機内誌とは思えないほど気合いの入った、JTAの機内誌「Coralway」の話の続きです。
「南国フルーツ新聞」という記事です。
沖縄産パイナップルの種類や特徴、生産状況や食べ方が載っています。マンゴーその他のトロピカルフルーツも同様で、沖縄好きにはとても有り難い内容です。
「うちなーアメリカンジャーニー」という記事です。
「人々の暮らしには、終戦から27年間続いたアメリカ世(ゆー)に流れ込んだ独特の文化が見え隠れする」として、根付いたA&W、安くて大きなステーキ、ドライブインという名の沖縄のファミレス、食卓の上のアメリカといったコラムが並びます。
なかには、当時のこんな話も。
「ベトナム戦争から戻った米兵は、巨額の戦地手当を持ちバーにやって来る。」「彼らが店のテーブルに1000㌦置く。ホステスが安酒で酔わせて、それをどんどん下着に入れちゃう。」
この話が真実なのか、それとも盛っているのか、知る術もないのですが、内地のマスコミが安易に取り上げそうな、アメリカ占領下で苦しい生活を強いられ、復帰後の今もなお基地問題を抱える沖縄、といった内容とは一線を画しています。
「しまくぅばで遊ぼう」という記事です。
しまくぅばとは島言葉で、要するに沖縄方言です。
これがまた、徹底していて、軽く読み飛ばすことは許さぬ、じっくり読んで勉強せい!と言われているかのような。
生半可な沖縄通を気取っていても、ほとんど着いていけません。
連載記事でも色々攻めてきます。
「この人の沖縄力」という記事は、沖縄の各界で活躍する個人、それも主に一般の人の活動を取り上げたもので、100回くらい続きました。
「数字でみる沖縄」という記事も、長きにわたって連載されていました。
7,882円(那覇市民の豆腐の年間購入額で全国第1位)、約40万人(海外で暮らす沖縄県民とその子孫)、493,035枚(かりゆしウエアの年間出荷枚数)、142人(算盤の段位十段の保持者)、85.3m(観測史上第1位の宮古島台風の最大瞬間風速)、10.9%(沖縄県の事業所の年間開業率。廃業率の8.2%と共に全国第1位)
一体どこから調べてくるのか。そもそも着眼点が凄すぎる!
自分が今まで読んだ中で最もぶっ飛んだのが、2012年11/12月号に載った「嶺井家のオリンピック」という記事です。
おじぃおばぁ(故人)の、ひ孫、玄孫(やしゃご)まで、一族の4世代、総勢240人が集まって、島の運動場を借り切って4年に一度開催される大運動会、いや、オリンピックです。
6チームに分かれ、お揃いのTシャツをまとい、各種競技。そして、夕方から大懇親会。そのための魚も、一族の中の海人が獲ってくるのだとか。
企業でも、町でもなく、家族のイベントです。
これを読んで、単に「へ~凄いね」で終わるか、「さっすが沖縄」と感動するか、読み手の「沖縄力」も試されているようなディープな記事です。
こんなイベントを探し出して、機内誌に載せようという企画力も凄い。まさに「ウチナーの翼」を自認するJTAの本領発揮でしょう。
「Coralway」は、飛行中の暇潰し的な一般の機内誌とは気合いが違います。
そんな「Coralway」ですから、もちろん、沖縄各島の観光ポイントやシュノーケリングポイントなども紹介されます。
市販のガイドブックには載っていない、まさしく穴場情報が沢山あります。
とても貴重な情報なのですが、その影響力の強さから、結果的に、ちょっとまずいことになったという場面もあったようです。
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