2024年5月11日土曜日

南風に乗ってやってくる ソテツを食べる蝶

  


 ♪ ちょうちょう ちょうちょう 菜の葉にとまれ 菜の葉に飽いたら桜にとまれ~

 と童謡に唄われるくらい、蝶といえば花にとまって蜜を吸うものと相場が決まっていると思っていたのですが・・・

 


 沖縄には、花の蜜には見向きもせず、ソテツの葉を食べるという、変わった蝶がいるのです。
 その名も、クロマダラソテツシジミ。シジミチョウの仲間です。



 クロマダラソテツシジミは、熱帯、亜熱帯に生息する蝶で、越冬の北限は台湾だとされていました。

 ところが、1992年に沖縄県内で確認されて以来、今では、内地でも見かけることがあるそうです。




 温暖化が原因?と一瞬思いましたが、そうではなさそうで、ある時期から台湾でソテツの植樹が増え、それに伴いクロマダラソテツシジミが増えた結果、台湾から風に乗って、沖縄に、そして内地にもやって来るようになったのだとか。

 風まかせなので出現状況は年によって違うそうです。


 風に乗ってやって来るといっても、100㎞・200㎞の長距離ですが、本当に風に乗って飛んで来ちゃうのです。


 台湾に近い八重山では、春から秋にかけて、大きなソテツの木にクロマダラソテツシジミが沢山群がっています。

 でも、なにしろシジミチョウ。小さいので、近寄ってみないとよく分かりません。




 蝶の大きさは、前翅を水平に開いた状態で一番長い部分を測り、「開張何ミリ」というような表示法を用います。

 開張は、アゲハチョウでは5~6㎝ですが、シジミチョウは1.5~2㎝程度。

 小さい上に近寄ると逃げてしまうので、これを写真に撮るのは大変なのですが、一度見つけると、同じ場所に大量にいることが多いので、下手な鉄砲も数打ちゃ当たる方式でバシバシ撮れば、何とかなるといった感じです。

 まあ、デジカメ時代でなければ、あり得ないことでしょうね。



 一方、幼虫がソテツの新芽を食べてしまうので、木が枯れてしまうことも。ソテツの少ない内地では害獣扱いされています。



 

 南国沖縄には、国内には普通いない珍しい蝶が、東南アジアから風に乗ってやって来るそうです。迷蝶という言い方もあるらしい。

 特に、山のある西表島や石垣島で見つかることが多く、希少種の蝶を求めて捕虫網を持ったマニアが、少なからずやって来ます。
 観光地沖縄の知られざる一面です。


 そんなの捕獲しちゃっていいの?と思ったのですが、在来種と違って、たまたま沖縄に飛んで来ちゃっただけで、生息できないからいいのだそうです。

 もっとも、石垣島のバンナ公園など、採集禁止のエリアもあります。


 クロマダラソテツシジミも当初はそんな位置付けだったらしいのですが、今では沖縄に土着し、珍しくない蝶になって、捕獲する人もいないのだとか。





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