先日記事にした、Z世代が車を運転しない問題に関して、色々資料なども調べているのですが、そうした中、この問題に直接は関係しないのですが、島の現状を知る手がかりとなりそうな資料をみつけました。
興味深い内容が含まれていたので、そのごく一部ですがお知らせしたいと思います。
それでもかなりのボリュームになるので、観光客編と、島人編の2回に分け、1回目は観光客編をお届けします。
この資料は、「石垣市地域公共交通計画」という報告書で、石垣市が発注し、令和4年3月に公表されています。
計画策定の目的は、まちづくりと一体とな
った地域公共交通ネットワークを構築するため、とされています。
今回注目したのは、この中にある各種データです。石垣島を中心とした八重山諸島の観光客の動向についてです。令和元年(2019年)度、つまりコロナ前の調査となっています。
世代別の旅行者の割合
40代の24.7%をトップに、50代20.7%、60代19.5%、30代18.5%となっており、20代はやや少ない約10.0%となっています。
旅行者の訪問回数
初回が39.7%、2回目が18.4%、3回目が8.9%などとなっています。一方、20回以上が8.0%もいたのは心強い。
宿泊数
2泊が36.6%、3泊が27.8%で、平均は3.07泊です。日帰りが3.6%も! Youはどこから石垣へ?
泊まった島(重複回答)
石垣島が87.9%と他を圧倒しました。
竹富島は、3.2%で、訪島者の数からすると、日帰り率の高さが窺えます。黒島は、1.2%で、波照間島の3.3%に水を空けられています。リゾートホテルのある小浜島は7.0%、西表島は10.0%でした。
旅行形態
個人旅行が53.6%、それとどう違うか説明はないのですが、フリープランが29.5%、団体旅行、パッケージ旅行が合わせて約15%でした。
立ち寄り先
トップ10は、
川平湾 58.4%
コンドイ浜(竹富島)33.7%
玉取崎 33.1%
公設市場 25.1%
平久保崎 23.7%
由布島 21.7%
石垣島鍾乳洞 20.9%
バンナ公園 20.7%
仲間川(西表島) 19.8%
竹富島島内 17.4%
その他主なところでは、
浦内川 (西表島) 10.1%
ニシ浜(波照間島) 4.2%
仲本海岸(黒島) 3.1%
などとなっていました。
米原海岸、底地浜、真栄里ビーチなど、石垣島の各ビーチはランクインしておらず、石垣島その他(12.1%)に括られているようです。
移動手段
船が最も多く64.8%で、以下、レンタカー55.5%、路線バス25.9%、タクシー22.1%、自転車16.8%、観光バス14.4%などとなっています。
もう少し突っ込んで、ホテルの送迎バス、船会社の送迎バス利用の状況も調べてほしいところです。
レンタカーの立ち寄り先
ちょっと文章としてまとめ難いので、そのまま転載します。石垣島でレンタカーが10分以上停車した場所を、メッシュで示しています。
赤が多く、濃い青は少ないという関係です。
中心市街地や空港周辺が多いのは分かりますが、これを見ると、皆結構色々な場所に散らばっています。
この調査から何が読み取れるのか
石垣島を含む沖縄離島は、自分のイメージとしては、遊ぶ島、滞在する島でしたが、こうしてみると実情は、見て廻る観光地の様相を呈しています。
しかし、詳しい分析はされていないようですが、この調査がコロナ前の令和元年(2019年)度に行われたことを考えると、この数字には、クルーズ船でやって来た外国人観光客が数多く含まれているものと考えられます。
立ち寄り先として、公設市場(25.1%:4位)、石垣島鍾乳洞(20.9%:7位)、バンナ公園(20.7%:8位)が上位を占めたのもその影響でしょう。
また、以前当ブログで記事にした、沖縄振興開発金融公庫の「沖縄の離島観光に関する意識調査(2017年3月)」も併せて考えると、冬場に大々的に宣伝される「八重山4島(5島)巡り」のツアー客も、相当数含まれていると思います。
立ち寄り先として、西表島の仲間川(19.8%)が、同じく西表島にあり沖縄最大の河川である浦内川(10.1%)の約倍になっているのは、「八重山4島(5島)巡り」ツアーの立ち寄り先だからでしょう。
これらを除いて考えると、観光客の大雑把な動向は、
①石垣島内観光は主にレンタカーを利用する、②各世代ほぼ均等であるが若い人はやや少ない、③リピーターはあまり多くないが熱烈な石垣ファンも一定数居る、④ほとんどが石垣島に宿泊し他の島へは日帰りする人が多いが、西表島には一定数宿泊している、⑤滞在期間はあまり長くない、⑥やはり黒島に行く人は少なかった、
ということになると思います。
Z世代が車を運転しない問題との関係
年代別の旅行者数は、20代は、他の世代の約半分となっています。また、30代もやや少なくなっています。
石垣島など沖縄の離島は、本島や他の観光地に比べると金がかかるので、若い人には敷居が高いも考えられなくもないとは思いますが、学生ならともかく、就職している層では可処分所得が却って高い可能性もあり、若い奴は金がないから、離島まで来ないというのは昭和の発想のような気がします。
むしろ、コーラルブルーの海で泳いだり、マリンスポーツをすることは、若い人ほど憧れるのではないでしょうか。
そうなると、やはり他の原因、つまり、車を運転したくない、できないという理由が、石垣島や、その他、沖縄離島旅行を拒む壁になっている可能性が高いことが、ここでも裏付けられたような気がします。
なお、報告書は、全82ページにも及ぶ大部ですが、これは、受託したコンサルタントが見栄えのするように散々盛ったためで、多角的な視点から検討が加えられためで、結論においても、バス停から遠い人は、最寄りのバス亭までシェアサイクルや電動キックボードの活用を提案するなど、こんなこと誰がするのかと笑っちゃうようなものが多い柔軟な提言がなされています。
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※ 計画書の全文はこちら。
※ 沖縄の離島観光に関する意識調査に関する記事はこちら。
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