禁止すべしという社会規範は成立していないと思います。



 ところで、カクレクマノミについても、捕獲するという行為自体は、許容されるでしょうか。
 それもはまかりならぬ、という考え方もあると思いますが、ペット用として数多く流通し、絶滅危惧種にも指定されていない現状では、意見が分かれるでしょう。

 しかし、宮古島周辺の海で泳いだりシュノーケリングをする人達は、美しい珊瑚やカラフルな熱帯魚、そして、カクレクマノミに遭うことを楽しみにしているはずです。絶海ならばいざ知らず、こんな場所からカクレクマノミを持ち去ることを許すべきではない、という考えは、多数の人に支持されると思われます。


 海は誰のもの?という根本的な問いかけがありそうです。
 言うまでもなく、海はみんなのものです。だからこそ、趣味、レジャー、景観、観光、漁業、海運、防災、自然環境保護といった様々なニーズを調整ながら利用する必要があります。
 
 海との関わり方については、それぞれの文化や歴史があります。生活のかかっている人もいます。
 ですから、細かいことを一々論わず、ある程度の妥協もして、しかし、それでも多くの人が「これだけはしてほしくない」と思ったことは、確立した社会規範です。



 かつて、こんな話が新聞に載っていました。
 登山道の脇に可憐な花が一輪咲いていたそうです。朝早くそれを見つけた登山者は、早速カメラに収めた後、あろう事か、花びらの一部を引きちぎりました。
 後から来た人に、同じような素晴らしい写真を撮らせないためにです。
 花びらを少々傷つけただけなので、喩え国立公園内だったとしても、処罰されることはないでしょう。でも、この行為がマナー=社会規範に反するということは、誰も疑わないと思います。


 多くの人が泳いで、眺めて、楽しんでいる珊瑚の海を構成する生き物を、採取し、傷つけ、破壊する行為は、法規制がなくても、重大なマナー違反、社会規範違反だと考えます。これが当ブログ管理人の意見です。


 この意見に賛同いただける方は、このようなことが起きているという現実を認識し、もし機会があれば、そのときには、一緒に声を上げていただけると幸いです。




 宮古島市民で、この意見に賛同いただける方には、これをマナー違反からルール違反に引き上げること、すなわち規制条例の制定を、市議会に働きかけていくことを提案します。

 規制緩和に時代に規制を強化するというのは、言うほど簡単なことではなく、クマノミが可愛いからだとか、可哀想だからという理由での規制はできないと思いますが、観光資源としての宮古島美しい海を守る、という視点からの条例化は十分可能と考えます。

 また、それまでの間、マナー遵守を呼びかけるポスターの作成、看板の設置、ネット情報の配信などを通じて、「クマノミを捕獲することは恥ずべきことだ」という社会通念、社会常識をより強固にしていくことも肝要と思いますがいかがでしょうか。

 無料で配布されるガイドブックに「ニモはみんなのものです。持ち去らないでください。」と書いてもらうことは、できないでしょうか。




 併せて、これを機会に、宮古島の美しい海を積極的に守らなければならないという機運を盛り上げていただくこともお願いしたいのです。

 以前記事にも書きましたが、伊良部大橋を歩いて渡ってみたら、吸い殻やゴミが歩道に散乱しているのに驚いたことがあります。
 これらは、島人が捨てたのか、観光客が捨てたのかはハッキリしませんが、島人が一切ゴミを捨てないことで、観光客にもゴミを捨てさせない強いアピールになります。

 宮古島に人が集まるのは、空港があるからでもリゾートホテルがあるからでもなく、美しい海があるからです。
 現に、絶海の孤島波照間島には、美しい海を求めて、かなりの数の観光客が、石垣島から揺れる船に乗って遙々訪れています。

 「宮古島に行っても、ニモは乱獲されてほとんどいないから、八重山や慶良間諸島に行った方がいいよ。」などということになる前に、手を打ってください。
 
 もちろん、他の地域の方もに同じ問題があるわけです。


2 件のコメント:

  1. 自分(達)がきれいだと思うものは奪うなって事だな
    感性で規範作ってたら苦労しないですね^^

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    1.  規範を創ることが出来るのは、唯一の立法機関である国会だけです(法律の法規創造力)。
       一方、多くの人に支持される言動の形式は、社会規範として存在することになります。
       クマノミを捕獲すべきでないという考え方が、大多数の人に支持されれば、そのような社会規範が成立していることになります。それほどでもないということであれば、そのような規範は成立していないことになります。

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