2018年3月3日土曜日

沖縄のベストシーズンは何故7月上旬といわれるのか


 寒い寒いと言いながらも、もう3月。そろそろ、夏の沖縄旅行に想いを馳せている人もいるでしょうか。 


 沖縄のベストシーズンについては、以前、こちらの記事に書いたとおりですが、当ブログとしては、7月上旬頃の沖縄は、比較的良い時期(comparatively good season)ではあるけれど、ベスト(best season)かどうかは別の話だと思うのですが・・・

 そもそも、何月でなければダメだ、なんてワガママ言わないのが沖縄のいいところ。長~い夏の間の行けるときに行けばいいと思うのです。


 しかし、世間一般では、沖縄のベストシーズンは、6月下旬から7月上旬ということになっているようで、ネットで検索してもそういう記事が圧倒的。

 「沖縄は7月上旬が最高なんでしょ」「ん~。最高っていうか・・・」
 仲間内で毎年繰り返されるこの会話に少々食傷気味なので、今年もそれが始まる前に、「とにかくこれ読んで!」という記事を書くことにしました。




 本来、観光地のベストシーズンとは、そのエリアが最も美しく魅力的な時期のこと。
 花の最盛期である月上旬とか、紅葉の見頃である×月下旬とか、それがベストシーズンと言われるものです。

 四季の移ろいがあまり感じらない沖縄では、その意味でのベストシーズンはありません。逆に言えば、5月から10月まで、ほぼ変わらず楽しめるとも言えるでしょう。

 その前提で、では何時がベストかというと、観光客の少ない時期、旅行代金が安い時期、天候が安定する時期、といったことになると思います。つまり、晴れて人がいなくて安い、こんな時があるなら絶対に行きたいですよね。




7月上旬は観光客が少ないか

 7月上旬は、まだ沖縄に行く人は少ないと思われがちですが、それは10年以上前の話。今は決してそんなことはありません。
 7月上旬の沖縄はいいと、知れ渡ってしまっています。

 しかも、この時期を狙って来るのは、沖縄のことをよく知っている人達です。なので、人気のペンション・民宿とか、ガイド・ショップなどに予約が殺到します。
 「知る人ぞ知る」だったはずの地元食堂が、行ってみたら満席だったなんてことも。

 子供達は学校があるので、子供連れはさすがに少ないですが、それでも近年は、学校を休ませて連れてきちゃう親も少なからずいて、驚かされます。



7月上旬の旅行代金は安いか

 かつては、7月上旬は穴場的な時期だったのですが、この時期に行く人が増えるにつれて、旅行代金も上がって来ました。

 旅行会社の店頭にあったパンフレットをもらってきて、実際に沖縄ツアーの代金を調べてみました。

 対象は、JALパックの、羽田発宮古島2泊3日の東Qホテルに泊まるツアーです。

 このツアーでは、6月13日(水)発は最安値設定でしたが、それとの比較では、
 平日の6月27日(水)発が1.43倍、週末の6月29日(金)発が1.66倍
 7月になると、7月4日(水)発が、1.54倍、7月6日(金)発が1.72倍
と、徐々に価格が上がっていきます。

 ちなみに、海の日3連休は何と2.76倍!
 一方9月に入ると、上旬でも平日は1.35倍、週末発でも連休を除いては1.54倍と落ち着いて来ます。

 この結果では、7月上旬は、いわゆる夏休み期間と比べれば高いとは言えませんが、安いと言えるのは6月の中旬までで、価格的には9月の方がむしろ安めでした。

 このようなパッケージツアーを使わずに行く方法も、もちろんありますが、総じてみれば、7月上旬の価格の優位性はわずかです。



7月上旬は天候が安定しているか

 7月上旬がベストシーズンだと言われる最大の理由は、沖縄が既に梅雨明けしていることでしょう。

 沖縄地方の平年の梅雨明けは、6月23日頃。本州と比べれば、一月近く早い梅雨明けです。

 「梅雨明け十日」と言いますが、梅雨明け直後は太平洋高気圧の勢力が持続しやすく、安定した晴天が十日間程度続くことが多いためです。

 しかし、沖縄の梅雨明け十日は、必ずしもそうではないのです。

 5月から7月にかけて、日本の南では太平洋高気圧、北ではオホーツク海高気圧が張り合い、その間に前線が出来ます。これが梅雨前線です。

 本州が梅雨明けする頃は、太平洋高気圧が頑張って、梅雨前線は消えますが、沖縄の梅雨明けは、梅雨前線が本州辺りまで押し上げられるだけで、前線そのものはしっかり残っています。
 なので、太平洋高気圧がちょっと気を許した隙に、梅雨前線が押し戻され、前線の周辺の雲が、沖縄辺りにもがかかってしまうことがあります。

 また、前線が沖縄の北にある間は、前線に向かって強い南風が吹きます。この風は、夏至南風(カーチーバイ)と呼ばれるもので、文字通り夏を呼ぶ風なのですが、風が強いときは島の天気は変わりやすく、特に山のある西表島、石垣島などでは影響が大きいようです。

 梅雨明け宣言があった、ご近所に台風もいない、週間天気予報は、晴・晴・晴・晴。でも、行ってみたら曇りだった、なんて事があるのです。



その台風についてですが、台風についても、これまで当ブログでも再三書いて来ました。

 結論だけ言えば、8月が一番遭遇可能性が高いのですが、6月から10月までの他の月と比べて、8月が突出して高いわけではありません。

 月別の台風遭遇確率は、100回くらい行けば、8月が多少多かったかな、という程度のものです。

 沖縄は飛行機の予約があるので、天気予報を見ながら2~3日前に旅行を決められる人は、ほとんどいないでしょう。そうなると、台風も含め天候はもう運次第です。


 7月上旬の沖縄の天候は、必ずしも安定した晴れとは限りません。あまり期待が大きいと、ガッカリするかも知れません。


 ですが、それでも7月上旬頃の沖縄旅行はとても魅力的なのです。何故でしょうか。




 7月上旬と言えば、本州では梅雨の後半から終盤。連日ジメジメした日々が続き、テンションも下がり気味。
 時には梅雨寒で長袖シャツを引っ張り出してこなければならなかったり、場合によっては梅雨末期の大雨に見舞われているかも知れません。

 こんな時でも、沖縄まで飛んで行けば、夏が満喫できるのです。

 もちろん海で泳げます。Tシャツ1枚で過ごせます。ハイビスカスが青空に映え、ビーチの白砂が目に染みます。
 あふれ出た汗をシャワーで流した後は、キンキンに冷えたオリオンビールが喉を激走しますよ。

 そこが、7月上旬に行く沖縄の最大の魅力です。
 つまり、7月上旬は、沖縄ベストシーズンであるというより、沖縄に行くにベストシーズンなのです。

 だったら、多少人が多くても、思ったほど安くなくても、少し曇りの日があっても、大した問題ではないと思いませんか。



以前は、7月上旬頃に沖縄に行く人は少なく、穴場の時期でした。あの頃は良かったぁ~なんて思っている人は、少し早めて6月中旬頃はどうですか。

 6月中旬では、まだ梅雨明け宣言はされていないと思いますが、梅雨前線は、現れては消え、消えては現れ、梅雨前線の雲は、発達したり小さくなったりしながら、3歩北上したら2歩南下する、それを繰り返します。
 
 梅雨明け宣言の前後で、沖縄の天候がガラッと変わるわけではありません。

 8月が夏100%だとすれば、7月上旬は夏90%、6月中旬は夏70%みたいな感じです。
 6月は、7月よりは多少晴れる確率が低いですが、基本的に夏。しかし、訪れる人はまだ少ない時期です。
 


 沖縄は、「もうほとんど夏」の5月から、「一応まだ夏」の10月まで、長~い夏が続きます。
 内地が初夏でも沖縄は夏、内地が梅雨でも沖縄は夏、内地が夏でも沖縄は夏、内地が秋めいて来ても沖縄は夏なのです。

 結局のところ、自分が行きたいとき、行けるときに行くのが本当のベストではないでしょうか。もちろん、何回も行って、自己ベストを更新しても構いませんぞ。



2 件のコメント:

  1. 一番上の写真はどこですか? ナガンヌ島、水納島の記事は見当たりませんが行かれたことはないですか?

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    1. ナガンヌ島の記事はありません。水納島は、本部町の水納島でしたら、2013年8月に記事にしています。
      「水納島」で検索してみてください。
      宮古郡の水納島には行ったことがありません。
      写真は、宮古島前浜です。

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