「焼いたジャガイモに味噌を付けて食べたら死ぬと聞いたのですが本当ですか?」「焼いたジャガイモに味噌を付けて食べた人は高い確率でいつかは死にます。」
昔、朝日新聞に「明るい悩み相談室」というコーナーがあって、作家の中島らもさんが回答者となって、冒頭のような(正確に覚えているわけではありませんが)やり取りが交わされていました。
ただこの回答については、ユーモアを解さない人が誤解して、今でいう炎上騒ぎになったようです。
もし、今でも明るい悩み相談室があったら相談したいことがあります。「この写真の酒を大事にしまっています。何時飲んだらいいですか。」
そんなの飲みたいときに飲めばいいじゃん、と思われるかも知れませんが、なかなかそう簡単に決心がつかないのです。
この酒は、与那国島にあった入波平酒造の舞富名という泡盛です。花酒と呼ばれるアルコール度数60度の泡盛で、かつ、10年古酒なのです。
酒税法により、焼酎類はアルコール度数45度まで。それを超えるものは、原料用、つまり加水してから販売してくださいということになるのですが、歴史的経緯により、全国で与那国島にのみ、アルコール度数60度の原酒の一般販売が認められています。
ところで、泡盛は、製造後も熟成を続けます。
酒造組合のHPによれば、泡盛に含まれる成分(アルコール類各種・脂肪酸(有機酸)・脂肪酸エステル・硫黄系化合物・フェノール化合物 ・アセトアルデヒドなどなど)が、物理的変化、化学的変化を経て香味成分などに変化し、まろやかな口当たりと甘い香りを醸し出すのだそうです。
しかしながら、花酒は、アルコール分や香り成分が豊富な反面、熟成に必要な成分をほとんど含まないため、古酒として長期保存されることはあまりありませんでした。
この舞富名10年は、花酒に熟成成分をブレンドして造られたとされます。
入波平酒造は、与那国島に3箇所あった酒造所の内の一つで、唯一花酒の古酒を一般販売していましたが、後継者不在で、昨年土地施設が競売に出されました。
以前、宮古島の某ペンションで、たまたま開業20周年というときに泊まり、20年前に買っておいた、菊の露とニコニコ太郎を、口開けして飲ませてもらったことがありました。
どっちがどっちだったかは忘れましたが、片方は、まろやかだけれど濃厚な口当たり、もう一方は、刺激のないさっぱりした口当たりでしたが、喉ごしの時に「うぉぉ~」な刺激が。
新酒の一升瓶を買って、20年間置いておいただけなのですが、二つの酒は、全く別物に進化していました。
下の写真をご覧ください。
この舞富名を瓶詰めしたのは何と2004年、つまり20年前なのです。
元々10年古酒だったものを更に20年寝かせたわけです。しかも、それは製造数の少ない花酒の古酒であり、醸造元は既に廃業してしまったのです。
小さな二合瓶ではあるけれど、これだけプレミアムな条件が揃ったら。何時飲もうか真剣に悩む気持ちをお察しください。笑
当時、同じものを2本買って、1本は、沖縄好きの集まる飲み会に持っていったのですが、貴重な酒なのに、誰も有り難がらずにあっという間に飲みやがってお飲みになられたので、もうあいつらには飲ませるものか!と、残りの1本を大切に保管していました。
初めて与那国島に行ったとき、花酒古酒を買おうと思って、土産物店、空港売店などを探したのですが、見つけられませんでした。
実際に買えたのは、那覇の国際通りの酒店です。工場は与那国島にあっても、販売拠点は那覇にあったようです。
与那国島内ではあまり流通しなかったみたいですね。何しろ、泡盛にしては相当いいお値段ですから。
舞富名のラベルに画かれているのは、与那国馬です。与那国島の東崎(あがりざき)では、本当にラベルのような馬たちがノンビリと草を食んでいます。
というわけで、これを何時飲んだらいいでしょうか。
酒は飲むものであって、飾っておくものではないだろうと言われると、まったく以てそのとおりなのですが。
思い入れはもの凄く強いですが、飲んでみたら全然たいしたことなかった、なんてことも有り得ますしね。
中島らもさんだったら、どういう回答を寄せてくれるでしょうか。
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