竹富島で、9月1日から入島料の徴収が始まりました。
竹富島に行く際に、石垣島離島ターミナルか、竹富島東港ターミナルに置かれた自動券売機で、300円の入島券を購入することになります。
といっても、購入は任意で、券を確認されることもありません。
何故、竹富島でこういうことになったのでしょうか。
島では、「祖先より受け継ぎ育んできた自然、祭事や習慣、伝統工芸や町並みを、皆さまとの協働で10年後、20年後・・・100年後とつないでいくため」としています。
そして、海浜清掃、珊瑚の保全など、入島料を財源に行う24の事業挙げているほか、その3分の1をトラスト活動に充てるとしています。
トラストとは、自然環境の保全及び持続可能な利用の推進を目的として、地域内の土地等を取得すること、と定義されています。
つまり、開発事業者等から、土地を取得する資金に充てるわけです。
小さな島に年間50万人もの観光客が訪れる竹富島は、間違いなくオーバーツーリズム(観光地に耐えられないくらいの観光客が押し寄せる現象)でしょう。
オーバーツーリズムは、イタリアのベネチア、スペインのバルセロナなど、世界的に問題となっており、日本では京都などで顕在化しています。
ところで、竹富島の今回の試みは、「地域自然資産区域における自然環境の保全及び持続可能な利用の推進に関する法律」という、やたら長い名前の法律に基づいて行われています。
この法律では、自治体が料金を徴収して、環境保護の費用に充てることを制度化しており、法律施行後、実際の入域料を導入するのは、竹富島が全国で初めてです。
また、トラストに関して、同法には、こんな条文があります。
国及び都道府県は、地域自然資産区域内の土地が、国立公園の区域内に含まれるものである等の理由により、自然環境の保全及び持続可能な利用の推進を図る上で特に重要であると認めるときは、当該土地を取得するよう努めるものとする。
この法律に基づいて、トラスト活動を行う場合、ケースによっては、土地取得に国や県の支援が得られる可能性があるのです。
しかし、デメリットも考えられます。
竹富島に行くと金を取られるというイメージの先行、払わない人もいる中での不公平感、こうしたことが、竹富島の印象を悪くするおそれもあります。
任意、というのも、支払う側にとっては案外面倒な選択を迫るものです。
何故支払わなければならないのかよく分からないけれど、支払わないと何となく肩身が狭い。これがほとんどの人にとっての偽らざる感想だと思います。
「支払い義務はあるがチェックまではしない」ということだと、支払わない人との間に不公平感が生じ、正直者は馬鹿を見るみたいな感覚になりがちなので、「支払い義務はないが志のある人は是非お願いします」というスタンスを強く打ち出すのがいいのではないでしょうか。
(制度開始直前の8月30日に撮ったもの)
現実に金が絡むだけに、批判もあるだろうと思いますが、島民が自ら選択した新たなチャレンジが成功するよう、僭越ながら、当ブログとしても、応援させていただきます。
失礼を承知でいえば、この手の事業は、不透明な経理処理が明るみに出ると、一気に信用を失い、崩壊します。
是非共、明朗な経理処理と、事業の透明化を推し進めて、目標の100年後までつないでいってください。
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