2015年5月24日日曜日

日帰りの出来ない孤島 渡名喜島 Ⅱ


 渡名喜島の集落は、重要伝統的建築物郡保存地区に指定されています。
 沖縄県では、竹富島に次いでの指定です。

 この島には、フクギ並木だけではなく、伝統的な沖縄の家屋が残っています。残っているというより、ほとんどが、昔ながらの赤瓦の屋根の家なのです。もちろん、シーサーもちゃんと乗っかっていますよ。

 竹富島との一番の違いは、花。
 島中で植栽に努め、常に花に囲まれた美しい竹富島と、観光客も来ないし、特段何もしない渡名喜島。

 一方、この島ならではの特徴は、風よけのため、塀に囲われた敷地を掘り下げて屋根を道路とほぼ同じ高さにした、「掘り下げ屋敷」と呼ばれる、渡名喜島に固有の建築方法です。

 家を建てる前に、敷地を掘るわけです。それにより建物全体が低くなるので、風の影響を受けにくくなるという仕組みです。
 ただ、そうなると雨が降ったときの排水はどうなるのか心配なところですが、多分、水はけの良い地盤なのでしょう。

 金持ちほど深く掘ったのだそうです。


 「チキシ」。
 昔、若者達がこの石を地面に叩き付けて、悪霊を追い払ったとされています。重さは、50~70㌔だとか。


 昼食が取れるのは、ここと、フェリーターミナルにある食堂の2箇所だけ。

 中に入ってみても、どう見ても普通の民家。縁側で靴を脱いで部屋に入ります。野菜そば650円。デカっ!


 「となきのおやつ」。
 フェリーターミナルの待合室で、船の出航時間に合わせて販売される、島のお土産です。「もちきび入り」とありますが、要はクッキーです。
 ハッキリ言って、何の特徴もない単なる焼き菓子。

 もちきびとは、キビの一種で、「五穀豊穣」の五穀の一つ。米よりもミネラル分を多く含み、最近では一部でブームとなっているそうですが、白米ほど美味くないので、まあ健康食ですか。

 この島では、稲作は行われていません。多分水が十分確保出来ないからでしょう。代わりに、乾燥に強いキビの栽培が行われています。

 サトウキビの栽培も行われていませんが、それは恐らく、中途半端に作っても、輸送にコストがかかって採算が合わないからだと思います。



 よく、「何処何処は、何もない」という言い方をしますよね。
 黒島は何もないとか、小浜島は何もないとか。

 でも、本当に何もないわけではなく、その意味するところは、際だった特徴がないとか、ランドマークがないとか、あるいは、静かで落ち着いているといった肯定的な意味の場合もあると思います。

 しかし、渡名喜島は、少なくとも観光という視点からは本当に何もない。
 変な表現の仕方ですが、本当の「何もない」があるのです。


 将来、万が一、宮古・八重山が開発されて、「昔は、こうじゃなかったのに。」と嘆くことになったら、再びこの島に来て、沖縄離島旅行の原点に立ち返ろうと思います。



 ところで、何もない島に、事件が!
 というほどではないですが、5年ほど前、静かな島にビッグイベントが起こりました。

 長澤まさみ主演の映画、「群青 愛が沈んだ海の色」のロケが、この島で行われました。
 下の写真は、映画のワンシーン。フェリーターミナルの待合室に展示されています。

 残念ながら、この映画はコケたようで、たいして話題になることもなく、忘れ去られようとしています。

 もし、この映画が大ヒット作ならば、その影響で、行ってみたいという人も大勢居たことでしょう。
 やはり、この島は、何もないオーラを放っているのでしょうか。


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